『12月13日(水)』 第五〇八話 『導く先に光在れ〜水の核色〜』(12.13.水) 館にて『京香』は『真希也』と 『智明』は細身の少年と対時し 先に決着を付けた『春化』は『光恵』を その場に残し、真紅の階段へ足を踏み出した... 「キョウ...貴方も『無明の蒼』 【ブルー・コーティング】によってーーー 青銅の彫刻へと変化させてあげますよ...!!」 “ボーン・ブレット”牛の角をイメージして 生み出された古代の闘具を手に素早く攻撃を 仕掛ける真希也が、完全に彼女を捕らえ 攻撃を喰らわせようとしたーーーー …その瞬間!!!… 『ガフャッッッッン!!!』 「なっ...にっっっぃ?!!!」 キョウの周囲に半透明な泡が唐突に出現し 彼女を覆い隠すと同時に襲い来る攻撃を 弾き、勢いがついたままの彼をも弾き飛ばす!! 『どがっっすっっ!!!』 「...貴様の『スキル』【特殊能力】を 解除するにはーーーー 完全に真希也...君を消すしか無い、それよりも 心残りは下種をまた現世に送ってしまう 事か...さぁ、遊びの時間は此処までだ...。 『水の核色』発動!!...。」 そして、突然の出来事に戸惑う彼は 「なっ!?!...有りえない...。 くっ、僕を攻撃から守れ!!! ブルー・コーティーーーー」 スキルにてキョウの反撃を防御せんとする...だが、 「...『ドメィン』に詫びながら 泡の様に消えろ、永遠に!!!」 『ヴァジュアァッッッッッ!!!』 「...ひっ...なんデスか、これぅぎゃぁっ!?!」 剣より打ち放たれた泡は金属物質など余裕で 溶かし、彼を取り囲むと数秒で肉体を 跡形もなく消し去ってしまう!! 「...オレの勝ちだ...。」 『ガスッ!!...ガガガッッス!!』 智明の腹部を中心に多量のダーツの矢が突き刺さり 細身の少年から投げ放たれるソレを捌(さば)く “力”も速さもが既に彼には残っていなかった... 「...くっ...このままじゃ...全身 奴のスキルと矢で穴だらけに...なって まぅ...せめて武器を生み出す間が...ぐっ!?!」 『カヒュぅッッッン!!!』 「くははっ...遅いな...血液を武器に変化 させる力なんて...オレの『1cmの歪み』 【キープ・コースト】の下には及ばない ちゃちな“能力”だ...。」 接近戦に持ち込む事も出来ず、四肢の筋肉とうを えぐられた智明には行動する事さえ 激痛を伴い難しい...しかし、 「けっ...臆病もんがぁ...良くほざきよる...。」 「...何?」 「...お前の事や!...くくっ、俺様と まともに正面からぶつかる自信がなかったんやろ?」 そんな中で彼は少年を何故か挑発する... 「...良いだろう...望み通りにしてやる...。 でも、そんな挑発にはのらないねぇ?」 「...けっ、そうかぃ?(お喋りの時間あんがとよ?)」 だが、警戒する少年にソレは通じず、 これで術(すべ)は全て絶たれたかに思われた、が …次の瞬間!!!… 『ガキャッッッン!!!』 少年が投げたダーツの矢は智明が会話の間を 突き、産み出した鮮血の盾によって弾かれーーー 「くっ...だが、その程度でーーー」 「けけっ、一瞬の差が命取り、って奴や!!」 『シュパパパッッッ!!!』 更に、一瞬の怯みを利用し智明は細い針へと 飛沫を変化させ、少年に浴びせる!!! 「...究極の汎用兵器が誕生したよ?」 「ぅん、これで僕らは...全てを超える...!!」 “永劫の水”が融合した何かを前にして ほくそ笑む2人は、駒を既に3つ館の中枢へと 自ら進めていた...最後のシナリオを完成させる為に...。 『12月14日(木)』 第五〇九話 『導く先に光在れ〜真価〜』(12.14.木) 銀色のタイルが敷き詰められた部屋が 『智明』の鮮血で真っ赤に染まって行く... しかし彼の血液だけではない、対時する 細身の少年は投げ放たれ防御し損ねた 飛針を各所に喰らい、小さな穴からドクっドクと 血流を吹き上げ垂れ流す 「...ぐっ...このオレがダメージを??? (『1cmの歪み』【キープ・コースト】じゃ 捉え切れなかった...だと?!?)」 何かしらの敗北感に襲われる彼は静かに 呼吸を整えて無言のまま智明を睨み付けた 「...けけっ、その眼は既に俺様に 降伏してます。の眼やなぃかーッ!!! 素直やなぁ?...ってかよぉ、お前の“能力”はーーー 相当の集中力を必要とするみたいやなぁ?」 自分を恐れ警戒しているのを読み取った 智明は畳み掛けるように唇から血を流しながら 叫ぶと、同時に気力で立ち上がり 手にした斬首刀を徐に構えた...そして、 「...死にぞこないは黙って、なぁ? 今、楽にしてやるよ?」 …次の瞬間!!… 『ブッッッン!!!』 「その台詞〜そのまま返すかんなぁ!!!」 彼はそれを飛び道具の様に少年に向かい投げ 単調に思われた此処から智明は“力”の 真価を引き出す!!! 『ヴァジュッッッン!!!』 「ふっ、そんなモノ避けるまでもない...。」 『スキル』により独特の軌道で迫り来る 斬首刀に風穴を開けまくる少年は、その場から ピクリっとも動かずに軌道をずらし回避を 物体自らに行わせんとする...しかし、 「お前がそうする事は既にお見通しって 奴やろがっっ!!! お前、顔に似合わずアホやなぁっ? 見せたるわ、能力の真価スキルの力って奴をぉ ーーーー『血化陣』っっっッ!!!!」 『ジュパパパパパッッッン!!!』 既にそれを見越していた智明の狙いは 別の箇所にあった、それが使い道を変え 臨機応変に闘える安定した強さ... 「ぐっふっっ!?!!! (なっ...刀みてぇのを途中で血液に...。)」 智明は斬首刀に投げ放たれた際に 一度元の血液へと戻る様に命じ、更に もう一度、発動と共に真紅のダーツの矢へ 変化し敵に突き刺さる様に操作していた!! 「...武器を産めるんならぁ〜元にも 戻せて当然やろが?」 傷口をスキルにより強制的に埋めた彼は 致命傷を負い、銀タイルの床に伏せた 少年を横切って先へと進む...。 青銅によって塗り固められた人間達が、今 青年のこの世界での死により解放された 「...此処は危険だ...階段を降りて行けば 館から出られる...。」 『京香』はそれだけ残すと足早に先へと 向かい、部屋に備え付けられたドアのノブへ 手を掛けるとかなり強引に思いきり引いて 館の中心部に足を踏み入れた... 「『ムスビ』くん...わたち...達、 くっ...まだ、これから...なのね...。」 “永劫の水”と青年の呪縛は解かれたが 傷口とムスビの欠落はそれに等しく存在し 彼女を苦しませる、しかしキョウらを信じ 『ドメィン』はひたすら祈り続けた...。 『12月15日(金)』 第五一〇話 『導く先に光在れ〜大罪〜』(12.15.金) 「くっ....待て...俺に情けを.... 掛けているつもりか?...げふぁっ!?」 細身の少年は吐血を繰り返しながら 横切った『智明』に向かい出来得る限りの声で 叫び、指先を向けた 「止めとけや?...お前らにはそれになりに あの甲(かん)高いガキの声を持った支配者に 従う必要性があったんやろ?」 「...くくっ...甘めぇよ...あんた...。 死ねっっっ!!!!ーーーー『1cmの歪み』 【きぃいいっぷ・こーすとぉおぉ】!!!!」 『ザキュッッッン!!!!』 しかも足を止めた彼へ狂った様に笑い声を上げ 少年は再び『スキル』による攻撃を 行おうとする...が、 …次の瞬間!!!… 「ぎぃぁっ!!?...そうだ....ソレで...良い...。」 身体を突き刺していた真紅のダーツの矢が 変化し、少年の身を斬り裂くように 一点に収束して元の武器原型、斬首刀へと 舞い戻り止めを刺した!! 「...お前わざと....けっ..胸糞わりぃ...。」 「はっはは....気にしないでよ...。 お兄ちゃん...あんたは俺みたいに 掴み損ねないで、大事な何かを守れるよね?...。 その強さで...絶対、俺の様に...ならないで げふぁっ....ねぇ...。」 少年は笑みをこぼしながら歪みに沈む.... 「けっ...大きなお世話や...。」 智明は颯爽と扉を開け放ちその場を後にした...。 『ばたあぁっっっん!!!』 扉を“力”任せに破壊し、一つの部屋に智明は暫く 廊下を歩いた後に辿り着いた 「....なんや、2人共ーーー もう先に居たんかぃ!!」 破壊により巻き上がる煙が治まり切る前に 自分へと刃が2つ向けられ、首根っ子を 抑え付けられ床へ押し倒された智明は 否応なしに殺されると思い笑顔で声を掛けた 「...何だ、智明か...。」 「随分ーーー遅くもないんだ、これが! 私達も今着いたトコロなのよ?」 『京香』『春化』達そして智明が歩いて来た 廊下は同じもので各所の扉から此処へと 繋がっていた、彼女らはその道を歩いて いる際に出会い共にこの部屋へと移行していたのだ 「ふぅ...ありがとよ?キョウ。」 「...それにしても酷い傷だったな...。」 「みんな無事に来れて良かったわ...。」 3人は一旦の休憩の後にドアが一つしか無い この部屋でイベントを待つ...。 「あ〜ぁ、此処まで遂に来たよ...。」 「計画に支障を来す存在はもう居ない...。 さて“永劫の水”があとは招き入れた 彼らを養分とするだろう...。」 支配者である少年達は、フィナーレを迎える その前に結合の意を行い静かに汗を流す...。 『12月16日(土)』 第五一一話 『導く先に光在れ〜視(み)来〜』(12.16.土) 『どきゃぁっっん!!!!』 「くそっ...俺様の一撃でも破壊出来へんとぁ〜 中々どうしてやないか...。」 『智明』の攻撃は部屋の壁に傷を付けるが 破壊までとは至らずに大人しく一行は 今、暫し待機せざる得ない状況下に置かれる... {やぁ、さっきは『亮』が世話になったね? 僕は支配者の1人『護』...。 今から部屋の結界を解くよ、そして 扉を出現させる、そこから来なよ? 楽しみに待っているからさ?} 『ぱひゅあぁっっっっ!!!!』 不意に苛付いた智明を慰めるように支配者からの 放送が入り、挑戦の言葉と同時に部屋に扉が出現した!! 「...さぁて...あたしらを駒として 遊んでいた奴らの登場ってワケだ....。」 『カキャッッッン!!!』 手にした剣で扉を真二つに叩き割った 『京香』は何事もなかったかのように いたって冷静に足を進める、それに継ぎ 「きっつぃお仕置きが必要ね....。」 『きゅぱぁっ!!!』 『春化』もいつの間にか手にした坤で 舞い上がったソレを横に斬り裂くと 十字を生み出し智明に向かい笑みをこぼす 「けっ、アピール過剰やっ!ちゅーねん!!」 先に扉を壊して入室した彼に対する当てつけとも 言えなくはないが呟き最後に智明が枠組みを 静かに潜り抜けた...。 「準備は良いな?」 [御心のままに...。] 遂に支配者達と対時する一行...この地での 決戦が開始されようとしてた...。 まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |