『11月13日(火)』 第八四三話 『God’s Hand』(11.13.火) 現状、捕獲された者が1人...行動不能状態の者が1人 更に無傷な者は1人... 「この『錨 十蔵』【いかり じゅうぞう】のーーー 上を...くぁぁっぐあぁっ!?!」 他の者は少なからず傷を負い精神にも負担を受けている この中で、引き返せない闘いを行う 7人は“王宮の13宮殿”の番者達と互角以上の 戦闘を繰り広げ各々先を目指していた...現在、 「...この剣には本当に助けられている...。 感謝しているよ『メルティ』...。 (そして...『オーブ』パーツにも...。)」 『陣罵宮』にて『京香』『勇二』は 『木陰の人馬』【ノクターン・サジタリアス】と言う 日本情緒を慈(いつく)しむ変人の類で、 サムエ姿の初老がかった男と戦略で雌雄を決さんとする!! 「はぁ〜良かった〜! キョウの言う通りだったよ!!(汗)」 『どぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃっっっっ!!!!』 勇二の合体魔法が直撃を受けた馬型の『幻魔』は、 [ぶひぃつひゃはやああぁぁっ!?! (もひげぇぇっっっ!?!)] 出てきた襖へ押し込まれるように 吹っ飛ばされ奇襲は失敗に終わる 「...この程度の戦術で....。 今のあたし達を倒せると思うのなら ...笑止、時間が無いんだ...遊びも程々にしな?...。」 鎌イタチ(真空刃。)が身体をサムエごと刻み 一瞬にしてボロボロの姿と化した男へ 「むむっむううぅううう!!!!」 容赦無く言葉を放つと、追い打ちのごとく 腰を畳へ落とした姿へ彼女は剣先を向けた!!! 「...ふぅ、恐かった...。 (あの時...。)」 あの時、キョウはボクに小さな声で こう言ったんだ、 「...良いか?勇二...君を無傷で進ませる事を あたしが宣言すれば...確実に、いや ...そうでなくとも敵は最初から君を狙う...。」 驚いたよ...切り札って、この為の... ぅわぁぁっボク生贄じゃん!!って、ね?...でも 「...でね、あたしが走り出したら ...2秒程度遅れて...一緒に走って来るんだ!...。 ...敵は幻魔と人間で一個体...つまり対なんだ...。」 良く話しを聞いている内に キョウの言う意味が解ったんだよねぇ〜 「あっ!そっか...。 ...そこをボクが...倒すんだね!」 「...声大きいよ!...そう...。 ...距離をこの場所から取ったら反対側でも 向いていれば良い...、あたしが死角となって ...奴は君を見失う...この隙が必要だからね...。」 んで、ボクらの作戦はお見事成功!! でも、...真後ろからいきなしお馬さんが 飛び出して来たのにはビックリだった...けどねぇ〜(脂汗) 「なんと言う...ぐううっっっ!!! しかし...拙者をこの程度で止めたと 思って貰っては困るで候!!」 「ぅわぁっ?!...!!」 おじさんはいきなりボクが振り返った瞬間に叫ぶから 思わずボクは声を上げてしまった...。 「...『風の核色』ッッ!!」 『パシュアッァァッッッン!!』 彼女が瞬きを行う一瞬の隙を突き 懐(ふところ)へ素早く手を伸ばした彼のソレに気付き 同時に“核色”を起動させたの、だが... …その瞬間!!!… 「無駄で候...ふふっ...。 “この土地に・風は吹かぬと・言いにけり” ...時世ではないか?...くく!!」 左手にした錨の短冊へとこれらは吸い込まれる様に 収束し掻き消されてしまう... 「きょ...キョウ!!どうしたの!!?」 突然の出来事に振り返る勇二も戸惑うが、 「...風の刃が...いや、風を禁止されたのか?...。 (...だが、刃は通らせる!!!...。)」 一番衝撃を受けていたのは当人のキョウだった...。 『11月14日(水)』 第八四四話 『絶詠』(11.14.水) 「マーシャルアーツを使うまでも無かったな...。」 [『ミルティン』...俺っこのお蔭にょ! 『白雪のオコジョ』【ワィトスノー】様の “凍陣”を崇めるにょ!!] 氷結した仲間の姿に激昂した少女を 下した番者... 「そうね、雪オコジョ...。 でも『抹殺の水瓶』【アクアリゥス・エグゼキューター】としては 当然の仕事でしょう?」 アクアリゥスは、それでもなお立ち上がり 武具を構える彼女へまるでもう相手にならない っと言う様な目線を向けマフラーのごとく 首に巻き付く『幻魔』へ返答した... 「くっ...かっ?!はぁはぁはぁ...。 (身体が寒い...芯から凍えるようだわ...。 もう...長くは持たない...ならせめて...!!!)」 渾身の一撃を防がれた『春化』にとって もう成す術は残されていなかったの、だが 「大人しく氷結していれば...。 苦しむ事はないのに、“靭裂”でも受ける?」 『パキュゥウウウッッッン!!!』 アクアリゥスが止めを刺さんとしたーーー …その時!!!… 「ーーーッせめて、貴方を浄化する!!」 蝋燭が燃え尽きる一瞬の灯し火の様に 生きる為に使用していた生体霊気を爆発させ 自らの“力”へと変換し迎え撃つ!!!! 『無尽の氷結』【ホワイト・ブレス】の アクアリゥスとハルカが激突していた 2つ下で行われる『木陰の人馬』【ノクターン・サジタリアス】と 『勇二』『京香』の闘いは意外な方向へと進む... 「それこそ、笑止...。 ...剣の速度を上げていた風がなければ 拙者を捕らえきるのは不可能!!」 短冊に書かれた俳句のなせる技なのか? サジタリアスへ放った彼女の風は掻き消され 更に振り降ろされた剣は、たった一本の 筆により軌道をずらされ畳を穿つ!! 「...くっ!!...。 (...“核色”のはめ代えを行ったところで...。 いや、...あたし自身の力で試して見るか?...。)」 即座に抜き去ったは良いものの 既に男は距離を保って持っており、後ろでは おろおろする勇二の姿が見えた... 「どっ...どうしたら!?良いのっ!! ...って、ボクがあわわゎっ...。 (お馬さんが復活しちゃったよ〜(泣))」 そして、彼の前には襖へ押し込められ [ブヒィィィッン!!] 荒ぶるの馬型幻魔がその姿を再度現す!! 「くくっ...“鉄塊が・切れたはったは・不用心”!! そちらの手駒は一つ一つ潰して行くで候。」 筆を手に書き出した俳句がまた効力を 発揮する、これで 「...どうあっても...消耗戦を ...お前達は続けたいらしいな?...。」 キョウの武器の威力は完全に無効化されたのだから...。 『11月15日(木)』 第八四五話 『短歌』(11.15.木) 「ひゎわっっっ!?! (どっど〜しよぉ〜(汗))」 殺気だった表情を浮かべる馬型の『幻魔』は 再び姿を見せると迷う事無く 『勇二』を標的と定め襲い掛からんとする [ブヒィヒヒィィン!!!] 同じように“力”を封じる...いや禁止すら してしまう『スキル』【特殊能力】を有する 『木陰の人馬』【ノクターン・サジタリアス】の それが決着の付いた勝負を呼び戻していた... 「消耗戦?それはそちらにとって、で候。 拙者は足止めに終わる気は御座らんよ...。 あわよくば...ふふっ...。」 そして、短歌に込められた文字が抑制しているのか 『京香』の持つ手段が次々と奪われて行く!! 「...確かにな?...しかし、君も緒戦は ...二番煎じなんじゃないのかな?...。 (...次の語句を読まれる、その前に...手を討つ!!...。)」 キョウの目論見を知ってか知らないでか サジタリアスは身体の所々から 溢れ出る出血を指に取りペロリと嘗めるとーーー …その瞬間!!… 「“幼女の・心臓握る・これ愛し”。 簡単に言い代えればーーーー (ーーっ...直で心臓を握る...ですかね?)」 取り出した札へ筆でスラスラっと、書き綴り 「...ぐっ...き”ゃぁぁぁっっ...!?...。 (こっ....これは...まさか...。)」 これを一瞬で体現してしまう!! 『とくんっとくんっっ...!!』 「んっん〜...拙者はこうシテいる 時が一番...幸せであるよ。 ...この神の手でな?」 そう正(まさ)しく...少女の胸には貫通した様に 「きょぉおおおっ!?!」 男の腕が突き刺さる事で...。 異様な声を上げて苦しむ彼女のこれを 聞き即座に振り返る勇二だった、が 『ガズズズズズッッッ!!!』 [ぶひょひぃいいっっん!!!] そんな暇は与えてさえくれず幻魔は 猛突撃し、突っ込み彼を吹っ飛ばして しまわんとする、だが間一髪の所でそれを避け去ったものの 「ひゃっぁぁっ!?! (こっ..こんな攻撃受けたら即死だってェッ!!)」 使いふるされた畳を蹄が引き裂くように弾き 暴れ馬は強制的に方向転換を行い、怒り任せで 何度も執拗に攻撃し追い詰めて行く!! 『11月16日(金)』 第八四六話 『心得』(11.16.金) 「...はぁはぁはぁ...っっ!!...。 (...しまったな...。)」 直に臓器をめでられる凄まじい吐き気を 催す様な感触に耐えながら 「ふふっ、痩せ我慢はきつかろう、て? ...拙者もひと思いに 握りつぶしてしまいたいのだが、な...。」 視線は外さず『木陰の人馬』【ノクターン・サジタリアス】へ 向ける『京香』だったが... 「...下種が...。」 『むきゅきゅきゅっっ...!!』 「紅葉の手形が残りますよ? ...勝ち気な性格もいい加減にして貰うで候。」 男の手に少しの“力”が入るだけで 膝から崩れ落ち、しまいには剣を握れぬ程の 脱力感を覚え指を離してしまう...。 「...あ”ぁっ...。 ふぅ...くっあははは!!!...。」 不意にうなだれる様に髪を乱した 彼女は狂った風な笑みを浮かべ... 「ついに、切れてしまいましたか?」 彼の遠出から貫通した腕を掴むと こう不敵に言い放つーーー 「...一変死んでその気違えの趣味趣向を...。 ...強制されて来い...。」 そして、サジタリアスがハッ!っと 遠目から自分の腕が捕まれているのだと 漸く気付いたーーーー …次の瞬間!!!… 『ズガガガガガガガガガガッッッッンン!!!!』 「!?!ぅわぁぁっっっあああ!?!」 振り解かんとした彼に強烈な電撃が走る!!!! 「...何事も、初心を...心得を忘れるべからず...ってね?...。」 ブスブスっと焼けた様な音が響き渡り 全身が黒焦げの墨塊と化した 男の姿を、違和感から解放されたキョウは眺め そう呟くと剣を拾い上げ『勇二』の状況を見定めんとする...。 まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |