『10月21日(日)』 第八二〇話 『嗚咽の露光-3-』(10.21.日) 同時間軸上で行われる“王宮の13宮殿”の番者達との 激戦、事の発端である『相似宮』を守護する 『隔壁の双子』【コンサバート・ジェミニ】は [空気ダァア!?!ーーーーッッッッ!! 何を抜かしていやがる?...なっニィ!!?] 『洋子』の前に追い詰められ“幻魔人”と言う 醜悪な進化を果たし彼女の仲間を 不完全な異空間へと送り込んだ後、襲いかかる 「“ミスルーのナイフ”は空間を切り、相手を 吸収する...“ブラィダリティ・デスサイザー”は 精神と肉体を剥ぎ取る...そして、これは〜〜〜〜」 が、しかし精神的な弱さを幼い自分の悲しみを 紛らわせる為に生み出した別人格『霧徒』の 命を賭したぶつかり合いにより洋子は 自分の足で立って進む事を模索し、新たな“力”を手にする [待てよ...空気を...具象化させたのか?... ...無から有を組み上げたのか?!!] 重なった2つの心それはーーー 「〜〜〜彼らの結晶、ぼくとあいつの想い...。 その名は“ジェンダー・マルティプレイヤー” 有を無へ無から有を運ぶ伝説の短剣!!」 無いモノ、空気を切る事によってそれを具現化させ そして物体を斬り裂く事により零へ引き戻す [馬鹿な...ありえん...いや、あっては ならない...そんな....そんなモノでぇっッッ!!!] 有と無を持つ短剣を誕生させた!! 『光助』と『知也』が未だ闘いを続け 『春化』と『迅雷ける山羊』【インラヴィン・カプリコン】が 睨み合って対時し、『京香』は 『愛欲の乙女』【アザゼル・ヴィアルゴ】の 精神世界へ引きずり込まれていた、丁度その時 少年は同じような背格好で眼鏡を掛けた男の子に出会う... 「あの...キミは何でここで... 泣いているの...?」 暗がりで顔の見えない相手に『勇二』は 言葉を差し出し様子を伺う... 「ボクは...今、自分のこの手で... 親友を...掛け替えのない親友を殺して しまったん...だ...。」 『パキュゥウウウゥゥン!!!』 不意に雷鳴を持たない稲光が『転敏宮』を刺し 両者の姿を浮かばさせた 「...ひぃ...って...殺したって... もしかして...ここを守っていた人が?!」 珍しく冴える勇二の頭は的を得た答えを返し 一瞬だけ見せた哀しい素顔をより一層曇らせる 「ボクはね...好きだったんだ...。 いくら蔭で蔑まれていても...ボクには 必要だったんだよ...。」 吐露する言葉に耳を向け何故か同じような 寂しさを覚える彼は何となくだが、相手の気持ちが 解り少なからず同情の意を現した...。 コンサバート・ジェミニへと飛びかかった 洋子はナイフの刃で空気を切り刻み具象化させ 勢いを更に加速させながらーーーー 「右手の指の血液がさっきの答えよ? 解るかな...『スキルマスター』【特殊能力者】であるなら 一瞬で見抜けるとか思うけどねぇ!!!」 『ダギュゥウウウゥゥッッッン!!!!』 …次の瞬間!!!… [空白だと?....汚ねぇ...キタネェェッッっ!!!] そう言葉を掃き捨てる様に放ち、空間ごと 相手を削り取り無へと送り返すこれを直撃させる!!! 『10月22日(月)』 第八二一話 『欲奪の吐露 〜夕日の中で…〜』(10.22.月) 『洋子』は制服の胸ポケットへ忍ばせておいた 羽ペンで描くことによって今まで 物体を産み出して来ていた、しかし 中途半端に動けない様、計算されて異空間へ 身体が封印されてしまった彼女は ひと眠りした後に答えを出した、それは 「答えはシンプルなのよね...前にもやったけど 右指の血液をインク(塗料の意。)にして、 片手の皮膚に描き上げたのよ。」 あのペン以外でも描けるのではないか?っと言う事 そして、即座に実行した洋子は見事右手の 中指の皮膚を噛みちぎり出血させると、同時に そのまま左手の甲へと鮮血でナイフをなぞったのだ!! [ぐっぐうぅううぅうう....あぁっぁッ!?! 僕を無に変換して...ぉおおおぉぉっっっ!!!] 唖然とする『隔壁の双子』【コンサバート・ジェミニ】から 思わず言葉が洩れた... 「致命傷だろうね...まぁ、ぼくの 身体を無断に触れた報いだな...往生しな!!」 だが、このまま敗北を認め諦めたと彼女が油断したーーー …その時!!!… 『ドグゥウウウウウォォン!!!!』 「『幻魔』の“力”が落ちんとも...僕には まだ..出来る事があるのだよ...。 『異界迷走』【オルタナティヴ・ワールド】!!] 足元より亀裂が走り、ジェミニ最後の“能力”が 一瞬にして彼女を取り込む!! 「なっ!?....あんたぁぁっっ!!!!? (これは...『光助』らを送った技???)」 叫ぶより早く次元の風穴は彼女を飲み込み 歪みへ沈まんとするジェミニは最後に 「僕の不完全な能力さ...くっあはははは!!!! 『砲瓶宮』へと送ったよ...相応しき 死を与えて..貰いたまえ...!!」 その言葉と笑みを残し移行された 「くっ!?...次元の壁程度なら...空白を 持ち得て...破壊するのみ!! “ジェンダー・マルティプレイヤー”!」 『シャクゥウウゥゥッッッン!!!!』 そして、次元をも無効とする最強のナイフを使い 送られた異空間より脱出を開始し まんまと亀裂を生じさせ抜け出した少女を 「『ドミニオン』が倒(や)られおったか。 もっとも信頼出来る者への最後の伝言と取るのが 打倒だろう...それでは、静かに沈黙していなさい。」 待ちかまえていたのはーーー 「え”っ!?!」 『びきゃぁぁぁぁぁあっぁっっっっん!!!!!』 冷徹なる氷結の審判だった...。 「キミは一体誰なの?... もしかして...その友達が“幻魔人”に???」 『勇二』が恐る恐る質問すると彼は、 「友達なんかじゃない!!...親友なんだ!!!」 突然!!激昂したように声を張り上げ 「ひゃっぁ...ごっ...御免ね...。 じゃあ...その子が???」 その声に勇二は脅える... 「ぅんうん...ボクの方が今のは謝るべきだね... ゴメン...興奮して困らせちゃって..。 そうだ..独り言だとでも思って...ボクの告白を聴いてくれる? ...最初から本当は知っていた話しを...。」 しかし次には謝罪する彼に不振感を募らせながらも 「...それでキミの気が...罪悪感が晴れるなら... ボク....聞くよ...。」 笑顔見せて小さく少年は夕焼けを背にし頷いた...。 『10月23日(火)』 第八二二話 『欲奪の吐露〜告白〜』(10.23.火) 『隔壁の双子』【コンサバート・ジェミニ】を倒した 少女は足元から異空間へ送られる、しかし 「ったく芸がないわねぇっ!!」 新たな“力”を宿した短剣の効果を使い 即座にそこから脱出する、が 「空間の亀裂『ドミニオン』へのせめてもの手向け オブジェとなりなさい。 『無尽の氷結』【ホワイト・ブレス】!」 それこそジェミニの思惑だった... 『パキュォオォォォッッッッン!!!!』 唐突な攻撃に成す術無く直撃を受け 『洋子』の身体は一瞬にして氷塊へ包み込まれ 「え”!?!ーーッきゃあつあっ!!」 そのまま墓標となった氷柱に閉じ込められてしまった!! 亀裂から落ちた『勇二』は番者...かつての 仲間であった『幸平な天秤』【スタイリッシュ・リイブラ】を倒し 悲しみにくれる『異界の闇覇者』が1人 「...まずは自己紹介しなきゃね...。 ボクは....いか...うんぅん...『月影 真』。」 真と出会い未知の彼に戸惑いながも返事をしていた 「あのボクはーーー」 「あっ良いよ...君の事ボクが知ると... いつか不利になるような気がするから。」 不意に自分の名前を教えようとするも 「ーーっえっ!?それって...ぅん...解ったよ...。 (っむ〜〜〜、どう言う意味〜〜!??)」 勇二はそれを軽くあしらわれてしまう... 「君がこの先に進む事になればきっと 解るよ...変な意味じゃないから...誤解しないでね。 (...情なんて...もう持ちたくないから...。)」 それには真の計らいがあったのだが、少年には それが解る筈も無く...告白は始まる...。 「...誤解なんかしてないよぉ〜。 (十分怪しいけど。)」 勇二が首を横に振ると、静かに深呼吸した後 真はゆっくりと語り出した... 「ボクは日本に住んでいたんだ... ここの守護者の近所にね...。 もう知っていると思うけど...ここのみんなはーーー 全員が元々...“能力者”なんだ...。」 これまでの物語を辿っていればそれは 簡単に理解出来得る話しなのだが、勇二は 「嘘...じゃあ元々...ボク達の味方なの??? (...町で...『幻魔』と歪みの関係を聞いたから...かな。)」 それを耳にすると驚きを隠せずに思わず声を上げた...。 『10月24日(水)』 第八二三話 『欲奪の吐露〜Hold on me〜』(10.24.水) 「そう...だと思うよ...。 詳しい課程はしらないけど、現世の各世界の ...おんなじ人間なんだよ...。」 『勇二』は初対面の為、元々の『真』の性格を知らない 「そうなんだ〜...でも、そうなっちゃう 理由も解る気が...ボクもするんだ、実は...。」 だから違和感も持たずに話しを聞くのだが 本来、知り得るモノであったならこの汐(しお)らしさに 驚愕し腰を抜かすかもしれない... 「誰も決められた道なんか選びたくないのにね...。」 ボソッと呟いた真のその言葉は重く 後に、本来の出会いを果たした時....少年は 相対する事で何を思うのだろうか...。 「?ーッねぇ、辛いのに何で... ともだ...ぅんうん、親友と戦ったの?」 唐突に間が出来た会話へ勇二は自ら 好奇心に任せて質問した 「へへっ...御免ね、さっきのは〜 聴かなかった事にしてね? ...理由...ぅん、依存していた者が壊れかけてて それで...大事なモノならいっそ、自分で破壊 したかった...からかな。」 すると、真はそう返答し陰を落とす...。 「依存???」 思わず相手から突然放たれた殺気に似た感覚を感じ 脅える少年は逃げんとする、が 「あっ...ごめんゴメン..。 怒っているのは自分になんだ..。」 それを引き留める様に真は穏やかな口調でそう言った...。 まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |