【ガレリアンズ:アッシュ】 |
《Last Stage》-アース- (2002/7/22/Monday) {ラストガレリアン・プログラム、Hプロテクト UNLOCKED・・・ASHこのコンピュータ 全てのデータを解除します。} 機械音声ガイダンスの後、『リオン』は 『リリア』と最後の交信を終えると 『アッシュ』が潜むべく深遠の データ世界へと堕ちて行く...しかし、そこは 「ラストガレリアン・開発ルームは 『ドロシー』と直結していた・・・。 アッシュはママを・・自分の下へ再生させる気なのか?!」 “ドロシールーム”を飛び越えた “濃縮ウラン精製工場”の最下層へ通じていた そう、そこに彼奴は静かに存在していた 「オレの開発プログラムを ・・・見たんだろう?リオン。」 「あぁ、アッシュ・・・やはりキミは・・。」 真っ白なワケではない、まるで 細かい塵が積み重なって構成された 灰色ががった終幕の世界 「そう、オレはママが死んだ時に起動するように つくられた、単なるプログラム ・・・この世界同様の、肉体の無い単一のデータさ。」 そこでアッシュは自分の正体を 少しずつ解き明かし始めた 「ボクも・・・少し前までは データの世界が現実だと思っていた・・。」 「まったく滑稽だ、誰もその眼で オレを見た事がないくせに、ヒトはオレの肉体が あたかも存在する様に感じていた そして、そう思っていたのだからな? 全てがフェイクであるとも気付かずに!!」 ニヤリと笑みを浮かべていた彼奴のそこには 既にどこか失った感のある 卓越した何かをか持ち出していた... 「だが・・ボクは一度、貴様と戦っている!! 全てが嘘であるなら・・アレはなんだ?!」 初めての敗北をきしたアッシュとの 戦いを思い出し声をあらげる 少年へアッシュは、こう答えた 「戦った?クックックッ・・・。 思い出してみろリオン・・!!」 その答えを元に記憶を蘇らせたところで 少年はハッ!!っと何かへ気付いた 「ボクは・・・そうだ、傷も何も ・・・何より・・・。」 「そう、オマエは・・・あの時 “クリーニングルーム”の噴射で気絶していたのさ ・・・オマエは俺の腹の中にいたのも同じ 精神だけをオレに接触させた・・・今の様にな。」 フラッシュバックさせた記憶が描いた 真実、それはもう一つの疑問であった 言葉も少年へ理解させる結果となった...。 「ママを復活させるのは 膨大な再起動エネルギーが必要だ、その為に ママはヒトが開発すら出来なかった DT核融合炉を産み出した。 これによって飛躍的に再会は速まった・・・。」 何故か最後の言葉で彼奴は醜悪な笑みをこぼす 「DT核融合炉・・・海水をエネルギーとする あれを創り上げたと言うのか?!」 「そう、核分裂による原子炉と違い 重水素と三重水素の原子核を融合して エネルギーを生み出すDT核融合炉は、 海水から一千万年分ものエネルギーが 簡単に得られる。」 そう、濃縮ウラン精製工場のある 荒廃した平地の裏には実は海があった 「ママは地下に太陽を創ったのさ。」 「そんなモノまで・・・ アッシュ、キミに・・再起動はさせない!!」 戦闘体制を崩さすにいたリオンへ アッシュは嘲笑を含めて教えた 「クックック・・・リオン、本当の事を 教えてやろう・・。 6年前にオマエがママを破壊した後 やろうと思えば、オレは直ぐにでも ママを再起動する事は可能だったんだ・・。 何故だと思う?オレがそうしなかったのは???」 6年前の真実を...!! 「アッシュ?」 「・・・オレはな、このシステムの マスターコンピュータってわけだ・・・。 当然、自分の命令上・・肉体は与えられなかった しかし、ママが人間の事を オレに教える度に俺は身体が欲しくなって行った ・・・光を浴び、水に触れ、呼吸するたびに 肺の隅々まで小さな分子の存在までも 感じ取る事の出来る身体と言う不思議な器・・。」 やがて、アッシュの顔から憎しみが 感じ取れるまで激しく歪み、空間が震える..。 《Last Stage》-ファイン- (2002/7/23/Tuesday) 『アッシュ』の吐露は続き、やがて こみ上げる何かが彼奴を激情へ駆り立てる 「だから・・直結させたのか。」 「・・・ママの命令でヒトの事を学べば 学ぶほどに嫉妬したよ、自分に与えられて いなかった身体をな・・。 だが、こうして世界中のネットワークを 繋いでバーチャルワールドを形成した このオレはそんなモノが無駄だと解った・・・・ 『リオン』お前は汚れた肉体を持つ 中途半端な存在だ・・・肉体を持たないオレは 極めて・・・純粋だ!!」 何処か哀愁の漂っていたアッシュの 言葉はやがて狂喜へ移り変わり 「・・・だから、“無駄”が多いと あの世界でボクに語ったのか・・。 でもキミはーーーー」 「そうだ、オレが何故・・・・ ママを再起動していないのかが、そこにある ・・ママを監禁する為さ、ママが復活 してさえしまえば俺は単なる核融合炉の マスターコンピュータでしかないんだからな? そんなクズの様な運命を受けられると思うか? オレは自らのシステムの皮をはぎ取り 回線を引きちぎりデータをえぐった・・。」 何故か恍惚な表情を浮かべて少年の 口を塞ぐ様に続けた...。 「それじゃあ・・・・それじゃあ!」 「ママが創った俺のプログラムを 全て書き替えたのさ・・・。 その苦しさがどんなものかなんて、キサマに 到底解りはしないだろう!!! ・・・そして、とうとうオレは力を手に入れた ママに反抗する力を、な? ママを・・いや、あの女を監禁する 今度は奴が澱に入る番だ!!!!」 悲しそうな顔を浮かべて リオンは叫び息を切らす彼奴へ語り掛けた 「気付かないのか!? アッシュ・・キミは『ドロシー』と同じ事を しようとしているんだよ?!」 「・・・なにぃい!!?」 激昂するアッシュ、しかしリオンは怯まない 「自分を産み出したドロシーへの復讐の為だけに 誰かを傷つけ・・・そして 知らない間にまた憎しみの種と自らがなっている ・・・そんなクダラナイ憎しみを何故繋ごうとする!!」 諭すかのごとく彼は彼奴へ問う、しかし 「クックックッ・・・・全てを破壊すれば 恨む者などいなくなる! ヒトを救おうとして、オレ達に刃向かう お前の方が愚かだとは思わないのか!!!」 意見はまったく合い入れない...。 『ウォオオオォォオォォオオオオオォォーーーーーッッッン!!!』 そして、どこか遠くて叫び声とも 喚きとも似つかない雄叫びが場を震わせる 「ママが復活した様だ。 ただし、オレの創り上げた牢獄の中でな?」 そうそれこそは、ドロシーと言う亡霊の遠吠えであった!! 《Last Stage》-ログアウト- (2002/7/24/Wednesday) 「フフッ・・・・さぁって、お喋りも ここまでの様だな・・・。」 灰色の空間へ多数の『アッシュ』が 姿を現し『リオン』を一斉に睨む 「『ドロシー』がして来た事を思えば ・・アッシュ、キミの行為がけして 間違っているとは思わない・・・。 でも、何故ヒトを巻き込むんだ?!」 同情する様な表情で少年は 彼奴へ語り掛ける、だが 「・・・・同じだ・・・。 汚れた肉体で世界を犯す・・人間は 害虫だ・・そして、オレが散布してるモノが 除虫剤っと、言うわけさ・・・。 全てはもう完了した、後は人類を粛正し 今度は・・・オレの下で世界は産まれる!!!!」 アッシュは聞き入れようとはしない それどころか狂気を漏らし、自身で 再び臨界の恐怖を引き起こさんとする!!! 「そっ・・・そんな事はボクがいる限りさせない!! ・・・・命に引き替えても アッシュ・・貴様を破壊する!!!!!」 『どぎゃぁぁっどぎゃぁぁっどぎゃぁぁぁっ!!!!』 [ナルコン]と[レッド]が入り混じった ロケットランチャーの様な攻撃が リオンより放たれ、世界を形成する 場のアッシュやその影へと放たれる...が、しかし 「・・・無駄だ・・・此処は オレのテリトリーだぞ?リオン??? 解らないのか?? ・・・クックックッ・・・面白い余興が 始まるぞ・・・?!! 生き残るのは果たしてーーーーーーーーーー オレか?お前か?・・・くくくっ!! ハーーッッハッハッハッ!!!!」 全ては巨大な[シールド]によって 防がれ核融合炉の爆発とも類似した 灰色の激音と熱風が少年を襲い、そして 「くっ・・・ぅうおおおっっっっ!?!!」 どうにか原型をトドメ生きていた リオンへアッシュは、神秘的な光り輝く 放熱を浴びながらーーーーー 「もう直ぐ世界は死の国となるぞ? ・・・オレを止められるか?リオン!!!!!」 そう、まるで自分の遊び相手を 募るかのごとく、言い残し強制的に 彼を場から追い出した!! 『ばちぃっっっぃばちちちっっ!!!!』 「はぁはぁはぁはぁはぁ・・・。 止めてみせるさ・・!!」 そこは“ドロシールーム”だった、既に 彼女の存在は無く空しい巨大な空間だけが 静かに場へ存在していた 「・・『リリア』・・・ぅうおおおおおっっっ!!!」 行くべき最後の場所は解っていた、そして 少年が帰還した場では予想だにしなかった 新たな敵が待ち受けている事を まだ彼は知るよしもない...。 《Last Stage》-ボイパ- (2002/7/25/Thursday) 「『リリア』・・・今、戻ったよ・・。 すまなかったね・・でも、今度でーーーー」 全ては遅かった、あと一時早ければ {『リオン』!!何してたんだよ!!! シェルターは侵攻されて・・ みんな、皆散りじりになっちまったよ!} 鳴り響く『パット』からの怒声、それが 場の惨状を物語っていた...。 「りっ・・・リリアは何処へ行ったんだ?!」 〜その時!!!〜 {リオンか・・・わたしだ・・・『ロメロ』だ・・ 助けてくれ・・・一階の搭乗口の前・・・にいる。} ロメロから通信が“エレインの端末”へと 入り何故か下へ来てくれと懇願していた 「・・どう言う事なんだ? また悪夢の続きか?!」 そこはまるであの悪夢の世界同様の 嫌な雰囲気が場を包み込んでいた {・・たっ大変だ!! ロメロが博士を連れて“エアビーグル”に 乗り込もうとしている!?そうか・・ 裏切り者はあいつだったんだ!!! リオン、急いでこっちに来て!} しかし、次に入ったパットからの通信で 全ての糸は一本へ繋がる!! 少年は余興の意味を知り憤怒し 周囲全ての敵をけ散らしながら パットの下へ向かって行った...。 |