『幽幻の道』 |
・「通りゃんせ、通りゃんせ〜〜」 ここは、僕がいる場所じゃない!! こんな何にもない所なんかに 何で僕がワザワザ大事なG・Dウィークを 使って来なければいけないんだ!! 「ここ〜わぁ〜ど〜この細道じゃ?」 .....二日前....。 「ッ!!お母さんがッ!!...解ったは、 お父さん...すぐに行きます...えぇ...はい。」 「.........どうかしたの?。」 「...お母さんのお母さんが倒れたって...。」 「.......そう。」 「...それで明日から田舎に、 行きたいんだけど...。」 「...明日からG・Dウィークなのに...。」 「...御免なさいね...。」 こうして渋々僕は、こんな何も無い田舎に 来るハメになったのだ...。 あの小学校でこんなことになったのは自分 くらいだろうな、僕はせっかくの予定を ブチ壊しにしてくれたおばあちゃんが 憎くてたまらなかった...。 「天神様の細道じゃぁ〜」 僕は、暇を持て余して近くの お社がある公園に向かった...。 すると、このさっきから聞こえている 『とうりゃんせ』を歌っている 近所の子供達を見付けた、 「ちょっと通してくだしゃんせ〜」 はっきり言って目障りで耳障りだったが 他に行く所も無いのでしかたなく 僕は、そこにある錆び付いたブランコ に乗りながら学校のことを考えていた... ミナちゃんは、確かハワイに行くって 言っていたなぁ〜... ユウは、オーストラリアだっけ... 僕も本当は家族でグァムに行くはず だったのに!! 僕は、そう思いながら悔しさを 込めてこの錆び付いたブランコをこいだ 『ギィシィギィシィィ...』 「御用の無い者通しゃせぬ〜」 ....僕は、徐にブランコから降りて お社の方に向かって足を進めた....。 「...そう言えばここって..確か後ろに...。」 ...ッ!!あった! ここのお社の裏には、『朱い鳥居』が 昔からあるんだよね...おばあちゃんが 教えてくれたんだ...ここから先は、 確か霊界だかと繋がっているって言っていた...。 「この子の七つのお祝いに〜 お札を治めに参りますぅ〜」 僕が、その鳥居の前まで来ると... 一人の赤い着物を着た僕ぐらいの女の子 が鳥居の向こう側で手を振って こっちに来いと言わんばかりに僕を じーと、見つめていた...。 「...キミは、....。」 僕が、そう言って女の子に話し掛けようと すると突然 あぁッ!!鳥居の奥に行ってしまった ....僕は、彼女が気になり後を追って 鳥居を潜り中へ入って行ってしまった...。 「行きは良い良い帰りは、恐い〜 恐いながらも通りゃんせ、通りゃんせ〜...。」 深い霧が辺りに立ち込めていて視界が まったく見えない....。 でも、僕は女の子のアトを必死に 追って行った...。 「...ここは、...。」 女の子を追った先にあったモノは、 大きな川だった...回りのは大きな石や 小さな石が散乱しているごく単純な 河原だったが...僕にはこれがとても この世では見えないモノであると直感で 理解した...。 んッ!?....僕は、女の子の側に誰かが 居ることに気付いた...。 徐々に霧が薄くなり次第にその姿が 見えてきた....あれは...!! 「おばぁちゃんッッ!!」 何でこんな所にッ!確か昏睡状態で 家で寝ているハズなのに...。 「...タダフミ...すまなかったねぇ... 私が倒れてしまったせいで楽しみに していた旅行に 行けなくなってしまって...。」 「...もういいんだ...それよりおばぁちゃん 具合良くなったんしょぉ?」 「...いや、私はもう死んだんだよ...。」 「ッ!?なに言っているのさッ!! こうやって生きて....。」 僕がおばぁちゃんの元に駆け寄って 肌に触れてみたら氷の様に冷たかった 「これで...解ったかい?」 「そんな...」 「寿命さ、しょうがないよ...私は お前にお別れを言いに来たのさ...。」 ....そんな....僕は、ヒトが死ぬなんて 大したことではないと思って今まで 生きて来た...でも身近なヒトが今、死んで しまった....。 「...嘘だ....そんなこと...。」 「最後にお前の顔が見れてよかったよ... もう思い残すことは無いよ...。」 「...!!待ってよ...まだ行かないで... もっと話しをッ....。」 「そろそろお別れだね...。」 おばあちゃんがそう言って 川に入って行こうとする すると、突然おばぁちゃんの隣にいた女の子が 「...いや!いやだよぉ〜ッ!!お母さん!!」 そう言って おばぁちゃんに抱き付いてきた、 「...お母さん...?じゃぁこの子は、...!!」 抱きつく女の子を優しく抱き締めると おばぁちゃんは、女の子にお別れを言い 静かに川の中へ入って行った...。 そして、 最後におばぁちゃんは振り返って僕に 『...キミエを大切にしてやってね...。』 っと言うと川の中に消えて行った... 僕は、涙が止まらずその場に立ち尽くして いた....そして気付くと元の場所... あの朱い鳥居の前に立っていた...。 僕が家に帰ると本当におばぁちゃんは、 死んでしまっていた...最後に看取った のは、お母さんだったらしい....あの女の子 は、やはり...お母さんだったんだ...。 葬儀等が次の日にとり行われた....。 この日僕は、ヒトが死ぬと言うことの 悲しさ等を理解しそれ以来東京に帰って からは、一番悲しいだろうお母さんを 大事にしようと心に誓った....。 ....15年後.... 彼は、人々を救う為に医者となり 世界を又に駆ける立派な医師となる 誰かがまた自分の様に悲しい 思いをしないようにと...。 『One Night・Mare』『幽幻の道』お終まい。 |
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