[第9話]『右腕が剣の者』 |
「...何か...この僕に用かな?」 風に煽(あお)られて騒ぐ木木のざわめきが 異常にアタイの耳に響く.... 「...やっと...やっと見付けた!!!!」 内から溢れ出るアタイの憎悪が ...目の前にいる...こいつを殺せと せき立てる.... 「そうか...何処かで見覚えが あると思ったら...お嬢さん...。」 『ドギャギャギャッッッン!!!』 アタイは、奴の言葉を遮り攻撃を 仕掛けていた...無意識だった... 「はぁはぁはぁはぁ...。」 アタイは、今...自分の運命と対時して いるんだ.... 「...立派になったものだ....。」 そう、アタイの両親の命を奪った者と...。 ・『剣を狩る者』達の集まる酒場のある街へ たまたま『将』が立ち寄って くれたので、アタイはそこでさっさと 情報収拾を始めた...勿論、何故だかは知らない けど、将の追う...今でも、いや尚の事 名を馳せている最強にして最悪の 『セトル・クエスター』.... 『ファング・オブ・キング』の所在等を 調べる為でもあるが...もう一つ... アタイには、やるべき仕事がいつも... いや常に残っているんだ... 「右腕がつるぎぃ?...そいつは 『シュレインダーの剣』を持っている 奴のことじゃなくてか?」 「そうよ...いやもしかしたら...そう なのかも知れないけど...。 解らないけど...お願い... 心当たりがないかしら...?」 アタイの言葉に疑問を持ちながらも 酒場にいる情報屋は、思い出す... もしくは情報が入ったら、連絡を すると約束してくれた... 「じゃあ、これ...。」 「まいど。」 少しのお金で情報屋は動いてくれるし、 正確に情報を提供してくれる此処みたいな 所は、各地に転々としているが... アタイはいつも懐かしく思う...アタイを ...きっとアタイを強くしてくれたから... 解らないけど... 「....もう戻らなきゃ。」 アタイは一旦、外へ出て将と『勝吉』が 宿泊している宿へ戻って行った....。 ・「...ってワケよ、奴の居場所は 解らないし...でも、次の支配者が いる街の事はGetしといたわ。」 「...そうか、じゃあもう此処には用はない...。」 少年は『リンコ』の報告を聞き この街にはもう用が無いと思い 即座に街を出ようとする... 「お兄ちゃん全然休んでないのに... 身体だいじょうぶなの?」 勝吉の心配をよそに唐突に宿から 足を踏み出した少年にリンコは、また 呆れながらだったが、その後を追う... 「待ちなさぃよぉ〜!!!将!!」 そして街の出入口まで来た、その時... 「おい嬢ちゃん!!」 「!?!?」 不意に少年を追うリンコは声を掛けられる...。 ・声を掛けてきたのは、さっきの情報屋 だった...直ぐに振り返りそれに気付いた リンコは、情報屋の側に急ぐ... 「何か解ったの!?!」 「...あぁ...客の中に...嬢ちゃんと おんなじ事を言う奴がいてねぇ... そいつの街は、その右腕が剣の男... だったかな?に全滅させられ...命 からがらそこから逃げ延びた... たった一人の生還者らしい...。」 情報屋の話しを聞いて両親の凄惨な 死を思い出すリンコは顔から冷や汗を 流しながら、こぶしから力み血を流す... 「それで...そいつは...今、何処に?」 「嬢ちゃん大丈夫かぃ?.... まぁ、いい...いらぬ心配だろうからな...。 そいつが言うには、つい先日まで 『アルティマ』って街にいたって... 言っていたが?...心当たりはあるかぃ?」 街の名前を聞くなり、昔の...残忍で 冷酷だった頃の顔に戻るリンコは ...静かに落ち着いた口調で... 「えぇ...良く知っているとも... なんせ...アタイの...産まれ故郷だからね。」 そう呟き...全てを伝え終え 酒場に戻ろうとする情報屋の姿を 振り返り見る事なく...少年とは、別の 道を歩み始めた!!! ・「...待てよ...あいつから何か 聞いていたようだが?」 別の道を進もうとするリンコに 珍しく少年は、声を掛けた 「将...あんたが知る事じゃない...。」 すると、少年と出会う前の荒んだ 様に戻ってしまってたリンコは、その 少年の言葉を打ち壊す... 「そうか...なら...ここでオレ達は お別れだな、じゃあな、『剣を狩る者』 【ソード・ハンター】さん。」 あっさりとリンコにお別れを告げた 少年は、戸惑うことなく自分に 付いて来る勝吉と共に次ぎなる街を 目指し、彼女と逆の方向に向かって行く... 「...将....生きて会えたら...また。」 自分の問題で少年を巻き込むワケには いかない...そう心に刻むリンコも 足を踏み出し...産まれ故郷であり... 同時に両親を失った場所でもある 『アルティマ』に一人向かう...。 ・「お兄ちゃん...あれで良かったの?」 やはりリンコの事が心配な勝吉は、 颯爽と先へ進む少年に歩きながら 声を掛ける...すると、 「...心配するな...あの女は、 ただで死ぬようなマヌケじゃない...。 あれでも超一流の剣を狩る者なんだ... 自分の身くらい自分で護れるさ...。」 勝吉にそう呟く...少年は、リンコが まるで自分下へ必ず戻ると確信して いるようだった...。 ・「...何年ぶりかしら...この街へ戻るのも... ...???...おかしいわね...確か 右腕が剣の男によって崩壊したって...。」 数日かけて自分の街へ舞い戻った リンコは、その街が瓦礫の山と化して いることを想像していたのに、昔と 変わらぬ風景を守っていた事に歓喜する... 「それにしても...こんなに静か だったかしら...誰かがいる気配がしないわ...。 ...酒場...あそこなら誰かいるはず!!」 だが、街には誰かが住んでいるといった 気配を感じる事が出来ず、困惑しつつも 彼女は自分を鍛えた、昔からハンター達の 集まる酒場へ足を進めた... 『ぎぃぃぃぃぃっっ!!!!』 「...どうして....。」 だが、そこはも抜けの空だった... 綺麗に配備された酒等があるのに何故... 「おや、こんにちは...お嬢さん...。」 「誰だ!?!」 リンコが力なく綺麗に清掃がされた 椅子へ腰を掛けると、不意にそう声を 誰かに後ろから掛けられ驚く...。 ・「すまない...驚かせてしまったようだな... 僕は、つい最近この街へ来た 『アザゼル』という者だ...お嬢さんは?」 女性のような容姿を持つアザゼルは、 警戒しながら振り返り、自分を睨み付ける リンコに軽く声を掛けた... 「...アタイは、リンコ...。 あんた今、最近ここに来たって 言ったよねぇ....街のヒト達は知らない?」 椅子に座りながら向かい合うリンコは、 殺気をアザゼルに放ちながら質問する... 「あぁ...知っているとも、お嬢さん....。」 「....教えて...。」 「皆さん殺されてしまいましたよ... たった、一人の獣人によって...ね。」 「そんな...!?あんた、なんでそんな事を 知っているのよ!!!」 「だって...彼らを皆殺しにしたのは... この僕ですから....。」 すると、彼女の質問に彼は丁寧な口調で 返事を返し、微笑んだ....それを聞き、見た リンコは激昂し、腰のバックルから 鞭を素早く取り出すと、即座に 椅子から立ち上がりアザゼルに襲いかかる!!! [第9話] 右腕が剣の者 終 to be continued... [第10話]を見る? |
© 1997 fat-boy@athena.dricas.com