『10月13日(金)』 第四四七話 『DICE・of・THE・PARADISE-リアリティ・アウト-』(10.13.金) 再生と破壊の街『ソルベ』に真夜中 得体の知れぬ“能力”を有する者が 来訪し『智明』を追い詰める... だが、中途半端に姿を消したその人物から 少なからず情報を得た彼は、それを機に これから立ち向かおうとしてる敵の強大さと 狂気を知り...唐突ではあるが彼らに 真夜中の出来事を打ち明ける 「それで...智明...キミの手の甲...。 傷跡が....ほら、かしてみなよ?」 不意に昨日の闘いで自ら傷つけた傷口を 忘れていた彼は戸惑いながらもソレを 『京香』に見せて治して貰う... 「...その...すまん...な...。」 調子を狂わせながら礼をする智明は席に付く 「『光恵』ーーーっと違った ミッツィー...その私達も付いているから...。」 気休めかも知れないが『春化』は 彼女話しに『幹』との事を重ね 優しく声を掛けた... 「大丈夫、ワタシはその程度じゃ 負けていないよ...有り難う。 それにしても...貴方々はとんでもない敵と 遭(あ)い為(な)しているのだな...。」 ハルカの気持ちを受け止めミッツィーは 智明の話しの感想を正直に述べる... 「...まぁ、それらの事もあるけど...。 今は分岐の町...『メルギド』の事を 考えなくては...先に進む為に...。」 一旦、話しをまとめたキョウは先に食事を 採り終え、外へと足を向けた....。 「流石にあそこまでこっぱ微塵になって しまうと...僕の操作も効かないや〜。 だからあの子は捨てたよ?」 彼の捨てたとは歪みへの移行を意味する... 「あぁ、『亮』【あきら】ちょっと 気に入っていたから僕はもったいないとか 思ってしまうけど、まぁ良いか...。」 バスタオルで頭の水気を取り払いながら 『護』【まもる】は呟き亮の手を 取り、再びベットへとなだれ込んだ... 「ちょっ?!!...いま...した...あっぅあ...。」 『ねちゃっ...くちゃちゃ...。』 「減るもんじゃないし、良いでしょ? 身体は正直だよ?」 指を伝わせ押し倒す護は耳元で囁きながら わざと音を立たせて笑みをこぼす... 「いや..ぁぁ...ぅう...。 それはさっき中で...だ...した...まもぉるのぉ...。」 嫌がる素振りを魅せながらもソレを 快く受け入れ...再び2人の時間が始まる... 「...これは本当に現実なんだろうか...。」 今更ながら少し疲れていたキョウは 現実を目の前にして吐き捨てる様に呟く 「...別れた皆は...前に進むしか...ない、か...。 (あたしにしては弱気だな...しっかり しなくては....辛いのは誰も同じなんだから。)」 一陣の風に弱気を乗せ、吹き払うと 彼女は振り返り彼らの下へと足を向けた... 堅く強い決意を胸に!!! 「まだ先に『否・人間』 【ヒトアラザルモノ】...『高志』の 様になってしまった人間達がいるかも知れない ...酷だけど彼らを倒して進みましょう。 それが全てを救う糧になるから!!」 ミッツィーは3人に向かい言い放つと 先へと進む扉を開け放ち湿地帯へと足を 踏み出した...未知の『幻魔』が潜む 『水辺地帯』奥深くへと...。 『10月14日(土)』 第四四八話 『DICE・of・THE・PARADISE-底無しの罠-』(10.14.土) 先にある分岐の町と呼ばれる『メルギド』へと 『水辺地帯』の湿地へ足を踏み出した一行は 背負う不安を掻き消す様に勢い良く 足を進めていた...が、 『ずちゃっっっ!!にゅぷっっ!!!』 「なっ!?!なんや!!...俺様の足元が 急にぶにょぶにょになって...しっ沈みよるー?!」 途中、地盤が湿地帯で常に湿っている為に 引き起こった地面の液体化粘土現象により 足を捕られ、それが困難になって行く!! 「...世界まる見えで見た...。 これって底無し沼の原理って奴だ...。 (...ただ、重いからってワケでもないか...。)」 「キョウ貴方の“力”でどうにか なりませんか?」 不意に『ミッツィー』が提案すると それに乗じて『春化』も 「硬質化して橋みたいな箇所を出現 させる事は?!!?...このままじゃ 埒(らち)があかないわ!!!」 泥に足を捕られていた為に叫ぶ、そして 彼らの叫びを聞き旨くそれを避けていた キョウはヤレヤレっと思いながらもーーー 『パキュォォッッッッン!!!』 「...これで智明サイズまでならどうにかなる。」 “能力”を発動し、一部分だけ泥を硬質化し 取り敢えず更にそれぞれが埋まる地盤を 更に流動性を持つ液状にし、抜け出やすい 状態を作り上げた!! 「...どう?大丈夫か???」 引き上げた3人の衣服の汚れは次の 町でどうにかしようと思いながら 自らが硬質化した場で休むキョウは いつまで続くか解らないこの沼に警戒し 敵の事も考えかなり先まで能力を張り巡らせる!! 「くはぁぁ...はぁはぁはぁ...あーしんどぉ!! ...どないなっとんねん...もう...。 此処には敵は出ぇへんやろ?」 完全にバテ始めた智明はこの場所なら 敵が来ないと決めつけ地べたに座り込む 「...ワタシには決めかねんが...恐らくは...。」 智明の意見に賛同するミッツィーも 少し疲れの色を見せ始め汗を拭う...が、 しかし!!そんな二人の安息をブチ壊す様に 「2人共...それは甘いようなんだけど?」 無情にもハルカは言い放ち身構える!!! 「...沼地は僕の趣味で配置したんだ〜... あぁぅん...がん...ばってねぇ...。 あっ...そこダメ〜〜〜ふぃー。」 『ビチチチッッッッ!!!!』 何かが飛び跳ねる物音と共に今、底無し 沼の彼らがたたずむ地点へと異様な気配を纏、 敵が押し迫る!!! 『10月15日(日)』 第四四九話 『DICE・of・THE・PARADISE-フライング・エヴィル-』(10.15.日) 『ばちゃちゃちゃちゃちゃっっっ!!!!』 豪快な水飛沫を上げて水面の様に 泥の中を何かが泳ぎ回り、異様な影だけが 表面化に映り、次の瞬間!!! 「がぼぉばっっ!?!! (なっ!?!見えなかった!!やばい!!!まじで 引きずり込まれとる!?!)」 一番狙いやすいであろうがあの巨体の 『智明』を動態視力では見切りが不可能な 程の速さで沼地へと引きずり込んでしまった!! 『びちゃちゃちゃちゃっっっ!!!』 抵抗しようとする智明の行動を見越してか その攻撃を打ち放った敵は強く彼の身体を 捕らえた触手の様な物で締め上げ、先手を穿つ... 「ぎゃはぼぼっっ!?!!! (うぎゃぁぁっ!!?...泥塗れで俺様 殺られるのか!?!うがっ!!?)」 絶体絶命の窮地に陥った智明を助けるべく 真っ先に『京香』は剣を抜き出そうとする...が、 再び別の場所から何者かの攻撃が迫る!!! 「ぅっくく...僕様のしもべ達は 可愛いだろ?...さて果て町までこれる かなぁ?...まっ、どうせ何時もみたいに 無理だろ-けどね...ぅっくく!!!」 望遠鏡の様な物で彼らの様子を町の高台から 覗き見るぽっちゃりした少年は、笑みを こぼしながらその場所を離れた... 『じゅぱぁっっっっん!!!』 「っっく!!!」 「大丈夫!!!キョウ!!!」 進化した『霊聖坤』から青白い刃を 生み出し間一髪の所を助けた『春化』は 声を掛けると同時に再度迫る攻撃に備える!! 「...サンキュー...ハルカ...それにしても これは...ピンク色の...舌?!!」 叩き切られた物体が硬質化した場へと 落ちたのでマジマジと見つめるキョウは それが何かの生物の舌であると予想を立てる...。 「...ワタシが花を舞い散らせば 場の『幻魔』は消滅するだろうけど...。 生命だから智明も...。 (しかも時間が泥沼の中だから...広がる まで掛かってしまうかも知れない...。)」 不意に提案する『ミッツィー』は警戒しながらも キョウへと目線を送る.... 「...どっちにしろ智明の呼吸にも 限界が来るな...しかたないリスクは 大きいケド...ハルカ、舌の攻撃は 任せるよ?...。」 すると彼女は即座にハルカに向かい言い放ち 「ぅん、任せて!!!(この程度...やる!!)」 沼地へと“能力”(ちから)を放ち地盤の 安定化へ揺らぎを与え、発熱させる!!! 『10月16日(月)』 第四五〇話 『DICE・of・THE・PARADISE-蛙ぱにっく-』(10.16.月) 『ぼこっっん!!ぼここっっ!!!』 突然!!沼地は気泡を放ち始め次第に その数を増やし煮立って行く... 「...『ミッツィー』の友達の“能力”は あたしのソレと似通った部分がある...それは...。 物質に眠る源素を操るっと言う点に ある...つまりそのスキルは大まかに考えれば ーーーーあたしにも可能と言う事!!!」 爆発は引き起こせなくとも、熱する事は 可能だ!!っと叫び『京香』は『智明』が その肉の壁で耐えられる程度のギリギリまで 液中を沸騰させる、するとーーー [まぎょぉぉおっっっっ?!?!] [ぎょぉへぇっ!?!!] [むぎゃぁっっっ!!!?] 熱さに耐え切れず何かが沼地より飛び出して来た!! 「あ〜...カエルじゃん、なるほど...。 それで舌が見た事ある色だったのねぇ。 (蛙の解剖で!!)」 叩き切った触手の正体は蛙型の『幻魔』が 持つ舌先だった!! 『春化』がそう冷静に呟くと隣から 一番最後に智明を捕らえていた蛙が姿を 現したので、光恵に合図を送る、するとーーー 「...智明...耐えてくれよ...。 永劫栄華なる薔薇よ、その姿を示せ!!! 『美しき代償』【クレィジー・ローゼス】」 『らりぃっっっっっん!!!』 彼女は軽く頷き薔薇の花ビラを巻き散らし 上空で直接、幻魔達の身体を智明ごと 包み込み生気を奪う!!! 「げふぉっげふぉっ!?!! (にゃんにゃんだ〜おれさまぁ〜頭が くらくらくら〜〜〜〜!?!)」 既に引っ張り回されたり熱されたりで 目を廻して気絶寸前まで追い詰められていた 智明は更に少しずつだが生気も奪われ ヘロヘロの状態で空中にて舌から解放され 沼地へと落下し、激突!!しようとする...が、 『ぱひゅっっっん!!!』 「....『風の核色』...ったく...。 しょうがない奴だな?...。」 キョウが巻き起こした風により静かに今、 硬質化した地面へと無事、降ろされた...。 まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |