“弐”が出来そうな内容ですね。


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〓何があっても生き残る
それが私の生存本能だから……。〓




生存本能
(2004/2/29/Sunday)




今、私の手には一丁の拳銃が
握り締められている。
「ハッハッハッ.........。」
引き上げてくれ...頼む!!!
その銃口の上にはあの人の指が
それが今は、か細く見えた。
「....ハァハァ....。」
おい...聴こえているのか?!
この撃鎚を引けば私は自由になれる
目の前の哀れな男はかつて
私を2回も裏切った。

この登山は長く苦しい道のりだった、が
私はソレを乗り越えた。
「.....ゴクリ...。」
ここは山岳地帯だ、他人が見ている心配もない
遺体が見つかっても事故で済ませる事も可能だ。
糞?!手が痺れてきやがった!!
崖下へと落ちそうな彼を
銃口が支えている為、私の腕にも
限界が来ている、早く選択しなくては!っと
そう思った時、私は笑みを思わずこぼしていた。
「フフッ....。」
ちっぽけな力を引き金に込めれば
この男を撃てるからだ、それも
確実な急所である頭を撃ち抜ける。
おぃいィ!!この糞馬鹿おんなぁぁっっ!?!
本当に落ちちまうだろぉおォオガぁっ!!!!
早く引き上げやががれぇっっ?!!

彼が無様に喚いている。
助けて欲しいから必死なのだろう
最初は罵声だけだったソレが、時折
甘い言葉に変化し、誘う様に囁かれた。
「私はね...私はーーーーー」
こんな人間の為に
わざわざ...私はここまで来た....
そして、私はそのワケを知っていた。
ズドォオオォォッッッッッッーーーッッン!!!!!
だから撃った....。
私は自分に懸けられている大量の
お金が上乗せされた
アノ保険の事を知っていたのだ
今日、男は私を此処で
殺すつもりだったのだろう。

アァ、そうだった
私も一つだけ嘘を付いていた。
彼は、私を突き落とそうとして
失敗し崖から落ち、岩壁とコレに必死になって
掴まる羽目になったのだ。
勿論、私はその時機を見計らい
避けたのだが...。
ーーーーー貴方の道具じゃないのよ?
風が私の台詞を掻き消した。
拳銃?ふふっ、何故
そんな物を所持していたか、ですって?
これは何処にでもある
エアーガンの違法改造を施した物
私達はサバイバルマニアのサークルで
知り合ったのよ、そしてお互い文字通りの
サバイバルを繰り広げた、ただそれだけの事。

{えっ???}
物音に気付いた私は恐る恐る
再び崖下を覗き込む...
するとそこには頭を撃ち抜かれ
生き絶えた者の跡が、
オレンジ色をテラテラと輝かせ
岩壁を濡らし、輝かせていた。
...馬鹿な女だぜ...
だが、ヤバかった....あの時...落ちる覚悟で
拳銃を反転させてあの馬鹿を打ち抜いて良かったぜ...
カハッハハハハ!!!腕折れちまってた、だろうな〜
覚悟の差って奴か?!うはは!!!
それにしても、借金の肩代わりになるより...。
こうやって死んでくれた方がよっぽど
俺の役には立つんだよ...うははははっっ!!!!!

...落ちる前、とっさに掴まったソレは
もう存在していなかった。
そして、自分の死体を見下げ
高笑いを続ける貴方の姿が...。

「ハッ?!!!!!!!!」
私はベットから飛び起きて
今の夢の内容を思い出し、身震いした。
「ゆっ...夢...なの?!」
今日は、あの人との初めての旅行...
泊り掛けの山登りだ...
「.......でも....。」
この日の為に私は秘かに
筋肉もつけようと努力した、全ては
その時、そうあの時の為に。
「そう....そうよね......。」
その夢が間違えであってほしい
けれど、ソレで私は理解した。
「本番では....今度こそ私が....生き残るわ...。」
さぁ、もう彼との待ち合わせの時間だ
支度が済んだ私はリュックサックを背負い家を出た。
「やぁ!おはよう!!」
そして、バスが来る少し前に、待ち合わせていた
あの場所に、律儀にも早く来て
私を見つけ、手を振る彼の下へと走って行った。

これから何があっても生き残る
だって…だって、それが私の生存本能だから…。

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