『10月29日(日)』 第四六三話 『DICE・of・THE・PARADISE-揺らめき-』(10.29.日) 秘かに暗躍する者達、彼らは『異界の闇覇者』を 凌駕し超える“力”を持つ... 「『甲斐』...御方ですか...。」 黒ずくめの人物は畏(かしこ)まり 徐に立ち尽くす男に声を掛けた... 「あぁ、お前か...。 本体『月乃』が覚醒し、これで闇と光の 要因が出揃う...。 事は全て我らの...主の導くままに 進んでいる...ふふっ、お前達と対極に 位置する者達が何処まで...。」 笑みを浮かべながらその場を去ろうとする 男に黒ずくめの人物は 「足掻くでしょうね...最後まで...。」 後ろから応え、見送る.... 『絶陽地帯』にそびえる牙城は只 それだけが漆黒の中で輝きを放ち、全てを 覆い尽くす闇において、一際目立っていた... 「...誰か...早く...目覚めさせて...。 僕の悪意が全てを....。」 液体の中でもがく様に浮き沈みを繰り返す 裸の青年は、み果てぬ夢の中で 今、暫く苦しみ続ける... 自らの心に眠る何かが引き起こした 事象によって....。 分岐の町『メルギド』にて『智明』ら 一行の強襲に失敗したぽっちゃりと太った少年は、 余計な事を喋る口を塞ぐ暗殺者である 仲間であった細身の少年の“能力”により始末され 彼の腕の中で消滅した...しかし、そればかりに 関わっている間も無く...この地帯 唯一の統治者『ドメィン』に会うべく 4人は足を踏み出し、先へと進む... 「敵、もう出て来ないよね?」 『春化』の脳裏に浮かんだ映像は 鮮やかで先の出来事の様に門番達との 闘い、親友『幹』を奪われた事を 思い出し、思わず拳を握り締める.... 「...ハルカにその気配がしないのなら... きっと大丈夫さ?...さぁ...潜ろう...。」 『京香』はそう返事を返すと、静かに 門を潜り抜け、山の様に切り立った奥地へと 先に一歩前へと進む... 「支配者の結界はあれど...ワタシ達を はめる罠は存在しない筈...。 これが、ゲームだと言うのなら...な?」 すると、それに併せたかの様に『光恵』も 颯爽と前へと門を踏み切る!! 「敵なら....全て倒せばえぇ、簡単に 済む事や...ったく、また山道か...たるぅ。」 4人が神殿の様な建物が見える近くまで 歩き進めると、不意に林から物音が響く... 『ざわっっざわざわっっ!!!』 「...どう?ハルカ?」 突然の出来事にも冷静に立ち向かいキョウは 彼女を横目に呟く... 「敵意は感じられない...でも、 何か...驚異的なモノを感じるわ...。」 揺れ動く木の幹は次第にその速さを増し 彼らを取り囲む様な勢いを見せる...。 「『超振動』、それがおらっちの のーりょくスキルだってばよ!!!」 不意に上空から声が響き、そして更にーーー 「幹を伝って移動している?!?」 キョウの目の前へ木の幹から勢い良く 飛び降りたその言葉の持ち主が、風を 切り裂きながら姿を現す!!! 『10月30日(月)』 第四六四話 『DICE・of・THE・PARADISE-ムスビ登場!!〜-』(10.30.月) 不意に目の前に立ちはだかる少年へ 「...通してくれないか?...。」 驚きもせず平然と声を掛ける『京香』 すると、その少年は... 「ひゃはははっ、この先には行かせない っぺ、まぁ〜おらっちを倒せる程度の “力”を持っていれば別だってばよ!!!」 笑い転げながら言い放ち、返事を待つ 「なんや?こんガキャっっっ!!!」 『バシュッゥ!!』 しかし、その態度に苛(イラ)付きキレた『智明』が “能力”により創り上げた短剣を彼へと 投げ放ち一気に終わらせようとする...が、 …次の瞬間!!!… 『ヴっっヴッッッン!!!』 「ひゃははっ、無駄だってばよ!!! アンタおらっちの話しーーー聞いてた、だか? おらっちの『超振動』には勝てないってばよ!」 真紅のナイフはその分子間力に刺激を受け、 結び付きを解かれ、瞬時に気化してしまう!! 「そっ...そないな事ーーーっ!?!」 しかし...驚愕し、無様な格好を見せる 智明を横目にーーー 「面白いじゃない?....じゃあ霊気まで 振動出来るか....やって貰おうじゃない!!」 『春化』が坤を手に一歩、足を踏み出した!! 「霊?...???」 坤を握り締め、そこに霊気を流し込みながら ハルカは加速を付け、少年へ攻撃を 繰り出そうとする....だが、 …その瞬間!!… 「...待ってハルカ...此処はあたしに 任せて貰えないだろうか?...。」 唐突にキョウが彼女の前に腕を伸ばし ソレを止めると、静かに呟いた... 「ひゃははっ、おらっちとしては束になって みんなで掛かって来て貰っても 全然、構わないってばよ!!!」 「厄介な能力だな...。」 その様子を静かに見つめながら『光恵』は 自らが出ても良い様に対策を練る... 「解った...気を付けてね...キョウ...。」 「...あぁ、有り難う...。」 ハルカから了解を得た彼女は少年に 鋭い目線を送り、開始の合図を送る... 「あぁ、そうそう自己紹介がまだだったっぺ。 おらっちは『日部 ムスビ』【にちべ むすび】 まっ宜しくなぁっっーーーーくあっはぁっっ!!!」 すると、少年は自己紹介を始めた後、即座に 幹を伝い、上空からキョウへと仕掛ける!! 『ズギャッッ!!!』 物凄い加速を受けた身体からムスビは 蹴りを彼女に向かい放つ...がーーー …次の瞬間!!!… 「...キミが周囲を味方につけて 攻撃してくる事は目に見えていた...。 だから先にあたしが彼らを味方に付けた...。」 それは既に、能力を使い木々を防護壁と 化し防いでいたキョウの前で無駄に終わる!!! 「へぇ、面白いっぺぇ、でもな!!!」 『バギャギャッッッン!!!』 しかし、ムスビはそこから壁となった 木々へと能力を付加させた打撃を放ち 一瞬にしてソレらを粉砕してしまう!! 「くっ!!?(...接近されてはまずぃ!!)」 だが、更にそれを察して先に行動を開始 していたキョウは片手をバネに地面から 跳ね上がり真後ろへと飛ぶと、距離を取るーーー …しかし、次の瞬間!!!… 「なっ!?!...ぐっ...身体が?!!」 突然!!身体に電撃が走った様な痛みと 痺れが襲い、まともに立つ事さえ困難となる!! 「おらっちの田舎では〜雷さんは 雲をつたり〜空気をも通していらっしゃるん だってばよ!!!」 しかも、ほくそ笑みながら少年は止めを 放たんと身動きを封じられた彼女へ非情な 一撃を繰り出す!!! 『10月31日(火)』 第四六五話 『DICE・of・THE・PARADISE-アビリティ・クラック-』(10.31.火) 「『キョウ』っっっ!!!!」 現状を見て思わず声を上げる『春化』... しかし、それに横目で京香は応え 何故かニヤリと意味深な笑みを浮かべる!! 「闘いの最中によそ見なんてぇっっ!!! するなってばよぉ!!!」 「...そうか?ならあたしも言わせて 貰うが、キミも油断して笑みをこぼす ってのは...どこぞの自信家さんと一緒だな?...。」 しかも襲い来る『ムスビ』の攻撃を前にしても しっかりと立てもしない彼女は挑発的に言い放ち、 「なっ...それってまさか....と思うが...。 俺様の事やないやろな?(怒)」 鈍感でも自分の事だと気付いた『智明』が 文句を言う前に行動を起こす!!! 『ビキッッィン!!ビキキッッ!!!』 「ひゃはは、なにかと思ったけんどぉ!! 只、土を壁にしただけだっぺ!!! 木と変わらないっぺ、したらばっっっ!!! 振動拳で一撃だってぇっっっばよぉ!!!!」 そして、ムスビの打撃が自分を襲うーーー …しかし、その瞬間!!… スキルにより土を解放し、壁を創り出す、もーーー 『ヴぁきゅるっっ!!ヴァルルルッッ!!!』 …更に、次の一瞬!!!… 「...きゃっっ?!!」 『超振動』を付加させた少年の拳が壁を 貫き、同時に彼女へと殴り掛かる!!! 「まずい...直撃を!?!」 ...『光恵』が叫んだ、瞬時!!! 「ばっ...馬鹿な...そっ...そんな事が!?!」 巻き起きた土ボコリが消え去った その場には、驚愕の結果が残っていた、それはーーー 「...君の敗因は絶対的な信頼を 自分に得ずに...スキル...その能力に 頼り切ったところにある...。」 確実に打撃を受けて瀕死に追い込まれんと していたキョウが逆に気絶した血塗れの少年を抱えて 場に立ちはだかっていた事だった!!! 「何を...しおったんや?キョウ...。」 「そうか、『智明』の支点からだと 見えなかったかもね?....あの瞬間。 キョウはーーーー」 不思議に思い呟く智明へ一部始終をきちんと 見ていたハルカは静かに順を追って説明する... 「W(ダブル)...つまり二重発動させたのよ。」 「なんや?それ!?」 「簡単に言えば2回キョウは命令していたーーー」 すると、彼女が説明していた途中でミッツィーも 言葉を足し、遮るように簡単に続けた 「一度目は壁としてそして二度目は武器として。」 つまり、彼女は壁として土を操作した 次の瞬間に既に次の飛び散った破片が武器となり 刃として背後から降り掛かる様に発動命令を 下していたのだ、そして勝利した!!! 『ドスッッ!!ドスドスッッ!!!』 「がはっっっ!?!!」 背後から無数の槍に刺され更にキョウの 打撃により白目を向き崩れ落ちる少年... 「...さて、死にはしない程度に勤めたが...。」 彼女は彼を抱え仲間達の元へと戻り 先へと足を進めようとする...すると背後から 「試したりして、ごめんなちゃい。」 突然!!幼稚園児くらいの女の子が その姿を彼らの前に現す...!!! まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |