『6月17日(日)』 第六九四話 『獣の数字達“ビースト・ナンバー’ズ”-nine-』(6.17.日) 闘技場『パルティノン』の舞台にて ゾディアックを稼ぐために一つ目の青年が 出した条件を呑(の)み、たった1人で6体の 『幻魔』達と戦う事を選択した 『京香』は、5体までをほぼ一撃で 歪みへ沈めると挑発する様に最後の一体にも 攻撃を仕掛ける、がーーーー …その時!!… 「くっくっーっ...目覚めろ...獣の数字を持つモノよ!! 『獣の数字』【ビースト・オブ・ザ・ナンバーズ】 愛称名“666”....奴を喰らぇっ!!!」 [ボギュルルルルッッッ!!!!] 両手を剣の柄に握り上空から頭部を目掛けて 斬撃を繰り出さんとしたキョウの目の前で 小さな河馬の様な獣はみるみる姿を変化させーーー 「ーーーっにっ!?!...。」 『バキョッッッンっっ!!!!』 肥大し巨大化すると空中の彼女を剛腕で殴り飛ばす!! 「キョウぉおっっっっ!!? なっ...何だ...何ナンだ?...こいつ?! (なんの変哲もない...チビカバが...。)」 まるで人形のごとく投げ出された身体は 有らぬ方向に足を曲げ地に落下せんとする、だが 『じゃりゅりゅりゅるっっっ!!!』 「...ぐっ...布石か...今までは...。 (...左腕と足の骨が粉砕...脇腹も折れている...か...。)」 後方より叫ぶ『洋子』の声を余所、 キョウは冷静に生きている片手で剣の刃を下へと 向け地盤に突き刺し勢いを殺す事で 落下の衝撃を軽減する!! 『勇二』と裸のままの『光助』は、 自室で共に観戦し、洋子は即座に駆けつけ 残る3人も昏睡状態な『春化』を除き 緊急病室にてキョウの闘いを見守る.... 「お察しの通り、獣の数字はある【特殊能力】を 有している...それはーーー」 [ボギュォオオオォォォオッッ!!!] 青年の声に併せて獣はその巨大な口を開け 何かを吸い込み更に“力”を強大とする!! 「ーーー『残留思念の夢』【スリーピン・ドリーマー】 へっへーっ!貴公らなら、もうご存じでげしょ? あっしらのいた...もう一つの現実世界 所謂...現世の悪意...それがこの結果でさぁ!! ...歪みに沈めど残ったソレは場に漂う... そりゃぁ時間が経てば消えちまいますがねぇ?!」 小さな面影は既に無く、凶悪な顔つきを 見せる獣の数字はまるっきり姿を変化させ それは百獣の王ソノモノへと明らかな進化来した... [ヴぁぎゅぉおおおおぉぉっぉぉっ!!!!] 高速を超えた速さで手負いの彼女へ襲い掛からんと 獣は両腕に増えた四肢と鋭い爪を武器に 肉体を引き裂き八つ裂きにせんと詰め寄ろうとする!!! 「奴が...思念の塊なら...。 “ブラィダリティ・デスサイザー”が有効な筈!! (でも、これを受け渡す...隙がもう、無いじゃな...?!)」 『デス・サバイバー』との闘いで 自分の弱さを克服した洋子は一晩かけて 新たな力と『スキルマスター』【特殊能力者】と しての“能力”を手にしていたのだが、現状では それを発揮する術が無く、只... 「たった一人で勝ち抜く条件...。 憶えていらっしゃいますでげしょ?くっくー!!」 彼女の試合を見守るしかなかった 「...案ずるな...洋子...此処はあたしが ...貫いて見せる...口約は守るのが主義でね?...。 あたしの砕かれた骨よ...血液内部の補強...。 一部より養分として甦り...四肢となれ!!...。」 しかし、少女へと応える様にキョウは怯まず 力によって骨折箇所を復元、剣の効力で攻撃を避けて魅せる!! 『6月18日(月)』 第六九五話 『獣の数字達〜ビースト・ナンバー’ズ〜-ten-』(6.18.月) [マギョォオオッッッ!!!!] 『どごっずごぉおぉっっん!!!!』 「ぅぼーだ、うぼぉー!!!(...ははっ...。)」 超強力な打撃がそれを上回る“力”を得て 尖った爪と共に少女に襲いかかる、が …その瞬間!!!… 『シュパァァッッッ!!!』 「...間一髪...か、くっ...風圧だけで...。 (制服が切れている...気が抜けないな..。)」 『風の核色』を起動させた『京香』の 素早い機転により直撃は免れたものの... 「キョウ....良かった...でも...。 (これ...核色の速さを超えているかも...知れない。)」 風圧だけで真空波並の衝撃を受け頬や肩に切り傷を負う 『つっぴゅぴゅっっ...!!』 「ぅぎゃぁぁっ!!?」 [ひぎぃいいっっ!?!] 彼女が間合いを取り敵の攻撃に備える中で 不意に観客席から幾つかの無様な悲鳴と鮮血が舞う {おぉ〜っと!!『選ばれし者〜智明と愉快な仲間達〜』 VS 『クラゥン・オブ・フォーチュン』戦!! 予想外の事態が起こっております!!! 後名の『獣の数字』【ビースト・オブ・ザ・ナンバーズ】が 繰り出した斬撃が地盤と共に疾風の刃を 出現させ近場に居た前列の観客達をそれによって 切り裂き皆殺しにしてしまったぁぁあっっ!!!} 辺りは血の海に染まり場は騒然とする!!! 「良いんですか?『弥親』さん? ...『ダン』の奴め、少々度が過ぎる 嫌いがある...このままでは、観客すらも 皆殺しになり兼ねない...。」 特別待遇席から舞台の様子を眺める仮面の彼の言葉は 「弱きモノに...この場に居る意味はないだろ? 解放と言う目的を果たせずにオーディエンス(大衆の意。)と 化した“能力者”達や堕落した『幻魔』等は 無用の長物...むしろ好都合ではないかな?」 その男のソレにより打ち消され 「...正論は時に...人を歪めるのではないか...?」 「ふふっ、そうかもな?...只...それが現世の 役割だろ?...ワシにはワシの理論がある...。」 彼らの会話に新たな人物らが加わろうとする、 「おっす、リーダー(集団の中での責任者の意。)。」 「ショート...またか、あんたもFreeだなぁ?!おぃ!!」 それは当然、頂点に君臨する者達の集い...。 「...くっ!?!?...。 (...核色の速さに対応している...そんな有り得ない!?)」 徐々に追い詰められて行くキョウ、そして [ギャギャギャッッッッ!!!!] 「逃げ回っても無駄ですよ...? 貴公の精神力は無限じゃ無いででげしょ!?!」 使い続ける度にすり減り疲労する心...精神、 「...(...悔しいが...奴の言葉通りだな...。)」 しかも傷は癒えても痛みが残る脚部に腕、しかし 此処で敗北を迎えれば絶望的な結果が残る... 「キョウ...勝てぇっっ!!!」 だが、キョウが負ける筈が無い 「...無論だ!!!!...。」 ...その為に更なる力を、 掛け替えの無い仲間達をこの旅で得たのだから!! 『6月19日(火)』 第六九六話 『獣の数字達〜ビースト・ナンバー’ズ〜-eleven-』(6.19.火) 「くたばっちまぇ....『獣の数字』 【ビースト・オブ・ザ・ナンバーズ】止めだぁぁ!!」 『京香』が攻撃を与える隙など微塵も見せず 連続で打撃を繰り返し詰め寄る獣に やがて疲れを見せ始める彼女は... [ゴギュォオォオッッァッッ!!!] 「...少し前に、こんな考えで寄せ集めの “力”を与えて究極の『幻魔』を産み出した 少年達がいた...しかし、あたし達はそれを... 打ち破った...同じだ...。」 一息整えた後、『風の核色』を引き抜き 新たな“核色”『水の核色』を当てがい 一瞬にして押しはめーーー 「ーーーーっきょぉおおッ!!!」 「此処まで、でげすなぁッッ!!」 刃から満ちる液体を冷徹の凍気へと変化させ 剣の間合いを伸ばし上空から飛びかかる 巨体なビーストに突き立てる!! 『バキョォオォォォッッッン!!!!』 [ギュォオオォォォッッ!!!!] だが、凍れる刃は獣の皮膚に負け粉々に砕け散りーーー 「間抜けでげすなぁ?...あっしらがその程度 知らないと思いますか...くっくーっ!! そぃつは、獣は...最初の姿...あれは、力を 使い切り代価として奪ったモノの肉体を得ていただけ!!」 巨大な拳が鋭い爪と共にキョウへと直撃しようとする!! 「...いやぁぁっ!!?」 絶叫する『洋子』しかし、現実は止まらず 「...ビースト...“666”は複合魔獣...。 悪魔の数字を持つ獣でげすよぉお!!!」 ーーーだが、しかしーーー …その瞬間!!!!… 「...なるほどな、それぞれの獣の特性を 奪い取り...最大限に奴が発揮する...。」 『ザーッザザッーッッ!!!』 突然の豪雨が場を覆い尽くすと 「ーーーっっ?!(気付かれたと言うのか!?!)」 獣は不意に攻撃を直撃直前で動き事、止めてしまう...。 『6月20日(水)』 第六九七話 『獣の数字達〜ビースト・ナンバー’ズ〜-twelve-』(6.20.水) 「ほぉ、彼女はCoolに見破ったワケかぁ!」 巨体の男が試合を見て興奮せずにはいられず 拳を振り上げ思わず大声で叫ぶ 「うるせぇ奴だなぁ? (くくっ...これが『選ばれし者』達の実力か、面白い!!)」 隣の細身の人物はそれを煙たがりながらも 殺気を放ち、既に戦闘体制に移行している... 「ワシらまで辿り着くのは用意だろ? 問題は...そこからなのだろうからな?...。」 『弥親』の冷たい視線が場を貫き、そして 『京香』の無謀なる決闘にも決着が訪れんとする!! 『ザーッザザッッッ!!!』 「キョウ?....これは一体???」 突然!!行動を停止した『幻魔』に首を傾げる 『洋子』は彼女の無事な姿に喜びながらも 不意な疑問をぶつける... 「...簡単な仕掛けだった...。 ...あたしの耳がその音を見逃すと思ったのか?...。」 『ズビシュアァァッ!!!!』 集中豪雨が降り注ぐ中で少女は、飛び上がり まず動きを封じた“666”を切り刻み [マギュィイイイッッ!?!!] 歪みへと消滅させる、そしてーーー 「そんな...筈は...!?!(この観客達の声の中で!?)」 こう言って、全ての謎を解明させる!! 「...6体までなんだろ?...違反だな...。 つまりーーー、吸収せし者とそれを操りし者.... ...場には2体の獣が存在していた!!..。」 [ぅっぎぃいっ!?!羽が濡れて飛べねぇっ!?] 小さな身体を持つ蝿の幻魔が吸収するしか 脳の無い、意志を持たぬ獣を内部に“能力”を 使い遠隔操作していた、しかしそれには 距離による弱点があったのだ、更に 「...戻れっ!!!(予定外だ...こんな!?!)」 豪雨により濡れた身体は言う事を効かず 自身の窮地により操作は無効となって しまっていたのだ!!! まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |