[第1話]『シュレインダーの剣』前編 |
『シュレインダーの剣』とは、 剣に有らず...それは、非剣なり...。 この剣を手にせしモノこそが この世界の覇王となるモノなり...。 (『シュレインダーの剣』に関する書物より 一部を抜粋。) ・ここは、平和主義の獣人達が 住む街『ピースィズ』。 街の住人達は皆、争い事もなく静かに 仲良く暮らしていた、 昔の『爪の傷跡』(通称ファング・ペイン) による被害も治まりこれから平和な 時代を歩もうとしていた。 だが今は、突如襲来した『白虎軍』 (通称ビャッコ)の首領虎の獣人 『レイゼル』 によって支配されてしまっている...。 『剣狩り』が行われ抵抗した獣人達は 皆殺しに合い生き残った住人達も 『ビャッコ兵』の横暴に 恐怖しながら生きるといった毎日を 過ごしている...。 ・そんな中 今、1人の人間の少年が 虎の獣人達が支配するこの街にやって来た。 頭に青いフードを被り水色のマントを 全身にまとっているその少年は、 何かを求めるように街の中央にある 塔を目指してまた歩き始めた。 ・「...もう我慢出来ないわッッ!!! アンタ達が来てからみんなどれだけ 迷惑してるか解らないのッ!!」 どうやらその女性は、『ビャッコ兵』達に よる横暴に我慢出来ず 勇敢にも兵士達相手に1人立ち向かっていた。 「やめるんだッ『リアンナ』っ!!! 俺のことは、もういいから...!!」 男性がそう言って止めるのも聞かずに 『リアンナ』は、兵士達を睨み付ける。 「うるせぇ〜ウサギ女だな...どうする?」 「やっちまぉ〜ぜッ『レイゼル』様 は、こいつらを好きにして良いと おっしゃられてたしなッ。」 『ビャッコ兵』達は、そう言うと 1人が素早い動きで彼女の後ろに 回り込み逃げられないように体を 抑え付けもう1人が鋭い爪を 彼女に突き立てようとした。 だが、その瞬間さっきの男性が 『リアンナ』の前に飛び出して 彼女が受けるハズだった爪 を背中に喰らってそのまま絶命して しまった。 「....ッッ!!!」 言葉を無くす『リアンナ』 そして、そんな彼女に 「くぅ〜ッ泣かせるねぇ〜」 その男性の背中から爪を引き抜きながら 兵士の1人が言う。 するともう1人の兵士も 「ん〜ッ1人じゃぁ寂しいだろうから お嬢ちゃんも早いとこ殺してあげるよぉ〜。」 そう言ってゲラゲラ笑いながら またその兵士が爪を、構えた...。 『リアンナ』は、自分の無力さに涙し 無意識の内に叫んでいた... 「誰か助けてッッ!!!」と、...。 ・そして今まさにその爪が彼女の 胸に突き刺さろうとした その時ッ!! さっきの男性の死体の側にいつの間にか 1人の少年が立っているのを 兵士が見付けた。 兵士は、胸に当たる寸前で 振り上げた手を下ろし その少年に 「おぃッ!?そこのクソガキ何して やがる!!?殺すぞッ!!」 と脅しかける。 だが、少年はそんな言葉は無視して 目の前に無惨に殺された 男性の死骸にそっと触れ恐怖に満ちた その瞳に手をあて瞼を閉じてあげる。 その行動を見ていた兵士の1人が、 「テメ〜ッ俺達が何者か知ってのかッ!? 人間の分際で、俺達のことを シカトしやがって〜ッ!!」 と言って少年に襲いかかって来た しかし、少年はそれを微動だにせずに 迫り来る『ビャッコ兵』を前に 右腕を軽く振り上げる... すると一瞬にしてその兵士の身体が バラバラになり上空から地上にボトボトと 落ちてきた!! それを見た、 『リアンナ』の体を抑えていた1人が叫ぶ、 「まさかそれは、伝説の剣!!!シュ..」 そう言い終える前に彼の身体も 突然バラバラ散る...。 「オレを子供呼ばわりすんなよな〜ッ!! これでも、もう19歳なんだッ。」 その少年はそう言うと、 『リアンナ』の前に歩み寄り手を差し出した。 「大丈夫?」 「えッ...うん...ありがとう。」 『リアンナ』は、戸惑いながらも 涙を拭き取り、助けてもらったお礼をした。 そしてさっきの男性の死体の側に行き 「ご免なさい...私の勝手な行動のせいで あなたを殺してしまった...。」 と言って彼の死体に側に咲いていた 花を添えた後、少年に向かって 「助けてもらったお礼がしたいの、 私の家に来て。」 と言って少年を自分の家まで案内した。 ・「さぁその椅子に座ってっ。」 少年は言われたとおりに椅子に座ると 『リアンナ』は、腕を振るって 料理をテーブルの上に用意した。 「今、私がアナタに出来ることは、 料理を振る舞うことくらいだから...。 でもそのうち私がアイツを倒してッッ... はッ!?...なっなんでもないのよっ さぁ、冷めないうちに食べてねっ。」 「.......。」 少年は、被っていたフードを取り 黙ってその出された料理を食べた。 「...いつからなんだ...。」 全て食べ終わると不意に少年は、 『リアンナ』に質問をしてきた。 「えッ!?」 「...だからいつからなんだ... 奴らがこの街を支配するように なったのは....。」 彼女は、話すのを一瞬迷ったが この少年に全てを語ることにした...。 「...あれは、3週間位前だったわ、 天気はいいのに冷たい風が吹いていた日...。 奴ら『ビャッコ』とそれを率いるモノ 『レイゼル』が急に街に現れたの!! 『シュレインダー』とか言う剣を 出せとか言って... 私達は、いきなりの強襲にもめげずに 最新鋭の機械等で立ち向かったわ!! でも...あいつには、『レイゼル』には、 全ての攻撃は無駄だったッ!!! あいつは、自分を攻撃した全ての獣人を 惨殺して行ったわ....私の両親も!!」 興奮して話す彼女はここまで話すと 涙を流し泣き崩れてしまった.....。 少年は、側に行き『リアンナ』の涙を 拭ってあげる。 「...そいつは今、何処に居る?」 少年は、目を光らせながら嬉しそうに 泣き終えた彼女にそう聞いた。 「...会って、どうするの? アナタみたいな子供になにが....!!」 『リアンナ』は、さっきの出来事を 思い出して言葉を途中で止めた。 「あなた?何者なの??? そう言えば確かあの『ビャッコ兵』が シュレ...何とかって!!もしかして あいつの探している剣を持っているのッ!!?」 興奮して彼女は、少年に詰めよる だが、少年は黙ったまま彼女に何も 言おうとしない。 「...お願い...何とか言ってよ... アナタは、その伝説の剣でさっき 兵士達を倒したの?....もしそうなら あいつを倒して......私に力を貸して... ...お願い...助けて...。」 そう言いながら彼女はポロポロ涙を 流して少年の手を握り締める...。 すると少年は『リアンナ』の耳元でまた 「...そいつは、今何処に居る?...」 と聞いてきた。 涙声になりながら彼女は少年に、 『レイゼル』の居場所を教える。 「...街の真ん中にそびえる時計台の塔 の中に居るわ...。」 すると、少年は微笑みながら彼女に 「...そいつは、オレが殺すよ...。」 と言ってそのまま『リアンナ』の家を 出て行ってしまった。 ・少年が、外に出ると周りには、既に 『ビャッコ兵隊』がこの家を取り囲んでいた。 どうやらさっきの騒ぎを見ていた兵士の 1人が『レイゼル』に報告していたようだ。 『ビャッコ兵』が『レイゼル』に 「あいつですよ!!『レイゼル』様!! 俺達に逆らったやつはッ!!」 「へ〜ッあんなガキにヤラレタのか〜? ...いつから俺の『ビャッコ』はそんなに弱く なったっ!!?」 『レイゼル』がそう言って右腕を 振り上げると、側にいた兵士の胸から 『ぷしゅうぅぅーーーっ』 鮮血がほとばしる。 「ガキぃ〜ッ今度はテメ〜の番だぜ〜。」 そう言いながら少年に近ずく...。 そして目の前まで来ると、 「ぷッこいつの何処に『シュレインダーの剣』 を持っているって言うんだよぉ〜ッ」 そう言いながら嘗めるように少年を 見回す...すると少年は、徐に口を開き 「...よかったよワザワザ出て来てくれた お蔭で疲れなくて済んだ...。」 と、『レイゼル』を挑発するように言う。 「何だとッ!?ガキ...少しは遊んで やろうと思ったがもうやめだ、死ね。」 そう言って目にも止まらぬ速さで 両腕に鋭く伸びた爪を少年に 向かい振り下ろす。 『ズガァァアアァァーっッッ!!!』 砂煙と共に鮮血が舞上がる 少年の姿は見えず『レイゼル』1人が 立ち尽くしている。 「フンッ...クソガキが...無駄な時間を...?!」 だが最後まで言葉を言おうとしたその時 突然『レイゼル』の両腕に痛みが走った 「グッ...何だッ!?」 良く自分の両腕を見るといつの間にか 針で穴を開けられたような小さな 傷口が出来ていてそこから 血がポタポタと流れ落ちていた...。 「まさか...あの血飛沫は俺のッッ!!!」 「『レイゼル』様後ろですっ!!」 「なッバカナッ!!!」 兵士に言われすぐに後ろを振り向く 見ると後ろには、さっきこの手で殺した はずの少年がニヤニヤしながら立っていた。 「ほぅ...スピードに自信があるようだな〜 良く俺の『レイヴ』(攻撃)をかわした... しかし今度は今のようにはいかないぜ〜 ...本気で行くッ!!」 そう言うと『レイゼル』は、両腕をクロス させて上空に飛び上がった。 すると、周りにいる『ビャッコ兵』達が 「出るよ...久々にあの何百人もの獣人達を 地獄に落とした『白き雷』最大の必殺技...。」 「何もあんなガキにムキになって 使うことないのに〜。」 等と騒ぎ始めた、その騒ぎを 聞き付けて家から飛び出て来る『リアンナ』 to be continued... [第1話]後編を見る? |
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