『1月25日(木)』 第五五一話 『退廃の緑〜O〜』(1.25.木) 『勇二』は、気弱な犬獣の少年と 共に洞穴前に居残り少年の保護に勤めつつ 自らの恐怖心に負ける...が、そこに唐突に 姿を現したのは『異界の闇覇者』と呼ばれる 自分達と対を成す存在だった...辛くも 場を切り抜けた勇二は『貴弘』に脅え ながらも声を掛けた事で、彼がまだ一緒に 旅をしていた事までは消えていないのだと 知った...だが、その頃...洞穴内部に 向かって進み行く『知也』『洋子』 『光助』の3人は最端部にて大きな 扉を見付け、徐に開いたそれを潜り抜ける... すると、血生臭い悪臭と共に『高原地帯』が 支配者“ジブリ”が座っている筈の玉座に 頬杖を付きながらうなだれアコーディオンで 演奏を続ける青年『玲』が彼らを出迎えた 『おろろぉ〜ん!!!オロロォ〜〜ン!!』 銀髪の青年は無防備なまま玉座から離れ 血みどろの階下へとその足を向け... 更に未知なる“力”で光助を一撃の下に 叩き潰してしまった!!! 「...っ、『幻魔』かなんかの 援護攻撃...なのかな...。」 洋子は壁にうずくまり落ちた光助へ 視線を向けながら警戒しナイフを構える... 「違う...幻魔の気配すらしなかった...。 こぃつの“能力”か...!?!」 同じく拳を構えたトモだったが、敵の 攻撃が読めずかと言って自分から向かう 危険を得るのを危惧し、硬直状態が続く...。 均衡を打ち破ったのは玲の方だった、 「ふふっ...そんなに恐れないで下さいよ...。 自に対して敵意を向けなければ...。 死にはしないでしょうから...さぁって そろそろ攻撃しますよ?」 『ヴぃぎゃぎゃっっっん!!!!』 “動脈の玉座”...いや、洞穴内部全てに 何とも言えず奇妙でそれでいて害音を アコーディオンから引き流し一同に贈る... 「きゃぁっ!?!!....。 鼓膜...大丈夫かな...くっそぉ!!! ミスルーのナイーーー...!?! なっ!?!身体の自由が効かない!?!」 「...どうした洋ーーー...馬鹿な!?! オレの身体も...くっ!?! まさか...お前の...これがお前の力!!!」 『堕落した犬獣』【フォール・ハゥンド】の 一個師団を軽く潰せる能力... 『エキドナ』で獣人の大人達や “対幻魔-実戦鍛錬所-”で統治者『シシ』を 含め能力者全てを封じた力... 「ふっ...そうですよ....。 これが自の能力...いや貴方がたと対を 成す異界の闇覇者が最近使っている 言葉で言うなら『スキル』【特殊能力】っと でも言いましょうか?...。 『旋律の牢獄』【クラシック・プリズン】 ...一度耳にしてしまえば、それらは 自の思うがままに操る事も...また 脳内によるダメージを直接与える事も 出来る...ふふっ、遅かったですね?気付くの。」 玲の弾き語りは続き、自由を失くした 2人は成す術(すべ)なく操り人形の様に その場に動きを止(とど)める...。 「...耳を塞いだけど...一瞬でも 聴いてしまった...から...ぼくと した事が...!!!」 悔しさを噛みしめながら洋子は この呪縛を取り払う手段を考えるが... 「...オレなら、この程度...!!!」 『パヒュオォッッッッッン!!!』 気を引き上げ脱出を試みようとする トモを見て、それに全てを託(たく)そうとする...。 『1月26日(金)』 第五五二話 『退廃の緑〜P〜』(1.26.金) 「へぇ、初めてそ-言うの見ましたよ...。 仙人とか?...ふふっ、まぁ楽しませて 貰いますよ...足掻いて下さいね...。」 『知也』の動向を見て徐に声を掛けた 『玲』は演奏を開始し、愉しげな音楽を アコーディオンから流す... 「ちぃぃ...嫌味なやろーだなっっっ!!! あんたみたいな奴はコミケでは一撃の下に 倒される〜〜〜のにぃ!!!! (あくまでもぼくらの部活(サークル)の中で!!)」 子馬鹿にした青年の態度に憤怒しながらも 真横のトモに賭ける『洋子』は出来得る限りの 文句を玲にぶつけていたの、だが... 「ふ〜んふぅ〜ん〜〜〜。」 「ちょっと!!!あんた聞いてないじゃん!!! 陶酔してる...くぅ!!!キャラね そ-言うキャラなのネッ!!!」 演奏に夢中になっている為に彼に彼女の 罵倒はまったくと言って良い程、届いていない 「...けっ...余裕ぶってんのも...。 速攻で変わるぜ!!!....。 “古術陽術式”...『発気』 五感に宿る気力の著(いちじる)しい底上げ...!! 『自己強化』【フィール・カスタム】!!!」 しかし、洋子が虚しい引き吊った笑みを 浮かべた瞬間、遂に練り上げた気を 解放したトモが動きを魅せる!!! 「...目で見なくても...解る...。 だってトモが...トモ自体が一回り 大きくなった様に感じる...。」 明らかに気を纏った事で常人でも 肌で感じとれる肉体強化を行ったトモは 五感を支配している悪夢の旋律を 自ら内側から生み出した鼓動の 和音によって消滅させようとする...が、 …次の瞬間!!!… 『つぷしゅっっ!!!』 まるで弦の糸が切れた様な音が小さく 場に響き、突然!!耳から血を流し... 「ん?...あ〜ぁ、馬鹿だなぁ〜。」 「ともぉぉおおっっ!?!!?」 トモは地面に倒れ込んだ!! 「さっき自、説明したじゃないですか? 解ります???...貴方達の脳にまで 自の音符は届いている...そして、彼らには 自己防衛機能があるんですよ、邪魔すると 脳内部で暴れて、直接...攻撃を果たす!!」 解り切った様な表情でそう言い放つ 玲は冷たい目線を送り次は貴方だと言わん ばかりに洋子を見つめた...。 「ぼくは...久々に怒りを覚えたよ...。」 頬から少し涙を流しながら彼女は呟く... 「それは良かった...現世で役に立てて下さい。」 すると煽る様に青年は返事を返す... 「ふっ...どっちにしろ...あんたはもぉ 終わってるんだからな!!!」 「???...狂ってしまったかな?」 だが、それに負け時と彼女も好戦的に 言葉を投げ彼を睨み付けた!! 『1月27日(土)』 第五五三話 『退廃の緑〜Q〜』(1.27.土) 『ザキュァァッッッッッ!!!』 唐突にソレは繰り出され『玲』の背中が 十字に刻まれた!!! 「...自から...背後を....奪った...だとぉお!!」 瞬間、とても遅い速度で時間は流れーーー 「けっ...オレっちの嗅覚がぁどぉの こーの言ってたわりにゃぁ...。 だせぇよ?...お前。」 『どさっっ!!』 傷を負った青年は痛みと衝撃に耐え切れずに 前に詰んのめり勢い良く岩場に激突する 「ひゅ〜っ...COOL!!! さっすが、孤高の狼って奴だネッ!!」 依然、身動きは取れないままだが 自分の言葉の誘導作戦が効を奏した 『洋子』は、『獣化』した『光助』に 応援を贈り、一気にカタを付ける事を願う ...が、しかし 「...まだ....“情”を奪う異物は 生きて...いたのかぁ...???」 狼の様な姿に変化した光助を見て 徐に豹変した玲はアコーディオンを自らの 流した額の血液で真っ赤に染め上げながら 即座に立ち上がり演奏を始め、 場の一同を睨み付けーーー 「...ぐふぁ...くっ...光助....。 気を付けろ...奴の...。」 『おろろぉ〜〜〜ん!!!オロロ〜〜ン!!!』 未知なる攻撃を放つ!!! 「おっそぃなぁ〜...偵察だけじゃ 無かったのかなぁ...。」 ボクは急にみんなの戻って来るのが 遅くて不安になってしまっていた... [あの3人さんなら大丈夫じゃないんですか? ん〜っと『勇二』さんも色々、旅 してたし、さっきだって強い態度だったし!!] あはっ、この子の前ではあんな無理を しちゃったものの〜〜〜〜 ぅゎぁ、不安だ〜よ〜こんなところで 『幻魔』何か出ちゃったらと思うと.... ぅう、1人で対処なんて出来ないよ〜!! 「あはっ...あっ...まぁ、そぉだね〜(汗) っと...。(まずぃ...トイレ...。)」 嫌だななぁ、こんな時にぃ...でも、 我慢するのもつらいし...はぁ、 『ポンッ!!!』 「え?...だれぇっ!?!」 あ”ぁ〜しかもそんな時に限って、横の 犬人君じゃ...けしてない、誰かが ボクの肩に手を掛けた...ちょっち... あっちが出ちったし....あはっ...。 「ぎゃははははは!!!!“ジブリ”が 来るぞぉ!!!お前を殺しにジブリが〜 来る来る、喉笛切り裂きジブリ来る!!!」 影の様な謎の攻撃は“能力”を使用して 身体能力を極限まで引き上げた光助をも 凌駕し、なぶる様に爪による斬撃を 繰り出す...しかし、それに負け時と 「絶剣『木枯らし』!!!」 『グワシャシャシャッッッ!!!!』 [死が貴方に死が...。] 光助も反撃するものの明らかに押され始め 次第に防ぐだけで手一杯になってしまう...。 『1月28日(日)』 第五五四話 『退廃の緑〜R〜』(1.28.日) 『ジャコォッッッン!!!』 遂に直撃が狼の形態を取る『光助』の左肩を えぐり、続けて連撃が彼を襲った!! 「ぅがっ!?!....っっちぃっ...。 こいつ...オレっちの攻撃が効いて いないだけじゃなく...爪しか...実態化 していなぃ!?...まさか!!!」 しかし、どうにか右手の小刀で窮地を退けた 光助はさっきから直接攻撃が爪だけで しかない事に気付き、その正体を掴む... 「闇が来るよ〜宵闇が〜。 “ジブリ”と共にーーーー」 『ドシュッッ!!!』 「...えっ!?光助くん...何で? 武器を手放して....ってアレ!?!」 不意に手にした武器を隙を見て投げ放ち 目の前の影では無く『玲』に直接攻撃を 仕掛け、それを喰らわせた彼は 自分の狙いを信じ影からの追撃が来ない事を 悟ると、ゆっくり地面に降り立ち『洋子』に伝えた...。 「洋子、安心しなよ? オレっち達に奴の意味解んない攻撃は もぉ無駄だ...何故なら本体の音色が 無くなれば影は出現出来ないんだからね!!」 アコーディオンで弾き語る銀髪の青年は 自らの左手に突き刺さった小刀を抜き去ると 鮮血を流し痛みで小刻みに震える... 「!!!な〜る!!奴の演奏によって 生み出されていた産物だったんだ!! だから、こいつが演奏を止めれば!!」 「そのとぉ〜し、ん〜、それにしても ...『トモ』の為にも早いとこカタを 付けなきゃ...行くぞ!!トドメ!!!」 自分の傷の事も考え最後の一撃を繰り出そうと する光助だった...が、しかし …次の瞬間!!!… 「...くくっ...愚かな奴らめぇっっっ!!!」 徐に立ち上がった玲は何故か恍惚な 表情を浮かべ叫び、肉体に宿らせた 何かを今、解放せんとする!!! 『ヴギャォッッヴギョォギョォッ!!!』 青年の表情が醜く歪み、脱皮するように 皮膚がちぎれ銀色の体毛が唐突に姿を 現す...そして、そこには彼とは打って変わった 異形な魔獣が光臨した!! まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |