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『1月5日(金)』 第五三一話 『高原の誘い』(1.5.金) 『おろろ〜ん〜〜〜オロロ〜〜ン〜〜〜!!』 「…今夜も吹くよ、あの風が〜 己(おのれ)を保てぬあの風が〜…。」 アコーディオンを手に奇妙な詩(うた)を歌う 銀髪の青年は夜風に身体を晒しながら その詩を笑みをこぼし歌い続ける 「来るよ〜来る、この音に合わせて “ジブリ”が来るよ〜、悪い子 さらいにジブリが来るよぉ〜。」 無造作に置かれた巨大な石の上で 演奏を続ける青年はより一層声を高らかに 歌う...すると、 『おろろ〜んん、おろろ〜ん〜〜〜〜!!!』 「ほら来たぞ〜ぉ、愉しくなりたきゃ〜 君らも仲間にお入りよぉ〜 愉しい楽しい、日々がほら...此処に〜。」 荒廃した街に真っ白い粉が降り撒かれ それと同時に荒れた路地にいつの間にか 住民であろう獣人達が存在し、痩せ細った顔を 覗かせながらわらわらと広場に向かい集まり出す 「...あぁぁ...至福だぁあ!!!」 真っ先に辿り着いた猫獣人は上空から 降り注ぐソレを欲(ほっ)し必死に地べたを 這いずり回りながらザラざらとした 舌で粉を石畳かた嘗め取る、途端...周囲の彼らも まったく同じ行動を始め、それだけは 物足りなくなり、正気を失った瞳で ボーッと一点を見つめる...。 「『幻魔』と“能力”(『スキル』 【特殊能力】)を持つ人間達なんて...。 同じだ...それよりも酷い!!!」 犬獣の少年は身を屈(かが)めて打ち震える 親友を庇いながら外の動向を伺う... 「...ジブリが来るよ...もぉ...。 嫌だぁ...お母さんもお父さんも...みんな...。 あの粉でおかしくなっちゃったんだ!!!」 「解ってるよ...おれの母ちゃん達 だって...でも、今は生き残って どうにかするんだ...だから...!?!」 『おろろ〜〜〜ん!!!おろろろ〜〜ん!!』 「ほらぁ〜幸福が逃れてしまうよぉ〜 ジブリに捧げよ〜風が来る風が来る〜 愉しくなりたきゃ〜その子をおくれ?」 青年の歌う声に併せて目に見えないが確かに そこに何かが存在し、眼が血走る住民達の 1人1人の耳元で囁き掛ける... [もっと欲しいかぃ?...欲しいのかぃ? それなら、私に至福をおくれ? ソレをくれるなら私も貴方を楽園に導こう 願い事を叶えよう、幸せを贈ろう!!] 演奏と声に惹かれるがままに彼らは 生き残りが潜む小屋へと向かい足を踏み出す... その顔は明らかに何かの中毒症状を示していた...。 『バギャァァッッッン!!!』 轟音と共に木扉が破壊され小屋に狂気じみた 住民達が乗り込む... 「ジブリが来たよぉ〜ジブリが来たよぉ〜 キミらを求めてジブリが来たよぉ〜〜〜。」 『おろろ〜〜〜ん!!!おろろ〜ん!!!』 宵闇に青年のアコーディオンが妖しく響き 街にそのシルエットが映し出される... その影まるで...悪魔の様に...。 『1月6日(土)』 第五三二話 『大麻の罠』(1.6.土) 「ふぁ〜〜〜〜っっ!!!良く寝たぁ〜。」 眠い目を擦(こす)り擦り徐に草むらから 起き上がった『勇二』は、まだ 寝イビキをかく『光助』の上に跨(またが)り 身体の各所を刺激する...すると、 「あぁっ!?!....----ーーーー〜〜〜 だっ...ダメだってば...って!!!」 妙に反応を示し身悶えし始めたので 勇二は面白くなり続ける、しかし途中 「あはっ、起きちゃった〜ネッ!! おっはよーぅ、光助!!!」 言い知れぬ気持ちの良さに恍惚の表情を 浮かべながら勇二の重みで現実に引き戻され 意気消沈しつつ目を覚ました光助は、 取り敢えず勇二を腰から降ろすと、 大欠伸(おおあくび)を放ち、周囲を見渡す... 「おっきしたのかなぁ〜??? っと、『トモ』なら先に 偵察に行くとか言って出て行ったけど?」 すると、突然!!目の前に『洋子』が 姿を現し彼に声を掛けると知也が居ない 事を不思議に光助が思うその前に行き先を告げる 「あぁ〜起きたよ(汗) ふ〜ん...そっか、じゃあオレっちらも 先に行くかな?ーーー『エキドナ』の街まで もぉ、距離もそんなに無いし。」 「あはっ、ボクのが早起きじゃん!!」 「....変わらないって!10分差じゃない? って言うか勇二くんって低血圧?」 一日を野宿で過ごした一行は先に目覚め先行 したトモを追って行動を始める...。 「...此処がエキドナの街...。 確か、この地で首都の様な場所だと...。 それが何だ?この荒れ様はッ!!...。」 トモは早朝、日がまだ完全に登る前に 街中へと足を踏み入れる...が、 「...人の気配がしない...。」 通常なら門番やらが居る筈なのにそれもなく 無防備な街に驚きを覚えつつ、内部入ると 彼は理由を一瞬で理解した...何故なら既に荒廃 していた街には住人達の気配は無くそれに代わり 只、漠然と渦巻く何かの存在を感じたから... 「こりゃぁ...先にハゥ...いや光助達が 来るまで待った方が無難か...。」 だが、彼が一旦引き返し体制を整えようと 考え後ろを振り返ったっと、その時!! 「...助け...てぇ...。」 『ドサッッッ!!!』 「なっ!?何だぁっ?!!」 いつの間にか真後ろに犬の姿をした 何者かが存在し、振り返ったトモに気付いたか 気付かないかの瞬間に意識を失って しまったらしく、服の袖を掴みながら地面に伏せた... 「...この世界の住人...っか、それとも 光助の様な“能力者”なのか...どちらにせよ このまま放置しては置けないな...。 洋子の能力なら簡易にベットやらが出来る ハズだからな...その前にオレの“陽”を 送っておくか....。」 少年の様子を伺いながら否応なしで背中に 背負ったトモは一刻も早く場から 立ち去る為に広場を走り抜け内側から 破壊された痕跡が見える門を潜り街を後にした...。 「...おぉ!!!」 袋一杯に詰め込まれた白い粉が 少年の1人を捕らえた獣人に与えられる... 「わたしも欲しいぃ!!!」 「あぁ、喉が痛むぅう!!!」 他の住民達は袋を手にした者を妬み いつ襲いかかるか解らない位の殺気を放つ... すると、彼らの耳元でまた誰かが囁く [欲しければ、私に至福をおくれ? くれるなら貴方を楽園に導こう…。] その声に導かれまた夜な夜な彼らは 街をさ迷い続ける...アレを欲しさに...。 『1月7日(日)』 第五三三話 『エキス』(1.7.日) 『高原地帯』中心部に位置する 都市『エキドナ』は既に『幻魔』の手に 堕ち、崩壊していた...しかも、住人達は 狂気の表情を浮かべ自分の欲求を満たす為に 自らの家族や周囲の子供達を生け贄に捧げる事を 代償にソレを手にしていたのだった... 『にゅちゃ〜〜〜にゅちゃちゃ〜〜〜!!!』 「あっ...くぅ...もぉ、許して...ぇ...あぁ!?!」 そして、そのエキドナから少し離れた 場所に『淫獣牢獄』と呼ばれる建物が 存在し、そこに捕らえられた者達が収容されている 「“ジブリ”の為...あれの 精製には君らのエキス...。 つまり“汁”が必要なのさ? 永遠の快楽を与えているんだ、むしろ 喜ばれても良いハズだよ〜、くすっ...。 まぁ、ソレも続けていれば苦痛に変わるけどね?」 先に猫獣に捕獲された犬獣の少年は 衣服を剥され目隠しをされたまま 何処かの部屋に放り込まれた、っと同時に 全身をくまなく嘗め尽くされ幾度となく 果てては無理やり食料を口へと押し込まれ 休み無く再度それが始まる...まさに永遠の快楽が 続いていた...しかも 「あぅぃ...〜〜〜あぁぁっ!!!! ぅぃっ...あっはははは!!」 『どろっ....どろろっ!!!』 その精神が破壊しても尚、ソレは止まらず 涙や鼻水、唾液といった体液は絶えず 流され苦しみが全身を蝕み支配する...。 「あっ!!『トモ』だぁ〜、 誰かを背負ってるみたいだよ?」 不意に『勇二』は目の前から走って 来た知也を先に発見し2人に伝えると 同時に自らも走り寄る 「ふぅ、よぉ〜!!ゆ-じ!!! お目覚めだな?」 「偵察ご苦労様、で?」 勇二に次いで姿を見せた『洋子』は 徐に彼へ声を掛け背負った人物を足し嘗める... 「それがさぁ、大変な事になってやがるぜ?」 すると、トモは背中の彼を横目に 返事を返し一旦、その場に降ろすと続け 「...あっと!!悪い洋子、洋子の“能力”で 簡易ベット出してくれないかな?」 そう頼む...当然、少しの間の後 『ぱひゅっっ!!』 「んっ、出来た〜っと、それでこの子は?」 彼女は快くそれを受け入れ ベットを羽ペンで地面に描き、産み出した 「オレっちの『獣化』に似たような 感じだが、これは本物だなぁ-。」 ベットの上に寝かせた『光助』は呟くと、トモに 街の状況を説明して貰う...。 「...ん...此処は...???...。 ひぃぅわっ!?!!」 突然!!目を醒ました犬獣人の少年は、 周囲を囲む彼らの顔を見て思わず悲鳴を 上げるが、それに驚いた勇二を除く 3人が現状を優しく取り乱す彼に 説明しようとしていた...。 『1月8日(月)』 第五三四話 『真実の一夜-前編-』(1.8.月) 「大丈夫だから、安心して?」 困惑し何が何だか解らず悲鳴を上げた 犬獣の少年だったが、『洋子』の珍しい 優しそうな女性の言葉を耳にすると 少し冷静さを取り戻し再び今度はゆっくりと 周囲を見回した... 「あ、ぁ...ぁのぉ...ぼくは、 とっ言うか皆さんは...何者ですかぁ???」 そして、静かに息を飲み込むと 上目使いに彼女らを見上げる 「オレらは旅する“能力者”って とこかな?...真実を手にする為にね?」 「そおそお!!オレっちらはーーーー」 『知也』に続き『光助』も言葉を放とうと する、が...それを 「別の地帯から色々、解放して来たんだよぉ〜!」 事もあろうに『勇二』によって遮られてしまった 「....!!!本当!!じゃあ...。 “ジブリ”とか関係ないんですね!!!」 不意に言葉を聴いた瞬間、声を張り上げた 気弱な少年は唐突に満面の笑みをこぼし …次の瞬間!!… 涙を流しながらこの地の現状と、その前夜に ついて4人に向かい必死になって語った...。 木扉が打ち壊され、明らかに何かの中毒症状を 示す住民の大人達が犬獣の少年達2人を 捕らえるべく狂気に満ち満ちた笑みを 浮かべて彼らの潜む上階へと駆け上がる... 『おろろぉ〜〜〜ん!!!おろろ〜〜ん!!』 「ヒぃっ!?!」 「シッ!!!声を出すな...みつかっちまぅ...。」 アコーディオンの音色が銀髪の青年の 声に併せて小屋内部まで届き渡り 2人を心理的にもより一層追い詰めて行く... 「一緒に踊ろう〜一緒に歩こう〜〜〜〜 一緒に死のぉ〜、ほらそこにはもぉ道は無い!!」 歌詞に符合する状況に恐怖を覚えながらも 秘密通路を通ってこの場を切り抜けようと 彼らは身を屈めてジッと堪え忍ぶ...しかし、 『ガチャァ〜ン!!!』 「ん?この近くに...ほぉらぁ...。」 「ぅ...あぁっ...助けーーー?!!」 「みぃ付けたぁっっっ!!!」 その甲斐(かい)も無く少年の1人が 物音を立てたが為にその中の猫獣によって 間もなく発見されてしまう、だが 『ドコッッン!!!』 「むぎゃぁっっ!?!!」 野太い枝を手にした少年が背後から猫獣人の 頭を狙い攻撃を打ち放ち喰らわせると 同時に震える少年の手を取って通路まで 一気に大人達の又下を潜り抜け向かって行く!!! 『おろろ〜ん!!おろろろ〜〜〜っっん!!!』 「ジブリは唄うよ、ジブリは唄う〜〜〜、 皆に幸せ有る様に、皆に不幸が有るよ〜に〜。」 ...ほんの一瞬、明暗は分かれた... 『ガシッッッ!!!』 「ひぃいっっ!?!」 「ちぃ!!愚図!!!何やってるんだよぉ!!!」 気弱な少年の足首に先に倒れた猫獣の 手が絡み付き、彼の動きを封じてしまう!!! まだまだ続くのですぞッ!! 『先を見るんッスねぇ〜!! |