『5月29日(火)』 第六七五話 『覇者への道=許されざる補給=』(5.29.火) 『絶陰地帯』全ての闇が凍結されたこの地を 解放に向かわせる為、先に『弥親』らへ 挑んだ北洋『THE WINNER’S』だったが まんまと返り打に合い残された者共は臆し 頭と数名を殺(そ)げ換(が)え新たな敵側の チームへと成り下がった、しかも その中には『幻魔』すらも混じり 更に仮面道化の人物は、仇成す者の一員であった... 「おぃ、次?....来こいよ!?」 一番手の『智明』が精神的な外傷に 倒れたお蔭で出番を得た『知也』は 言い放つと、打撃で場外へ吹っ飛ばした 『幻想の山嵐』【ニードルズ・ヘッヂ】を横目に鼻で笑う 「...次はどうするん...あぎぃ!!?」 すると最後の正規団員が人物に文句を 言わんとした... …その瞬間!!… 『びきぃっっびききっっ!!!!』 「ぅぎゃぁぁぁっ!!?頭があっぁ離せえぇっっ!!」 妙な手袋をはめた仮面により、頭部を物凄い 万力の様な“力”で鷲掴みにされ、同時... [もぎょ!!?] 真横に存在する幻魔の頭も気でもフれた様な 勢いで握り潰そうとする!! 「おぃおい、仲間割れかよ? ...オレにはもう勝てないって証拠だな。」 不意に場の様子を観察しトモが言葉を発した瞬間 「嘗めるな?...小僧...こいつらでは、 確かにきみには歯が立たないだろうな? ...よって、この『レィドリッヒ』自らが 貴様に終止符を討とう...!!」 仮面の男は仲間達を手に掛けるとそれを自らの エネルギー(力の意。)へ変換し 堂々と舞台に上がって行く...。 闘技場『パルティノン』での本当の死闘は、 これからだ!っと、でも叫ぶかの様に レィドリッヒは、真っ青なマントに何かを 宿らせ少年の前に立ち塞がる... 「...大将のおでましかい? 『智明』も最初の相手が悪かった だけだな...行くぞ!!」 「…愚か者が…『許されざる補給』 【ハンニバル・リアライズ】の恐怖と狂気。 その身でとくと味わうが良い?」 颯爽と攻撃を仕掛けるトモの動きを見ようとも せず、彼はゆっくりと虚う羽織ったモノを広げ 誘うように敵を迎え討つ... 『ろどぉぉおおぉっっ!!!!』 不意に少年の打撃が身体を捕らえんとした …その瞬間!!… 「...なっ...なんだ!?これは!?!」 『スキルマスター』【特殊能力者】のそれが 発動しマントから突如!! 「同化したマントに喰われろ?」 浮かび上がった悲痛な叫びを訴える不気味な顔が 攻撃を身替わり、そればかりかーーー 『ろぉどぉおおぉっっっ!!!!』 「ぅぐっ!!?」 怨念を漂わせ彼の拳を吸収してしまう!! 「ほぉ...反応は素早いな、しかし...。 もう一体を忘れるな?」 しかも、そう吸収された生き物は2体... 『ろどぉぉおおお!!!』 「ーーーっっ!!ちょぃマテ!?! (くっ...おかしい...喰われた箇所に感覚がない!?!)」 幻魔の苦痛に歪む顔が真後ろに距離を取った 少年を追撃し左肩へと喰らい付く!!! 『ろぉどぉおぉおっっ!!!』 「生気を欲しているよ?...きみの身体感覚は このレィドリッヒを倒さぬ限り元に 戻ることはない...ふふっ、さぁ?どうする!!」 真っ青なマントに出現した苦悶に歪んだ 顔が少年の生気を吸収した事で、不気味な 笑みをこぼし更に部位を欲しがる 「くっ...はぁはぁはぁ...言ってろ? (ちッ...これはちぃっとばっかし、やばいな...。)」 道化の言葉通り既に喰い付かれた右腕 そして、左肩は身体感覚を失い動かす事は おろかそこに存在している感触すら トモにはとうに無かった、しかも精神を削られた 事で大幅な加負荷を負ってしまい体力までもが 限界に達しようとするの...だが、しかし 「腕を封じられたきみ勝ち目は無い...。 このレィドリッヒに纏わる高貴の中で 永久の時を生きよ!!!」 再び捕らわれた魂による攻撃を青年が放たんとした …次の瞬間!!… 「腕?...んなもん無くても足で十分だッ!!」 『ろぉどぉおぉっ!!!』 足技による破撃だけで異形な生霊を地に叩き伏せる!! 『5月30日(水)』 第六七六話 『覇者への道=Hands of Growly=』(5.30.水) 『ドグシャッッ!!!』 「具現化していやがるのなら...、 打ち倒すなどたやすい!! 古術ーーーー...。(しまった今はーーー)」 『幻魔』の頭部を持つ生霊を地盤に 叩き付けそこへ『知也』が古術を放たんとするが、 『ろどぉぉおおぉっっ!!!』 「きみの拠(よ)り所とする“能力”は...。 両手発動型だろ?...ふふっ、相性が悪かった 様だな!...我が『許されざる補給』 【ハンニバル・リアライズ】は遠距離からでも 至近距離カウンターにも応用が可能なのだよ!!」 腕の感覚を失った少年には邪悪を滅する技すらも 扱う事が出来ず止めをさせず逆に 人間側からの反撃を喰らいかける... 「トモぉ!!...はぁ、でも...ボクには どうも出来ないし...応援してるしか ないんだよねぇ...淋しい(泣)」 トモの激闘を目にしながら万年補欠扱いの 『勇二』としては、複雑な心境で 彼の闘いを見守る 『ろぉどぉぉっっっ!!!』 「はぁはぁはぁ...くっ...。 (やべぇ、このまま逃げ回っていても 何れは、奴自体本体の攻撃でオレは倒されちまう...!! どうする...どうすれば!?!)」 迷い葛藤する中でも時は残酷にトモの身体を 蝕み徐々にその動きのキレすらも奪う... 「諦めろ...それとも、こちら側に回るのであれば... 命は助けてられなくもないぞ?」 だが、邪悪な笑みを向ける『レィドリッヒ』の言葉は 追い詰められたトモを逆に刺激しーーー 「...ほざけ、カスが...。 オレはオレのまま、お前をこの歯牙で倒す!!」 反撃の活力を与える!! 『ろどぉぉおおっっ!!!』 「そうか、残念だな?...ふふっならば 廃人と化して朽ち果てるが良い!!! ハンニバル・リアライズ...2体の魂を生贄に 邪悪な魂を呼び寄せん!!」 『どろぉぉおおおぉぉっ!!!!』 封じられた2体の魂を生贄に今、場へドス黒い 漆黒の煙と共に邪悪な魂が招来する... 「げはぁはぁはぁ...。(息が苦しい!?!)」 より強大な“力”を呼び身に宿した レィドリッヒは、先の言葉で苛付き一気に 精神を喰らい廃人へと追い込まんとする...が、 「くく、邪悪な魂は生きとし活きる全ての モノを許さない...この場に存在する 貴様はそれだけで生命が削られて行くのだ!!」 頭蓋骨を型どる黒き悪霊が襲いかかろうとする …その時!!… 『ビキュァッッッ!!!』 「“マサ兄”...やっと解ったよ...。 オレがいつもマサ兄に勝てなかった理由...。」 少年は完全と場に立ち塞がり足を高く 天に掲げたまま構え揺らめく霊を一撃の下、穿つ!! 「次も飲み込み...さらに増大する悪霊で 貴様の仲間達も飲み干してやる!!」 『どろぉぉおおぉぉっ!!!!』 迫り来る悪霊の巨大な大口を前にしても 構えを解かず不意に彼が笑みをこぼしたーーー …次の瞬間!!!!… 『めきゅぉめきょきょきょっっっ!!!!』 「これが、古術連武の心髄!!」 「ばっ...馬鹿な...有りえん!!?」 新たなるトモの古術連武が繰り出され暗闇の 塊はこの一撃で一気に場から蒸発、 消滅してしまった!!!! 『5月31日(木)』 第六七七話 『覇者への道=この道はお前に続いている!!=』(5.31.木) 「歯牙だと...?、くくっ!!! 笑わせるな両腕のフ抜けた貴様では この『レィドリッヒ』の呼び寄せた悪霊の前に ーーーー無力!!」 『どろぉおおぉぉっっっ!!!!』 少年の身体を漆黒のドクロが飲み込まんとしたーーー …その瞬間!!!… 『ジュシュサァササッッッッッッ!!!!』 振り上げた右足を勢い良く引き戻しーーー 「オレの牙...それが腕だけだと思うな...。」 火花が散らんかと言う速度で真後ろまで 引き去ると、同時にーーー 「...足技で何が出来る?...もうイィ、死ね。」 爆発的な促進力を生み出し、気を片足に集中したままーーー 『ジャキュァッ!!!』 「古術連武式奥ノ型ぁああぁぁーーーーっっ!!!! はぁぁっっっっ『逆龍奏破』(げきりゅうそうは) 【ツィン・ディフェクト・バスター】ぁぁぁあああーーー」 再び異常な速さにて足を振り、跳ね上がったーーー 『ズギュシャッッッッッ!!!!』 …この一瞬!!!… 「ーーーーっ崩れろッッっ!!!!」 限界を超えた跳躍によって巨大な顎を叩き打ちつけた 足を軸に更なる左足へと繋がり莫大な“力”を得た それは遂にーーーーー 「...馬鹿な...有りえん!?!」 漆黒の暗闇を穿ち貫く!!!! 『ろぉ...ぅぎょぉおお!!?!』 醜悪な闇は『知也』の気を込めた足技による 一撃が撃破し場から消滅させた!! 「『許されざる補給』【ハンニバル・リアライズ】が ...くくっ...ははははっっ!!! 良かろう...おぃ、審判?...We are Lost, 我らの負けだ。」 息を切らせた少年が地に着地した、瞬間 レィドリッヒは数秒の間の後...口を開き言い放つ 「なっ...にぃ...お前...オレから逃げるのか!?」 既に立っている事すらままならぬトモは 納得が行かぬ表情を浮かべ叫ぶ...が、 {...認めましょう!!新生〜北洋の風ぇ!『THE WINNER’S』 VS 『選ばれし者〜智明と愉快な仲間達〜』戦いは〜〜〜、 相手チームの降参により挑戦者サイド(側の意。)の 勝利とあいなります!!!} 青年が舞台を降下する姿を確認し 審判者が頷くと唐突な放送により 言葉通り時は無情に流れ、彼の勝利が確定した... 「僕と再び相対したいのであれば... 死ぬ気でこの『パルティノン』より駆け 上がって来るがよい...だが次は、本気で行くよ?」 背中越しにぶつけられた気迫へ応えた レィドリッヒは振り向き様にそう言い残し 姿を場から消した...。 「まだ...届かなねぇかもしれねぇ...けどなぁ? この道は必ずお前に続いている! 寝首をかかれないように...顔洗って待ってな!?」 トモは出来得る限りの大きさで最後の声を上げ 「...まずい!!...。」 薄れ行く意識そのまま床に倒れて 崩れ落ちてしまった... 「...トモぉ!!!」 そして、即座に駆け寄る仲間達によって 抱き抱えられ医務室へと連れて行かれた 「...ちち...頭がまだ...痛てぇな...。 それにしても...みんな何処だ?」 少年が次に目を覚ました、その時... {さぁ、上昇無敗の選ばれし者チーム登場だぁ!!} 既に次の試合が開始されていた!! まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |