その時のアタイが覚えているもの...
「どこ...お母さん!!お父さん!!」
燃え盛る炎の渦とーーーー
「...ここには、もう誰もいない...。
僕が....全て終わらせたから...。」
「!?!」
冷酷な瞳を持った...右腕が剣だった
少年からの言葉...
焼け崩れたアタイの家からは、両親を
奪ったあいつの痕跡は発見されなかった
「...必ず...必ず...殺してやるから!!!」
ずっと追い続けた...幾つもの
生と死の狭間を潜り抜けながら...
胸に復讐を刻んで...そして皮肉にも
今、辿り着いた...アタイに全てを与えて
奪い去った街『アルティマ』で目の前にした
この男が...!!!!
・『剣を狩る者』となってなから
初めて戻る、故郷の街『アルティマ』の酒場で
『リンコ』は、街の住人全てを
たった一人で皆殺しにしたと、あっさり
言い放つ獣人『アザゼル』の、その言葉に
激昂し、バックルから
素早く取り出した2本の鞭で襲いかかる!!
「『マーダレイ・ビュート』ぉぉぉ!!!」
『シュパパパパパパッッッン!!!』
だが、木製の床を這うように自分を
目掛け、生き物かのごとく迫り来る
2本の鞭を前にしても、全然動じない
アザゼルは、椅子に座ったまま...
『バキャキャキャキャッッッン!!!』
直撃を受けた!!!
砂煙が辺りに舞い散り、酒場全体を覆う...
「...奴は?!?」
...リンコは、その場が静まり砂煙が
数秒して治まったの見て、アザゼルの
生死を確認する...が、
「...そんな、バカな....。」
そこには、彼女から放たれた鞭に
よる攻撃で粉々に砕かれた椅子とテーブルの
木片だけが、残害として彼を残し
只、そこに存在していた....。
・『きぃぃぃ...きぃぃぃ....。』
揺れる、出入口の扉...
「まさか...外にっ!!?」
半信半疑のまま彼女が酒場から出て
行く...すると、そこには
「...待ちなさいよ!!!!」
その場から立ち去ろうとする
アザゼルの姿があった!!!
「まだ...何か...この僕に用かな?」
風に煽られて騒ぐ木木のざわめきが
二人を包み込む...
「...やっと...やっと見付けた!!!!
あんたが...あんたが右腕が剣の男だろ!!
アタイの事など...覚えちゃいないだろう
けどさぁ...アタイは、忘れないよ...
あの一日...あの日の出来事を!!!」
内から溢れ出る憎悪がリンコの顔を
歪め...目の前にいる...アザゼルを
殺せ!殺せ!...と、せき立てる....
「へぇ....僕の事を知っているなんて...
あの御方と『4神獣』以外...?
....なるほど、そうか...何処かで見覚えが
あると思ったら...お嬢さん...。」
『ドギャギャギャッッッン!!!』
リンコは、アザゼルの言葉を遮り
再び鞭によるレイヴを唐突に放つ!!!
「はぁはぁはぁはぁ...。」
2度目の渾身の力を込めた攻撃に
流石に疲労の顔を見せるも
勝った!!っと、心で叫び
笑みをのぞかせる彼女だった、が...
「無論...覚えているさ...僕が初めて
誉められた事だしね...それにしても、
あの時のお嬢さんが...あはははっっ
...立派になったものだ....。」
それの直撃を受けても、平然と...
その場から一歩も動かずに、放った鞭2本を
片手に持ち、自分に話しかける
アザゼルの姿を見て、一瞬にして
顔色を変え、言葉を失った...。
・「...そんな...アタイの18番が...
でも、まだぁぁぁっっ!!!」
それでも諦めずに、手にされた鞭を
さっさと、手放しまた腰のバックルから
次の新しい鞭を取り出し構える...が、
「無駄だよ、君の攻撃は遅いし...
それに、ほら...もう、それも...
使い物にならないと思うよ?」
アザゼルの言葉で両手の鞭を
チラッと、見たリンコは驚愕する!!
「...いつの間に...こんな!?!」
バックルの鞭は全て...無惨にも
切り刻まれていたのだ...
「...ははっ...いつでも君を殺す
ことなど簡単なんだよ...。
その鞭と同じ...造作もないことなんだよ。」
アザゼルは、リンコを置いて
前を向き、足を踏み出す...だが、
「ふざけるな...じゃあ...アタイを
この場で始末すればイイだろ!?!
...アタイのとっておきの最強のレイヴ....
いま、見せてやるよ!!!!」
彼が手放した、無傷の鞭を地面から
瞬時に拾い上げた彼女から繰り出される
最強を自負する鞭によるレイヴが
その背中に猛然と襲いかかる!!!
『バジュォォォォォン!!!』
「...僕が君を殺さなかった理由かい?
...それは、それなりの使い手になるまで
待っていたからさ...。
君が成長して僕を楽しませてくれる
人材になるんじゃないか?と、ね...。」
少年のそれとは異なる剣...突如アザゼルの
右手から青白い波動状の
剣が出現し、荒れ狂う鞭の波を
軽く、その一振りで打ち破ってしまった...
「...ぐっ...腕が...!!!」
未知の技の代償は肉体の損傷...
彼女の両腕から鮮血がほとばしり
こぼれ落ちる血液に混じる涙は、
即座に地面に吸収されてゆく...
「悲しむ事はないよ...ほら、
憎しみに任せた君の攻撃は、僕の
鎧に小さな傷を作る事が出来たんだ。
...あははははっ...君は僕に
生かされている...今も...あの時もね。」
崩れ落ちるリンコに歩み寄る
アザゼルは、そう耳元で彼女に呟き
その場から去って行った...。
・「...アタイは...アタイわぁぁッッ!!!」
アザゼルに完全に歯が立たなかった
...これまでの自分の生きてきた
全てが否定された様な気分に
リンコは陥っていたが...彼女は、
その場から傷ついた身体を起こし...
立ち上がった...
「あの時も...今も...アザゼル...。
アタイをお前が殺さなかった事を...
後悔させてやる!!!」
あの後...続けて彼に囁かれた事を
思い出し、リンコは少なからず...
自分も少年の敵との因縁を
持っているのだと感じる...
「...いずれーーーーー
僕にまた会いたくなったら、あの御方...
『ファング・オブ・キング』様を
追い求めるがいい...。
だが、そこに確実な死が待ち受けて
いることを...忘れないでくれよ?」
そして、彼女が再び少年の下へ戻る事を
決意するのに...
そう時間は、必要としなかった。
『エピローグ』
“アタイの復讐の為の闘いは、今まだ...
始まったばかり...
「...まだ、あの情報の街へ
...滞在しているかしら?」
アザゼル....お前を殺す為に...
これから、いくらでも強くなる!!!
「...『将』達....。」
アタイは、彼らと共にファングを
追いながら、奴を追う!!...そう決意して
故郷の街アルティマを後にした...
「...さよなら...アタイに強さを
与えてくれた皆が居た街...。」
まずは、彼らと合流する為に...
アタイは広野を抜け、新たな街を目指した。”
[第10話] その差…歴然 終
to be continued...
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