この物語は...大凡(おおよそ)、ノンフィクションです。


eat is love

いっちゃん最初に戻りますよ?

【裏】小説集に戻りますよ?




〓その人は、ずっと側にいるから
…例えそれが生きていなくても…。〓




体内供養
(2004/1/9/Friday)




-某日某場所-
その日は、雨が降っていた。
シトシトと降り注ぐ雨水に打たれながら
私は、そこに立っていた。
「そう、あの日は蒸し暑い夜だったね...。」
鬱蒼(うっそう)と生い茂る木々が
雨風で揺れ私の声を包み込み
まるで天へと押し上げてくれている様だった。
「覚えてる?
ほら、初めて電話した時...アレ
思い出せない...。」
暫く、私の思い出話しにつき合って欲しい。

「そうそうそう。」
「何、その喋り方?!」
電話越しながら私は貴方へ
引かれて、そして恋と言う物に堕ちた。
「今なにしとんの?」
私は束縛しなかったし、それで
不安を貴方が覚える事は知っていた
けれど、あまり重要と考えていなかった。
「.....別に。
(何時も貴方の事は考えている...。)」
貴方と私の絆がそんな事で途切れるなんて
思わないから、夢にも。

口に出せない言葉もあったし
メールがそれをうまく補ってくれて
いたんだと思う。
「初めまして、かな?」
到着時間、私は遅れて行った。
「.....そうだね、行こう。」
あまり期待もしていなかったからだ、が
私は少し後悔してしまう
貴方は私の理想の人だったから。

私と貴方は、そのたった1度の出会いで
お互い離れてしまった。
私は私で空いた穴を、貴方は貴方で
寂しさを求めていたのに
これじゃあ、山嵐のジレンマだ。
だが、失敗に気付けた時は遅かった
あの人はもう私の側にはいないし
掛ける電話やメールにも出はしない。
楽観的な主観ではあったが
それが運命だと私は決めつけた、涙は出なかった。
「....さようなら。」
呟く言葉は貴方とのやり取りを
忘れさせた、けれどそれから満足する様な
出会いは見つからなかった、また
想いが乾いて時は過ぎた。

あれから5年の月日が経った
とある日の午後、私はそのメールを受信した。
「.....?」
そこには地図の画像が添付され、文章が
たった一文だけ記載されていた。
「今でも....後は...数字?
これは何処かの番地....。」
“今でも”...この言葉を
思い当たる節はなかった、だが
私は直感で、これを感じとる事が出来た。
貴方もまだ忘れていないでくれているのだ!っと...。

なりふり構わず私は走った
片手には、赤字で数字が書きなぐられ
プリントアウトされた画像を持って。
「はぁはぁはぁはぁ....。」
新幹線へと乗り込み、次々電車を乗り継いで
漸く番地の記された場所へ辿り着いた時には
既に日が暮れていた。
そこで私を待っていたのは、とある民家だった
「すいませーん!!」
息を切らせて私は声を上げた。
「...はい..どちら様でしょう...?」
少しやつれた女性が姿を現し、私は
ともかく俄(にわか)では信じられない勢いで
事情を説明する、と彼女は私を家の中へ
何等疑いもせず招き入れた、そこで確信出来た。
「...嘘...でしょ?
(...メールなんて届く筈ない...。)」
そこには遺影があった。
貴方との、アノたった7日間の思い出が
甦り、初めて貴方を想って涙が出たのだ。

番号は番地、では地図の印は?
「そこはお墓です...。」
涙が止まった。
「今日は突然...押し掛けてしまい、すいませんでした。」
気付いた時には、私は墓穴から
貴方を取り出していた。
「.........。」
風も強くなり大粒の雨が私を打つ、空が私の代わりに
泣いているからなのだろうか?
「今でも....うん...今でも...。」
私の心は、その続きを理解していた。
私は小脇にソレを抱えながら
一路、東京へと舞い戻った。

コトコトぐつぐつ、っと
何かを煮込む音と、良い匂いがする。
「....もうすぐ出来るからね...。」
私は結局、貴方と1回も一つに
なれなかった、だから
ガリィイッっ!!!!
許されなくても良い!
ぐしゃぁぁっ!!!!!
誰にも認めて貰わなくて良い!!
ばきぃゴリィッッッ!!!!!!
これから、ずっと一緒にいよう...ネッ?

“今でも...想っています”

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