『9月29日(土)』 第七九八話 『Deep inside』(9.29.土) 『絶陰地帯』、支配者までの道のりを守る べく配置された“王宮の13宮殿”の番者達は 『選ばれし者』である一同を分断させ 個々に襲いかかる... 「ふざ...ふざけるなよ...!!!! この『井原 知也』の名に賭けて... 彼女はーーーー『アナジスタ』は救ってみせる!!」 闇化の牢獄へ閉じ込められ血液までも吸収されていた トモは『月読』の町まで辿り着くまでの間 既に意識を失い出血多量で生死の狭間をさ迷っていた しかしこの地へ残りし最後の統治者であるアナジスタの “能力”により奇跡的な回復をみせる...が、 「くっ...あの男の技により脳が揺さぶられていた ...だと...信じられんが...。 果たして貴様がワタシの場まで駆け上がって 来れるかどうか...その時まで待っていてやろう。」 『抹殺の水瓶』【アクアリゥス・エグゼキューター】と 言う名の『砲瓶宮』を司る“幻魔人”が持つ 『無尽の氷結』【ホワイト・ブレス】なる 『スキル』【特殊能力】によって喉から氷結し 凍れる彫刻と化してしまった 「待ってて下さい...オレは必ずあなたを 助けますから...。 (アレか...上等、首洗って待っていやがれぇ!!)」 あと一歩の所でトドメを刺しそこねたトモは それを悔やみながらも自らの凍結した左腕へ構うこと無く 傷ついた足だけを古術陽術式で簡単に癒し アクアリゥスの待つ宮殿へと急いだ...同時刻、 「種は明かせないな...それより...。 自分の身の心配でもしてなよ? ...汚らしい腕をもう片方も切り刻んでやっからさ!!」 『洋子』は自力で自分を拘束していた 亜空間を引き裂き更に『隔壁の双子』【コンサバート・ジェミニ】の 右腕を脱出の際ブッた斬る...が、しかし 「くっふははははははは!!!! 良いねぇ...女ァ...僕はこう言う奴が 大好きでね...3つの口全てに肉塊を押し込んでやるよぉ!!!」 唐突な出来事に驚くでも無く、悲壮な仮面を被る青年は 彼女の救出に現れた『勇二』『春化』『光助』らを 邪魔者を消すかのごとく一気に亜空間へと引き落とし 『相似宮』で1対1の舞台を創り上げる!!! ジェミニの『次空埋葬』【フォートレス・トップ】により 各々が亜空間へ引きずり込まれた勇二達であったが、 「...此処は『チッキー』が...。 『幸平を司る天秤』【スタイリッシュ・リイブラ】が 守護していた宮殿...『転敏宮』だよ..。」 それが不完全であった為に空間へ止(とど)める事は出来ず 生じた幾つか有った亀裂に3人は別々で吸い込まれ 「ぃいっ!!?...じゃあキミがもしかして ここの...。(ど〜しよぉ(汗))」 放り出された場にて少なからず番者らと対時していた 「趣味思考をとやかく言われる筋合いはないのでね。 自分の手に掛けられて死ぬ事を光栄に思いながら 現世へと舞い戻るが良い。」 闘牛士が纏う衣服に身を包む人物は心理的な罠と称し [くすすすすす...何の疑いも持たないで 仲間を助ける事に追われて〜 星座を間違えたんだね...可哀相に!] 螺旋階段を時機を得て登り上がった 『狛陽宮』の『幻魔』と鋏打ちで まんまとこれにはまった光助へ 「...確かに、オレっちらは少し焦ってたからなぁ〜 でもよぉ...それでもオレっちは前に ...先へ進むぜ?...『絶剣の小刀』がある限りな!!」 サーベルで威嚇し攻撃に掛かる!! 「...自己紹介も済んだ事だし...。 解ってらっしゃるとわ...思うけれど、わたくし そう言ったわけなので、貴方様を不法進入も含め 始末させて頂くわ。」 宮内部に広がる草原の中から一切の気配も感じ取られず ハルカの前へと姿を見せた青年は 女性の言葉遣いで自分が『麗割宮』を守る 守護者である事そして『バルティア』と言う 名前を告げる、っと...ひと呼吸置いた後ーーー 『ズパシュァァッッッッッ!!!!』 「ーーーッ!?!! (早すぎる...見えない...このヒト...。 能力とかそう言う前に...強い!!)」 一陣の風に併せて物凄い速さの手刀を繰り出し 少女の頬をわざと掠めた... 「次は、外しませんわ。 ...これで実力は解って頂けたでしょう? もう一度言いますわね...次は...シトメますわ。」 呆気に取られたハルカは達人並のソレへ恐怖を 覚えると共にある種の敗北を感じていた...。 これまでの休み無い番者達との戦いで心身共に削られ 大分疲労が溜まる『京香』へ『渚汝宮』を司る者 『愛欲の乙女』【アザゼル・ヴィアルゴ】が 見計らった様に現れメルヘンチックな内装とは につかわぬ、えげつない精神の迷宮へ 「くふふふふ...永遠に見果てぬ夢の中で 自分を纏う世界に苛まれて ...息果てると良いわぁん。」 幻魔の“力”を借りてキョウを送り込み この内部にて彼女へ精神崩壊を仕向ける... 「いやぁっっっっっ!!!...。」 何処からとも無く響く、少女の胸にだけ響く声 [何を恐がっているんだい? それはお前の望んだ世界だろう?お前が 積み重ねた夢の残骸...それに押し潰された 人間達の哀れなただの躯さ。] 目の前に広がる光景は次々と目まぐるしく 移り変わり6つの異なる世界を照らし出す しかもそれは彼女の願った結果なのだ!っと 内なる声は囁き、絶望を垂れ流す...。 『9月30日(日)』 第七九九話 『心の迷宮』(9.30.日) 『愛欲の乙女』【アザゼル・ヴィアルゴ】とその守護『幻魔』による 精神汚染は『京香』を蝕み続け破滅を植え付けんとする... 「これが...あたしの道?...。 寒い...とても寒いわ...。」 焼け野原、戦地の場面から移り変わり獄寒の氷地へ 落とされた少女はこの寒さに身を震わせ どこぞに助けの手を伸べる...しかし、 [どこへ逃げる?---そこがお前の道だ...。 いや...寒いのだろう? ならばお前が焦がす情熱の場所へとゆくが良い。] 『ばじゅぉおおぉぉぉぉっっっ!!!』 …その途端!!… 景色は変化し今度は灼熱の炎が沸き立つ 火炎地獄へと彼女は放り出されてしまう 「...はぁはぁはぁ...なんなの...。 あたしが一体何をしたと...言うのよ...。」 息を吸う度に肺を焼け付くような痛みが襲い それでもキョウは歩みを止めなかった... [逃げたいのだろう?---良いぞ。 楽になりたいのだろう?...たった一つ ...言葉を捧げよ...。] そんな彼女へ甘い囁きがそっと放たれた、 「誰なの...さっきから...あたしを 助けてくれるとでも言うの!?...。」 永遠とも思える苦痛にまいっていたキョウを 更なる深淵へ突き落とす為の罠 [---“不変”そう唱えたならば ...安息を与えよう、お前の望む全てを。 さぁ、迷う事はない筈であろう。 平穏な日々がお前に舞い戻るのだから。] だが...しかし、少女は揺るがなかった 『ぱぁっぁっっっっっん!!!』 「...ぷっ...あはははははは!!!! はぁはぁはぁ...あはは...こんなに笑ったのは 久しぶりかもね...、ふふ...あたしは ...そんな事望んでないんでね?...。 (...そうだった...あたしはーーーー)」 そう言い放つと今までの出来事を笑い飛ばす様に 力強く自分の頬を叩き何処かに潜む幻魔へ続け 「ーーーッ!!?...一瞬でも平穏なんて望んで いない...あたしが最初にこの世界に来て 思った事を教えてやろうか?...。 ...こんなチンプな罠であたしを束縛した つもりでいるのなら...その身をもって知りなさい... ,,,後悔の二文字を教えてあげる...。」 叫び!!己を確信し呪縛を払い退ける!!! 「きゃぁっっぁっっん!!?! どっ...どぅ言うことぉん!?!!!! あたくしのぉん『六導輪廻』【アナザー・ドリーム】がぁん ちょっ?!...聞いてなぃわん!!」 …次の瞬間!!!!… 『ズシュパパパパパァァァッッッッッッンッッ!!!!』 「...『光牙閃滅』...。」 虚ろな瞳で膝を付き崩れ落ちたキョウの腕そして身体が 無意識で手にした剣を振るい精神汚染を持続 させている状態の無防備な『愛欲の乙女』【アザゼル・ヴィアルゴ】へ 光の牙を産み出し直撃させる!!! [まぎぃぁぁっっあぁぁぁぁ!? ---何故だ!?!お前はーーーーー] 「...あたしは退屈だったんだよ...。 ...わかるまい...自分の生きる道も失った ...下種共には何もな!!...。」 『渚汝宮』から洩れた閃光は13宮全てを照らし出し 肉体を引き裂かれたヴィアルゴは さっきまでの余裕を無くし口から血と泡混じりの 唾液をその場へ垂れ流しうずくまる様にして倒れた 「...ぅううううううぎゃあぁっぁっ!!!? ...あた...あたくしぃのぉおおお...両腕がぁあ 内臓がぁぁぁ...きぃいいいいい!?!!」 精神世界から唐突に舞い戻るキョウは、 一瞬!目の前の出来事へ頭を悩ませるが 「...これは...そうか...無意識の内に... 攻撃して..いたのかな...。 これではもう...、それより彼女が心配だ!...。」 それは自業自得なのだと考え『洋子』の身を案じる が、しかしキョウが後ろを振り向き進まんとしたーーーー …その瞬間!!… 『ダギュォオオオォォォォォン!!!!』 [『愛欲の乙女』【アザゼル・ヴィアルゴ】は...。 不死身なのよぉおおおお!!!!] 傷口から幻魔を取り込み完全な“幻魔人”と化した ヴィアルゴが乙女とは思えぬ形相で彼女へ襲いかかる!! 「...ーーーッッ!?!...。 (..この距離からじゃ...“核色”の発動も...?!...。)」 当然、身構える間もなく腹部へ備えた大きな口を前に 成す術のないキョウはその一撃で飲み込まれんとする、だが …次の瞬間!!!… 「『掌握の立体』【コスモ・プレザシィス】!! どうやらよぉ〜俺にも面と向かって 立ち向かう時期がきちまったのかもな? 『バレンタイン』...あんたに彼女は殺らせねぇ!!」 巨体を奮(ふる)わせる幻魔人の身体は一切の身動きを 突然!!出現した一人の少年に封じられ勝機を失う [きっぃいい!!!ーーーーなんでぇえァンタァ---!!] ...この彼の正体、それは元『優剛なる獅子』【ハイドロ・レオ】っと 自らを呼び、キョウと敵対していた者である!!!! まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |