『11月21日(水)』 第八五一話 『こんなに晴れた日の中で』(11.21.水) 『絶陰地帯』支配者へと続く道を塞ぐ 山道を登り、要所に一階100メール程度の螺旋階段と 宮殿で繋がれた経路を辿る一行だったが 各々各所で待つ敵に行く手を阻まれ苦戦を強いられていた... [笑わせる...“力”を持たぬそちらが 拙者を下せるとでも!?] そんな中で『錨 十蔵』【いかり じゅうぞう】と そのパートナー(相棒の意。)を成す『幻魔』は “王宮の13宮殿”が番者本来の姿を型どり 『陣罵宮』の名に相応しく完全な 『木陰の人馬』【ノクターン・サジタリアス】へ 「今日の壁があるとしたら...。 それは、キミだよね...だからそれを倒して ボクは先に進む!!」 融合を果たし、『勇二』『京香』の前に 完全と立ちはだかった!! 「...くっ...止めるんだ...。 勇二の魔法は...ここでは封印されている... ...無謀だ!...。」 だが、『スキル』【特殊能力】を禁止されて いようとも頑固なまでに意志を決めた 少年は自分の盾となって傷つき倒れた彼女の肩に 『ぽっふっぅ...!!』 「ボクを...信じて。」 静かに手を当てて押さえつつ呟くと 学生服のポケットより白銀の鞭を取り出し構える!!! [何が出来る?...拙者とそちらの力量の差は 誰が見ても明らかだ...それで..何が変わる?] したり顔で述べる人馬は槍を振りかざし 「...。」 切っ先を勇二へ向けて声を大に続ける [その彼女が行った必死の愚行も... これで、水の泡なので候。 何故なら...“能力”は既に禁止されているのだから!! ...脳味噌の足らないおデブには理解不能やも知れぬが、なぁ!!] 「...貴様ぁ...!!...。 (言わせておけば!!!....。)」 しかし、それでも少年は揺るがず取り出したソレを 右手に持つと一言だけ言葉を放ち、 「それだけ?...なら、もう罰っして良いよね。」 意志で体現して魅せる!! 『ダキャァァァッッッン!!!!』 [へぐあぁぁぁっっっ!!?!!?? (なにぃ...これは!???)] 一筋の閃光が鎧の隙間を縫って放たれ 「...ふっ...解った、任せる...。」 首筋が一瞬で鋭利な何かで引き裂かれた様に ぱっくりと開き大量の血液を吹き上げた!!! そうだ...ボクは最初から...何も出来なかったし ...今だって強くもないと思う...でも、 [ひっひゅーひゅーっっ!?!! (こっ...声が...あぁっっ何だぁっっ!?!!)] 何度だって良い...負けたくない!!って 思えば...ボクは何度だって立ち上がれるんだ ...見てて、あいつにボクの何が解る... ボクの心まで縛る事なんて出来ないって教えてやるんだ!! 「『白金の鞭』【レイジング・ビュート】に 『防射結界』【エターナル・ディスポーション】を掛けて〜〜〜 当たって、死ぬまで弾けろ!!!」 [ひゅこっひゅーーー!!? (馬鹿が...能力は禁止しているのだーーー!!?)] 『ドギョギョギョギョギョギョッッッン!!!!!』 ボクはこの時解った...この世界では思いの強さで 不可能も可能と出来るのなら、ボクの... 元の世界でもどうにかなるんじゃないの?な〜んて、 「...行け、勇二!!!...。」 そして、ボクだけの魔法はちゃんと出来て相手に直撃したんだ!! 『11月22日(木)』 第八五二話 『瞳、逸らさない』(11.22.木) 『霊聖坤』に大量の霊気を命を削る事で 込め限界を超える“力”を発揮せんとする 『春化』だったが、その代償として身体が 爆発的なソレに耐えられるハズもなくーーー [きくく、崩壊してるにょ〜! 俺っこらの“凍陣”が確実に蝕んでるってにょ!!] マフラーに擬態し首へ巻き付いた『幻魔』 『白雪のオコジョ』【ワィトスノー】の言葉通り 徐々にではあった凍結が促進され逆に 自らの死期を早める結果となってしまっていた!! 「ワタシ達の連携...、雪オコジョの最初で 勝手にこの『抹殺の水瓶』【アクアリゥス・エグゼキューター】の 手を下すまでもなく終わってしまうわね。」 それでも、彼女はアクリアリゥスからこの視線を けして外す事無く坤を手に握り突っ込み... …次の瞬間!!… 『パキャァァァッァッッン!!!!』 「あっ..あぁあーーーっっっ!?! (...ごめん...でも、貴方なら...。)」 直撃した“力”『無尽の氷結』【ホワイト・ブレス】が 視界すら塞いでしまう程の冷気でハルカを...いや 場全てを包み込み永(とこし)えの眠りを与えた...。 『木陰の人馬』【ノクターン・サジタリアス】の“能力”が 詠唱され『勇二』は力を失った、に見えたが...しかし 「...ボクの心は誰にも縛れない!! あぁそうだ、お前なんかの力でーーーー ボクを止められるものかっ!!!」 …この瞬間!!… 『ピキャァッッッン!!!』 少年が自分の信念に従い、折れぬと心に決めた その時、何かが弾ける音と共にーーー 「...行けぇっっっ!!...。 (勇二...強く...なったな...。)」 それは蘇り、手にした鞭へ物理攻撃反射の属性を与え [ひゅーっひゅひゅぅう!?!! (ばっ!馬鹿な!!有り得ない!!!)] 勇二の意志で放たれた!! 『ドギョギョギョギョギョッッッン!!!!』 「物理反射を繰り返して...そうやって 『キョウ』が苦しんだ分を味わうんだ!!」 打ち叩く部分に付加されたソレは、 [あああべべべべべえべべべっばばばあぁぁぁ!?!] 何度も何千回と跳ね返りこの度に 人馬を穿ち完膚なきまでに破壊する!!! 「...ひょっとしたら...。 (勇二が...一番強いのかもな?...。)」 京香はこれ!っと一度決めた少年の強さを 間近で見て前々から思っていた事を呟くと 「...ビュートえんどっっ!!」 『がぱっしゅぁぁっっっん!!!!』 [あばばっっっ!!?! (ぅああああああっっ!!?!)] 敵を叩きのめし歪みへと完全に送り去った 勇二の後ろ姿を我が子を育てた母の目線で 向けると、傷を物質から絞った源で修復しつつ 静かに立ち上がり笑みをこぼす...。 『11月23日(金)』 第八五三話 『不定調和』(11.23.金) 『木陰の人馬』【ノクターン・サジタリアス】の身体は 誰しもが一目で重体と解るまで攻撃されると 嫌と言う程の鞭を受けたまま歪みへ沈み 同時に胸元へ忍ばせていた鍵を床下へ落とす... 『チャリィイィィッッン!!』 「大丈夫『キョウ』? ...あっ...何んか落ちた!」 落下地点を指差し京香は『勇二』へ 言葉を掛けそれを拾わせた 「...多分、次への鍵だよ...。 すまないが...勇二拾ってくれるかな?...。」 「ぅん、良いよ。」 拾い上げたこれには山羊の紋章が刻まれ 銀色に日の光を反射し輝いていた... 「...もう少しで頂上も近いな...。 (...『智明』の救出が一番厄介だなんて...。 まさしくヤレヤレだな...。)」 応急処置で行動可能まで肉体を復元し治した 彼女はしかし剣を杖に立ち上がると 深呼吸にも似た溜息を付いて 「あっ!もう良いの??? (ボクも...回復魔法使えるはずなんだけど〜。)」 少年と共に上階へ進む為、螺旋階段を踏み締めた...。 私は死ぬ...これを覚悟で...命を燃やす 「...ぅっあぁぁっっっ!!! (...肉体の崩壊は止められない...なら!!)」 誰かの為じゃない...自分の為だもの... 外法...霊術式とは対をなす魂術式...っとでも 言うのでしょうね...“三月”だったら ...止めるのかなぁ...私を... 「マーシャルアーツの練習台となるのは 確実だけど...それでも、原型が残るかしら? Iecing Feildを受けて。」 でも、彼女もそうするわよ....ぃいえ... そうするからそこ...私は、貴方を尊敬する... [俺っこの吐息でもう終わっているにょ! でも、この勢いは危ないから...本域で行くにょ!!] 私の命、『洋子』...受け取って そして....無理にとは頼めないけど... でも...わがまま、聞いて...私の代わりに 「....神霊術っっっっっっ!! 霊気の刃よ、彼女を閉じた邪悪を浄化しなさい!」 『ドシュゥッッッッン!!!』 こいつらを...倒して!!!! 『春化』がその身を、魂を削り放った刃は 彼女らを撃ち倒さんとする為のモノでは無かった... 「何処を狙ったかは知らないが...大した事もない。」 凍れる棺に閉じ込められた仲間を 救わんとしたそれは放たれる、しかし …それと同時に!!… [終わったにょ!!] 『パキャァァァッッッッン!!!』 少女は凍て付く冷気の直撃を浴び最後の時を 迎えんとしていた、だが... 「ぉおおお...『気具装』【ウェアー・ディスポティション】...!!」 …その瞬間!!!… 『ダグォオオオオォォッッン!!!』 「...ぅぅうぅ...貴方は...?」 「待たせたな....。」 凍結した空間へ何者かが舞降りハルカを抱き救う!!! 『11月24日(土)』 第八五四話 『反逆!!!!』(11.24.土) 「寄ってたかって....一人のイタイケな 少女をなぶるったぁ、何事だい?」 『パヒュァァァァァッッッ!!!!』 神様が遣わした天使かのごとく 彼は当然の様に颯爽と姿を現す [にょぉおおおっっ!?!(何者にぃにょ!!)] 「...来たか...貴様は、ワタシの壁...。 そう、尽くワタシに逆らう反逆者なのだな!!」 「ぁ...あぁあ...寒い...もぅ...。」 空中で落下し床下へ身体を叩き付けんとしていた 彼女を抱えてその身を盾に男は冷気を浴びる、そして 「...陽と陰よ、オレを型どれッッ!!」 この金色の鎧を纏う少年の名を、『知也』と言う!! 「...あったかい手ね...。」 辛うじて意識を保つ『春化』は呟くと 彼の顔を下から覗き上げた... 「喋っちゃダメだ、舌噛むぜ? ...ーーー〜〜〜〜ぅおおおおおっっっ!!!」 すると何処かそれ見て安心した様に 静かに瞼を閉じ冷めた身体をこの中で癒す [いい加減にするにょおおっっっ!!!] 「...雪オコジョ...侮るな...奴だ...。 あのワタシを追い詰めた男だ...。」 知也は少女を片手に抱えながら自らの拳に気を込める 「もぉ、遅せぇよぉっっ!!」 そして、白き獣が飛びかからんとしたーーーー …その瞬間!!… 『どぎゅぁぁぁぁぁっっっん!!!!』 それを振り絞るかのごとく穿ち出す!!! [にょあぁっ!?!(俺っこの“凍陣”が!?!)] 同時に繰り出された凍て付く吐息の攻撃、しかし 「怯まねぇ...いや、怯んじゃぃけねぇ...!!」 『びきっっびききっっ!!!!』 「ワタシの『無尽の氷結』【ホワイト・ブレス】を... 凌駕したソレよりも...この男は...。 (また強くなっていると言うの!?)」 知也の拳はそれを押し返しブチ破り本体を砕く!! まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |