『10月25日(木)』 第八二四話 『欲奪の吐露〜依存(いぞん)の境目〜』(10.25.木) 「...はぁ...はぁ...くっ..あたしの“力”は 源素を元にしている...だから 物質だろうと生きていればそれから... 気、で良いのか?..それを取り出し傷を回復出来る ...けど...精神力のようなモノを削っているのか... この見極めを間違えれば...力は底を付く...。」 誰よりも“王宮の13宮殿”の番者と多く戦い 実力と運もプラス(足すの意。)され勝ち残った 『京香』は次の宮への鍵を握り締めながら 螺旋階段をゆっくりと剣を杖にし上がって行く中で 大理石の柱や壁から生気を奪い体力の回復を計る、が 「...RPGのゲームのようなモノかな...。 ...どうやら...あたしは見極めをまた... 間違ってしまったかも...知れないな...。」 代償として精神世界にて傷ついた精神を更に 削る事となってしまった...しかし、確実に 前進し今、『転敏宮』を目指す!! 「依存していたんだ...そう、ボクは...。 だから...これは解っていた話しなんだヨッ!」 『勇二』を相手に会話する事で少しずつ 元気を取り戻す『真』は、 「友達とかって...実は複雑なんだよね...。 ...相手を利用して一緒にいる場合もあるし 多分、キミの気持ちは...ボクも解ると思うよぉ〜!」 自分の抱えていた痛みをさらけ出して行く...。 『隔壁の双子』【コンサバート・ジェミニ】を撃破した『洋子』は 自らの抱えていたトラウマ(心身的外傷の意。)を克服する、が 「さて、随分と王宮の13宮殿が番者の数も減ったものだ。 これならば少しはあの男の可能性もあるやもしれぬな?」 再び発動された不完全な異空間へ送り込まれた 少女は自力の脱出直後、待ち受けていた首にマフラーを 巻き付けた女性の『スキル』【特殊能力】によって 一撃の元に氷結させられ戦闘不能と化されてしまう!! 同じ頃、勇二は番者の既に倒された転敏宮へと 落とされそこで相対する1人と運命で導かれた様な 初対面を交わし相手の話しに耳を向ける... 「幼馴染みだったんだ、ボクらは...。 でも...保育園に『チッキー』は行って ボクは幼稚園に、それで2年後...小学校で 一緒になったチッキーはまるで人が変わっていた...。」 聞き慣れない人の名前を今、突っ込む必要は 感じなかった為そこを流し相槌(あいづち)を少年は打つ 「でもそれまで会っていたんでしょ?」 「ぅん、でも...たまにしか会えなかったんだぁ...。 ボクは会いたかったケド...チッキーは お留守番してなきゃいけなかったし...。 両親が共働きだから...だったんだけどね...。」 質問を返し真の目は遠くを眺めていた、それはまるで その時代を心に想い描いているようだった... 「そうなんだ...でも、少しは会えてて良かったネッ!」 そんな彼を励ますように勇二は言葉を送り 照れたように笑みをこぼす同じような姿の少年は頬を 赤く夕映えに染めた...。 知らぬ間にボクもきっと誰かを傷つけているのだろう な〜んて、ボクも月影君の言葉を聞いて 思ってたんだ...哲学とかって苦手だけど...ボクは ずっと好きな人と居られれば良いなぁ〜って 思う、それはわがままなのかもしれない...けどぉ〜 やっぱしそれ以外考えられないよネッ! 「うん!...でもね...この2年がチッキーの中の 何かを変えていたんだよ...。 外見(そと)は笑っていても...心はまるで 獄寒の地にいるみたいな...そんな眼をしてたんだ...。」 すくなからずボクも色々経験したり 知っているワケで...多分、ボクが顔を向けたら 目を伏せた...月影君の行動で察しは付いていたんだ... 「それって...。」 「...そうだよ、両親は保育園にチッキーを 置き去りにして働いていたんだよ...。 その結果と...きっと前からそうだったんだと思うけど 今までのが重なって...チッキーは心の どっかが凍ってたんだ...。」 その子は愛情を与えられていない...2年間だったんだって...。 『10月26日(金)』 第八二五話 『欲奪の吐露 〜鎖は…繋がる〜』(10.26.金) 絶孤(ぜっこう)の孤独、それがある程度の 歳を経た成長期なら耐える事が出来るだろう しかし...幼児期、主に人格形成が開始される 0〜3歳時に受けた外的要因は大きくとても重要となる だが、4〜6歳時...本来ならばこの時期には 壱(ひと)成長を迎えたと両親に認知されるこの頃が 実は一番危ういのだ... 「『チッキー』の眼はいつも 笑っていてもボクを見ていなかったんだ..。 今考えれば...一緒に居た時も...母親の顔色 ばかりを伺っていたような気さぇするよ...。」 鎖...そう、例えて言うならば“連鎖”と言う言葉が 正しいだろう、保育園とうの施設へ 子供を置き去るタイプ、これは共働きの両親を持つ 子供にもっとも多く最低な傾向だ... 「お父さんとお母さんがうまくいってなかった...とか?」 現在の女性では仕事を優先すると言うよりも 子育てを放棄する傾向にある、簡単に言えば 自分の自由を束縛する子供が愛憎の塊となるのだ 「特に...ボクはそう言う事を 知っている立場でもないから解らないケド...。 全然そんな風には見えなかったよっ..。」 虐待と言うのは簡単な事から始まる、理性を保つ っと言う行為すら近年の人間達は出来ないのだ そう我慢を覚えていない為に...。 「...あの...それで...小学校で一緒になれて それから...どうしたの?」 暫しの沈黙の後、『勇二』はなるべく自分で考えて言葉を選び 『真』の顔色を伺いながら声を掛けた... 「あっ...御免!...ついつい思い出してて ふけっちゃってたよぉ〜...あはは...。 ぅん、クラス(組の意。)も一緒になれたんだ! でもね...どこかやっぱり学年が上がって ゆくに連れてあの頃は...もう戻らないんだって...。」 鮮やかすぎる思い出が自分を苦しめ 知っていた物語は佳境を迎える... 「そう...なのかな...。」 「...気付いたんだ...さっき、君が友達とかは 価値で決める時もあるって...言ったよね?」 勇二のそれに反応して真は口を出す 「う...ぅん。 (だって...離れた年月なんて...関係ないじゃん!)」 「ボクにはそれだけの...一緒にいるだけの 価値は無かったんだよ...。 て言うか、見た目のまんまだしね! それは...自分でも解ってたから...必死に 依怙地(いこじ)になって...一緒にいたんだよ...。」 それは今までで話していて一番悲痛な顔だった...。 「そっ...それはーーっ!!」 まるで少しボク自身の事も言われているようで しゃくに触った〜って言うか、頭にきた!! だって...やってもしないで無理だ!って 指さされて言われているみたいだったから 「大体わかるんだけど...君の事とかの意味じゃなからね? ボクは...ボクが現世でもっていた スペック(技能質量の意。)を知っているんだ。」 でも〜月影君はそれを察して...そんな こと、言われたら余計に...そりゃ〜そ-だけどさー! 「...だけど...!」 「自分の物差しで計らないでよ〜。 ...ボクは一緒にいながら...思ったんだよ...。 置いていかれたら...チッキーに捨てられたら... ボクはその時に...解ったんだ...ボクは 憎んでいたんだって。」 ぐぅのねも出なかった...そして、ボクはこれから 月影君から...この確信の意味を持つ 核心を聞く事になるんだ...。 『10月27日(土)』 第八二六話 『欲奪の吐露〜好き=嫌い〜』(10.27.土) 「でも...好きだから...一緒にいたんじゃないの?」 『勇二』は出来るだけのフォローをして 会話を進めて行かんとするのだが、 「好きだよ、今でも...。 でもねぇ...どっかで『チッキー』はボクを 見ていない...何れにせよ断ち切られるって 覚悟してたんだ...。」 『真』には逆にそれが辛かったのかもしれない... 「どうして???」 感情的な言葉をどうしても放ってしまう 真っ直ぐな勇二の瞳が... 「疎外されている感覚って解る? ...ボクはね一緒に...チッキーや、その仲間といても 集団の中で孤独を感じていたんだ...。 ここにはボクが執着しているんだ!って それに...チッキーも同じだったのかも...。」 この世界へ最初に訪れて彼らとギリギリの狭間で 過ごした日々が真の胸を貫き それが、もう戻らないのだ...っと告げる 「同じ...じゃあ、その人も... 思いは...そんなのって...。」 一度破綻した調和は、二度と復元されないのだと...。 「環境の違い...そんなモノだと思うよ...。 冷静に考えれば...チッキーはボクの事は 歯牙にもかけていなかっただろうけど...。 それでもボクは....相手の光にすがり依存しながら 恨みながら...一緒にいたかったんだ..。」 人格形成で重要なのはその周囲の環境も 一つの要因として上げられる これは貧富の差や両親...このどうしようも出来ない 事象が視野を器を小さく縮めて行くのだ... 「だから...知っていた...。 嫌いだったんだね...好きであって...。」 「そう、ボクは恋愛感情にも似たソレを 持っていて...チッキーの持っているどこか 暖かいものに...追いすがって...たんだ。」 家庭内暴力を振るう両親を見て育った種子は これを発散させる為に学校などの閉鎖した空間で 別の弱い対象を狙う、これが悪循環となり 同じような連鎖が起こる...つまり発端は 誰でもない、全て自分自信...産み落とし 種を付けた両親と言う人間達にある...。 「...。」 掛ける言葉が見つからず勇二は戸惑う、が 「有り難う〜こんな下らない話し 聞いてもらっちゃって〜。 ごめんね、君は先を急いでいたのにね...。」 真はそれを察しいつもの明るさを取り戻した様に 声を張り上げ立ち上がり夕映えの景色を眺めた 「うん...うん、そんな事ないよ...。 あの...一つだけ良いかなぁ〜?」 「ん?な〜にぃ???」 「あのね、...きっと戻らない時はないと思うんだ ...だから、諦めないで!!」 そして勇二の言葉に自然と溢れた滴をこぼす...。 『10月28日(日)』 第八二七話 『欲奪の吐露〜抜けた空〜』(10.28.日) 吹き抜ける風が涙を拭うように『真』は 笑顔を取り戻しどうやら何かと決別を行ったようで 「本当、迷惑かけてアレだけどぉ〜 君に会えて良かったよ...。 この先にやっぱり進むんだよね?」 スッキリとした爽やかな顔を見せていた...。 「ぅ、ぅん...ボクらの仲間が友達が 捕まっちゃってるから〜!」 当初の目的を真の言葉で思い出した『勇二』は 慌てふためきながら返事を返す、すると 「この上は『填褐宮』って言うんだ んで、そこの守護者であった...シンク...ぅうん 『菟月の蠍』【ディクレセント・スコルピオ】は ...ボクがもうさっき始末してあるから。」 そう言いながら少年に何かを差し出した...。 馬の紋章が刻まれた鍵を手渡すと 「始末...???」 「そう、ちょっとした因縁対決って奴でね〜。」 真は勇二の太い指を握り締め、再度礼を述べた...。 まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |