『8月13日(月)』 第七五一話 『神話の道標-聡明な意志-』(8.13.月) 今やただの街と化した闘技場『パルティノン』から 暫く南下した一同は『月読』の町を目指すが 途中を遮り落ちぬ太陽の日差しすらも通さぬ 怪道『黄泉』に足を踏み入れた事で状況は一転する 壊滅した村へ不気味に置かれた墓地を横目に歩く 7人の内2人『知也』と『智明』は そこで各々の墓碑名が刻まれた墓を発見しそれを 智明は自ら、『春化』はもう片方に攻撃を加えた、 …その途端!!… 「はぁはぁはぁ...こう広いと...何だか 何処がどこだか...解らないわね。」 『幻魔』の罠が発動し彼らは哀れ捕らわれ 数時間で影と化してしまう闇化の極刑を 『夢殿』【ヨモツシコメ】より下されてしまう... 更にそこには『吸血鬼』と呼ばれる小さな 蛭状の幻魔が幾重にも姿を現し彼の上半身より 生き血をすすり続けていた 「ぜふぃ〜...はぁはぁ...くっ....。 ダメ、この状態でも....って、そうだ!! ハルカ!ハルカの霊力でトモ達のオーラとか 感じないの!?」 しかもこの時間の余裕が無い中、内部の道で 分断された5名は新手の妨害を受けその 人数をまたも減らしてしまう!! 「そんな事!?...どうかしら...。 (試した事ないけど...まぁ試してみる価値はあるかも。)」 『光助』の提案を受けた少女は仲間の気を頼りに 探り居場所を当てようとするの、だがそれよりも 「あっ...待って、この状態なら...。 オレっちが鼻で嗅ぎ分けた方が早いかも!?クンクン。」 自身の嗅覚を使用した方が早いかも知れない事に 気付き匂いを思い出して嗅ぎ始めた...。 「よっ...『洋子』さんの姿がないよぉ!!? (でびっと河童フィールドだ!!(あはっ...うろ覚え。))」 突然の洋子消失に只、慌てふためく『勇二』は もう汗水ダラダラとかき流し勝手に脅えていた... しかし、この目の前で 「...馬鹿な...少し落ち着くんだ勇二!...。 (いや...落ち着くのはあたしか...。)」 亜空間へ入り込んだ剣を引き抜いた『京香』は 相手の“能力”と少女を連れ去った理由を考えていた 「キョウぉ〜〜〜ど〜しよぉ〜!?! 別空間じゃ助けにも行けないし〜 洋子さんがいないと〜もう食べ物も出して もらえないよぉ〜!!」 この後に及んでもまだ自分本意のマイペースで 喚き声を上げる少年に苦悩しながらも 「...確かに彼女の能力が使えないのは辛いな...。 さて...下手に動いて...っと、どうやら そうもいかないみたいよ?...。」 新たな敵の気配を感じたキョウはまだ剣を しまわずに構えて一点を見つめる、するとそこから 「わっひゃぁぁっっっっ!?!」 『ずるりぃ...ずるりぃ...。』 [のぉ〜ふぇ〜その〜んなん〜じゃなぃ〜。] 目玉に神経組織のごとく触手の付属された 吐き気を催(もよお)す程に 劣悪で醜悪な幻魔が暗闇より姿を現す!! 「僕の守護する宮殿へようこそ。 お嬢さんにはこの僕の宮殿で少々お待ちしていて 貰いましょうか。」 空間を抜けた先の世界、そこは優雅な景色で 囲まれ目の前には豪華な食事等が用意された 食卓が彼女の瞳に入り込む... 「あっくぅ...。」 「動くと...手の骨を折りますよ?」 後ろ手を取られた洋子からは武器を奪われ更に 『びきぃいぃびきききっっ!!!』 「はふぁっせ!!(離せこの野郎!!)」 「お嬢さんも『スキルマスター』【特殊能力者】。 油断は出来ないのでね。」 口元を押さえ付けられながら 椅子へ強制的に座らせられると、その上から 彼がまるで抱き締めるかの様に覆いかぶさってしまった...。 『8月14日(火)』 第七五二話 『神話の道標-死人の世界-』(8.14.火) ちょっ!?なっ何ナノこの展開は!!!! まさかぼくって...犯されちゃうの?! まっ待って、いや〜こんな最初なんていやぁああ!! っとか、ぼくが叫ぼうとすると耳元にあの いやらしい声で囁かれ... 「ふふっ、僕の邪魔にならないようにこの 『相似宮』で束の間の楽園を楽しんで下さい。 ははっ...っとは言っても手足と頭部は異空間に 封印させて貰いますがね。」 『ずちゅっっっぐちゃちゃ!!!』 突然、ぼくの視界はわけわからん世界へ.... って言うか、ふざけんなー!! とか暴れてもその空間でジタバタ手足が動くだけ だし...つーか、身体だけ表にあるって意味が 恐い...どーしよー!貞操の危機だ!! 「糞尿とうの始末は御自分で、っと言っても もう聴こえないようですが...。 最後に胸の感度位は確かめるかな?」 『ぐにゅっっっ!!!』 ぅわぁあっ!?!声を張り上げても意味ないけど 遂に恐れていた事がーーーーーー あーっこのスケベがぼくのぼくの胸をーーー!!!! ぼくはこの時誓った、この野郎はぼくが必ず 殺ってやろうって....。 『隔壁の双子』【コンサバート・ジェミニ】の守護する宮殿 相似宮に連れ込まれた『洋子』はそこで 亜空間封印を受け一切の身動きを封じられてしまう 更には少女を失った2人の前へ新たな『幻魔』が この不気味な姿を現し行く手を阻まんとする...が、 「ゎっひぃ...どうしよ〜ここでやっぱし 爆破の魔法とか使ったらまずいもんね、ネッ!?」 動揺し一撃粉砕を狙う『勇二』を考慮して 『京香』は既に手を打っていた、それはーーー [ふぉぎゅぁっっ〜ぐろぉ〜ぶぉ〜。] 『じゅぱぱぱぱぱぱぱっっっん!!!!』 「...ふッ...笑止、本体がいるんだろ?...。 姿を見せなよ...この疾風剣の餌食にしてやるからさ...。」 “核色”から繰り出す鎌イタチに類似した 疾風撃で先手を決めてしまう事、そしてそれは 首尾良く成功するの、だが... …次の瞬間!!!… 「アレ!あれれ!?!....キョウ...キョウ!!!どこ〜 ボクを一人にしないで〜〜〜!!!!」 余裕の笑みを少年へと向けんとした少女が 真後ろを振り向くとそこに彼の姿は無くそれどころか 「...?...何が...起きたんだ...。」 周囲の景色が一変して暁(あかつき)の夕闇で覆われた 異形な場所を目にした!! 不意に辺りを見回し立ち尽くす少女へ声が掛けられた 「..我様は『宵闇の蟹』【ディバインダー・キャンサー】と名乗る者だ。 お前は結界を断ち切った..よって、我様の 死者が支配する空間へと手繰り寄せられたのだ..。」 人物はフードを纏、顔を晒そうとせずに淡々と喋る 「...それで、なるほど....手っとり早く 勇二を始末させようてはらかい?...。 それなら手筈を間違ったかもな...キミは知らない だろうけど...あたしは勇二をかってるんだよ...。」 『夢殿』【ヨモツシコメ】の管轄する場をうろつく人物達の 奇襲により減った人数で漸く自身もそれに気付く、が [“王宮の13宮殿”の番人共か...面白い、 ゲームにはハプニング(予想外の出来事の意。)が つきものらしいからな、人間で言うところの。] 幻魔はそれに動じる事なく、逆に楽しんで この行く末を自らは安全な場所から観覧する...。 『8月15日(水)』 第七五三話 『神話の道標-虚渇宮-』(8.15.水) 「..いや、違うな..ただあんな雑魚は興味が 無かった、お前が第一の結界か断ち切った様に 惚れたようなものだ..よって、我様が自ら お前を手にかけてやろう..っと言うわけさ..。」 『宵闇の蟹』【ディバインダー・キャンサー】が“能力”を 付加させた『幻魔』を攻撃した事で 結界の“力”が発動し『京香』はこの世であって 別の死人の世界へ強制移行させられてしまう...しかも、 「...望むところだな...あたしが先にキミらを 倒してしまえば良いんだろ?...。 『洋子』をさらったのは仲間なんだろうしな...。」 「くっはははッ!..それは面白いな..一人で 白き運命と対時するか..その通り、我様らは “王宮の13宮殿”が番人共よ..。 しかし、お前は此処より出る事は不可能、 ましてや...我様が下まで辿り着くことすらもな。」 送り込んだ敵は好き勝手に言葉を放つと そう言い残して、亡者共が屍を喰い貪る景色の中へ うっすらと消えて行ってしまった...。 [うぎゅぎゅ〜!!!] 『くちゅくちゅくちゅぅぅ...。』 舌先から伸びる針の様な物質が捕らわれた 両者の上半身より血液を奪い続け同時に気力を奪う 「ふぁぐぅっふぁ〜!!(腹減ったぁ〜!!)」 闇へと化す牢獄に押し込められた2人は 既に下半身の半分が闇へ同化して解け込み初めていた... 「ぐへにふぁんふぁんくふぁあい!? (なっもう足の感覚がまるでない!?)」 無駄に動けば闇が広がる速度が増すことを 暫くしてから認知した『知也』だったが それでも諦めず動こうとする...しかし、 [うぎゅっじゅじゅ〜〜〜!!!] 採血が行われ過ぎた身体には抵抗する術が残されてしない... 「ふぉれふぁまふぁちどふぁいそりゃふぇふぇねん!! (俺様達どないすればえぇねん!!)」 ジワジワと襲う恐怖、真綿で首を締められて 行く実感を得る『智明』も声をそれっきり上げず どうにか助けを待たんとするがーーー …次の瞬間!!… 『くしゅぱぁぁっっっっっっん!!!!』 「ふぁっ?!(なんだぁ?!)」 「こないな場所にいつふぁ?!...までも...おれるかぁっ!!」 閃きのままに動く彼の鮮血が『吸血鬼』の体内で弾け 腹部を引き裂きブチ破る!!! 「やぁ、僕の...この『隔壁の双子』【コルサバート・ジェミニ】の 役目は終わったよ、後は好きにもう一人でも 連れて楽しむかい?」 紅茶の注がれたカップを口に運び 女性の様な顔つきを見せる彼は食卓へ同席する 人物へとそう声を掛ける...すると、 「それも...良いかも知れないね。 ...でも私の獲物は決まっているんだよ。 キミからその力の半分を吸収した人物ってね。」 ロングヘヤー(長い髪の意。)の彼は呟き 出された紅茶を飲み干した...。 『8月16日(木)』 第七五四話 『神話の道標-真、再び-』(8.16.木) [何処へお行きになるんで御座いましょうかな?] 唐突に年老いたラクダの様な姿をした 召し使いや執事だと思われる『幻魔』から 眼鏡を掛けて軽装姿の太った少年へと声が掛けられた 「えっ...あっははは...(汗) っと、『絶大なる双コブラクダ』【マスター・キャメル】さん、か 驚いたよ、もうカード集め終わったんだね。」 不意な事で戸惑う『異界の闇覇者が1人 『真』だったが即座にそう切り返す、がしかし [えぇ...それでどちらかのぉ?] 「んっと、はははっ...ちょっとボクが昔お世話に なってた地帯にね。」 微笑みながら追い詰める幻魔はそれを許さず 白状させると... [そうじゃったですか...それではなるべく お早めにオカエリ下さいませ...。] 止めるのかと思いきっていた期待を裏切るように アッサリと言葉を残し少年の後ろを見送った...。 [まぎょっ?!] 『ブシュアァッァアッッッッッ!!!!』 今まで飲み込んでいた膨大な血液を噴火の様に 上部へ放出した『吸血鬼』はそのままもがき 苦しみながら歪みへと次々に沈んで行く!! 『バギョッッッン!!!』 「なるほどな、こう言う使い方も...あるんだ。」 手枷や足枷そして口を塞がれていた物質を 『智明』の攻撃が砕くと感心した『知也』は 声を上げるが既にもう立つ余力すら残されてはいなかった...。 「見えた!アレかも!!」 叫ぶ『春化』の声のままに場を駆け抜ける 『光助』の体力も限界に近付く、が 「...ハルカ...気配が増えてる!!」 鉄格子を前にして新たなる敵が2人を襲う!! まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |