『11月29日(水)』 第四九四話 『深淵の宴-土走り、沈む恐怖-』(11.29.水) 『春化』と『智明』が『ミド』の町を 『京香』と『光恵』が『イル』の町を それぞれがクリアーし、先へ繋がる街 『ベクター』へと辿り着き、合流する...が、 そこで待ち受けていたのは『メルギド』の町で 細身の少年に始末され『否・人間』 【ヒトアラザルモノ】の器へと成り果てて、しかも 濁った水に操られた、ぽっちゃり太った少年だった... そして、今彼は身体能力を最大限まで引き出され 各部位に損傷を来しながら4人へと襲いかかる!! 『どしゃっっ!!!』 店舗へと突っ込んだハルカは後頭部を 打ちつけた事でバランス感覚を数秒失うも、 「やってくれんじゃない....。 『ミキ』ん時以来よ... こんなにも燃えるのも!!!」 唇からの出血を拭き去りながら慌て蓋めく 店主を余所に立ち上がり、今度は坤を 手にし、霊気を一気に込め、刃を生み出す!! 「けっ...ざまぁ、ないやんか? ...まっ俺様もヒト様の事は言ゎれへんけどな? ...『血化陣』っっ!!!」 民家の壁にめり込んでいた、そのダブついた 身体を抜き出した智明も衝撃で傷ついた 額から流れる鮮血で斬首刀を生み出すと構え 即座に敵に走り寄る!! 「くくっ...お遊びモ、もう少しで オわる...『超振動』+『屈折の纏』 【ライトプリズム・バリア】....。 屈曲拳っっっ!!!!」 『ヴァギャギャギャギャッッッン!!!』 しかし、彼らが立ち上がる、その間ーーー 「馬鹿な!?!」 「...やはり...目的は....くっっ!!」 残るキョウとミッツィーに向かう少年は、 統治者と彼女を守護していた者から 奪い取った『スキル』【特殊能力】を同時に 扱い、更にそこから組み合わせによる新たな “超上級特殊能力”を産み出してしまう!!! 「ニげる事はデキ無いっっんだってばよぉ!!! 僕さマの前にヒレ伏して死ねっっっ!!!!」 少年の周囲に鏡のような物質が出現し、そこへ 彼が放った振動撃が重複を繰り返し、やがて 狙いを定め、超音速で周囲に存在する生物...いや 物質全てを対象に襲いかかり、直撃したモノを 完全に破壊する!!! 「...リフレクション効果か、しかし ソレは読んでたよ?...。 受けてみな!!あたしだけの技....!!! (もうこいつには次は通じない...が、止む終えない。) 『風の核色』を発動、させ更に あたし自身の“力”を付加...そして、 源素よ大気を解放せよっっ!!!!!」 『ズギュオオオオオッッッォッッッ!!!!』 しかし、それを目にしてもたじろぎ 恐れる事なく、キョウは完全と少年を前に 手にした剣を構え、風の核色による力を発動し、 しかもそこへ自分が持つスキルを複合!! 大気をも操り得る程の本来彼女が持つ本質を 解放させ、ソレを剣の一点に止めると同時に 走り出しーーー 「なっニィっっっ!?!!!」 『ズギャッッッッン!!!!』 「名付けて『風神剣』【ウィル・ウィンド】 (...そうか...やはり、この剣はあたしの 能力を...いや、スキルを補助する為に... 媒介となる役割を持っていたんだ...!!!)」 反射して打ち出される振波動を掻き消し そのまま突っ込み鏡ごと少年打ち砕き、制する!! 「なっ...何ナンダ?!?...あの少女 ...ワタシが思う以上に...。(...危険だ!!)」 巻き昇がる真空刃が剣を包み込み間合いを 伸ばす役割と周囲に迫る邪魔なモノを取り払い 斬り裂く力を持つ、まさに風の剣を手にした 彼女を恐怖の眼で何故か見つめるミッツィー... 「けっ...流石ってとこやろか?」 吐き捨てるように智明も言葉を放ち、これで この闘いの全てが終わったかに思えた、 …その瞬間!!!… 『ずびゅしゅあっっ...ずぼぼぼっっ!!!!』 「なっ!?!私の身体が地面に沈む!?!」 「ぅっゎっ!?!なんでや....ね...ぷぁっ!?!」 『べちゃっ...ぬちゃちゃっっ!!!』 「!?!これはーーーっっ!?!」 「...そう言う事か...真に注意すべきは 彼の...あの太った子、自身のスキルだった!!!」 突如!!地面に足が徐々に、だが確実に沈んで行く 「ぎゃっはははははははッっっッッッッ!!! ばぁっっっっかアぁっっ!!!! ボく様のお遊びのジカンは終わりだってば...。 くくっっ...溺れ死ぬがイイ。」 馬鹿笑いを続ける少年は先の攻撃で全身を 空気の刃に切り刻まれているにも関わらず 痛みなど諸ともせずに起き上がり、彼らが 慌て焦る状況を見て、醜悪な表情を見せる...。 『11月30日(木)』 第四九五話 『深淵の宴-泥沼の中の真実-』(11.30.日) 「こっ...こいつわぁっ!?! あの沼みたいやんかぁっっ!!?!」 すっかり腰まで地面に浸かってしまった『智明』は 沼地で引きずり回された事を思い起こし 思わずトラウマになりかけそうで叫ぶ... 『ずちゃっっ...ぬちゃちゃっっっ!!!』 「だっ...ダメ...建物の中でも...。 私達だけが沈んで---ーーーーー!!!! (しかも、速さが増して...これは水の中の様な!?)」 すると、この攻撃に気付き舞い戻るように 店舗へと足を伸ばした『春化』だった、が... 「くくっ...ムダだ....ぁぁあぁっ!!!」 それも空しく地表へと沈んで行き更に、 その速度が増して、段々と彼女しかり 地面が水の様になっていってしまう!! 『ごぽっっ...ごぽぽっっ!!!!』 「くはっ!?!...、これはっッッ!?!」 奇妙な話しだが、彼らは地面が水の様に なってしまっている為に、溺れ死ぬ危険性を 危惧(きぐ)し初めていた... 「...他者に“能力”を添加(てんか)させる タイプ...ならば距離がーーーー」 『京香』は『スキル』の射程距離を考え ある程度離れてしまえば効力が無くなると 践み、風の促進力を使って場所移動を試み ようとする、だが... 「ぎゃはははっ!!!ムダ無駄ぁっっ!!! このデブちびの“力”は一度、添加されたら 最後、死ヌまで効果は尽きなィい!!! ぐはははっ、まさに豚に真珠だッたワけだぁっ!!」 少年の口を使い喋り、わざと腹の肉を 掴み上げ全てを嘲笑う、潜むモノの言葉で 一瞬の躊躇の後に、それが真実であると確信し 彼女は他の打開策を考える... 「っ...泳いでいればどうにかなるが...。 何時までも体力は持たない...どうする!?!」 立ち泳ぎでどうにか呼吸をこなす『光恵』だったが いつまでもコレを続けるワケにもいかない 事に敵のスキルによる効果の真価を感じていた...。 「ぎゃっははははッ!!! 『幻魔』達であればトモかく お前ら人間達は水中での呼吸は出来ない!! だよなぁ?...くくっ、どれくらい保つ のか楽しみにだゼィ!!」 ぽっちゃり太った少年の身体を器に操りながら 濁った水は即座にその場を後にして 迎撃に備えての間合いを取る... 『ずちゃっ...ぬちゃちゃっっ!!!』 「奴さん...考えぉるわ...このままやっ... うっぷ、...ったら...確実に俺様が 最初の犠牲者に....げふぁっ!?...なって しもうたる...!!」 体力が一番すり減るのも早ければ、それ自体が 既に無い智明は自らの体型を恨む 「...障害物に捕まっていな!! ...あたしらの身体に付加されたのは、 地面に沈む...っと言うもんなんだろ? だったら、時間稼ぎにはなる筈だ...。 その間に...あたしが奴を討つ!!!」 『シュヴァォオオオッッッッン!!!』 1人自分のスキルを使いこなせばこの事態を 乗り切れる!!っと確信したキョウは、 手にした剣にスキルを込めると同時に 大気の力で空中へと舞い上がり少年を追う!! 「キョウ...はぁはぁ....本当だ...。 どうにか....って!?!わっ!!! 私が触れたモノが...いや、私だけじゃない!?! 地面みたいに水みたいに....これじゃあ 本当に時間稼ぎしか...っく!!!」 『じゃぽっっっぉん!!!』 ハルカはキョウに言われた通りに店舗の 柱に手を掛け事なきを得るが...それも 束の間、直ぐに地表の様にグニャリっと とろけた感覚の後にそれがまるで水の様に 身体を通り抜けてしまう...しかもーーー 「扱う者が...変わるだけで...こんなに 恐ろしい力となるのか...ぐっ...。」 この効果の浸透は早く、物質が次々に自らの 手にする事すら出来なくなっていた...。 「げっひゃはははははッっっ!!! 俺様ぁムテキだぁっ!!!」 キョウの追跡も追い付かぬ程の走りを 見せる少年は、馬鹿笑いを繰り返し、負担を 強いている為にボロボロになって行く 少年の身体を無視して、館へと向かう...が、 『ドカッッン!!!!』 …その途中!!!… 「....〜〜〜いった-い...ぅう...。」 よそ見をしていた為に何か柔らかい感触を 持つ物体に体当りをして弾かれてしまう!! 「っっ!!!....てめぇっ!!!! ドコ見テ、ウロついてぃやがる!?! ...良くみたら、この糞デブがっぁぁっっ!!!!」 即座に立ち上がったぽっちゃり太った少年は 目の前で同じように完全に太った少年に 激怒し、叫ぶと腹部をぶつけられて苦しむ 彼を怒り任せになぶろうとする...が、しかし 『ぱしぃっっっ!!!』 徐にノソッと、起き上がった 目の前の眼鏡を掛けて太った彼は殴り掛かる 少年の拳を軽く捌くと、同時にーーー 『ドギャッッッン!!!』 「ぎゃぃぅっっ!?!!!?」 「いやはやなんとも...ボクのお気に入りを これ以上、君にどうにかされるのってば〜 ....気に入らないんだよネッ!! (デブって言われるのは“服だぬき”より良いし。)」 カウンターによる一撃を懐(ふところ)に見舞う!!! まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |