ASH=FROST


:to be another mind

世界の敵へ・・・。




ーアナタはもう1人の自分が居たら・・・どうしますか?ー

・この世界には自分と同じ姿を持つ者が
3人いるとされている。
では、その彼らに出会えたら、アナタは
何を望みますか?

・ドッペルゲンガーをご存じでしょうか?
通称、自分のもう一つの側面を現して
具現化したモノだと言われています。
しかし、それを見た者は死ぬとも言われています。

・アナタが思うアナタの周囲の評価は
どうなのでしょうか?
慕われていますか?それとも恨まれていると
アナタは思いますか?

・光と闇があるように、アナタにも
現状の存在と裏の存在があるとしたら、いや
アナタが本来は裏なのだとしたら・・・どうしますか?





予調
(2002/2/5/tuesday,)

現造
(2002/2/6/wednesday)

接触
(2002/2/7/thursday)

痛核
(2002/2/8/friday)

敵対
(2002/2/9/saturday)

灰雪
(2002/2/10/sunday)



LAST…
(2002/2/11/monday)





予調

・山の手線に乗ってフト窓から外を、駅のホームを見ると
そこには、薄気味悪い笑みを浮かべる僕が居た。
それが最初の遭遇だった。
僕はしがない大学の2年生だ、実験の日々に
明け暮れてはいるものの実感も湧かず
只、先輩と教授の手伝いを・・・いや違う
言い様に扱われていた。

・その日も終了時間が過ぎていても
断れずに僕はまた実験、っとは言うものの
ジーッと観察する夜長が続こうとしていた。
だが、今日と言う日が僕の全てを
変えてしまう・・・そうなる事にまだ
この時の僕は珈琲を片手に気付きもしなかった。

・AM2時を回った。
辺りは寝静まり僕は研究室から出てトイレへ向かう
事を勢急で済ませた僕は再び薄暗い明かりの中で
廊下へ足を踏み出す、だが不意に気配を感じ
僕がトイレの方向を振り返るするとそこには
「・・・。」
もう一人の・・・あの僕が僕の前に立ち尽くしていた。



現造

・目の前に居るそいつは僕に笑い掛けもせず
只、何も言わずに僕を見つめていた。
「・・・幽霊・・ナノか?!」
僕は恐る恐る彼、いや僕へ近付いて行く
すると、僕の考えがまるで解る様に
「・・・。」
もう一人の僕は手招きをして見せた。

・心臓が今にも口から飛び出しそうなのに
何故か好奇心に駆られた僕は
もう一人の僕の手招きのまま足を踏み出した。
この時、僕は今思えば運命と呼ばれる何かによって
引き寄せられていたのかも知れない。
「君は・・誰なんだ???」
しかし、僕と同じ姿を持つそいつは
近付いても何等反応は見せず、只
僕を、どこか一点を見つめていた。

・ふとこの時、接近して行く時
最後に思ったのが、実験記録が作製出来ず
大目玉を明日食らう事となるであろう・・・
只、それだけだった、でも僕は
「僕か?それとも・・・??」
それを振り切り自分に向けて手を伸ばす。


接触

・目映い光の中で僕は奇妙な感覚を覚えていた。
イキノコレ・・・。
不意に僕の耳へ入った言葉、それは
まさしく僕の声だった。
「ぅわああああっっっ!!」
思わず叫び、もう1人の自分へ触れた事を後悔していた
しかし瞼を開けた次の瞬間、僕は
もっと大きな後悔を覚える。

・妙にだるい身体だったが、次第に慣れた。
見渡す限り僕がいた場所とはかけ離れた光景が
見えるわけでもなく、そこは只の
研究室の側にある廊下だった、ただ・・・
「・・・何かいる・・。」
そこに現れたモノ以外を除いては。

・[ガギャァァッッッ!!!]
これは、獣・・・いや怪物だ・・・
正にそう呼ぶのが相応しかった。
「ひっひぃいいっっ!?!」
僕は腰を抜かし床へ倒れた、すると
[・・・ワァオオオオォォン!!!]
別の怪物が僕に襲いかからんとしたそれと
当然のごとく争い始める。



痛核

・尻餅を付いて崩れ落ちた僕の目の前で
繰り広げられている光景はまさに現実味を
帯びておらず、只・・・恐怖だけが僕を場を支配していた。
「あっ・・あぁ・・。」
ここで声を漏らせば・・僕にまた目がいけば
必ず殺される。
それだけが頭を支配する。

・[ゥヮォオオオオッッッン!!!!]
狼の様な遠吠えで叫び、相手の喉元を
かっ切った怪物が一瞬で勝敗を決めていた。
「・・・。」
意識が失いそうな目眩が起こる、しかし
現実はそれを許してくれなかった。
ソレは既に次の標的を・・・そう僕を見捕らえていたから。

・[ヴァル?・・ワォオオッッン!]
鋭い爪が馬乗りになられた僕の頬へ食い込む。
痛みを感じた、でも・・思いきり食い込んだ筈なのに
チクッとした・・・まだ僕はこの時、自分の身体に
何が起こっているか?ナンテ・・想像も付かなかった・・。



敵対

・狼の怪物が過ぎ去った後、僕は即座に
身震いをしながらも取り敢えず傷口を確認しに
洗面所へ向かい、そこでこの場での僕を初めて
「・・・ひっ・・・・僕の身体に
これは・・・何かの鎧???」
その目にしていた。

・形々しい骨格を持った鎧がいつの間にか
僕の身体を包み込み、鏡へ写り込むこの姿は
まるで西洋の鎧を纏った騎士そのものだった。
「・・この紋章・・・・これは
針ネズミ???」
左腕の甲に装備させられていた盾らしき物の印と
頭部の飾りがそれを現す。

・[ギャォォオオッッッッッン!!!]
突然、真後ろから野獣の叫び声が聴こえた。
振り返る必要も無く鏡越しで見えたそれは
正しく一般の人間程も大きさのある豹の怪物だった。



灰雪

・「ヒッ・・・。」
思わず声が上擦り奇妙な音を発してしまう。
[ガルルッッ!!・・・グヮォオッッッ!!]
鳴り響くホウコウが僕の背筋を更に
ゾッとさせて行く、このままでは殺される!!
僕は直感でそう確信し
ありったけの勇気を出して廊下とは逆のトイレの中にある
テラスへと飛び込む。

・「・・ぅっぅう・・・。」
硝子の砕け散る音がした瞬間、辺りは
暗闇に包まれていた。
「やっぱりだ・・。」
僕は賭けに出た、このわけの解らない鎧を信じて
飛び込んで草むらに逃げ隠れた。
しかし、それで逃げ切れるハズも無く怪物は
[グヮォオオオッッン!!!]
4階と言う高さもお構いなしで僕を目掛け
飛び降りんとしていた。

・「だっ・・・誰か助けて!!」
僕は叫んだ、必死になって助けを求めた。
それでもどうにか校舎からは出たもののあいつが・・・
[ヮォオオオオッッッッン!!!]
もう駄目だ、そう察した時だった。
「・・助けて・・・。」
再びあの銀色の毛並みに少し青みがかった狼が
目の前に現れ鋭い爪を持つ手を僕へ向けた。
[グルルルルッッッ!!!]
殺される、しかし状況は違っていた。
[ヮォオッン!!・・・ヲォオオオッッン!!!]
僕を退ける様な、手で横へ突き放した狼は
何故か知らないが再び僕を助けてくれた・・。





LAST…

・狼の怪物は素早く豹の怪物へ接近すると
たったの一撃で首を掠め取ってしまう。
「・・・どうなっているんだ・・。」
僕は恐らくもうこの世界から出ることは
叶わないのであろうか?
嫌な予感が胸をよぎる、しかし化け物が
化け物をしとめ勝敗の決したその瞬間
[ガッ・・・ガルルルルッッッ!!!!]
倒された方の身体から閃光が走り
爆風と共に僕は校舎側へと吹き飛ばされてしまった。

「・・・君は僕だ。
僕は君だ。
そして・・・少ししたら君は僕に会えるよ。」
そには僕がいた。
白昼夢なのか?・・爆風で跳ね飛ばされ校舎内部へ
押し込まれた僕は何時の間にか、最初に
自分と遭遇した場所へうつぶせで
倒れていた・・・腕時計を見た。
「あぁ!・・実験結果が・・・。」
教授や先輩にドヤされる!!
そう現実的な事を考えると同時に僕は
腕が僕の元の腕に戻っている事に気付いた。
「・・そうか夢でも見ていたんだなぁ。」
そう呟き僕が立ち上がり廊下を歩き
実験室へ向かうと、既に先輩が居た。
「おぃ、お前何してたんだよ?」
「す、すぃません!!」
熱していた物質はもう化学変化を完全に
起こしてしまっていた後らしく、
先輩は苛付き怒った口調だった。
「てか、お前・・なんだ???
その顔の傷は??・・まさかコレの実験のせいか?!」
言われて恐る恐る頬を指でなぞるとそこには
あの怪物から付けられた傷跡があった。

「・・・夢じゃ・・なかったんだ・・。」
急激な身震いに教われ僕は
今日の実習を受ける事は止め、早退した。
「・・・・僕は・・。」
これ以上関わったら確実に死ぬ、そう
僕は自分に言い聞かせ全てを無かった事にした。
「・・・何、この眼鏡汗かいて慌てて・・いやがんだ?」
通りすがりの白衣を着た誰かが擦れ違い様に
僕へ投げ掛ける罵声の言葉すら気にも止められなかった。

・僕はまだ知らなかったんだ。
僕がこれから巻き込まれて行く闘いとその意味。
そして、もう1人の自分との出会いや・・
僕“仙場 真事(せんば まとこ)”を救ってくれた
「・・・僕が見たのは夢だ・・・
僕が見たのは全て夢なんだ・・・・。」
あの狼のモンスターの事を・・・。



生き残りを賭けた闘いは此処から人知れず始まった・・・。
{to be continued,}



自分を守れるのは・・・自分だけ!!


世界の敵の最初へ・・・。



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