[第5話]『始まりの闇』 |
「...さぁ、僕に身を委ねるんだ... そぅ...楽にしていれば...いのさ...。」 「あんっっあぅッ!?!」 確実に異質な塊が少年のカラダに 入り込み蠢く。 「あはははっ...思ったとーりイイねぇ 君のココロもカラダも全てにおいて 今までのナカで最高にイイよ...勿論... 『感度』もねぇ...。」 オレの中であいつが蠢く...いつもいつも...。 どんなに時が過ぎようと...奴は オレのナカで常に蠢いていやがるんだっ!! 「あうぅぅッッ!?!」 「...さぁ、もう忘れるんだ... 過去の事も...未来の事も... そして、『君』自身の事さえも... 時が満ちるまで...全てを失くすんだ ...ククッ...今を大切に生きてゆける 様にね...。」 『嫌だぁぁぁッッ!!!』 ・ライオンのお兄さんが、そう自己紹介 をしてくれたから僕もお兄さんに 「僕は、『将』人間だよっ!!」 そう言って自己紹介をしたんだ。 その時、僕から見たその お兄さんは、黄金の髪、真紅の瞳を 持っていて顔は、男のヒトか 女のヒトか解らない顔つきをしている... 何処をとっても中性的な感じが するなぁ、って思っていたら 大事な街の事をすっかり忘れていた...。 でも、その時は、それどころじゃないッ! 街が炎に包まれているんだッ!! ボクは、その事をすぐに思い出し そのお兄さんに軽く挨拶をすると 少しもお兄さんの事に 気も止めないで僕は、『愛』に 「愛ッ!!今、街から炎がっ!!」 そう叫ぶと、戸惑う彼女の下へ行き 手を引いて二人で炎上する街に向かって 花畑をかき分けながら走って行ったんだ。 ・少年と少女が街に向かって走って 行く中で、そのライオンの獣人は 一人、花畑で立ち尽くしていた。 「クククッ...君達は、これから 自分の運命と言うものを知るだろう ...逃れようのない運命を...。」 青年は、そう呟くと空を見上げ 高笑いを上げながら 不意にその場から姿を消した...。 ・その頃、慌てて、炎上する 街に向かった少年と少女は、そこで 見知らぬ残忍な獣人達... 『セトル・クエスター』達により 自分達の街が崩壊寸前にされていたのを見て ガク前としながらも、とにかく そのセトル・クエスター達に 見つからないように、用心しながら 共に両親の居る『研究所』に向かって 行った...。 「...どをしてこんな事に....将と 私のお母さんや、お父さん達が創り 上げた『幻影送出制御装置』が 【ホログラム・マスター】 壊れたからなの!?」 「落ち着くんだッ!!愛ッ!!... 今は、黙って奴らに見つからない 様に早くお母さん達の下に行くのが 肝心なんだ!! ...あそこならまだ無事なハズ...。」 少年は、恐怖でパニックに陥っている 少女にそう語り掛け どうにか落ち着かせると、また 息を殺しながら静かに研究所に 二人で足を歩み出した...。 暫く、歩き続けて研究所に着くと 周辺に隠してある二人だけに特別に 創られた『隠し道』を通って 研究所内部に進入した。 研究所内部は、地下に枝のように 幾つにも広がっていて 実験中に何か事故が起きても、そこから 数十Km離れた森に研究員、全員程度なら すぐに避難出来る様に設備されている。 二人は、隠し道を使うと、 いつも両親達のいる『ラボ施設』に 向かった...だが、 その途中で二人は、壮絶な光景を 瞳にした...研究員の獣人達の無惨な 死体がところ狭しと積み重ねられ その辺りは、その殺された獣人達の 真っ赤な血液が溜まり血の海が 出来上がっていた...。 「ひぃ!?将っ将っしょう!!! こっこの中に...お母さん達が... や...いやいやぁーーッ!!」 「愛!!落ち着くんだ!!... まだ『ラボ』に行ってないんだ!! 死んでなんかいるもんかっ!!」 少年は、泣きじゃくる少女の手を 無理やり引くと血の海を乗り越え 死体を踏みつけながらラボ施設に向かい 走って行った。 ・壮絶な通路を潜り抜けて二人は、 ラボの扉前まで辿り着く事が出来た。 『ガシューン』 すぐにラボの手前の自動ドアを開き中に 入る...だが、二人を 待ち受けていた者は....両親では無く さっきのライオンの獣人... 『ファング・オブ・キング』だった...。 「やぁ、待っていたよ。君達がここの 施設(ラボ)に来るの。」 二人にそう言って静かに近付いて来る その青年を目の前にすると二人は、 一瞬驚いて声も出なかったが、 すぐに少年は、その青年に 「...おかしいよ... お兄ちゃん...なんで此処に いるんだ!!!まさか...こんな事 したのって....くっ!!」 そう叫ぶと身構え、愛を自分の後ろに隠した。 すると、青年は笑いながら歩みを止め 「はははっ違うよ...ほら、その 証拠に君達の御両親をお助け してあるんだよ...。」 そう言うと隣の部屋に二人を誘った。 「将...私...凄くあのお兄さん恐い... さっきの優しいお兄さんとは、まるで 別人みたい...。」 「大丈夫!オレが付いている..心配 するなよ..それに、本当にお母さん達を 助けていてくれているのかもしれない!」 少女を支える様にして少年は、 青年の誘う部屋に足を踏み入れた、すると そこには、 「...お母さん!!お父さん!!」 「良かった二人共、生きていたんだ!!」 二人の両親が無事な姿で 部屋の壁に持たれながら立っていた!! そして、二人の姿やその声を聞くと 互いの両親は歓喜し、喜びを 全身に現した。 それを見ながら その横で不気味にせせら笑う 青年を置いて...。 ・二人は、お互いの両親が生きていて また出会えた事に喜び涙を流した そして、二人は、青年にお礼をすると 共に両親の下に歩み寄ろうと したのだが、何故か青年がそれを阻み 「さよならは、もう済んだよね?」 そう言って二人の両親に向かうと 右腕を軽く振り上げ、そこから 斜めに一直線に腕を降り下げた。 すると... 『ぴゅーーぁっっ!!!』 部屋に鮮血が舞い上がった.... 「え”っ!?ショウ...ぶっ...???」 少年の母親のカラダが上半身と下半身に 徐々に別れて行く... 「...しょ....がっ!?」 同じく父親のカラダも.... 「アイっっ逃げ.....て..ぐふっ!?」 少女の母親のカラダは、斜めに 離れ静かに崩れ落ちる... 「..ばっ...貴様ぁぁあ!!...ぐぇ!?」 同時に父親のカラダも...共に 崩れて床に落ちた...。 それはそう一瞬だった...瞬きをする 間も無い程の...その一瞬に 二人の両親は、只の肉の塊と化した...。 それを見て二人とも何がなんだが 解らずに声も出ない...。 青年は、返り血を拭うと二人に 「...クククッ...悲しいなら泣いた方が イイよ...そのままじゃ辛いでしょ?」 そう言うと無邪気にその、たった今 惨殺した二人の両親の死体を 引きずり二人の目の前に差し出した。 「...嫌...イヤよ...そんなの...嘘ウソ ...これは、夢....そうよ夢よ...。 こんな事あるハズがないものっっ!! 目が覚めればまた、お母さんも お父さんも....ウソよぉ!!!」 少女は、そう叫ぶとその場にへたり込み 泣きじゃくった。 それを見た少年は、涙を瞳に一杯 溜ながら無謀にも、両親を殺した 青年に殴りかかった...だが それをあっさり避けられると 腹に軽い蹴りを喰らいその場に うつぶせに倒れ込んだ...。 ・「..げぇ...はぁはぁはぁ...ぅぅ...!!」 涙を苦しそうに全身で呼吸している 少年の下に歩み寄りその場でしゃがむと 耳元で宥めるように優しく 「今日から...君達は、僕の奴隷なんだよ ...だから僕には、逆らわない方がイイ...。 特に君のこと...僕は、凄く気に入って いるんだから...それにあの子も 死なせたくないだろ?」 そう言いながら少年の口元に手をあてがい 顔を上に向けさせると、血を 口元から垂れ流し 今にも意識を失いかけていた その少年の唇を静かに奪った....。 それから間もなく少年は、意識 を失い全てを忘れて 夢の中へと入って行く...。 [第5話] 始まりの闇 終 to be continued... [第6話]を見る? |
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