【ガレリアンズ:アッシュ】 |
《The Nightmare Beginning》-序曲- (2002/5/23/Thursday) 「博士・・・準備完了しました。」 「・・OK、長かった・・・。 (あのヒトがフリーズして、もう10年か・・ 今、俺が・・助けに行きますから。)」 長髪の白衣を着た男は人体の中の精神だけを ディバック(抜き取る。)し、データとして とある閉じられた空間へ進入する為 この間、生身の身体を守るべく生命維持装置へと 身を委ねーーーーー 『バシュゥッッッッッッッォン!!!!』 電脳世界へとDiveする!!! ーと、ある人間を助ける為にー 月明かりの下、まるで日が差しているかの様な 真夜中、彼は意識混濁の状態から覚醒する... 「...どうしたんだい?『リリア』...。 悲しい事でも...あったのかい?...。 僕ならずっと側にいる...これからも、 ずっと先も...僕はいつでも...キミの側に...。」 孤独と悲しみに打ち震えていた彼女の手を取ると 抱き締め『リオン』はそう言った 「...本当よ...もう、私を離さないで...。」 …リオン・・・リオン・・・・リオン!!!!… 「今、僕を呼んだかい?リリア...。」 数日後、狂ったコンピュータを破壊した リオンと呼ばれる少年は同じく特殊能力を持つ リリアと言う少女と共に平和な日常、本当に ありふれた一日一日を過ごしていた...だが、 「いいぇ、リオンどうしたの?」 この時折頭に響く声が少年の運命を 残酷なまでに揺り動かして行かんとしていた事を 彼はまだ気付けるハズもない.... 「いや、何でもないんだ...。 (まるで頭に何かを...そう子供の時に 僕とリリアのお父さんにあの...ウィルス起動プログラムを 書き込まれた様に...何かを書き込まれている感覚が?! ....何なんだ、この声も...。)」 平和の戻った世界で、彼は最後の決戦を 行った地“マッシュルームタワー”へ再び 足をリリアと共に踏み入れていた... 「現場検証も、もう済んでいるんだけど 『ドロシー』の様なコンピュータによる 被害を、もうこれから 出さないようにする為に、私も 父の跡を継いで研究解析しているの。」 「あっ..あぁ、それで...。 (何だろう...この感じ、嫌な...気配がする...。)」 西暦2522年、世界はマザーコンピュータドロシーに 支配されていた、それを組み上げ創り出したのは 少年少女らの二人の父だった... 「どうしたの?...さっきから 顔色が優れないけど...。」 しかし、このドロシーの暴走に備えて 両親は了承し二人の頭の中に、とある プログラムデータを仕込ませておいたのだ、自身らが 死滅した際に最後の希望となるように... 「いや、本当になんでもないんだ...。 ーリオン・・貴方の力が必要なの・・・目覚めて、お願い!!ー ぐっ....ぅ....誰だ...?」 彼らの読みは当たった、そして両者が 巡り合い彼女を滅ぼしたのだ...そんな死闘が あった場所へと、リオンとリリアは舞い戻った...。 マッシュルームタワーへ来てから 時間が高速で巻き戻る様な感覚が リオンをこの後、襲う...しかし彼はそれに 何等違和感も持つ事も無く忘れ場へ立ち尽くし.... 「...今、僕を呼んだかい?」 「うぅん、どうしたの?」 “ガレリアン”の最後の一人であった 『カイン』を破壊した場所で意識を 取り戻し、自分がガレリアンズの一人で 本物のリオンが死んでいたと言うショックを 乗り越えて産みの母親たるマザードロシーを 破壊せんと“ファミリープログラムルーム”から ロックを外し出て行った...。 …リオンの見ていた幸福な夢が終わる時 ...Nightmare(悪夢)が始まる… 《The Nightmare Beginning》-クレシェンド- (2002/5/24/Friday) 『カイン』と最後の会話を交わし『リオン』は 『リリア』と共に“ドロシールーム”へ向かって行く... …リオン・・・リオン・・私はーーーーーー… 「く...ぅうっっ...。 誰なんだ、リリアの真似ごとをさっきからして!! (...?...さっきから?)」 「どうしたの?大丈夫???」 心配そうに見つめる少女へ少年は愛想笑いを向け 歩み出し肉壁に埋め尽くされた回廊を 進み、遂に『マザー・ドロシー』の下へと辿り着く... 『よく来ましたね。 『パスカーレ』の娘を良く捜し出してきましたね 褒めてあげましょう。 その娘の脳の中にあるウィルスだけが、 わたしを脅かす、心配の唯一の種だったのです。』 “ゴットハンドエリア”と呼ばれる [ガレリアン]の想像主たるドロシーが存在する場で 彼は自分の産み親に逆らい、生めかしい肉と 何本ものワイヤー等が連なり不完全な女体を 見せる彼女へ抵抗しーーーーー 「クソババァがっっっっっっああっっ!!!! 消え去りやがれっっっ!! 『超光太陽弾』【バニッシュ・カノン・ストライク 】!!!」 『ドギャァァァッァァァァァァァァァァッッッッッッ!!!!!』 『ギョエエエエエエッッッッッ!?!!! あっ...あなたが失敗作だなんて....ーーーーー あなたナンテ...あなたなんて産むんじゃなかったーーーー あぎゃぁぁっぁぁぁああああああああああぁぁぁぁ!!!!!』 今まで死闘を繰り広げていた兄弟達の 力を受け継ぎ最大の超能力技とウィルスを コア(核)へ放出し破壊する!!!! ーダメ・・・駄目なのよ!!リオン!!!!ー 「誰...なんだ...声が...ノイズが酷くて...。 あぁ...暖かい...ボクは..........。」 よぎる声を混濁して行く意識の中で感じ取りながら 深い眠りに就くリオン、そこにはそっと 彼を抱き寄せるリリアの姿があった.... ー何度ドロシーを倒しても無駄なの・・!!ー 「...どうしたんだい?リリア...。 悲しい事でも...あったのかい?... 僕ならずっと側にいる...これからも、 ずっと先も...僕はいつでもキミの側に...。」 「...本当よ、もう....私を離さないで...。」 まったく同じ月明かりの下で、ベットから 上半身を起こし彼は目を覚まし彼女を抱き締める... ー貴方は6年前に既に死んでいるの・・・だけど貴方はデータとして・・答えてリオン!ー 「...今、僕を呼んだかい?」 「ぅうん...どうしたの?」 「いや...僕は此処でキミと何度も 同じ話しをしている気がする...。」 「???」 「すまない...どうしたと言うんだろう...。」 徐々に掴め出した...夢の終わり、そして 同じような日々を彼は繰り返すうち頭へ響く 声の主が、とある人物であると確信する...。 「さぁ、行きましょう...。」 「あぁ、ドロシーが待っている。」 再び、とある地点でリセットされた データの再生が行われリオンは倒れたカインの側から ロックを外す装置を得てリリアと共に 「...リリア、少し解ってきたよ...。」 ある確信を得てドロシーの下へ向かわんとする.... 「...キミさえいなければ....。」 しかし、そこへ向かう事を危惧した者がいた その人物はデータ世界から抜け出さんとしている 少年の足止めを計り 刺客を既に放っていたのだ、この事態に備えて...。 《The Nightmare Beginning》-ディクレシェンド- (2002/5/25/Saturday) 「『リオン』...私、前にここに来たことがある...。」 ーリオン・・・私は6年後の世界のリリア。ー 何度もループするデータの世界で 初めて介入者によって生じた亀裂が、二人に 影響を与え何が起きているのかを気付かせ始めて行く 「そうか...やっぱり、僕が ずっと聞いていた声は、キミの...。 それで僕らはどうすれば良い?」 ーアナタは6年前、『ドロシー』にウィルスプログラムを 注入して・・・一度目覚めたけど・・・ ブレインクラッシュを引き起こし死んだわ でも、私は直ぐにアナタの身体を低体温維持装置に かけて保存した・・・。ー “セキュリティエリア”と呼ばれる場で 6年後のリリアと名乗る端末からの文字は 衝撃の史実を語る、そしてそれを受け入れた 少年は静かに頷くと隣で半信半疑の表情を 浮かべる彼女の手を握った...。 「リオン...じゃあ、私達は...。」 少し悲しげな表情を浮かべる少女へ ー現実世界は[ラスト・・・ガガッッー!!!ー 「どうした?!どうしたんだ??!」 突然画像が荒れ、声もノイズが入る ーり・・オン・・・彼らが・・くる・・・わー そして突然これは掻き消えてしまう... 「どうやら...行くしかないようだな...。」 「リオン...。」 前とは違う手順でエレベーターを上がり 巨大な顔が浮かぶ部屋へと辿り着いた 二人は、そこで待ち受けていた 「悪夢だよ・・リオン・・・・。 まさか、こんな事になるなんてね・・・。」 [ラスト・ガレリアンズ]の一人と対面する...。 「なんだ...お前もガレリアンなのか?!」 「...誰...今まで見たこともない...。」 「・・そりゃそうさ、ボクは君が ママを破壊したせいで産まれたラストガレリアン・・・。 ボクはこんな世界に産まれたくなてなかったのに!! 君さえいなければ・・死ねぇッッッ!」 モヒカン頭で悲観的な脅えた眼をした グリーンのオーバーオールの様な衣服を纏う少年は 次第に憎しみに駆られた様な口調を発しーーーー 「どうやら...僕の闘いはまだ...。 続いているみたいだな、待っててくれ...今そっちへ行く!!」 彼を始末せんと蜘蛛を使い襲いかかる!!! 《The Nightmare Beginning》-葬送曲- (2002/5/) 「ふっっん!!!」 『リオン』は重力を操る超能力で対抗するが [ラスト・ガレリアン]と名乗る少年には まったく効果が無く、時折放たれる 蜘蛛の爆弾と接近戦の毒頭突きが 彼の体力を確実に削り取って行く... 「リオン!!」 叫ぶ『リリア』に併せて 「・・・終わりだよ、リオン。」 少年は言葉を放ち、トドメを浴びせんとする...だが 〜その瞬間!!〜 『バシュアァァァッッッッ!!!!』 「燃え尽きろ...この毒虫が...!!」 額から流血させるリオンから放たれた 炎の渦が周囲に張り巡らされた蜘蛛の巣ごと 少年を焼き尽くす!!! 「・・・君なんか、消えてしまった方が良いのに 悪夢だよ、リオン・・君を待っているのは!」 炎を振り払い脅えながら少年は そう言い残し姿を消した... 「これは...。」 彼が去った後、場へ残されていたのは データチップの破片だった... 「大丈夫...リオン?」 心配そうに駆けつける少女へ頷くと 「さぁ、行こう...どうやら急がなくちゃいけないらしい。」 手を取って部屋を抜け、長い渡り廊下の様な 場所を抜けて、再び『ドロシー』の下へと 辿り着く...繰り返されるデータの中で 『褒めてあげましょう、リオン。』 何度も出会っている確信を得たリオンは、 「それが、最後の命令かい?ママ...。 僕は何度もこのデータ世界の中で 貴方に会っていたんだ。」 『何を言っているの?リオン?!』 困惑するドロシーの言葉を遮ると 中心地へ位置する端末へ手を乗せて 「リリア、僕にウィルスプログラムを送って!」 夢の終演を自らの手で刻まんとする!! 「...お別れね。」 涙を浮かべながら彼女が呟く、即座に 「...向こうで、また会えるよ...。」 彼は抱き寄せ、お別れの口付けをリリアへ残すと 「ええ...。」 『ぎゃぁぁあっぁっぁああああっっっ!!!!』 絶叫を上げるドロシーへウィルスを注入し 自身のデータを崩壊させ、その空間より抜け出すと ーようこそ、6年後の世界へー 遂に彼は6年後の世界へ呼び起こされ帰還した!!! |