『7月13日(金)』 第七二〇話 『馴れ合いの幕間』(7.13.金) 『ぶっぎぃぃぃっっ...!!!』 不気味な音が響き渡り扉は開かれた 「また勝手に出歩いて、困るのよね?」 自動で閉じて行くそれを潜り抜けた先で 少女は占い師風貌の人物から声を掛けられ足を止めた 「...いやねぇ...これだから、オカマは 困るわ〜ん、『幹』ちゃんはチャンと 任務の為に動いたのよ、まぁ...。」 「ーっ!?...まぁ、何よ?」 「任務は不発には終わったけどね〜。」 数回言葉を交えた幹と人物は不意に 闘いをこの場で始めんかと言う雰囲気を見せる、が 「これ以上無駄に動く必要はないわ...。 妾の予感のままに...あの方が復活し、 彼らは供物として捧げられるのだから...。」 幹からそれを願い下げる様に足を進め こう言い残し冷たい廊下を歩いて行った... 「あんたと殺ってもなんの損得にも ならないわ〜、私は今とても愉しいのよ...。 これ以上気分を害されるのも何だから、 今回は消えてあ・げ・る☆」 青白い月明かりが差し込む硝子窓の下で 景色を眺めながら占い師し風の人物は、 「『レビン・ネス』の“血呪”が 解除されていた...其れ程までに彼女の想いを 引き起こしたのね...そして、妾の 『光闇の仮面』【イクスチェンジ・マスク・マカベラス】までをも 脅かす程に...表が出かけていたわ...もう、 余り時間もないと言うことね...。」 誰かへ囁き掛ける素振りで呟き 暫く風景を見つめた...。 『絶陰地帯』において序盤の山場である 闘技場『パルティノン』の激闘もいよいよ 残すは副将と大将戦を残すのみとなった!! 『京香』VS『ダン=ショート』 『智明』VS『イソンバ』 『春化』VS『ジルベルト』次いで 春化VS幹...そして、遂にあの時から 続いた決着をつけんとーーーー 「...覚悟は出来てんだろうなー?!」 「くくっ...小僧わざわざ死を自ら迎えに 来るとはな...良い度胸だ...僕が終止符を打とう!!」 『知也』VS『レィドリッヒ』両者の戦闘が始まる... ーそのほんの少し前ー 『ジュシュパァッッッッッン!!!』 「貴様ぁぁっ!!」 「ぅぐぅ...まっ...待ってトモ.....。」 傷付き崩れ落ちたハルカの腹部へまるで 止めとでも言わんかっと幹の冷酷な青白く輝く 坤の刃が襲い掛かり直撃する...だが、しかし 「...これも返しておくわ...牙を失った 獣なんて狩ってもしょうがないものね? ...春化..相対するのは...次が最後よ...。 (きっと...また...いえ次二人が会う時はどっちらかが...。)」 唖然の出来事に反撃せんとしたトモの行動を 制したのはなんと渦中の少女だった... 『ぽっふっっ...!!』 「ハルカ...お前...??!」 幹は彼女の胸元に『霊聖坤』を投げ捨てると ハルカの身体で暴れる邪悪な自らの 『スキル』【特殊能力】を浄化し、 そう言い残して悲痛な想いを胸にその場を去った... 「幹...待って...ぃやぁっっ!!! ...折角...ぅう...トモ、有り難う....私は ......結局また親友に助けられてこっちはまったく 何もしてあげられなかった...奥底で苦しんで 彼女はいるのに...何も...。」 「馬鹿言うなよ...何がなんだか解らないケド... あいつは少なくともハルカを必要としている...。 応えてやらなきゃ...それが闘いの果てだとしても...。」 涙を瞳に溜めるハルカを拭ったのは、トモだった... 彼は後に駆けつけてきた仲間へ彼女を任せると 次は自分の番だと、ハンデ(不利条件の意。)を抱えた 身体で舞台へと舞い上がって行く!! 「『弥親』さんの手間とらせる間もなく 僕が貴様達を全て抹殺し、魂の糧としてやろう...。」 真っ青なマントで身を包み込み仮面を被る レィドリッヒは既に彼を迎え打つ準備のまま 「言ってろ、...オレはお前を此処でブッ倒す!!」 舞台へと駆け上がるトモへ先制を撃ち放つ!!! 『7月14日(土)』 第七二一話 『マッド・パーティー*死霊の集い*』(7.14.土) 「『許されざる補給』【ハンニバル・リアライズ】... ククッ...貴様は僕の“能力”を既に知って いるからな...警戒はしてやるよ...。 只ーーーー(思わぬ場所に生贄はいるのだよ。)」 少年が駆け上がり上空から地へと足を踏み出さんとしたーーー …次の瞬間!!… 『どろぉおぉおおぉぉぉっっ!!!!』 『レィドリッヒ』の姿が視界へ入るその前に 「なっ....にっっっ!?? (奴の能力は他者の肉体から魂を吸収して....ーーー はっ...まさかっっっっ!!!)」 無数の具現化した貪る魂共が青年の真っ青な マントの内部より立ち登り襲いかかる!! 「アディオス、さぁ次はーーーー」 当然、避ける事は不可能...よってレィドリッヒは 勝利を確信し控え者らに声を掛ける...が、しかし …その時!!!… 『ろぉどぉぎゃぁぁぁっっっ!!!?』 「古術連武式奥ノ型『逆龍奏破』 【ツィン・ディフェクト・バスター】加速型!!」 真後ろから彼を目掛け死霊達を打ち砕きながら 『知也』の古術が繰り出される!!! 「ーーーーっっ!!?...キィさまぁっ!!!」 『ドガシュッッッ!!!』 瞬間、腕を振り上げ直撃は避けたものの 「嘗めてんのはそっちだな...。 オレの身体感覚は返してもらうぜ? はぁぁっ!!『散来撃』ーーッッ!」 左腕はかなりの痛手を負い、更にそこから トモの足技が冴える 『どがががっっ!!!』 「くっ...間合いを取らせない...つもりか....。 哀れ...だなっ!!...接近すればする程に ハンニバル・リアライズの餌食となるのだよ!」 『ろぉおどぉおおおおおぉ!!!』 だが、数回の攻撃をレィドリッヒは捌いたところで 近距離より密着したまま残る奴隷と化した魂達を 一挙に解放しトモを取り込まんとする....が、しかしーーー …その瞬間!!!!… 『ガスッ!!!』 「それが甘いってんだよ!!...終まいだ!!!」 少年は既にそれを読みわざと体制を崩し青年の 足をカカトで蹴り払い後ろへと転ばせ倒しそこへ 制裁の一撃を放つ!! 『どがっっっす!!!』 「くくっ....あっはははは!!!! 掛かったのは貴様だ...小僧、これは貴様の拳だ!」 少年がカカト落としを繰り出さんとした直後、 地盤に真後ろへ倒れ込んだレィドリッヒのマントから 思いもよらぬ物体が出現し、彼を打倒する...。 『7月15日(日)』 第七二二話 『マッド・パーティー*奪われし襲撃!!*』(7.15.日) 『ドコッッッッン!!!』 「くっ...ぐぁっ?!!(これはーーーー)」 開かれたマントから飛び出しし具現化した拳、それは 「敢えて僕が叫ばせて貰おうか...。 古術連武式壱ノ型『滅魔』【バースト・アライズ】!!」 自身が右腕だった... 「ーーーっオレの腕!?....げふぉっ!! (此処まで完璧に操作可能なのか?!)」 直撃を喰らいろくに受け身も取れない身体で 吹っ飛ばされ地盤へ強く背面を打ちつけ呼吸を 一時とぎられてしまった『知也』だが、此処で 倒れていたら今度こそ止めを刺される事を 認識してか無理にでも場から立ち上がらんとする....しかし、 『ドチュッッッァッ!!!』 「使えぬ主人の手を放れた、この文字通り 切り放された腕は...本来の“力”を示して いるぞ....僕の為に、な?」 追撃の追い打ちが拳より繰り出され 地盤破壊と共に連続で打撃を少年へと撃ち放つ!! 「ぐっ!?...ぜひっ...ぐふ...すふぁっ...!! (嘘だろ...こんな破壊力が!?...オレに?)」 飛び散る岩片がトモの頬を切り裂き 何等対抗策もないまま彼は逃げ惑う....。 「何時までもそれが続くかな? ...貴様には手を抜くつもりはないのでな...。 『許されざる補給』【ハンニバル・リアライズ】 ...さぁ、寄り集まる魂共よ...強大な悪霊を呼び込む 為の生贄、餌となるが良い!!」 『レィドリッヒ』の言葉のまま解き放たれた トモの腕と肩以外の具現化された魂は、 生贄として捧げられ、あの時よりも更に凶悪で 邪悪醜悪な悪霊を舞台に呼び起こす!! 『おぉおおおろぉぉどぉどぉおおおおっっ!!!!』 「...この腕をどうにかしない限り....くっ!? はぁはぁはぁ...お前...その魂は...!!」 少し前に少年は感付き確信を得ていた、それは 「さっきも気付いていたようだな...。 そうさ、この魂達は...貴様らと僕らの高貴な 闘いをタダで見物している観客共からハンニバル・リアライズで 奪い取り吸収したものさ...くくっ...。」 補給の在処(ありか)であった、正しく貪る レィドリッヒは邪悪な悪霊へトモを提示し 薄気味悪い仮面の下で笑みを浮かべ 拳の打撃も休む事無く続けさせーーー 「下種野郎がぁっっ!!!... くっ...このままじゃあ...!!」 一気にカタを付けんと襲わせる!! 『おろぉおおおおおおおどろぉおおぉおおぉ!!!』 解放された自らの拳と凶暴な悪霊の 波状攻撃は既に体力を限界まで削る彼では 避ける事すらままならず 「THE END,」 そして、トモへと厄災が降りかぶさる!!! 『7月16日(月)』 第七二三話 『マッド・パーティー*その“力”*』(7.16.月) 『おろろどおぉどぉどぉおおおおおっっ!!!』 邪霊と魂体に変化させられた自らの拳が 追い詰められた『知也』へ放たれ、それはーーー 「ぅおおおおぉぉっっっ!!?! (ばっ...オレは...ここまでなのか?)」 防御体制すら取れない少年に直撃する!! 「その魂、僕のコレクションとして消費 してあげるから。 心配しなくて良い...高貴な僕の中で永遠とは 断定出来ないが、暮らせるのだからな...。」 『レィドリッヒ』の余裕の笑みが手向けられ 地盤を粉々に粉砕してしまった攻撃の中で それらを回収し新たな“力”をもたらす糧にせんとする...。 「オレは....。」 気付くと今までの思い出が走馬灯の様に 駆け巡りオレは上を見上げていた... 『おおおろぉおおおどぉろろぉおおお!!!』 巨大なドクロの妖怪とオレの腕が...拳が、 襲いかかろうとしている光景に目を取られ そうだ...オレは死を認識した....いや、 この世界での敗北...もう良い...もう良いんだ... 「死ぬのか...。」 だけど...オレは諦めているのに...心が.... 身体がそれを拒んでいやがる!! 「THE END,」 奥の手も全て使い果たしたオレに一体何が出来る? 迫り来る敵の攻撃...逆転なんて残されていない.... せめて...この両腕が使えたら...いや...オレは、 「オレに誓ったハズだ...全てを...全力を 尽くし目の前の...奴をブッ倒すと!!!!」 不思議だった、この瞬間...オレは全身に光を感じた!! 『パキュキュキュッッッ!!!』 「これは...この感じは...?!」 白金の輝きが爆風の中で鮮明に輝きを放ちーーー 「...馬鹿な!?...僕の『許されざる補給』 【ハンニバル・リアライズ】が...邪霊が ...操作出来ないだと!?!」 地盤がえぐられたそこには... 「そうか...これが...オレの『スキル』!!」 極限の際(きわ)で“真価”を得た少年が何故か無傷で 立ちはだかっていた...。 まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |