『10月13日(水)』 第八十三話 『山岳地帯を越えて』(10.13.水) 『八つ首の龍』【トライゼ・ラスター】の 支配が解かれ解放された山岳地帯は、 既に『幻魔』の姿もなく安全な大地に 変わっていた...そして、支配者を 打ち倒した『海驢 貴弘』は、まだ 麓の街『レイン』で休養を取っている... 「........。」 もう一人の自分である『智明』が 旅立ってしまってから元の世界に 戻る気力が何故か失せてしまっていた 貴弘は、手にしたお守り...『黄色い宝石』を 眺めながら、ただ毎日を漠然と過ごしていた... だが、そんな時に...ある人物達が この街に現れた...それはーー 『ギギギーーッッ!!!』 「ねぇ〜やっぱし解放されてる みたいだよ〜『サイレント・ヒル』で 聞いたとーりだったね〜。」 「そうだったね...ん〜開けてー!!」 『勇二』は、そう呟くと『ハウリング』に また街に入る扉を開けて貰っていた 「確かに...ムダ足っぽかったけど... まぁいいじゃない〜、ピクニック 気分を味わえたんだから(笑)」 勇二の肩に手を当てると笑いながら 『京香』は、ハウリングと共に 扉を潜り街に入って行った 「キョウは、そんなに重くないから イイけど...ボクは、何度死にそうに なったか...って!!聞いてる!?... って...わぁ〜待ってよぉ〜!!」 それを見て、勇二もブツブツ言いながら 急いで2人の後を追って入って行った!! 「この街を守る... “能力者”のヒトは居ますか?」 キョウは、街にいたヒト達に 話しかけると、この街の情報を集めた... 「キョウって凄いよねぇ〜。」 「そうだねーノリも結構軽いもんね!」 そして暫くすると、2人の下に 戻って来たキョウからレインのいる 場所を教えられ3人は、紫の建物の中に 入って行った。 「ようこそ...おいで下さいました! 貴方がた三人とも能力者なんですね... どうぞ、こちらへ。」 ローブを身に纏った綺麗な顔立ちの レインに向かい入れられた3人は、 そこで寛ぎながら話しをする...。 .....???何時になく誰かと 愉しげに話すレインの声が 下から部屋に響いて来た ので僕は、それを珍しく思い、片手に あの宝石を手にしながら下の階に 降りて行った...するとそこには、 僕と同じように異世界に飛ばされ 能力を持った人達がいたんだ!! 『10月14日(木)』 第八十四話 『会いたかったら…会いに行く』(10.14.木) 「あっ!!君達...その服... もしかして僕と同じ元の世界のヒト達!?!」 『貴弘』は、階段を降りて『レイン』と 話しをしている者達の服装が制服 だったので、思わずそう叫ぶ...すると 静かにレインは、ソファーから立ち上がり 「この方がさきほど話しに出て来た この山岳地帯を救って下さった... “能力者”なんですよ。」 そうやって貴弘の紹介をした... 「えっ!?あっあぁ〜...っと 初めまして...僕は、『海驢 貴弘』です 宜しく...ヒロって呼んで下さいね。」 貴弘が慌てて自己紹介をすると 3人もそれぞれ自己紹介を始める... 「こんにちわ〜ボクは、『上原 勇二』 で〜す、宜しくですねっ!」 「あはっ、おいらは...ん〜まぁ 取り合えず『ハウリング』で〜す! おいらも元の世界の人間だよっ!」 「ちわっ!あたしは、『雹ノ 京香』... キョウって呼んでね!!」 4人は、新しく出会った者達同士で お互いの闘いの話し等で盛り上がった。 そして、暫くすると、さっき部屋を 出て行ったレインが 「これがこの先『海岸地帯』の地図です。」 この先の地図を手に持って 4人の前に現れる... 「元の世界に帰る方法は、レインさんは、 知らないんですか?」 キョウは、地図をハウリングに 手渡したレインにそう質問する 「ご免なさい...私が知っている ことで、貴方がたが元の世界に 戻る事に関連するような事は... でも、海岸地帯の出発の街 『ディアナ』なら...彼女なら何か 知っている筈...。」 すると、そう答えたレインに すかさず勇二は、そう言うと 「海!?...海を渡るの!?... 船とかで???」 泳げないのに〜どうしようと 思い焦って困惑する... 「あははっ勇二〜、大丈夫だよ! そこに行けばどーにかなるって!!」 そんな勇二を見て笑うキョウは、 そう言うとハウリングと一緒に地図に 目を向けた....。 3人は地図を貰うとすぐに 建物から出て先に進もうとする... 「貴弘...貴方は、どうするの? このまま居てくれても構わないけど?」 そして、それを見て貴弘は レインに徐に 「....僕は...もう1度....『智明』に 会いたいんだ...おかしいのかも しれないけど....僕は...。」 「...貴方がそれでイイなら... それがきっと正しい道に繋がるから... 行きなさい...自分が信じた道に!!」 「...ありがとう!!」 そう呟くと、お礼をして 部屋から智明に 創って貰った新しい槍を持ちながら 去って行こうとする3人の後を 追いかけて街を出て行った!! 『10月15日(金)』 第八十五話 『海岸の街にて』(10.15.金) 『ドガッ!!』 「うぎゃっ!?」 「なっ...なんなんだコイツ!!... はっ!?...まさか“能力者”!?」 『海岸地帯』出発の街『ディアナ』に ある酒場で暴れていた男2組から その場に居合わせた少女を 助けようとした何者かは、その2人を軽く 叩きのめす... 「それ以上ケガをしたくなかったら... もう戻った方がイイと思うぜ?」 「くっ!?くそう!!」 「覚えてやがれ!!」 「やだね。」 そして少年は、捨てゼリフを残して 酒場から去って行った二人を見ると その場に倒れている少女の手を取って 抱き起こした 「大丈夫?怪我は、ないかい?」 「あっ...有り難うございました!! ...あの...もう大丈夫ですから...下ろして 頂けませんか?」 「あっ?!ごめんね。」 少女を床に立たせると少年は、 「あの...君...ここって何処 だか解る?」 徐にそう質問した...すると 不思議そうな顔をして、その質問に 「えっ!?...あのここは、ディアナ... 海岸地帯の街ディアナですけど... もしかして...初めてここに いらしたんですか?」 「えっ!?あっ...あぁそう なんですよ...。」 「じゃあ私が案内しますよ!! 助けて貰ったんだし!!さぁ!!」 「あっ...どうも。」 答えた少女は、助けて貰った おれいに、街を案内すると言い 少年の手を引いて共に酒場から出て行った。 「あの、失礼ですけど... あなたのお名前は?」 「オレは『井原 知也』.... 君は...?」 「私は『アリア』...この街を 統治するディアナ様のお側で働いています。」 アリアは、オレからそうやって 名前を聞くと自分の紹介も してくれた...オレは、彼女に 連れられて様々な場所を教えられた...。 「どうしたんですか?気分でも?」 「いや、なんでも...。」 オレは、アリアとこの世界に来て 多分...初めて食べ物を口にしていた... 「おいしいですか?」 「凄く!!」 「ここの貝を使ったパスタ絶品 なんですよ!!」 無邪気な彼女を見ているとまるで 夢の中にいるような気分になる... だがオレは、ついさっきまで海辺を さ迷っていた...あの時... 雷に撃たれたオレは...気付いたら何処かの 砂浜に倒れ込んでいた...何日か歩いて 死にもの狂いでここまで辿り着いたんだ... 「...本当にさっきは助けていただいて...。」 「あんなの全然ですから、...それよりも 食事ご馳走さまでした...それじゃ... 気を付けて下さいね。」 オレ達が店を出た頃には、もう辺りも 暗くなり月が出ていた... 不思議だ...何故この 世界にも月なんてものがあるんだろうか? アリアを見送ったオレは、上空を 再度見上げた...すると、遠くで悲鳴が! 「あの声は!?アリア!!!」 声のした場所に走ったオレの目の前には 熊が人間になった様な化け物が2匹 片方がアリアを捕らえて待ちかまえてた!! 『10月16日(土)』 第八十六話『ワイルド・バーン』(10.16.土) [よう?...昼間は良くもやって くれやがったな?] [そうそう...お礼をしないとな...。] 『アリア』のカラダを抱き抱えた 『幻魔』達は走って自分達のいる 場所まで来た『知也』を見ると そう言って舌嘗めズリをする... 「なっ!?...なんだこの化け物... いや...熊人間はっ!?」 「逃げて!!このヒト達は、幻魔に 自らのカラダを捧げて同化した 『幻魔人』です!!昼間の時とは ワケがちがうの!!貴方が倒せる 相手ではないわ!!逃げて!!」 巨大な熊の姿をした幻魔に驚き たじろぐ知也にアリアは、逃げろと 叫ぶ...が、それを聞き知也が逃げようと する、その前に熊に酷似した幻魔の 爪が風を斬り裂き襲いかかる!! 『ズバシャッッ!!』 [ちぃっ!!素早い!!] 「くっ!?はぁはぁはぁ.....。」 その攻撃を持ち前の反射神経を使い 寸前のところでかわし石畳に 転がり込んだ知也は、今自分が 置かれている奇妙な状況に恐怖 しつつも何故か興奮する... 「逃げて!!逃げるの!!」 「...黙ってくれないか...。」 「ーーーッ!?!」 叫ぶアリアに知也は静かにそう言うと その場で呼吸を徐に整え 拳を腰の位置に付けて腰を静かに 落とし...確か誰かに教わった ことのある型の構えを取り... [へっ!?逃げないなんて面白いな?] [いいから早く殺っちまえよ相棒!!] [解って....るっつーの!!] 『ドギャンッ!!』 巨大な腕を大振りで振り下げ 攻撃して来た幻魔に放った!! まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |