[第3話]『爪の傷跡』 |
「...そう解ったわ、有り難う。」 『剣を狩る者』達の情報を得る場所 とある街の『集落所』から 『セトル・クエスター』の情報を 仕入れ少年の下へ戻って行く 『リンコ』は、何故か嬉しそうだ。 「ねぇ、『将』っ見付けたわよ〜 今度の奴は...えぇ〜と、『ランダハント』 って言う街に居るみたいよ〜」 「...解った...行こう...。」 「あッちょっと待ってよぉ〜!!」 相変わらずに自分の事を話そうと しない少年に、呆れながらも何故か その後を付いて行く自分が リンコは、不思議だった...。 ・二人は、寝る間も惜しみ歩き続け 漸く『ランダハント』の街に辿り着いた。 用心しながら街に入って行くと そこは、豊かで活気付いてた平和な街で セトル・クエスターの影など形も 見えなかった。 「...オイッ何処に居るんだ?...ここを 支配している奴は...。」 「...おかしいな〜?こんなハズじゃあ 無かったのに...。」 リンコは、脅し口調で言う少年の言葉を軽く 聞き流す様にそう言うと、近くにいた 街の住人に集落所での情報が正しく無いのか どうなのかを声を掛けて 呼び止めると話しを聞いた... 「えッ!?本当ですか?!」 「はいそうですよ、『爪の傷跡』以来 この街を攻撃して来た獣人達は、 一人も居ませんよ、ましてや セトル・クエスターなんて...。」 「そうですか...どうも有り難う 御座いました...。」 リンコは、街の人にお礼を言って 頭を下げると少年にそれを報告した。 「...無駄足だったワケだ...オレ達は、...。」 「うっ...なによぉ〜!!アタイの、 セイじゃ無いんだから〜!!」 それを見て少年は、呆れながら 「...まぁいいさ、どっちにしろ此処に居ても 意味が無い...。」 そう言ってまた先を歩み始めた...。 すると、後ろからリンコが 「...もっもう行くの?!...身体 ダイジョブなワケそれで?!」 こう言うと、少年は、振り返り 「...嫌ならもう付いてくるな...。」 そう言い放ち、また歩いて行ってしまった 「くぁ〜相変わらずムカツクわーーッ!! でも悔しいから、何処までも 付いて行ってやるわよッ!!」 リンコは、そう叫び、いきり立つと 少年の後を、また追って行った。 ・二人が街を出ようとすると不意に後ろから 誰かに声を掛けられた、二人が振り返ると そこには、見るからに太っている少年が 一人たたずんでいて、目が合うと 笑いながら話し掛けてきた。 「こんにちわ〜僕は、狸の獣人の 『勝吉』っていいま〜すッ宜しくね。 お兄ちゃんのお名前は〜?」 「...。」 「お兄ちゃん無愛想だねッ、横の 『綺麗な』お姉さんは〜?」 「あら旨い事言うのね〜、君ッ!!」 久々に煽てられてすっかり 高揚しているリンコは、気分が良くなり 「アタイは、リンコ、狐の獣人よッ んで横にいる無愛想な奴は、将... え〜っと人間(猿の獣人)かしら?」 そう少年の事まで勝吉に教えた。 「それで何の用なの〜?」 リンコが、優しい口調でそう言うと 「二人は、セトーーーッ!?」 勝吉が、理由を話そうとしていたその瞬間!! それを遮るかの様に 突然の爆音と共に今まで平和そのもの だった街に勢い良く火の手が上がった!! ・二人は、それを見て街の中央部 に向かい走って行く!! 火の手が上がった街を見て勝吉は、 「...しまったな〜、遅かったか〜...。」 そう呟くと、二人の後を追って行った。 二人が中央に位置していた 街広場の噴水前に行くと なんとそこでは、何者かによる 『剣狩り』が行われていたのだった!! そして、武器を取り上げられた住人達は、 中央に集められその何者かの軍兵に 囲まれていた!! それを見るなり少年よりも早くリンコ は、軍隊の前に姿を現すと 「止めなよ...ここには、剣は、無いよ!」 そう言ってこの軍では、隊長であろう 獣人を睨み付け、ザコ兵を蹴り飛ばした! 『バキャンッッ!!』 「ンッぐぇええーーー!!?」 それを見てその隊長の獣人は、リンコを 睨み返し 「ほうッ...我らが団長亀の獣人 『ミゼル』様が率いるこの 最強の軍隊『玄武』(通称ゲンブ。) にケンカを売るとは... いい度胸しているなぁ...子娘!!!」 そう叫ぶと唐突に拳のレイヴを放ち その放った拳のレイヴにより 不意を喰らい、動揺したリンコの身体を 一瞬で両腕を伸ばしゴツイ手で鷲掴むと、 身動きが取れない状態のままの彼女を 馬鹿力で、万力の様に締め上げた!! 『ギュゥゥゥギチギチミュチぃッ!!』 「グッぁっぁあぁぁあああーーーッッ!!」 締め付けられる音と、リンコの悲鳴が 同時に辺りに響く!! それを見た少年は、やれやれといった 様な表情を見せると 「...お遊びは、ここまでだ...。」 リンコを掴む亀の獣人に向かい 軽く右腕を振り上げる...すると 『パシュシュンッ!!!』 いつの間にか上空にその獣人の腕が舞う それによって解放されたリンコは、 急な事に驚いて目が点になっている その獣人に向かい 「あ゛ぁ〜苦しかった...100倍にして 返すわ〜『マーダレイ・ビュート』ぉ!!」 腰のバックルから二本の鞭を 素早く取り出し、両腕を失くした 獣人に容赦無い洗礼を与えた!! 「はいこれオマケ!!」 『シュバババァァァーーーっっ!!!』 そして更に、住人を取り囲んでいた 全ての『ゲンブ兵』を鞭で切り刻むと 「将、助けてくれて有り難う。」 そう言ってその場にしゃがみ込み 前にいる少年を見上げた。 ・「...ここからは、オレに任せろ...。」 少年は、リンコにそう言うと噴水の後ろに 向かって右腕を振り下ろした!! 『バキャキャーーーンッッ!?』 すると、噴水は、破壊されそこから何者 かが、姿を現した。 「......馬鹿な!?!」 自分のひび割れた右手の爪を見ながら 少年は、そう呟くと、噴水から その人物が 「...私が此処にいると良く解ったな 『シュレインダーの剣』を扱えし少年...。」 そう言うと、少年に向かい近付いて来た! 「ーーっ!!?何故それを剣だと 知っているのッ!!あんたは、一体...?」 リンコは、それを聞いて直ぐ様そう 叫ぶと、その人物は、 「...ふふッ、そうですね、ちゃんと 自己紹介からしましょうか...。 私は、この『ゲンブ』を統率する者 『ミゼル』です...宜しく。 最近我ら『セトル・クエスター』を狙う 不届き者がいると言う事で、情報を 操作しこの街にお引き寄せることに したんですよ...まさか、こんなに見事に 引っ掛かってくれるとは...そうそう それに、最強のセトル・クエスター 『ファング・オブ・キング』様の命を 狙っていたのが本当にその剣... いや、非剣『シュレインダー』を 使う者だったとは...正直驚きそして がっかりしましたよ....。」 そこまで言うと、少年を見つめ 「...ん〜何処かで見た事のある顔だと 思ったら...君は、あの時の...そうか なるほど...クククッ...君は、 『シロの奴隷』でしたか...即ちッ!?」 ミゼルがそこまで言うと少年は、素早く 左腕を振り上げ『剣』を発動させ攻撃 した!!...だが、間一髪でミゼルには、 逃れられてしまった!!! ・「...逃すかッッ!!...。」 そう叫ぶとミゼルに向かい何度も 左腕を振り上げ剣を発動させる!! だが、その攻撃は、空しく尽く外され 最後には、何処からか取り出したのか 『奇妙な盾』で『シュレインダーの剣』 による攻撃を受け止めてしまった!! 『ギチィチィーーーっ!!!』 「ーーッ?!そんなぁーっ将の 剣が最強の剣がぁぁあーーー!!!」 それを見るとリンコは、叫び ミゼルの持つ盾を見て喚いた!! 「さぁ...それで終わりですか?」 完全に剣を受け止め少年を挑発する ミゼルに少年は、 「...いや、これからだーーーっ!!!」 そう叫ぶと両腕を振り上げてから 盾に向かい狙いを定めると 思いっきり振り下げ剣を 発動し攻撃したッッ!! 『バキャァーーーン!!!!』 ・「...そッそんな...?」 ミゼルの盾に少年の剣がぶつかり合った その瞬間無情にもひびの入っていた 最強と歌われていた両手の剣 は、亀裂が入り粉々に砕け散った!!! 「...所詮は、君の持つ剣では、私も 倒せなかった...あの方が持つ『剣』 とは、比較にならない程...弱く 脆いモノですね...『君』は、... もう悪ふざけも、良いでしょう? 死になさい...。」 そう落胆している少年に向かって 言うと、背中に装備していた『槍』を 取ると、構え少年に向けて放とうと していた!! 『ヒュゥン!!』 だが、その瞬間リンコは、鞭を使い 止めを刺そうとしているミゼルに向かい 鞭を放ち攻撃を仕掛ける、...しかし あっさりそれを槍で受け止められると 逆に槍の柄の部分での攻撃を喰らい 『ドスッ!!!』 「グッ!?」 その場に倒れ込み意識を失ってしまった!! ・これで邪魔者がいなくなり止めを 刺そうとミゼルは、 槍を少年に向ける...が、 「んっ!?いない!?」 そこには、もう少年は、居らず 不意に気配を感じてミゼルが 後ろを振り返ると、そこでは、 二人を抱えて逃げる、勝吉の姿が 目に映った....。 それを見て、ニヤッと笑うとミゼルは、 「...良いだろう...この場は、これで 済ましてやりましょう...。」 そう呟き、残った軍兵を使い 数分後...『ランダハント』を 完全に支配した....。 [第3話] 爪の傷跡 終 to be continued... [第4話]を見る? |
© 1997 fat-boy@athena.dricas.com