『5月9日(水)』 第六五五話 『追憶の涙』(5.9.水) 『絶陰地帯』とは完全に闇が疎外され 光のみ存在し、永遠に沈まぬ太陽らが支配する 『絶陽地帯』とは対局に位置する場所だった... そんな中でも最初の人間同士の闘いを 切り抜けた一同だった...が、 「何処やねん?『パルティノン』言うんわ!!」 それも束の間、既に2人の死闘を岩場で 覗いている人物の挑発がままに、パルティノンっと 呼ばれる場に一行は即座に向かう事となる... 「あ〜ぁっ、『洋子』の車があったら 超楽だったのにねぇ〜(脂汗)」 歩き始めて速攻愚痴る『勇二』は UV(ウルトラ・ヴァイオレット)を日傘で避けながら深夜だと言うのに 日が傾かずに照り続ける為、暑さで身体中が 汗でベトベトになり、制服が大変な事になっていた... 「...少し、少し休まないともう どうしようもないね...勇二だけじゃなくて、 みんな限界まで来ているハズだし...。」 不意に歩く速度が徐々に仲間達が遅れている 事に気付いた『京香』は唐突に 後ろを振り返るとそう提案し、当然賛同する 皆の意見のまま洋子に 「OKッ☆...ったく、これなら砂漠のが まだましだっつーの、みんな!離れてねっ!!」 『ばひゅっっっぉん!!!』 「あっ!一種のキャンプなのね!!」 一式の道具とログハウス(コテージとか別荘の家の意。)を 描き出して実物化を頼んだ!! ー数時間後ー 食事を終えた5人は2人を残しロッジの中で 軽い仮眠に就いた... 「『智明』が買ってこの役を 出るとはあたしですら思わなかったよ?」 真夜中だと言うのに太陽に照らし出された 広大な景色を眺めキョウは横の上半身裸で 汗を流す青年に声を掛けた 「けっ...キョウこそ寝ぇつかれへんか? 明日に響きおるやろ?」 見張りが必要だと感じた『光助』の意見で 名乗りを上げた智明に続いてキョウは何故か 自分も起きていると言い彼と時を過ごす... 「...ふふっ、そうかもね?...。 覚えてる?...あの時、『水辺地帯』で キミから受け継いだこの“核色”の事...。」 唐突な切り出しで会話は始まった 「あ”ぁ?当然やろ!? (『ヒロ』の忘れ形見みたぃなもんやからな。)」 「『照射される光明』【シューティング・サン】 あの『スキルマスター』【特殊能力者】の時も 前の『火山地帯』での支配者 『幻魔』からの悪あがきから脱出する際にも あたし達を助けてくれた...。」 剣にはめ込まれたソレは日の光を受け こはく色に目映き輝きを魅せ朝日を再び照らす 「...いや、それはキョウ、お前の“力”やろ。 そいつん力を引き出したんがキョウなんやからな。」 不意にキョウは立ち上がるとそれを 大事そうに取り外し剣だけを背中の鞘へと納め 「...大事にする...でも、キミの最愛な者を 取り戻す時に役立つかも知れないからね?...。 また、あたしがキミの力を借りたくなったら ...その時に貸して欲しい。」 「なっ!?...けっ、高こう付いとるんやで?それ。 ...しゃあない、したらばあいつら起こすか!!」 智明に向かいほんの少しだけ笑みをこぼすと それを徐に投げ渡し彼と共に仲間達を起こす為、 ログハウスの中へ足を踏み出した....。 「ふぁっっ!!もうそんな時間?」 開口一番に『春化』がぼやき眠い目を 擦り擦り窓際から外を覗く... 「あ〜ぁ、ったく...めりハリないよな〜。 オレ何か作ろっか?(料理得意!!)」 何だかんだで朝食までしっかり取り終えた 一同はその勢いに任せ取り敢えず街だと思われる パルティノンを目指し乾燥しきった大地に歩んで行く!! 『5月10日(木)』 第六五六話 『命のパルス〜白濁〜』(5.10.木) 「『弥親』の報告によれば 『未田心 刃』【みたごころ やいば】は 歪みにロストしたもようです。」 殆ど裸体の様な姿の女性がインディアンに似た 格好で身を包む青年にひざまずき 結果を報告すると彼が振り返るその前に 音も立てず姿を消し去った... 「へぇ、面白いな...どうせあの男も 干渉しているんだろ?」 窓際から真下の断崖を見届けた青年が返答と 共に後ろを向くが 「ふっ、もう存在しない...っか。」 当然、そこに彼女は存在せず言葉だけが ただ残されていた 「あの場へ奴は誘ったのだな。 ふっ、好きにすると良いさ? ...我々は結果を残さねばならないかなら...な。」 唐突に側の何かが描かれたギターに手を伸ばした 彼は虚ろな瞳のままに 切ない曲を奏で瞼を閉じた...。 「『椛』から貰った地図には どの位置で描かれてるんだぃ『光助』?」 『知也』の言葉のままに返答する彼は、 「あ〜っと、待ってね、思い出すよ...あっ! そうそう、今から距離的には歩いて 1〜2時間ちょぃだね、でも...此処が街じゃ ないとすると...この先は書いてないから不安だな。」 見開きの地図を頭に思い浮かべ 少し行き先に不安を感じていた 「じゃあ、どの道...そこには行く必要が あったってことよね?」 ゆっくりとした口調で『春化』は会話に便乗し続けて 「ねぇ、さっきの残骸を見る限り...。 あそこに村とか町があったんじゃないの?」 『洋子』も口をはさむ、すると 「あっ!確かに...あったかもよ!? この太陽の地帯じゃ....崩壊してても 当然かなぁ、こればっかりは見て確認するよ。」 「どうだったの?」 もっともだ!っと思った光助が地図を広げると 間違えなく、やはりそこには... 「あった!『ハニンバル』って町が!!」 「え”!?真面目に!?!(冗談だったのに...。)」 最初の拠点となるべく町が点在していたようだった だが、しかし現在はあんな廃虚と化している... 「はぁ、まぁ良いよ進もうぜ?」 一同が訪れる前に何があったのかを推理しようと するも旨く行く筈もなく、無駄に 知恵を振り絞るハルカは少しの間悩み続けていた...。 …次の瞬間!!… ひたすら歩き続ける一行の前に 大きな泉が姿を現す...が、そこは 「ぅ!?この臭い...嘘でしょ?!?」 「あはっ...なつか...ぅんうん?! カルピスみたいだねぇ〜(脂汗)」 異様な液体で白濁し汚水に塗れた楽園だった!!! 『5月11日(金)』 第六五七話 『命のパルス〜一つ目の道化〜』(5.11.金) 『パルティノン』っと呼ばれる場所を 目指し歩き出した一行の前に白く濁った 奇妙な広い泉が姿を現し異臭を放つ... 「...あまり干渉する必要もないな。 迂回して先を急ごうか?...。」 『京香』が言葉を口にした、途端!! 『ぼこんっぼここっ!!!』 「そうは、いきませんぜ。」 唐突に白濁の泉から気泡と共に声が上がり 「久々かなもな?まっとうな『幻魔』。」 頭から鼻にかけて一つ目が描かれた 帽子を被る何者かが何処からとも無く姿を現し キョウの前に立ち塞がる 「へっへーっ、幻魔じゃござぃませんね。 あっしらを恐れているのもあるし。 色々ありましてね、この地帯ではもう 存在しませんよ...ある地を除いてね。」 にやけた笑みをこぼしながら会話を続ける 人物を無視し彼女は横を素通りしようとする、が... …その瞬間!!… 「...なんの真似かな?」 円形の刃がキョウの喉元を掠める!!! 『ジャキュウゥッッッッン!!!』 「へっへーっ、貴公らもパルティノンを 目指していらっしゃるんでしょ? それなら我々はライバルだ、ただじゃぁ〜 あっしは通せませんね、その為の罠ですからな!!」 奇妙な人物の刃を簡単に避け去った 彼女は身構える6人に後ろ手を振り 大丈夫だと合図を送ると 「...キミも支配者側っと言うわけだ?...。 パルティノンってのがなんなのか知らないがーーー あたしらの行く手を阻むなら、それなりの リスクを背負う覚悟って事だよな...。」 『シャッコォッッッン!!!』 現世から移行されて大分月日が経ち 初めはおぼつかなかった剣の扱いにも 慣れそれなりに技も彼女だけでなく全員が 鍛え上げられていた、当然それは既にーーー 「!!?!(このあっしが見えなかった、だと!?)」 免許皆伝以上の腕前に!!! 突然の抜刀によって斬り裂かれた帽子によって 「あはっ、からくりさ〜かすだネッ!!」 内部の顔が露になった!..っと思われた、が 「ほぉ、あっしの目に見えぬとは...。 ただもんじゃない、ふふっ...解りました。 惜しい人材にはあっしも手は出しませんよ、お通りください。 (...あっしのプライドをよくも...!!!)」 眼の部分を覆うマスクを着用していた為 人物の素顔は拝めず、あっさり非礼を詫びると 道を一同に明け渡し人物は後ろ姿を 見送ると狂気に顔を歪ませていた...。 『5月12日(土)』 第六五八話 『命のパルス〜止まない太陽〜』(5.12.土) 「何やったんやろな?あいつは???」 奇妙な人物との遭遇を終え再び干からびた地を 歩き続ける中で『智明』が不意に呟き 疑問を提示した... 「...さぁ、な?...でもライバルとか 言っていたよな、『パルティノン』ってのは 相当やっかいな場所だってのは確かなようだ...。」 すると当事者であった『京香』が先の会話から パルティノンの推理回答を述べ返答する 「そうね、どの道あいつにはもう一度位は 会う事になりそうな予感ね?」 そして、『春化』が意見を放った!っと同時に 「みんなぁ!何か円形の建物が見えて来たよ!!!」 『洋子』の指差し示す場に巨大な球場が姿を現す!! 「『光助』...あれって、さ...東京ドームの ぱくりもんじゃねぇの?」 鋭く突っ込む『知也』に彼は 「まんま、じゃん!!!」 呼吸を併せてそう言い放つ!! 「あはっ、野球オンリ〜なイメージだよねぇ〜? (ボク、あんまり好きじゃないケド。)」 「...んなワケないって、『勇二』もしかして あんまりコンサートとか行かない?」 東京ドームから話しが広がり、少しおいて けぼりを喰らう智明だった、が... 「お-ぃ、何よ?もしかしてあんた ドーム経験無しなのかしらぁん?」 「ッッ!?せやからなんやねんな!! んなもん、行くかッちゅーの!」 旨く洋子の合いの手が入り会話は弾む! 『ばぎょきょきょっきょっっ!!!』 突然!!一同が建物に近付いた瞬間 「ゎぁっ!?!」 「屋根が開いていく...真面目にぱくりじゃん!!」 まるで待っていたかのように上部に 位置する円形の屋根が音を立てて左右に展開し 本来の姿、闘技場パルティノンが姿を豪快に現す!!! まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |