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『12月1日(金)』 第四九六話 『深淵の宴-対の存在-』(12.1.金) 『春化』『京香』『智明』『光恵』らが 『ベクター』街へと辿り着き、再び 4人となって間もなく、始末された筈の少年が 姿を現し、彼の持つ『スキル』【特殊能力】 『地走り』の真価を発揮させ、一行を 全滅の危機にまで追い込む...更に、“力”を付加 されたまま逃げられてしまった為に 解除する術も無く、途方に暮れていたその時!! キョウは自らのスキルを解放、ぽっちゃり太った 少年に巣喰う濁った水を追う!! しかし、彼女が追い付くその前に...敵の前には 彼ら『選ばれし者』達と対を成す存在が 1人と偶然の様に出会い足止めを受けていた... 「げっ...げっハッッ!?!! ...こっん、糞がっあぁっぁっ!!!!」 眼鏡を掛けて太った少年から受けた打撃が 想像以上に内部へと浸透し、自らダメージを 負ってしまった事に焦る彼は、間合いを取り 目の前の少年を警戒する... 「いやはや、だからねー....。 その子からさっさとボクは出て欲しい ダケなんだよぉ〜、ネッ?駄目???」 無邪気に微笑む彼を意識し、一撃でしとめて やろう!っと憤怒する潜むモノは、 近付いて来るのを見計らい、吸収した スキルによる迎撃を打ち放つ!!! 『ドギャギャギャッッン!!!』 振動による連鎖爆破を巻き起こし 焼殺した!っと確信した少年はさっさと 館へと舞い戻ろうとする...が、 「ひゃぁっっ〜〜〜〜、おっとろしぃ “能力”だねぇ〜ボクちびったかも?!?」 平然とその場に立ちそびえる彼の姿を見て 驚愕の顔を浮かべ、思わず構える... 「...デブ...てめぇ何もんだァァッッ!!!」 少年の声で吠える水へ彼は静かに返事を返し 「あっはは、ボク?ボクはねぇ〜。 『異界の闇覇者』って言う、メンヴァーの 独り、『月影 真』【つきかげ しん】 って言うんだよネッ!!」 丁寧な自己紹介を行う... 「異界...あ”ふざけンなぁ!!! 崇高な彼ラの名など使ってんじゃねぇっ!!! 糞みたいなデブ!テめぇがその一人で あるハズがネねぇっっだよぉおお!!! 死んで、俺様の糧と成りやがれれれっっっ!!!」 しかし、それをまったく信用しようと しない潜むモノは吐き捨てるように叫びながら 未知なる彼の力を恐れつつも、接近戦を挑む...だが、 …次の瞬間!!!… 『ヴァジュァァッッ!!!!』 「ゎははっ、さっきの一撃で君は 逃げるべきだったんだけどな〜。」 スキルを付加させた打撃を繰り出そうとした 彼の身体と水の意志とが外れ、ソレだけが少年から 力無く飛び出し地面へとこぼれ落ちてしまう!! [なっニィイ...これはっっ!?!!] 突然の事に困惑する更に濁った水は、少しの後 ぽっちゃり太った少年の身体に戻らんと する...だが、しかし 「いやはやなんとも、もう君の場所は 無いよ...それとも続ける?」 [!?!!] 即座に彼を抱き抱え、手にした真により防がれ 行き場を無くし、泣く泣く館へ辿る道へと 逃げ帰って行く...。 『12月2日(土)』 第四九七話 『深淵の宴-運相-』(12.2.土) 『ヴァシュァァッッッ!!!』 「...見付けた、ぞ...んっ...もう一人いる?」 上空から足止めを喰らい逆にノされてしまった 水を確認した『京香』は思わぬ事態に警戒 しつつ、彼らの下へと静かに舞い降りる... 『にゅっっ...ちゃっっ...。』 「...沈まない...なるほどね...。」 すると地面に沈むことを覚悟していた 彼女は足をその場にとられる事無く、足場の 泥が踏み締められる音だけで済んだ事で 確信する...今、此処から立ち去ろうとしている 眼鏡の少年が“力”を解除させた事を... 「...キミがその子から水を抜いたんだな...。」 徐に茂みへと入って行こうとする自分に声を掛けた キョウの存在に漸く気付き振り返った『真』 「んにゃ?...あははっ、いやはやなんとも...。 結果的にはってか、君達と戦っていたんだね? ...まっ、それはそれで良いかなぁ?」 だが、彼は平然とそう返し、真の顔を見た 彼女はその瞬間に、目の前の見覚えがあるアレは 『異界の闇覇者』の仲間だと思い出す!! 「...敵対するキミに救われたって事か...。」 「へぇ-、ボクとはまだ1〜2度しか出会って ないのに良く覚えてくれてたんですね〜! 結構嬉しいな〜、いやはやなんとも、一応 自己紹介しますネッ!!ボクは君達といちぉ〜 敵対する存在、のー、独りで月影 真です!」 天然なのか?っと疑いそうな喋りに圧倒されつつ 「...面白い奴ね...『勇二』みたいかな...。 あたしは、雹ノ 京香、キミ達とはいずれ 決着をつけなければいけないんだろ?」 自分のペースを崩さずに、会話を続ける 彼女だったが、今までとは違ったタイプの 真に少し気を許してしまう... 「ゎははっ、それはそ〜言うシナリオ って事ですからね、それはそ-と、良いのかにゃ? みんな、いきなし“能力”が解除されたから 大変な事になってると思うけど....?」 「...大変...!!...そうか、沈みが 戻れば...くっ...仕方ないな...。」 「ボクももっとお話し、京香さんと してたいけど、この子の事があるから...。」 「...あたしの事はキョウで良い...。」 「あっ!ボクも真とかもしくはデブで 良いですから〜、それじゃ!! 『絶陽地帯』で待ってますから!!!」 不思議と敵対心を感じられない真が何故 自分達の敵なのかを考えつつ、 その場で別れ、埋まってしまい 今度は圧縮に苦しめらえているであろう 仲間達の下へとキョウは飛び立った...。 『バギャッッッン!!!』 「...おぃ、大ジョブか?『智明』!!!」 一番体積密度が高い智明は唐突な圧縮により 呼吸器を潰されかけて瀕死の状態だった為、 もう一歩遅れていたら死んでいた...しかし、 どうにかその手前で助け出された彼だった...が、 他の2人はさして問題はなかったものの やはり気絶から意識を取り戻すまでに 丸一日が掛かってしまった...だが、 「ぅ...うぅん...俺様は...。」 そのお蔭で彼は次の日には目を醒ます...。 『12月3日(日)』 第四九八話 『深淵の宴-思惑-』(12.3.日) 「...ボクと同じ道だったから...。」 背中におぶった少年をしっかりと片手で 抑えながら『真』は何かを思い馳せていた... 「それも良いさ?...それはけふらが 干渉する問題ではないからね?」 すると、彼の目の前へ唐突にパジャマ姿で ナイトキャップを被った人物が現れ声を掛ける 「あっ...ボクは...その?!」 「ふっ、けふとて自由に動いているんでね? ...真君が、それを望むならそうすれば良い。 彼の目覚めが近い、だからこそ...。 “自らの望むままに”それが唯一の規定で あった筈だがね?」 彼の存在に脅える様に萎縮する真だったが その言葉を聞き、少し落ち着きを取り戻し 「...ぅん、解ってる...でも、ボク達は いや、ボクは本当に望んでいるのかなぁ...。 いやはや、ここまできて...それもないけど。」 返事を返すと、同時に足を踏み出した 「...『幻魔』の...そして、現世の 人間達の仕打ちを忘れるな...。 じゃあな...けふはこの地で試さねばならない...。」 そして真が横切る瞬時、彼は呟く様に 言うと自らもこの場から立ち去った...。 「ったく、あの“能力”...あっ 今はもう『スキル』なのよね? アレのせいで服は汚れるはナニはで 最悪だったわ!!」 『春化』は洗濯された服を再び着こなしながら 文句を言いつつも、あの“力”が持つ 恐怖を実感していた為にいたたまれない 感情を吹き出していた 「相手に付加や添加させるタイプの能力(ちから)は 複数で動く場合危険性が高いな...。」 不意に横で話しを聞いていた『光恵』が 即答すると、同時に飲物に手をつけた... 「...2人共、『智明』が漸く目を醒ましたよ? もう少し寛いだら...さっさと此処も 解放してしまわないと、な?」 『京香』は何れ闘わなければいけない相手と 対時した事で、迷いが生じていたが、 それを振り切るように声を張り上げる 「...ぃちち...まぁ〜だっ、だるぅ〜 ってのが抜けへんけど、まぁ...どうにか したるわ...その前に、腹ごしらえを 要求しても良ぇ?」 徐に起き上がった智明のソレを飲み、 一行は食事を行った後、街を後にした...。 「『護』ぅ〜僕らの予定とは少し 違うけど、あそこで真公ってのはどうなの?」 「『亮』...案ずるなよ? 僕らの計画は完璧さ...全ては出揃った。 後は、彼女と彼ら次第さ?」 ベットで悶える護を抑えつけながら耳元で 囁く亮はニヤリっと笑みをこぼすと 自らの唇でその口を塞いだ...。 『12月4日(月)』 第四九九話 『深淵の宴-封殺-』(12.4.月) 「この道を抜ければ...支配者が巣喰う館か...。」 『光恵』は踏み締めた大地を蹴り上げ 眼前に迫った館を睨みながら汗の滴を落とす 「...けっ、どうせ、なんやら罠が仰山(ぎょうさん) 仕掛けてあるんやろがぁ? ...さっさとブッ潰したるゎっ!!!」 食料を胃に得た『智明』は強気で言い放ち 手にした斬首刀で周囲の緑樹を斬り裂く!! 「...本当に良いのか?」 「けっ...だ〜かぁら〜俺様も思ってたんや! ...今回だけはタダで貸したるわっ...。 これ以上、奴らの好きにさせてたまるか...!!」 少し前、『京香』は智明に頼みごとをしていた それが、その選択がこの地帯での要になろうとは 彼らは、いや誰もまだ...知らない 「...用心をするんだ...敵は恐ろしく 狡猾な奴だ...今までの敵とは比にならない 我侭(わがまま)とも言えるけどね?」 キョウの言葉にクスっと笑った『春化』だったが 全身全霊の“力”を振り絞り未然に 敵襲を感知するが為に気を集中させる...。 『ギシィィッッッ!!!』 唐突に開かれる扉は不気味な物音を立てて 彼らを自ら出迎える... 「...明らかな罠じゃないか...。」 「此処の支配者の野郎...そ-とぅタチが 悪いんやな...。」 誘われるがままに館へと足を踏み入れた 一行はそれと同時に物凄い勢いで閉まる 扉には目もくれず赤い絨毯の敷かれた廊下を進み、 フロア内で次階へと繋がる3つの階段を発見する... 「赤?青?....黄色...絨毯の色じゃない!?! 階段に彩色が施されているわ...。」 「....。」 思わずその光景に声を上げるハルカは不意に青い 階段へと手を掛けた...すると、突然!! 館内に誰かの声が響き渡る {待ち詫びていたよ、僕らに選ばれし 冒険者くん達...でもネッ?} 更に肉声が響くとほぼ一緒に今の今まで 存在しなかった、細身の少年と縁無し眼鏡を 掛けた青年がそれぞれ別の階段上に姿を現し、 一行を見下ろす...。 「...そなぃな芸当しかなぃんかぁっ!!!」 『ばしゅぁぁっっ!!!』 既に手の甲を斬り付けていた智明は出現に 併せて叫ぶと同時に『スキル』による 先制を繰り出す...が、 『らりぃ〜〜〜〜ん!!!!』 舞い落ちる薔薇の花ビラがそれらを全て 空中で吸収し、物質と化す前に消失させる... 「...通り一辺倒で馬鹿みたいだな...。」 勿論、そんな芸当が出来るのはーーー。 まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |