『11月29日(木)』 第八五九話 『君の為に、僕の為に』(11.29.木) 支配者へと続く道、“王宮の13宮殿”を 登って行く一同は多かれ少なかれ困難はあったものの どうにか個々の敵を撃破し先行させられた者と 後者は分断されつつも再び出会う事に成功した 「おーいっっ!!」 同時間軸で戦う7人は順当に足を進めるが 未だ『智明』を捕らえた者が存在する場には 近付けず一部の者の中ではかなり焦りを覚えていた.... 「...この声は...。」 「『光助』!?」 先に『京香』が螺旋階段へ踏み出さんとした …この直後!!… 「はぁはぁはぁあ〜〜〜。 ふぅ、久々に走ったよ!! ...良かった、やっぱし『勇二』達だったな!」 どすっどすっ!!っと言う豪快な響きと共に 走り寄り『獣化』が解けた光助が声を掛けて来た 「...随分と酷い怪我をしたんだな...。 患部見せてご覧よ?...組織を治すからさ?...。」 血塗れになっていた箇所や攻撃によって 破かれた洋服を見てキョウは優しく言葉を残すと 静かに側に行き『スキル』【特殊能力】を使う... 「あはっ...それにしても、会えて良かったぁ〜!! あの人の空間でバラバラになって ...ボク心配してたんだよぉ〜(泣)」 『ぱひゅぅっっっっぅん!!』 「さンきゅー!キョウ!! ...いやぁ、オレっちも勇二達んこと心配だったんだよ? でも、どうやら皆...でもないか、 無事な事は確かだよなぁ〜。」 気で自己治癒を受けていた患部は完全に回復し 服装も元通りとなった光助はやっと 完璧に痛みから解放され安堵の息と笑みをこぼす... 「...そう言えば...もう下の階は誰も... いないんだよな?...。」 勇二の話しを聞いていた彼女は確認の為に 青年へ訪ね実は無理する身体を柱に預けた... 「ボクらがいっちゃん最初っから 登っているとしても...いきなりボクは 飛ばされたし...光助どうだったの?」 アレからどうしたのかを同じく質問する少年にも 光助は一回思い返す様に今までの出来事を簡単に 順を追って説明して行く... 「オレっちも勇二と同じだったのさ、でもね ほら最初の羊いたっしょ? あいつが食わせモノでね、つーかぶっちゃけ 次ウシじゃん、でも双子に行かされてわけ、んで オレっちは戻らされたのそっちに。」 心無しか元気の無い光助に心配の視線を 送りながら勇二はキョウと一緒に彼の声に耳を傾ける...。 『知也』の敏感な女性レーダー(探知器の意。)で 統治者である『アナジスタ』の窮地を救ったと 思われたのだが、既に彼女は敵の歯牙に掛かり 最初に受けた喉元から凍れる氷像と化してしまう... 「そこまでか?...貴様の反逆も ...“凍陣”の効果も付加されているこの拳...。 無駄に終わらせてくれるなよ...。」 6人から遅れる事、時間的には45分余り 少年は助けられたなかった悲劇を悔やむよりも この“力”の源を絶つべく支配者の道を塞ぐ 番者達の砦に乗り込んで行き、そこで 傷つきながらも2体のそれらと対時する光助の姿を発見する 「...なめるな...まだ...オレの命が尽きぬ限り ...貴様には屈さない!!」 見事敵を下した少年だったが次階で『洋子』の姿を 眼前に失い行方を知る術を無くす.... 「トモ...もう少し...。 (霊術式参ノ型なら...一撃で...!!)」 この後に通常、疑問点が浮かぶ...何故なら 時間的にトモが『春化』の戦闘へ 割り込むのは不可能...つまり有り得ないからだ 「...次元の狭間を辿って来たのだろうが...。 残念だったな...もう手足の感覚もあるまい?」 しかし彼は場に存在し少女を救う... 「言ってろ...。 (左右の足は使えねぇ...左腕はもとよか... 右腕まで凍り付いてやがるのか?!)」 どうやら『白雪オコジョ』【ワィトスノー】を 首に巻き付けレザースーツを纏う番者 『抹殺の水瓶』【アクアリゥス・エグゼキューター】は 「先のハンギングで、既に貴様の左拳は 粉砕しかかっているのだろう?」 このワケを知っているようなのだが... 『ズバキャァァァッァァッッッン!!!!』 特に気に止める事もなく、軽くトモの凍結していた 左腕の付け根少し下へ蹴りを当て粉砕する!!! 本来の名を『ミルティン』っと言う彼女の 非情な攻撃は弱り切ったトモの身体を 粉砕すると共に精神までも粉々にせんとする... 「...ダメ...我慢なんか...出来ないわよ!! 止めなさい...止めるのよ!!!!」 『砲瓶宮』の支柱で体力を温存していた 少女は耐え切れずに声を上げた、すると 「しぶといのね...待っていなさいよ? もう...この男はお終まいだから。」 既に気付いていたのにも関わらず五月蝿そうに 返答し壁に押し付けられグッタリとした 少年へトドメを刺さんとする、がーーーー 彼女が拳を振り降ろさんとした... …その瞬間!!!… 『ズガガガガガガガガガッッッッン!!!!』 背後より撃ち下された弾丸がアクアリゥスを強襲し 「『弾丸の嵐』【ラピッド・ストーム】!!」 これを完全に阻止する!!...そして、 「この頬の傷...高く付くわよ?」 この凶弾を与えし者こそーーーー 「“GUN for GUN'S”銀と漆黒のダブルトリガーの味 イケてんでしょ?...そちらこそ、 ぼくを氷漬けにしてくれたコト忘れないでよね?」 空間の亀裂より放り出された途端に 防御の間も無く氷結させられた、かの三浦 洋子だった!!! 『11月30日(金)』 第八六〇話 『JESSICA』(11.30.金) 『霊聖坤』を握り締め柱に背を預けながらも 「...お帰りなさい...『洋子』...。 (...私の...ワガママは成就したのね(笑))」 必死の思いで立ち上がった少女はそこに 「まさか...女を...あの子を助ける為に 最後の一撃を?...面白い...あの女に 何が出来ると言うのだ?」 自らの託した希望が存在する事で笑顔を見せると 底力を発揮させ本来の霊気には満たずとも どうにか一撃放てる程度のソレを装填させた!! 「ぐっ...ぐぅっ....。 (洋子?...何故??...ここに???)」 振り上げた拳を定位置へ戻すと『知也』を 押さえ付けたまま振り返り彼女を指差した... 「不意討ちが専門なんだろ? ...それは自分が弱い事を露にしちゃってんじゃないの? それとも...ぼくとタイマン勝負でもする?出来るの???」 すると、洋子は静かに口を開きそう言い放ちーーーー 「愚弄するなよ?...ならば...この男には 既に感染させたわ...“凍陣”の本体をね? ...解る?...ワタシをそうね3分で倒さない限りーーー」 『ダギャァァァァァッン!!!』 「“エレメント・スフィア”、シリーズFire,!!」 彼女がしたり顔で述べんとした.... …その瞬間!!!!… 「ーーーッッ...人の話しは最後まで聞けとーーー」 火炎の砲撃を数発連続で撃ち出しーーーーー 『バジュォォオォォォッッッン!!!!』 「シリーズBreeze,!! ほらよ、始まっているんだよな?タイマン。」 続けてグローブでガードした番者へと続け様に この炎を助長させるかのごとく空気弾が襲いかかる!!! 「ーーーーッッッ言われていないのかぁっっ!!!」 『ぱきゃぁぁぁっっん!!!』 「...ぐふっ....げふぉげふぉ...。 (くそ...体内に氷が浸食して気による回復を 完全に上回っていやがる...。)」 流石にトモへ気を回す暇は無くなり押さえていた 手を離した女性は自らの凍らせる“力”を発動し 炎を除去すると同時に冷静さを取り戻した様に パンッパンッ!っと衣服のホコリを叩き取りつつ 冷酷な死線を少女へ向けた...。 「....そんな余裕ないだろ? “ミスルーのナイフ”かもぉおっっん!!」 『シュファァッッン!!!』 予め書き綴った、制服に忍ばしてある手帳から 武器をあたかも何も無い場所から得意げに 出現させる戦法を好む洋子は颯爽と近付き 炎に捲かれている彼女へ攻撃を繰り出さんとする...が、 『パキャァァッッッッッン!!!』 突如!!場の氷結が開始した事で先の出来事を恐れ 一歩間合いを取って引く...だが 「『具象装具』【ハッドレッド・ファントム】を纏う... ワタシにその程度の火炎が効果があるとでも? この『白雪のオコジョ』【ワィトスノー】の憎悪は このワタシ『抹殺の水瓶』【アクアリゥス・エグゼキューター】そのものなのよ... この場に存在する事がどれだけの恐怖か...貴様に刻んでやろう!!」 …次の瞬間!!!… 『バヒュァァァォォォォォォッッッッン!!!!』 時は既に遅くアクアリゥスを中心に猛吹雪が 吹き荒れ一帯を一気にマイナス80度以下の 獄寒の地獄へと変えてしまう!!! 「あぅ...あがっっぅっっ!?! (息が...呼吸が...出来...ない...!!)」 寒さの中に身を置く事で一番の危険は体温の低下による 凍死である...しかし、本来もっとも恐いのは 「あぁっぅっ...。 (...瞬きしただけで...目が...開かない???)」 空気が凍り付きこれを取り込んだ肺が凍結してしまう 所謂、酸欠状態にあるとされている... 「っく...液体窒素を...バラ撒いている...。 (そんな感じの“能力”だな...。)」 更に襲うのが細胞死した患部の壊死...3人は 北極や南極に裸で投げ出されているのと同じ 恐怖を今、味わっているのだった...。 『無尽の氷結』【ホワイト・ブレス】の恐怖が 襲う中、平気で行動している者が何故かいた... 「...全ての生物は...生きてゆけぬ この...中で...何故...貴様は動く!?」 何時の間にか装着した防寒具よのうな物のお蔭なのか 彼女は確かにジャケットを羽織、拳銃を手にし 今...アクアリゥスへと向けーーーー 『ダギャァァッッッッッッン!!!』 「...『凍らずの飴』、マンガにあったわ あぁ、それから...ぼくが移行された地は寒くてね? ...この程度、何ともないんだよね...ちゃんと 防具も...記載していたし。」 視界の悪い吹雪を跳ね退けるかのごとく弾丸を放つ!! …その頃… 「...それで...オレっちは...力を奪われた...。」 『光助』は自分の身に起きたトンでもない事件を 2人に語らんとしていた...。 まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |