『11月13日(月)』 第四七八話 『Day by road〜forever along〜』(11.13.月) 分岐の町、言葉のゆえんは此処にあった... 『メルギド』でこれから起こる出来事は 統治者の『ドメィン』彼女自身が思いも よらなかった結末を迎えようとする... 「『ムスビ』くん...なんで なんで、でちか?...元のあの優しかった ムスビくんにもどって...!!!」 背後から捕らえられ喉元に置かれた拳を 小さな手で抱き締めながら彼の心に 訴え掛けるドメィン...しかし、それも空しく 「うっぎゃぎゃギャっっ!!! 黙れ!!...おメぇの始末はこのアトだァぁ!!」 ムスビだった者は狂気じみた叫び声を上げ 彼女を盾に『光恵』へと向かい 襲いかからんとする...が、 …その瞬間!!!… 『プッシュッッッ!!!!』 「あははっ、僕の命令には服従する筈デスがねぇ? まぁ、どちらにせよ、こうなる事は 既に決まっていたんデスよ....。」 剣を弾き飛ばされ呆然とたたずむ『京香』の横を 物凄い勢いで通り過ぎ去った『真希也』は 手にした見慣れぬ武器で少年ごと、ドメィンの 身体をその角部で貫く!!! 『ずにゅっずぐちゃっっ!!!!』 「ぎっィぃいいっィ!?!」 「い”っ!ぎゃわっゎっ!?!」 ドメィンは声にならない声を上げて 痛みで我をわすれてもがき暴れ、仲間同士 なのに何故か裏切った真希也へ遺恨を残しながら その場へと崩れ去るムスビを後ろに 倒れようとする... 「さぁっって....僕のショウタイムだな...。 京香...さん、残念デスがまた 宜しくお願いしますよ....。」 しかし、既に用意周到に仕向けられていた 罠がムスビの身体を媒体に発動、 深緑のゴム樹脂が刺された箇所から溢れ出て 2人を一気に包み込んでしまう!!! 「...そんな...あたしの剣技が....。」 更にキョウが振り向くと、そこにはゾルの様な 液体に包まれたドメィンとムスビを目にする... 「これは...一体!!?」 焦るミッツィー、何とか助け出さんと するが、みるみる内にそれに独特の 変化が起きてしまう!! 「…先に自己紹介の時に申したんデスけどね? 僕は青銅使い『スキル』【特殊能力】は 『無明の蒼』【ブルー・コーティング】 ...ふふっ、この先はお楽しみに?」 彼は不敵に言い放つと、正気を取り戻した キョウからの斬撃を避け、木々の天辺へと 数回のジャンプで移動し、徐々に身体を 青銅でコーティングされて行く様を静かに 見つめ、笑みをこぼす...。 『11月14日(火)』 第四七九話 『Day by road〜too face〜』(11.14.火) 「...『ムスビ』く...ん...わたちは...。 くっ...『キョウ』に『ミッツィー』!!! ...わたちの側に来ちゃダメ!!!」 どうにか足元から塗り固まって行く ソレらを排除しようと2人は走り寄ろうと するが...それを制止し、続けて傷が苦しそうに 声を上げる『ドメィン』... 「...『真希也』ぁっ!!!! (木にいるならあたしの“力”で!!)」 「これは...ムスビ君の身体が...青銅と化し それが...貴方の身体を...くっ...。 (これではもう遅い...。)」 「...2人も良く聞いてくだちゃい...。 此処が分岐と言われるのはこの先に町が 2ちゅあるからなのでちゅ...。 ...わたちは、もうダメでしゅけど...キョウ... に...渡したい物が...わたちが完全に 『スキル』に飲まれてしまう前に...渡せて 良かったでち...どうか役に....。」 彼女はそう告げると、彼のスキルが全身を 覆い、付着する前に貫かれ引き裂かれて落ちた 胸のペンダントへと目線を送り、意識を失う... 「あっはははっ、いやいや、良い話し デスよねぇ、ぅん、最高だ。」 そして、完全に青銅の銅像と化した2人を 見届けると真希也は再び京香がスキルを 発動させる前に地面に降り立つ...。 「...お前は人間なんだろ?...『幻魔』の 様な感じもしない....しかしーーーー!! 下劣な臭いがする...だから、あたしは... 持ち得る全力で、今お前を倒す!!!」 キョウは激しく怒りを爆発させ、地面に 落ちて刺さった剣を拾い、攻撃に掛かる....が、 『ドキャッッッ!!!』 「駄目、だね...人間だから良いのさ? 霊長類最強、最悪の種...くくっ、京香...。 キミが幾ら憤怒しても無駄なんデスよ。 本質を理解出来てない...そう...あっはははっ、 それでは僕の役目は終えた...じゃあ、また。」 その前に既に攻撃を繰り出していた真希也の ホーンがキョウの右腕を貫き、嘲(あざ)笑い それを引き抜くと姿を即座に消してしまう.... 「...キョウ...傷、大丈夫か?」 ミッツィーは静かに声を掛け、彼女を 気遣う、しかしキョウは 「...あたしの事なら気にするな...。 それより、...これは...。」 今をもろともせずに、再び立ち向かう事を 決意し、銅像となり果ててしまった ドメィンが提示したペンダントを 拾い上げ付属された宝石らしき物質見て 彼女が渡したかったモノを理解した...。 「それは?」 水色に輝く宝石を手にしたキョウを 見つめミッツィーは呟く... 「...さぁ?...でも、奴はコレで討つ...!!」 何故か彼女の問いにはまともに応えようと せずに、キョウは足早にその場を後に 神殿へと戻り2人と合流しようとする...が、 『パシッッ!!パリリッッ!!!』 「これは...まさか!!」 「...なるほどやってくれるじゃないか...。 分断させる事...そして、統治者を封じる...。 だから先に町が2つ、か...。」 神殿の内部少し先から緑の結界が張り巡らされ 侵入を封じれてしまっていた!!! 『11月15日(水)』 第四八〇話 『災難春化&重傷智明』(11.15.土) 「...此処は...。」 俺様はどうしてこないなとこ居とるんや? 「....お前はーーー『貴弘』!!?」 そないな事...でも目の前にいるのは 紛れもなくヒロやん...くっ!!! 「待てや!!!」 俺様が闇の中で立ち尽くすヒロに幾ら この手を伸ばそうとも届かない.... 「届け!!!....くそぉ!!! 何で届かへんのや...ろ....。」 段々と広がるその距離が俺様を.... 「『智明』...智明ってば!!!」 …せやけど、その時… 闇に漂う俺様にこの声は....『春化』? なのか?...俺様は静かに瞼を開けた... 「...よかった...やっと...目を 開けてくれたのね....。」 そこには少しやつれたハルカの顔があった... 「...俺様は...生きとる...。」 だるぃ身体を無理に起こした俺様は、あの 後の事を思い出して、改めてハルカに 礼をしといたる事にした...。 「その...ハルカ、....ハルカが居ぃへんかったら 俺様は...死んでたやろな?...アリガトよ。」 唐突な感謝の言葉に少し戸惑いながら 彼女は軽く微笑み 「あら?珍しい...ふふっ...お互い様よ、 あの時の貴方の行動がなければ、私も 確実に勝てなかった...。」 そう返事を返すと、湖畔(こはん)脇の岩場に 自分も腰を降ろし、神殿での出来事を 思い起こして溜息をつく... 「....これは、『トモ』を阻害した 結界...どうして?」 無理に通り抜けようとするが、それが 旨く行く筈もなく、神殿入り口付近で 重傷の智明を背に困惑するハルカ...しかし、 刻一刻と彼の命のタイムリミットは迫っている 「智明...どうしよう...『キョウ』の様な “力”は無いし...傷を...そうだ!!!」 だが、冷静に対処しようとハルカは苦肉の策と して、斬り裂かれ、血が吹き出る箇所を 心臓より上の位置へと上げ、更に、そこを 窓に飾られていたカーテンを破り、あてがい 止血すると、手をかざし霊気を送り込む... 「...太っているから...脂肪で膨張してない 血管が押されて収縮してくれる筈...。 アレだけ食べてたんだから栄養も... くっ、それより...私...運べるのかしら? コレを....(もう、既に諦めモード。)」 そして、一応の手当を終えた彼女は、智明の 重さを考え暫くその場にたたずむ....。 「....ダメ、もう歩けない...。」 ハルカは智明をどうにか引きずりながら 先へと進もうとする....が、 『ずるっずるるっっ!!!!』 これ以上、引きずると折角の止血も無駄に なるし、しかも自分が持たない事を実感し、 木陰で暫し、休憩を取る事とした....。 『11月16日(木)』 第四八一話 『G(重み)の地獄』(11.16.木) 『ずるっ!!ズルルッッ!!!』 町へと戻るワケにも行かず... 途中、腕が痺れ運べない時等がありながらだったが、 どうにか湖畔らしき場所が見え、地形の 変化を感じ、そこの岩場で足を止めた『春化』は 何故、自分がこんな重いモノを運ばなくては ならないのか?っとダンダン苛付き始めていた 「...しかたない...水でも飲ませたり してみよう...かな...私も喉が乾いたし...。 (あの時、『ドメィン』の家で出されたお茶を 全部飲んでおくべきだったわ...。)」 それを抑えつつ、湖へと足を向けた彼女は そこで手に水をすくい透明度と飲めるのかを 確かめる為に何等かの生物を探す...すると、 『ザッパッッッ!!!!』 [ぎゃぎゃっっ!!!おまぇぇ人間ンん!!! オレの餌ぁっ!!!] しゃがみ込んでいた彼女の腕を水中から 不意に姿を現した海洋系『幻魔』が掴み 湖へと引きずり込もうとする!!! 「きゃっ!?!(鱗(うろこ)?...。)」 思わず尻餅をついた彼女は意外に強い“力”に 押され気味になり、あと一歩でで湖へと真逆さま っと、言う寸前の所だった...が、 敵が勝利を確信したーーー …その瞬間!!!… 『めしゃっっ!!!』 [ぎょへっっ!?!!] ハルカはとっさに取り出し手にした坤で刃を 出現させずに柄の部位だけで叩き付け、 幻魔の腕をへし折ってしまう!! 「ったく、私を嘗めんじゃないよ? 貴方みたいな低級霊レベルには、これで十分よ! 実体化もしてるし、それよりーーー 死にたくなかったら私の質問に答えなさいな?」 更に、その腕を自ら掴み上げ陸へと逆に引きずり 上げてしまった彼女は刃を首筋に当て 問い詰め、幻魔が頷くと続け 「ぅんぅん、良い子ね?...此処の水は 飲めるの?...あと〜傷薬とかってアル? 」 殆ど取り立て恐喝並に脅し、返事を待った...。 [みっ水は大丈夫だと、思いますぅゥ...。 傷は〜...この海草を塗り込んで頂ければ〜 直ぐに良くなるとぉォ...。] 「サンキュ!!ところでコップとかってないの?」 ハルカは散々、幻魔をこき使った後、 解放し、『智明』の手首の傷へと 海草を塗り込むと湖で汲み取った 水を口に、目覚めを待ち、うなされていた 彼の声を聞いて必死に真正面から呼び掛けた...。 まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |