『11月21日(火)』 第四八六話 『繋いだ手と…手』(11.21.火) 『ドメィン』との話しの最中、 この地帯の地図を見せられ、ソレを手にしていた 『春化』と『智明』は、少しの 休憩の後に、林道(りんどう)を歩き 『ミド』の町へと確実に足を進めた... 「しっかしよ〜こんなに休みなしなもんなんか? 俺様もう腹減ったんやけどな〜(空腹。)」 「あのね〜少し黙って歩けないの? ...さっき、此処らへんの果実をもいで 口にしてたじゃない?」 不意に口を開ければソレだけの智明に 呆れつつハルカは、声を上げると、正面の 景色に変化が現れたので思わず指を差し 「って言うより...見えたわよ? あそこにご飯の食べる場所がアレば 良いわね?...ふぅ...。」 続けてそう言葉を放った...すると、 「!?!----〜〜〜ーーーーひゃっはっっ!!!! 俺様ぁ〜先ぃ行っとるでぇっ!!!」 彼女の皮肉を諸共せずに智明は既に走り出し 町へと突っ込んで行く...そして、 「...こんなヒトって...本当に居るのねぇ...。」 走り去る彼を前にハルカは最初からこれで 釣れば良かったのね!、っと前向きに 思考を浮かべ、自らも走った...。 「“能力者”さんでしょ?待ってましたよ?」 「おばちゃん、ちゃうやろ?俺様らの“力”は 『スキル』【特殊能力】言ぅんや!!!」 即座に駆け込んだ場で早速食事に手を 付け傷を癒す智明は何故か彼らを待って いた風な口を聞く熟女(じゅくじょ)に返事を ぶっきらぼうに返し再び口に食べ物を詰め込む 「....ほぅほぅ、それじゃ...スキルを お持ちになる異界の方...我らが願いを 聞いて頂けマスかな?」 暫くするとまた喋り掛ける熟女の合図と共に その場へと目の色を変えた町達が乗り込み バカ喰いする智明を取り囲む... 「ふぁぐらまひってばってな!?!...ぐは!?! ふぉれはまがふへんぃんふぉくをひぃまって ふぃたからふぁろかっ!?! (どなぃなっとるんや!?!...はっ!?! 俺様が無線飲食をしまくっていたからやろか!?!)」 彼らを見回した智明は食べ物が入った ままの口で叫び、聞き取れない言葉を 放ちながら何事か!?っと思いを馳(は)せる...。 「ふふっ...今ーーー 『水辺地帯』には統治者は 存在しないのさ?....。 だから下々の者達をクグツするワレの “力”もより強大になっている....。」 「ふぉれふぁ〜〜〜ーーーーんっどぅう!! (それは、どぉ言ぅことやねんな!!)」 さっきまでと明らかに変化した形相を 見せる熟女は、手のひらを返した様に 狂気に満ちた笑みを浮かべ彼の問に答える 「くっふふっ、まだ気付かないのかい? お前達を待っていたのさ?...。 この町自体が〜...お前達の墓場って事さね? トラップイベントって奴さ!!!」 強力な能力を持った『幻魔』の その力により町は既に掌握(しょうあく)され 支配されていた...事態を飲み込み、どうすべきか? っと考える智明...そして、その頃 ハルカは町でウィンドーショッピングを 愉しんでいた...。 『11月22日(水)』 第四八七話 『超・烈闘!!』(11.22.水) 『ミド』の町へと辿り着くが、間もなくして 『智明』に“力”を完全に解放された『幻魔』が 住人達を使い襲いかかる!! 「ぺっ...けっ、ノンビリ喰ろうとる ワケにはもういかなそうやな...。」 口に残った食べ物を邪魔だっ!っと言わん ばかりに吐き出した智明は、徐に 今まで使用していた銀食器のナイフで指先を 切り裂き、自ら流血させるとニヤリっと 笑みを浮かべ熟女が指令を出す前に 飛沫を槍へと変化させつつ浴びせ掛ける...が、 『じゅぶしゃっっっ!!!!』 「ぎゃっぁぁっああっ!?!!!」 「おやおやイケませんねぇ...。 ワレに操作されているだけの罪なき町人を 刺し殺すなどぉ〜...くくっ、さぁ? どうするさ?肉の盾なら幾らでもあるよ?」 既に命じられるがまま、主を守る様に 言いつけられている住人達の中で近くに居た 女性が身を差し出し自ら血槍の洗礼を受け 絶命してしまう!!! 「...くくっ,,,貴様こそおかしぃんやないかぁ? 俺様がその程度の事を気にする思ったんか? ....嘗めて貰っちゃ困るんやけどなぁあっっ!!!」 しかし、智明は彼女の犠牲等お構いなしに 先陣を切って回転しながら飛沫を放ち、 血の刃で住人達ごと敵を撃破せんとする...の、だが 『ねちゃりぃ...!!!』 「おぉ、恐ろしや...人知を超えた恐ろしさ...。 くっははははっっ泥人形達よ!!! 今だ、ヤりなあぁっっ!!!!」 さっきの女性もそうだが、身体を打ち抜いても 斬り裂いても出血しないのだ...不可思議に 思いながらも攻撃を続けていた智明、すると 唐突に熟女は叫び、それを聞いた彼が 周囲を再び見回すと、そこには先に自分が 惨殺していった者達が平然と立ち上がる姿が あった...しかも、その形質を変えて!!! 「なっ...何やねん!!!こいつらぁ!?! ...せや、斬り裂いた時の感じがまるで 泥の様な....まさか!?!」 「ふっ、町の奴らなんかとっくに始末 してたよ?...くくっ、あんたぁ罪悪感とか 感じなぃのか?...まぁいいさ...どっち ミチ、もうあんたの始末は終えている。」 不敵な笑みを放つ敵は、不意にテーブルの上へと 飛び上がり、自らが被害を受けぬ為に 準備を整え同時に、泥人形達へ命令を下す!!! 『11月23日(木)』 第四八八話 『砂塵の泥』(11.23.木) 「こないなもん...無駄やぁっ!!! 『血化陣』...発動!!!!」 『しゅっっっぱぁあぁっっっん!!!』 『智明』は自分を取り囲む様に立ち はだかる泥人形達を一瞬にして切り刻み 只の泥へと帰すと同時にテーブル上の熟女へ 攻撃を仕掛けんとする...が、 [ムゴォ〜〜〜〜〜〜!!!!] 『ガシィッッ!!!』 「なっ!?!...離せや!!!? くっ...なんちゅう〜馬鹿ヂからやねん!!!」 自らが倒し、場に散らし飛ばした泥達が 彼の足を捕らえ離そうとせず、逆にまとわり 付き全身を覆い尽くさんとする!! 「くっくく...ワレの呪縛から逃れた 者など存在しない...お前も泥の彫刻へと 成り果てるが良い...ゆっくりと時間を 掛けて干からびてシになっっあぁっ!!!」 高見からその様子を伺い彼を嘲笑するように 言い放った彼女は始末は終えたと、後ろを 振り向きこの場を後にせんとする...。 「...にゃろ...ナメやがりおってぇっっっ!! 俺様が泥ごときにーーーー----?!! (ばっ?!“力”が入らへんやん... 抜け出すどころか...あかん...こいつら!?!)」 下半身を完全に取り囲まれ固まって行く 中で智明はこの泥達の正体を本当に この町の住人達であったと知る...何故なら [むおぉ〜〜〜たスけてぇっぇっっ!!!] [クルシィ〜〜〜〜おぉおおお!!!] 自分に悲願して助けを求めているが為に 身体を昇り、伝って来ていたから.... 「...けっ...悪趣味な“能力”や.... そや、能力...俺様らわぁぁっっっっ!!! 『スキル』を持っとんねん!!! 魅せたるわぁ『流血槍・乱舞』!!!」 ソレを理解した智明は彼女の後ろ姿を 睨み付けながら徐に傷口を自ら広げ 吹き上がる血飛沫を全て真紅の槍へと 投げ放つ際に変化させ、その複数の刃で 敵を貫かんとする...が、しかし 「ふふっ、無駄だと言っている...。 『砂塵の泥』【ジェリーマン・フィート】...。 ビックウェィブ...超動!!!」 …次の瞬間!!!… 『ズギャァッァァッッッッン!!!』 彼女の背後から叫び声と共に砂の大津波が 押し寄せ槍を飲み込むと同時にーーー 「馬鹿なぁっっ!!?!こなぃな....。 きさぁまぁっっ!!!何処まで騙せばぁっぁーーー」 智明をも巻き込んで場を砂で覆ってしまった!!! 発狂するように声を上げた智明の最後を 横目に彼女は 「...いつ?ワレが『幻魔』だと言った? 待っていたとは言ったが...ね? ぎゃはははっ、次は...女か....。」 言葉を捨て放ち、その場を後にしようとする... …しかし、その瞬間!!… 「そなぃに...旨くはいかせへん...当然やろ?」 「あら?生きてらしたの?」 立ち去ろうとする彼女の前へ砂塗れの智明が 斬首刀を片手に立ちはだかり行く手を塞ぐ!! 『11月24日(金)』 第四八九話 『砂の粒子』(11.24.金) 「しぶといわ...何故、あの砂塵に巻き込まれて 泥(でぃ)の置物へと化していないのかしら?」 眉間にシワを寄せながら明らかに怒りで 苛立ちを見せる彼女へ、 「ぺっぺっ...ぎゃはははっ!!! そないな事も解らへんのか?...俺様が〜アノ 槍に全部の攻撃を使ってたと思ってたんやろ? 甘いんよ?...表面に薄い鎧を纏って おったんや...まっ、これはぱくったんやけどな?」 『智明』はそう返すと口から小量だが飛び込んだ 砂を目の前に吐き出した 「...そうなの...でも、やっぱり貴方の 始末は終わっているのよ?」 不意にクスッと笑みをこぼし憤怒の形相を 掻き消した彼女はソレを見て彼に声を 掛け、再びその場を後にしようとする... 「あ”?...お前、頭おかしぃんか? 俺様の何処を始末ーーーー!?! (何や?!?...指先から流れる血に砂が???)」 すると、それを引き留めようと手を伸ばし がなる智明だったが...自分の身体に起きている 変化を前にしガラに似合わず驚愕してしまう!! 「ふっ...ワレの『スキル』本質は泥や砂で何かを 操る事でもそこから創作する事でもない...。 ソレ自体をまったく別のモノへと 交換し、すげ替えてしまう...、本来の 恐怖は貴方が今、体感している通りなのだよ?」 滴り落ちる血液が徐々にサラサラとした 流砂へと姿を変え挙げ句の果てには交じり合い 血泥の様な物質へ変化して行く!!! 「ぅおおおおっっ?!!!! (あかん...あかんでぇぇっ!!!!)」 身体を蝕む本当の恐怖、砂の粒子は既に 彼の体内深くに根付き、その猛威を振るって 智明を苦しめていた...そして痛みなく自分が 段々と別の生き物として成り代わって行く 真に迫る狂気がやがて心を追い詰める 「町人達と同じく泥と成りなさいな?」 しかし、そんな中でも強がる智明は 「...けっ...くっだらん“能力”や...。 俺様がまだ残っている限り... 貴様の勝ちやぁなぃんやでぇっっ!!!!」 変換を終えられてしまう、その前に彼女を倒し スキルの解除を行おうと躍起になって襲い掛かる...。 「見え見えの軌道ごときでは無駄よ?」 『かしゅぁっっっっっん!!!』 「...うっ...俺様としたこと...が...ぁ...。」 しかし、それも彼女の前に命じられ出現した 泥の壁により防がれ、既に意識をもうろうと させていた彼はその場へと無様に膝を落とし 尻餅を付いて倒れ込んでしまう...。 まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |