『10月13日(土)』 第八一二話 『冗談も通じない戦い』(10.13.土) 『光助』が“王宮の13宮殿”の番者達 『禁丑宮』の『越権を携えし牡牛』【オシリス・タウルス】そして 羊を型どった『幻魔』との闘いを 繰り広げていた、その頃... 「はぁはぁ...“ミスルーのナイフ”射程距離から 考えれば...武道の心得もないぼくには あいつの動きを読むのは不可能じゃないか!! (...死ぬの?...ぼくは...!!!!!!)」 彼らを異空間へ引きずり込んだ張本人である 『隔壁の双子』【コンサバート・ジェミニ】と 対時する『洋子』は“幻魔人”と成り変わった 事で圧倒的な“力”と『スキル』【特殊能力】を 得た青年を前になす術無く打ちのめされ 殆ど精神的に戦闘不能となりかけていた... [一瞬では殺さないゼェ...僕の趣味は なぶる事にもあるんでなぁ...女ァ?! ...生き地獄を味合わせてヤルヨォオ!!!] 『スピュゥウウゥゥン!!!』 壁へ背持たれにし崩れ落ちた少女へ悲壮な仮面を被り 有機物と化した幻魔を右手を基調に纏う事で 鎧の様な物質へし宿らせたジェミニは、右腕を 前に突き出し手の平へ、空間を圧縮させ斬る程の 空断の弾丸を作り上げーーーー …次の瞬間!!!!… 「あっ...あぁああ...そんな...ぼくの持つ...ミスルーと 同じ力...結局...想像の産物でしかない ...こんな短剣にあんなもの防げないよ!!!」 『ダギュゥウウウウォオオオォォン!!!!』 狙いを洋子へ定めて撃ち出された!!!! [『空裂断罪砲』【ギガ・ストリッパー】ァアアアッッ!!!! 女ァ...オマエには究極の孤独を与えてやろう!! 僕の奴隷としてしっかり可愛い雌犬になるべく 仕込んでやるサァァッッ!!!] 今、放たれた砲撃を受けた全てのモノは ジェミニ以外、行き来の出来ぬ別次元へ強制的に 葬られ歪みへ身を沈める事も無く永遠にそこで 孤高の暮らしを続けなくてはならない そして、この内部は周囲の変化もなければ 当然、時間感覚も存在しない...通常の人間ならば ほんの一時過ごしただけでも 精神を破壊され、現れるご主人様へ 完全に服従する動物と化す事だろう... 「死ぬのは...いやだ...苦しいのも...生きるのも...。 (ドクン...ドクン...息が苦しい...ぼくは...。)」 急激な死の予調によって精神へ異常を来さんとしていた 洋子に唐突な変化が起こる、それは... 『ダギュゥウォオオォォォォン!!!!』 [骨もヒトかけらも残さずに転送されたかァ!? ひゅぅぅう〜...さて、覗いて見るかァァア!!!] 場には砲撃によりえぐれた痕跡が痛々しく 残されソノ凄まじさを物語っていた... 「...ぼくは...殺られたのか...。 (随分と静かな場所だな...そうだ...家に帰ろう...。)」 上半身をも異次元へしまい込んだジェミニは 確認の為に奴隷を安置する空間へ確認に行く、 すると頃合を見計らい無傷で残った柱より 何者かが姿を現す、そして少年は意識の中で彼女と対話する...。 「ったくよ...いい加減にしなよ...。」 強制的に肉体を乗っ取った彼は額の汗を拭うと 小さく心の中で縮こまり死を確信する少女へ 苛付きを隠さずにぶつけた 「..その声は...ぼくは...。」 聞き覚えのある声に上を見上げた洋子はそこで 懐かしき者との再会を再び果たす...。 『10月14日(日)』 第八一三話 『目新しさの裂け目 〜奇跡の価値〜』(10.14.日) 『パシュゥウウゥンッッ!!!』 …次の瞬間!!… 振り下ろされんとする完璧な手刀によって 今、とある少女が死を確定されていた 『シュバァァッッッッン!!!』 だが、完膚無きまでに叩きのめされた彼女が 倒れ込んだ場から最後の抵抗と起き上がらんとする …この直後!!!!… 「この光は!?眩しい!!? (これは?『渚汝宮』の方向!)」 奇跡が巻き起こる!! 「...何?...どうしたの...死...!? (この気は『京香』の...これって 目くらまし状態じゃない!!ラッキー!)」 同時刻、キョウはこの時...無意識の中で 『光の核色』を起動させて敵を穿っていた その時、発した閃光が窮地へ追い込まれていた 『春化』の事を偶然とは言え救ったのだ 「クッ!?!何処!?ドコへ消えたの!?! (わたくしとした事が焦ってしまったわ...。)」 突然の目映い輝きによって視界を塞がれた 『バルディア』は丁度良く光を背にしていた ハルカの姿を完璧に見失いところ構わず 手技で生い茂る草木ごと彼女を探し無闇に刈り取る... 「ハァハァ...キョウ...サンクス! ...さて...気配は消したもののどうしよう... 攻撃をこれ以上受けたら...まずぃわ。」 目を奪われた瞬間に転がり横に身体をずらし 即刻立ち上がり脱出した少女は 気配を断ち切り出来る限り遠くの茂みへ 飛び込み様子を伺う...。 「出て...いらっしゃいな? ...わたくしから逃げられはしませんよ。 それが解らない程あなたは無知ではないでしょう?」 もう後がない所まで追い詰められたハルカに射した 光明の光...そして、彼女は覚悟を決めると 「私は...逃げも隠れもしないわよ...。 貴方を倒して...先に進む!!」 呼吸を整え自ら身体を晒し出した 「面白い音速に差し掛からんとする わたくしの技、受け切れるのならば見せてもらいましょう。」 肝の座った少女へ挑発的な言葉を放ち 潔さを認める彼は静かに手刀を定位置へ落とし構える 「ハァァッッッッッッ!!!!! (気合いよ、気合い!!...【プリンセス・ハンター】の名に 懸けて...敵を踏み台に私は飛躍する!!!!!!!)」 凄まじい気迫を背負い頬、そして両腕の傷より 溢れ出す血液の勢いまで...それは衰えさせる程だった 「露西亜の殺人術の最終闘技は完成型に あると言われています...。 完全なる型こそが最強の、そして究極の至高の技なの。」 しかし、力量から見てもハルカには分が悪い相手... 小手先の技も使わぬ強者と合いまみえる 少女は只、気力だけでそこに立ちはだかり... 「それが...?...私は最強だとかそう言うのに 興味は無いわ...でも、負けられないから貴方を倒すの!!」 構える血塗れの坤に霊力を注ぎ込む!!! “王宮の13宮殿”が番者達の実力は疎(まば)らで 一定している事は無い...が、 「そう...ではもう...言葉はいらないのね。」 真に危険なのは“能力”に頼らず本体が強い事なのだ... 「...。(...多分、腕が攻撃に耐えられるのは一撃。)」 扱う精神の大きさにも比例するが此処ではーーー 「来なさいとは言いません、行きます!!」 純粋に強い事が勝敗を決するのだから!! 『10月15日(月)』 第八一四話 『目新しさの裂け目 〜神の一手へ〜』(10.15.月) 『麗割宮』の番者と対決する『春化』の身体は 既に彼の手によって刻まれ両腕が完全とは言わないまでも 動かせば激痛を感じるに近い症状をみせていた...だが、 「今だけは...神様...“力”を貸して!!」 精神力でそれをカバー(補助の意。)し一撃に賭けて 『霊聖坤』へ全身の霊力を注ぎ刃を出現させる!! 「それがあなたの潜在能力ですか...。 良いでしょう...応えます...早く誰よりも速く そしてハヤク、はやく、迅く!!」 同じようにこの次で勝負を決めんとする 青年も全力を尽くし手刀を繰り出さんと 興奮の度合いを引き上げ アドレナリン(脳内麻薬の一種。)を増徴させ、っとーーーー …次の瞬間!!!… ハルカの頬の傷から流れる血液が草へ 滴り落ちると同時に最大まで引き出された 達人を越える域の技を持ち出し放つ!!! どくんっ...ドクンッ...私の胸の鼓動は 静かに...でも、しっかりゆっくりと動き 私に力を与えてくれる... 「...『P×H』の名に懸けて ---ーーーーッッ私は貴方を浄化します!!!」 相手は達人だ...私の小手先の技が通じるほど 甘くないのは百も承知なのよ...だからこそ 戦りがいがあるってものよ、『幹』を取り戻す為にも 私は...もっと強くならなければならない.... それは心を!!...心は全ての要...そう 教えてくれたのを...“三月”に感謝しなっくちゃね... 「鮮烈の『逆回転の円陣』【リバース・ソート】ォオオおおっっ!!!」 ....見切れないなら見ないわ!! 最初から私は〜〜〜〜〜〜 『ジャキュウウゥゥウウゥゥン!!!!!』 避けるつもりなんか無いんだからぁああ!!! ハルカの顔は実に穏やかだった... 「...これが...神の一手。」 吹き上がるドス黒い血が両者を一瞬にして染めあげ 雌雄の決したこの戦いの終演を伝える、そして 「ぐふぁっ...見..事.だ...わ。」 声を漏らして草むらへと最初に崩れ落ちたのは 他の誰でもない、ハルカだった...。 『10月16日(火)』 第八一五話 『目新しさの裂け目 〜光、照らすヨに〜』(10.16.火) 『逆回転の円陣』【リバース・ソート】と呼ばれる 『スキル』が物凄い勢いで『春化』へ襲いかかる だが、時を同じくしてーーー 「良いわね?行くわよ!! 神霊術『光放』式無ノ型『夢想絶光刃』 【むそうぜっこうじん】ッッッ!!!!」 少女もそれに怯まず神の域を踏み込んだ一撃を繰り出す!! 『ダギュォオオォォォンン!!!!』 「見事だ...わ...でも..、まだ...ヴッ!?!」 音速の壁を超えた攻撃は彼女の左肩をえぐる だが、番者が崩れ落ちたハルカへ言葉を送った …その瞬間!!!… 『ぱしゅぅううぉおおおぉぉっっっ!!!』 肉体になんら損傷は無いのにも関わらず 大量の漆黒に染まった血液をまるで 噴水の様に吹き上げる!! 「...浄化...完了...。」 坤を杖代わりにして立ち上がったハルカは そう言い放つと笑みをこぼした...。 まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |