『1月21日(日)』 第五四七話 『退廃の緑〜K〜』(1.21.日) 『勇二』『光助』『知也』『洋子』の4人が 気弱な犬獣の少年から街が壊滅した 理由を聞かされていた、その時... 時間軸を平行して『高原地帯』最大の 宴が開始されていた、破滅と再生を持ち得た... 『おろろぉ〜ん!!!オロロォ〜〜ン!!』 銀髪の青年『玲』により奏でられる 演奏によって各人が体内のソレは過剰な 生育を遂げ、宿主を突き破ってその姿を現す!! 「ひっ!?!うぎゃぁっっっ!!?!」 [なっぎぁぁっっ!?!] “能力者”である人間も“ジブリ”の再来を 渇望していた『幻魔』までもが 自らの身体に引き起こった出来事に只、 困惑するばかりで、次々と周囲で内臓を内側から 引き裂かれ誕生する球体を目の前に絶命の 悲鳴を上げ銀色の血流を巻き散らしては その場に果て、歪みに沈んで行く... 「“動脈の玉座”...その名の通りかな?...。」 [うっぅぎぃぃ...貴様ぁっ!!!! ...計った...なぁっ!!!] 不意に必死の思いで玉座に歩み寄り吠える 『堕落した犬獣』【フォール・ハゥンド】の 師団隊長は手にした剣で青年を斬り裂こうと する...が、しかし 『ビュイギャァッッッン!!!』 …その瞬間!!!… [...なんだ...これは...???] 剣を振り上げたと同時に腹部が奇妙な物音を 立てて内側へと引き込まれる様に 亀裂を生じ、どろっとした体液を青年に 飛ばしながらザックリと引き破られた... 「...ふぅん、流石隊長だったな? 君のカルマもやがて世界には必要と なるモノ...じゃあ、またね?」 地獄絵図の様な場面を見ても顔色一つ変えずに たたずむ彼は呟くと演奏を止めた...。 「...てめぇ...はやっぱりぃ...ぐふぁ!?!」 銀色の血溜まりの中には数え切れない程の 肉片と死体がゴロゴロと転がり、それらは 少しの後に歪みへと沈む... 「あぁ、『グファイア』...君、 まだ残っていたんだね? ふふっ、“対幻魔-実戦鍛錬所-”で 統治者『シシ』の恩恵を一番に 受けていただけの事はあったって事か...。」 肩で息をしながら立ち尽くすグファイアに 玲は冷たくそう言い放つと、 「ふざけぇんなぁっっ!!!! てめぇもみちずれーーーー」 『ヴぁぎゅぉおおおっっん!!!』 襲いかかろうとする彼の拳を見て笑みを こぼし、避けると同時に血の池へと 押し倒す...すると、瞬間に腹が引き裂かれ “陰陽の珠玉”と『異界の闇覇者』が 1人『海驢 貴弘』に呼ばれていた 丸い模様が入った物体が産み落とされた 「君、ドイツの学校では居場所が無かった そうじゃないか?...ふふっ、それを “力”で得られる事が解って、シシに 付いていたのだが、自が壊してしまったからな? ...だが、そんなうろちょろされても 隙間を持った人間など不要なんだよ...。」 絶望を目にしながら歪みへと沈み 現世に送られた人間と幻魔達が全て消え去った 場は静寂が舞い戻り、そこに彼が姿を現す...。 「...ゴ苦労様、僕が無理させたんやろか?」 異形な槍を手に黒いブーツで血溜まりを 平然と潜り抜けて来た彼は徐に青年に声を掛けた... 「いや、これは自が本心で望んだ結果 ですからね...それより、足りますか?」 玉座に座り足を組んだ玲は頬杖を 付きながら返事を返す、すると 「あぁ、足りるよ、十分過ぎる程や...。」 「しかし、君も考えたものですね。 怨気を残したままこの方法で現世に 送れば、世界は破綻を来す、そして この世界がアノ世界にとって替わる...。」 貴弘は少し悲しそうな顔を覗かせながら 「せやな...現世の奴らの業は償って 貰うべき代価や...せやけど...。」 「...感傷に浸っている時ではないでしょう?」 球体を全て回収し、その場を去った...。 『1月22日(月)』 第五四八話 『退廃の緑〜L〜』(1.22.月) 「...ヴあぁぁ...。」 『びちゃちゃちゃちゃ!!!』 嘔吐を繰り返し虚ろう瞳は生気を持たず 只、体液を巻き散らしながら幾度も果てる 『淫獣牢獄』に捕らえられた統治者 『シシ』を今、何者らかが助け出す... そして、その頃...全てを聞かされた4人は 遂に行動を開始しようとしていた... 「そぉ...捕らわれてしまった友達や よがり狂って..いや失敬、薬漬けにされて しまった“能力者”と大人達を 解放して戦力を欠いてやれば...!!!」 『洋子』はこのシチュエーション(状況)に 燃え上がり、眼に炎を灯す!! [あはは...お姉さんの言う通り なんです...お願いしますぅ!!! 助けて下さい!!!] しっかりと食事を済ました少年は 便乗する様に目を潤(うる)ませながら 彼らに願い込む...当然、 「オレっちらに任せるってばよ!!! なっ『トモ』?『勇二』?」 「おぉよぉ!!!」 『光助』と知也も軽く受け入れ、残るーーー 「...あはっ...ん〜ナゥ(今、直ぐ)?」 「ぼくの言葉を聞いてた?...当然だろ?」 勇二も渋々それを願望の視線に負け 承認し一同は取り敢えず洞穴へと向かう...。 「???...随分、無防備だね...。」 『エキドナ』よりも近い洞穴を 偵察に出た一行はそこに起きている異変を 肌で感じ取り、優先してその場を 調べる事で意見を一致させた... [あれ?...普段なら門兵が無数に 居て...洞穴も開いているし...。] 「...なぁ、オレだけでも進んで こよ-か?...何か気になるんだよな...。」 あまりに無防備過ぎた為に逆に警戒 していた他者を見てトモは痺れを切らし さっさと洞穴前にまで足を進める... 「ばっ...こうなったら...作戦も クソもない...ぼくらも行くこぉ!!! トモ1人を危険にさらすわけにはいかないし。」 「やれやれ、解ったよ、どうする? 勇二はその子と此処に居る???」 彼の行動を見て洋子はもぉ我慢出来ずに 一同を急かし、光助はそれを見て 乗り気じゃない勇二に呟くと頷いたのを 確認してから、トモと洋子の後を追って 洞穴内部へと潜入した...。 [あのぉ、御免なさぃ...。 こんな事に巻き込んでしまってぇ...。] 「あはっ...大ジョブだって!! 〜ボク的にはダメっぽぃけど〜 あの3人なら〜ん〜説得力無しだね〜(汗)」 気まずい雰囲気を感じ何故か汗を 頬から流しながら取り敢えず勇気付ける 勇二だったが、この場で安全なの? って事に本当は神経を集中させていた... 『ざっざっざっ!!!』 しかも、そんな彼らの前に... 「...はひぃっ!?!...アレってばぁっっ!!!」 招かれざる客が仲間達が消えた洞穴から 唐突に姿を現した!!! 『1月23日(火)』 第五四九話 『退廃の緑〜M〜』(1.23.火) 「...んっ...そこに居るんは誰や???」 『勇二』自らの悲鳴で位置を気付かれて しまった為にしかたなく少年を岩場の背に 置いて場に歩み寄る...そして、 「あっ...あの...『貴弘』...さん でしたよね?...ボクを覚えてますか?」 恐る恐る返事を返し反応を伺う...すると、 「...あぁ、君か....。 僕とて全てを敵に回すわけには 出来へんのやけど...君らは別なんや...。 せやから消えて貰う...。」 手にした異形を槍を徐に構え矛先を勇二に 向ける...だが、それを使い襲いかかる 素振りを見せつつ、不意に 「くっ...ボクだって...!!!」 勇二が身構えたその瞬間、 「何れ...また...な? (僕の半身が僕を消しに来るだろぅ...。)」 弱気な笑みをこぼすと背負った大きな 袋を片手に高原の中へと姿を消した... [あの...大ジョ-ブですか???] 「ふぃ...一応...どうにかなった...見たい〜。 (それにしても何をしょってたんだろ?)」 ホッと一息付いた勇二の下に岩場から 走り寄る犬獣の少年は気遣い声を掛けると 無事を確認し、胸をなで下ろす...。 「これで自から“情”を奪う全ては 消えた...命のタガも外された....。 後は...呼び込むのみ、ですか...。」 『おろろぉ〜〜〜ん!!!オロロ〜〜ン!!!』 不意にアコーディオンを演奏する彼は 自分の下にやがて訪れる者達を待ち “動脈の玉座”前の扉を解放する... 「っと....ずぃぶん...凝った迷路だな...。 あ〜ぁ、もぉ日の光も消失したぜ?」 奥に進むに連れてやがて消え失せる光が 彼らの足元をおぼつかせる... 「良かった、ぼくの“能力”って かなりの汎度だよね? ...ランプで良いかな!!」 「確かに便利だよ〜んー、使える!!! (でも、何故...懐中電灯ではないんだろ?)」 しかし、『洋子』の羽ペンが生み出した ランプを3人が手にした事でかなりの 明かりを得て奥深くへと彼らは進みそこで 巨大な門を発見する... 『ドギャギャギャーーーーッッ!!!』 しかも、到着と同時に扉は自動的に 開かれ、招かれた一同は警戒しながら 洞穴の最終地へ訪れてしまった!! 「『もう一つの自分』【ダブル・スペルマター】 ...か、君は誤解しているよ...。 自にそんな卑猥な感情などない...。 ふふっ...“ジブリ”達の仇...彼らが 代用で済まさせてもらう...。」 青年は再び罪を擦り付け高見を目指す その為の代価に貴弘すらも利用して...。 『1月24日(水)』 第五五〇話 『退廃の緑〜N〜』(1.24.水) 『おろろ〜〜ん!!!オロロ〜ン!!』 「ようこそ、この地の支配者たる者 “ジブリ”が存在していた“動脈の玉座”へ。」 3人が場に足を踏み入れたーーー …その瞬間!!!… アコーディオンの演奏が何処からともなく 流れ、同時に周囲の光る苔(こけ)が部屋内部 全てを照らし出す... 「...きゃっ!?!...これは...生臭い ...と、思ったら...血だらけじゃない!?!」 不意に『洋子』はむせかえる様な血生臭い 匂いを吸い込み悲鳴に近い声を上げた... 「...てめぇ、何...しやがった?!!」 思わず臭いに耐え切れずに鼻を布地で 覆い隠しながら『知也』は叫び 「通りで胸騒ぎがしてたワケだ...。 お前から...この鮮血の匂いが ぷんぷんっと臭ってやがるぜぇっっ!!!」 それに次いで『光助』もイヌ並の嗅覚を 駆使し玉座に位置する銀髪の青年の仕業だと 見破ると即座に身構えた!!! 「ふっ...イヌっころ並の鼻を持って いるってワケですね...この距離から 普通は臭えませよ?」 徐に玉座から立ち上がった青年は、言葉を続け 「...自の名は『玲』...。 この地の支配者ジブリに支えている 只の“能力者”ですよ...。」 一同に向かい歩み寄る... 「ほぉ?...只の能力者がぁっっっっっ んなぁ、怨念に満ちた血の匂いがぁーーー すんのかよぉっっっ!!!」 先手を打ったのは光助だった、感覚と 犬獣の少年との話しで大体を理解していた 彼は怒りを露に玲に攻撃を仕掛ける...が、 [君に死が...!!!!] …次の瞬間!!… 『ドッッゴッッ!!!』 「げふぁっ!?!!」 青年の顔面を殴り付けよとした光助の前に巨大な 影が出現し、逆にその爪に引き裂かれ 同時に殴り飛ばされて岩場へと軽々と 吹っ飛ばされてしまう!!! 「こ-助君!!!」 「光助!?!....くっ!!!」 たった一撃で光助をボロボロにしてしまった 影は玲の真後ろで笑みを繰り返し 再び場から姿を消す... 「ふふっ...ジブリが来るよ〜。 君達のイノチを喰らぃにねぇ〜。」 言い知れぬ不安の中...理解不明な“力”を持つ 彼との死闘の火蓋は切って落とされた!!! まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |