『11月25日(土)』 第四九〇話 『ロング・ホールド』(11.25.土) 『春化』が『ミド』の町にて 買い物に耽(ふけ)っていた、その最中 食事場で待ちかまえていた敵に完膚なきまでに 叩きのめされてしまった『智明』... 果たしてこのまま泥人形と化してこの世界から 消失してしまうのか....? 「..........。 (もう動かへんのか?....けっ...俺様は 元々、現世では心に潜む存在として扱われて たんやから此処で死んでも変わらへんのやないやろか? ...それは『ヒロ』がおったからなんか...?)」 再起不能寸前に追い込まれているにも関わらず 逆に頭を冷やし冷静に物事を考える 智明は、久しぶりに自分の存在課程を辿り 何の為に自分が闘っているかを考える... 「あっけない...これが対を成す存在なのか? ...ふふっ、まぁ良いわ...。 “力”を持つ人形ってのも悪くない...。 (そうすればワレが支配者として...。)」 ひれ伏す様に倒れた智明を軽視し、吐き捨てる 様に言葉を放った熟女は再び泥達を構築して 泥人形を生み出そうとする...が、 「...『ニードル・ラッシュ』【血雨針】 ...待っとったでぇ...この時をぉおおお!!!」 自らの回りに泥を集め収束させていた …その瞬間!!!… 『ズキャキャキャキャキャッッッン!!!』 「げふぁっ!?!バカなっっあァっ!?!!」 智明の血液を含んでいた泥人形達から唐突に 彼女が逃げる間も無く真っ赤な針が飛び散り 全身にビッシリと突き刺さる!!!! 「...けっけけけっっっ!! お前?考えが浅はかやなぁ〜!!!! 俺様の『スキル』【特殊能力】を ナメんなやぁっっ!!!ぎゃははは!!!!」 絶体絶命の窮地から一転!!完全に立場が逆転した 智明は大笑いを放ち、勢いでケだるぃ躯を 奮い立たせ斬首刀を手に止めを刺さんとする、 …しかし、次の瞬間!!!… 『バッキャキャッッッン!!!』 「流石に驚いたわ。」 何故か平然と何事も無かったかの様に立ち上がり 彼女は智明の斬撃を避け、呟く... 『ぴしっぴしぃっっ....。』 「なっ?!!貴様ぁっ...俺様をどこまで コケにすりゃぁっ済むんやぁっ!!!」 叫ぶ智明の横を移動し、翻弄する彼女の皮膚から 血針と共に泥化粧が崩れ本来の絹のごとき 柔らかな肌が露出される 「ぅふふ、騙される貴方が悪いのよぉ。 それにしても、コレを行っていなかったら〜 今ごろ、ワレ...いや、あたぃは歪みへと 沈んでいたのかしら?」 くすみ笑う少女を前にし速攻、頭に血をたぎらせ キレかける智明、だが...タイムリミットは 非常な勧告を遂げ、彼を蝕(むしば)みーーー 「ふざぁっっ...けっぐぁっっ?!! (なんっ...くっ?!こんな時にぃ!!!)」 その終わりを告げる!!! 『バギャッッッン!!!』 「きゃはははっ----ーーーーーっっ!!!! あたぃのかっっちぃ...ーーーーっまぎっっ?!!」 だが、しかし...全てが終わりを迎える、 …その直前!!!… 「『聖砲槍』の一撃...。 間一髪って奴かしら?」 ハルカにより投げ放たれた霊気の刃が彼女の頭部を 正確に貫き、浄化させる!! 「おっ...おっそぃわぁっ!!! このぉ〜---ーーーちっ、まぁえぇ。」 ...町の異変に気付いていた彼女は敵の 様子を伺い、智明をおとりに隙を突いて 一撃で倒してしまったのだった...。 『11月26日(日)』 第四九一話 『深淵の宴-それぞれが目指す場所へ-』(11.26.日) 各々、別個の場所で町のイベントをクリアーした 一行はこれより一つへ繋がる道先の街 『ベクター』へと進む... ーその頃ー 「あはっ、随分〜愉しそうだねっ!」 支配者が巣食う館に彼らと対を成す存在が1人 ...その姿を現す... 「あっ!来るんだったら連絡してよ!!」 「『シン公』にはデリカシィー ってもんが体型もそうだけど、欠けてるよね?」 しかし、彼らにはあまり歓迎されていない様で 更に2人は地図を前にイチャついていたところを 邪魔され口調がいつにも増して厳しい 「ごっ...ごめん、ゴメン!!今度から 気をつけるから〜ねっ?許してよ? (体型はしょうがないのに...。)」 平謝りしてこの場を濁す眼鏡を掛けて太った 少年はどうにか受け入れられた事を確認すると 「それで?今日は何?」 「計画なら順調だよ?シン公に対を成す 奴らの始末でしょ?」 本来、自分が行うべき目的を告げ 「いやはやなんとも...ボクが今日、此処に 来たのは〜それの視察じゃないんだよ〜。 ボクもイベントとして交ぜて欲しいん だよね、お願い!ダメ?」 懇願する...すると、 「まっそれくらいなら良いんじゃない?」 「ふぅ...本来の“力”の持ち主がそう 良うんじゃ、僕にはどうにも出来ないんでね。 ベクターに行けば?手配くらいはしとくよ。」 「本当!!?らっき〜!!!」 少年の1人が承諾した為にもう1人も 渋々返事を返す...。 「あ”〜もう、服がまた汚れてもぉたぁわぁっ!! (『京香』になんて言ぅたらえぇねん!!)」 発狂した様に叫び、町を後にした『智明』は 横で含み笑う『春化』に気付き、何故か 照れて頬を赤く染めた... 「それにしても、智明っの〜のー...っ 『スキル』って便利よね? 血液を自由に操れるんでしょ?」 不意に先からの闘いを見て質問したハルカへ 「あぁ、まぁな?...でも、正確に俺様も 解らへんねん、どこまでが許容範囲なんかな? 血液から武器を産み出す事は完全に出来るん やけどな...あのクソガキみたいな自在に 使う事は出来へん...。」 言われて、自らの力と対時する智明... 彼は静かに口を開くと『コロンビアホールド』での 事を思い出し、『レビン』との奮戦を 思い起こして拳を握り締め流れる血液を眺めた... 「ははっ、らしくないわね?...。 不安なのは貴方だけじゃないから...ね?」 「けっ...大きなお世話、や...ぎゃははは!!」 「っっとに素直じゃないのね!!」 そんな暫しの会話の後、彼らはベクターへと辿り着く!! 「見えた....アレが最後の街...ベクター街。」 「...この先に、支配者達がいる...。」 智明・ハルカらが街へと足を踏み入れようと していた丁度、その時キョウ・『光恵』らも 街の姿を発見し、入り口へと足を向けていた...。 『11月27日(月)』 第四九二話 『深淵の宴-少年、再び-』(11.27.月) 「なんや...随分、不用心なんやなぁ〜。 これと言った防護フィールドも無いやんか!」 『智明』が言う様に『ベクター』街は何故か 今までの旅を続けていた者なら驚愕して しまう程、無防備なまま只そこに存在し しかも、活気に溢れた街並みを魅せる... 「...油断は出来ないけど...それにしても これといった事も無く、静かな街ね...。」 やはり同じように『春化』もその街に 驚き、思わず警戒するのが馬鹿バカしく なってしまっていた 「ったく...この地帯は俺様の性には ぜぇっっぜん合ゎへん、さっさと 『キョウ』らと合流せな、あかんな?」 しかし、彼らがそんな会話を続けていると不意に 後ろから聴き覚えのある声に言葉を掛けられ、 「...相変わらずだな?...。」 「ふっ、一目で解る、その体型。」 即座に振り返ったそこへ存在していたのは やはり、別の道を辿りこの街へとほぼ 同時に到着していた京香と『光恵』だった!! 「なっ!?!....ーーーーー!!! 何や!やっぱりキョウやなぃかぁ!!」 「...ふっ、どうやら無事だった様だな?」 「ミッツィーもその格好じゃ一目で、よ?」 「ははっ、誉め言葉として受け取っておきましょう。」 暫し再会の余韻(よいん)を楽しんだ後、 キョウらは統治者が始末されてしまった事を伝え、 逆に智明らからは、新たな“能力者”達と あの始末屋であろう細身の少年の事等を伝える... しかし、お互い情報交換として話し合って いるその最中も支配者のイベントは既に 動き出していた.... 「っっ....この感じ...みんな気を付けて!!」 『じゅるるっっ...ぼしゃしゃっっ...!!』 遠方から陽炎と共に何者かが姿を現し 彼らの前に立ち塞がる...それはーーー 「なっ!?!!こいつわぁっっ!?! (温泉での、でぶガキぃ!!!)」 『メルギド』の町で彼らを倒す事を 失敗した為に処分された、ぽっちゃりと 太った少年だった!!! 「彼もまた既に...。」 ミッツィーは即座に少年がアノ濁った水に 支配されている事を感じ...構える!! 「ぅっキぃきっィ...僕様まぁわぁぁっっっっ ム敵なんだぁっっっっ!!!!」 瞬時!!彼のホウコウが轟き、一行へと 体型からは思えぬスピードで襲いかかる!! 『11月28日(火)』 第四九三話 『深淵の宴-でぶ添加-』(11.28.火) 『ダキャッッッン!!!』 「こぉっっん、でぶガキゃぁっっっ!!!」 直線上に突っ込み『智明』に打撃を喰らわす、が とっさに右腕で防御し、直撃を避けるも... 「全開ナんだぜっぃ!!!...。 もう、身体能力の極限、ワすれちまったかァ?!!」 少年のリミッター(制御器官)を無視した 攻撃は防御した腕を砕く勢いをみせ、衝撃で 智明はフッ飛び民家へと弾かれる!! 「侮れないわね...今度は、私が行くわ!!!」 横目で倒された彼を横切り、走り出す 『春化』は、坤は手にせず素手で立ち向かう 「おせぇ....ってばヨぉっっっ!!!!」 「...ハルカ!!」 「何故、『スキル』を使わない?!?」 叫ぶ『京香』『光恵』の心配通りに先手を 取られ、先と同じく身体能力が解放された 打撃が襲う、しかしーーー 『ダギャッッッン!!!』 「ぎゃっっハぁっ!?!!」 「相手の“力”が強いのなら、それを 利用すれば良いのよ...。」 既に一度目の攻撃でその単調さを見切って いた彼女は足を後ろに引くと、同時に カウンター(反撃)を繰り出し殴り飛ばす!!! 綺麗に曲線を描き空中から一転、地上へと 落下して行く少年、更にそこから 追いかけ連撃を繰り放とうとする...が、 「驚いタぞぉおォ!!!...だが、それは もう覚えた、くくっ...はっっははっっ!!!」 『パキュルルルッッッン!!!』 「きゃっっ!?!!これは....この振動は!!」 落下中に身体安定を取り戻し、逆に 迎撃を放たれ、『ムスビ』が所有していた 『スキル』により智明同様吹っ飛ばされて アクセサリーの店舗に突っ込んでしまう... 「くっ...キョウ!!こっちに来るぞ!!」 「...心得ている...だが、今までの全てを 覚えているのなら、あたしの...!?!」 しかも、そこから残る2人へも攻め込み 異様な笑顔を見せる!! 「...迷った...いやはやなんとも...。 どうしよ〜〜〜〜!!!」 了解を得たのは良いが、少年らの館から 足を踏み出し街へ向かっていた、眼鏡を掛け 太った少年は街道までを進んでいたのにも 関わらず天性の方向音痴が邪魔をして 中々、『ベクター』へと辿り着けずに居た...。 まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |