『2月17日(日)』 第九三九話 『獣 VS 獣〜真獣(しんじゅう)〜』(2.17.日) 「おぃどんの身体は伸縮自在のゴム化も可能なら 鋼鉄の様な強靭で重い身体になる事も 出来るんだがよ?...良く人の話しは 聞いとくべきだべ!!」 『暗雲地帯』へ入り訪れた町『哀歌』を出発し 『妖しの樹海』へ足を踏み入れた一行は そこで、地へ入るなり7人の監視を続けていた 『スキルマスター』【特殊能力者】らの 強襲と思わぬ事態へ巻き込まれこの広い樹海で 離れ離れとなってしまっていた!! 「...攻撃を樹脂へ身体の一部を変化させて 伸ばし...避けて同時に反動で...斧を 突き刺した...こいつ顔の割に頭良いかも...。」 霊力で樹海内部でも迷わぬ『春化』を筆頭に 『勇二』『京香』の3人は 仲間を彼女の持つ霊気で探し、同じく 波動を読める『知也』も既に迷子と なってはいるものの気配のまま足を進める、しかし 『光助』へは、狙いありきの髭面で毛深い 斧を持つ大男が立ち塞がり 後ろを行っていた『智明』『洋子』2人には 下品そうな顔を浮かべるもかなりの手だれである 同様に髭面で臭そうな男が襲いかかる... 「ちァ”っっ...ぢぢっ....。 やっておくれおるやんけ...せやけどなぁっっっ!!」 背後へ大斧を突き立てられた智明は 怒りで青筋を起ち昇らせながら吹き上がる自身の血液を 『じゅしゅぱぁぁぁぁぁっっっっっん!!!!』 「むっ!?...おぃどんの『鋼と樹脂の身体』 【ボディ・ラヴァー】にゃあキサンの血を武器に しちまう“力”じゃぁ勝てんぞぉお!!?ーーーっっぅをぉわぉゎ!?!」 ロープ(紐の意。)のごとく変化させ敵の身体を 一瞬にして拘束してしまう!!! 「ぐっ....っっっっふぁぁぁっぁぁぁっぁ!?! (おいのーーーっおぃのぉお『神の瞳』【ゴッズ・プーピル】がぁ 嘘じゃ、なんでがおいのをををおをっを!!!!)」 完全な確信を得て敗者へ近付いた 熊面男が聞いた言葉、それは 「地獄で喚け!!] 『ぱきゅるるるるるるるるるるるるるるるるっっっ!!!』 自身の断末魔の叫びによって掻き消されてしまう、が …次の瞬間!!!… 懐へ自ら飛び込んで行った光の獣は 「どっひぃいいいいいいいいいいいいいぃぃ!!! (なんだぁあ、おいの眼で追えない速さなんてねぇべ!! おいは例え風で...ぃやぁぁぁぁヒカリか!?光なんかぁ!?!!)」 [きるきるきるきるきるきるきるきるきるきるぅううう ーーーーーーーーーーッッッッッ 『キル・ズ・ブッッッレィッッックウウッッッ』!!!!!] 確実に男のドテっ腹へ光速で風穴を開け放つ!! 「良い?樹海ってのはね、私達の持つ霊力によって 様々に姿を変えるのよ。 だから、何故か、そう言った霊力...所謂 “能力者”みたいな者同士を引き離してしまったり 引き合わせてしまったりするの。」 ハルカが教えてくれよったゴタクっちゅーんかぁ? まぁ、説教臭い説明やったけど 少しは役に立ったっちゅーことや、こいつは壁や! 今までの俺様を超える為の糧、そしてせやから壁や!! 「甘い!!『鋼と樹脂の身体』【ボディ・ラヴァー】はよぉ 重くも出来る言うといたハズ、キサンは 考えってもん、ないんだべか!?!」 あん?...ぬかせ俺様はお前なんぞ相手にしてられへんのや 「馬鹿!?智明、あんたの方が 遠心力で弾き飛ばされるぞ!!」 せやから見せたろやんけ!?...溶ろけるよぉなぁーーーー 俺様の技っちゅっっっっやつをな!!! 『2月18日(月)』 第九四〇話 『獣(豚) VS 獣(猪)』(2.18.月) 猛烈な勢いで真紅のロープは引き寄せ たぐり回されんとする、がしかし 「ぐひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!! おぃどんの勝ちだっぺ!!」 捕らえた敵は自身の“能力”で体重を一気に 1トン近くも増大させ自分を遠心力の中心へ 置き換え逆に『智明』を跳ね飛ばさんとする、だが 「おぃ、この糞イノシシ面野郎 ...俺様、最初に言うとったよな? お前を血の生け贄にしたるって、ぎゃははは 早速...血肉を喰ろうたるゎ!!」 『パシュババババババババァァッッッッ!!!!』 敢えて彼は血を解き放ち暗器から 只の血液へと戻し上空へ撒き散らしてしまう... 「馬鹿!?それでも確かに太陽光は 遮られてはいるけど...。 落下最中に奴はゴムか鋼で襲いかかって来るぞ!!? (...こいつ...確かに強い!!...もしかしたら ぼくも...いや、そんな事は...。)」 「ぐわははは、そんな事しなっくたってよぉ!! この豚公が飛ぶさ!遠心力って奴でよ!!!」 すると、即座で離された間が加速の付いた 智明を跳ね上げ同じく上空へ吹っ飛ばしてしまう!! 「...馬鹿にするなよ!? ぼくが居る事を忘れてーーーーーー」 興奮した『洋子』が前形姿勢で叫ばんとしたーーー …その時!!!… 「あかんって、ヤメとけや?...これは 俺様ん勝負や、『血化陣』...せや! 後で輸血お願いしとくわ〜? ...『血大刃乱闘針』【スピニング・エッジ】!!」 『ドシュパパパパパパパパァッァッッ!!!!!』 「本当におまん、まったく頭悪いんな。 ....ソコからじゃと、おぃどんが最初受けた 箇所へ加重攻撃は出来ないべ? ...それに針の山なんざ、鋼鉄が防いでしまうよ!?!」 上空へ跳ね飛ばされた智明は物凄い落下スピードの中 斧が突き刺さり溢れ出る血と先刻、 舞い散った血液へ別命令を与え確実に 男を目掛け無数の暗器を降り注がせる!! 『しゅわわわ...。』 「...何?...。(この音...そうか、へぇ智明...。)」 降り注ぐ真紅の雨は敵を直撃し鋼鉄の身体を 持ち並大抵の攻撃ではビクともしなかった筈だが それが徐々に剥がれ落とされ傷を思いもよらぬ形で 次々と受けて行く... 「ぎっぎゃぁぁぁぁっぁっっっっ!?!! ...うっっっがぁぁっっ...ひぃっ!?! (ばかな...ぁぁあ...有りえんのじゃぁ!! おぃどんが...おぃどんのマッスルぼでぇがぁあ!?!)」 『どしゅどしゅどしゅどどどどどどどっっっっっっ!!!!!!!』 「おまけや、とっときィ『流血槍乱舞』! ...最初の目潰しな、アレな強酸性の毒物やねん 仕込み暗器っちゅー奴の中身なんよ。」 表皮として有った鋼が除かれた髭面男へ 最後の審判、真紅の槍が追雨を思わせ降り募った...。 『2月19日(火)』 第九四一話 『獣 VS 獣〜跳ね跳び〜』(2.19.火) 「なるほどね、もう最初から...。 あの鋼鉄の状態になろうがなるまいが、 皮膚は溶かしていた、それであいつは 樹脂化しようと鋼となろうと、酸で溶かされている以上 もう直撃を受ければ助からない、って寸法か。」 感心したように呟く『洋子』は 羽ペンを手に輸血準備を始めた... 「あっ...あがぁぁがあぁぁぁっっっ!!? ...おまんならぁ...しでしでぇぇ... ぱふゅぅ...こうびぃ、ななぞぉおお!? (おマンらがしでかした事は許されざる行為なんだぞ!?)」 「ぅっさぃ、ぼけ、カスが、死ね。 死んでしまえ、さっさと、ほらよぉ?!」 真っ赤な槍を幾重にも突き立てられた 髭面の男は怨めしゴトを叫び歪みへ消えた... 「ぅわ、腕太いな...。 あんた...痩せないと出血多量とかの前に 死ぬよ?...糖尿病で。」 点滴の針を『智明』の野太い腕へ刺し込み 輸血を開始した洋子は、呆れて呟くと 背中の傷口へ応急手当を施す...。 「んっ...なんだアレ??? ...何か、豚が宙を舞ってるじゃん...あっ!? あれは...智明か!?」 先に決着を付けていた『光助』は 体力温存と回復を合わせ木陰で休む、すると 木々のざわめきで上を見上げた瞬間、 「ん?...どっかで誰かが 戦っているみたいだな...。 ここからそう遠くないな、行くか!!」 樹海から飛び上がる巨大な塊を発見し それを別角度から見ていた『知也』でさえ これが仲間の姿だ!っと気付きその場へ 取り敢えず向かわんとする... 「...『春化』...行こう...。 あそこに誰かがいるのは間違えないな、 ...想像したくないが、誰かも...。」 「あはっ、何か結構近くに居てくれて ボクは大助かりかも〜!!」 「磁場って恐いでしょ?『勇二』くん?? だから、こう言う場所は素人は来ちゃ駄目なのよ。」 文句を言いながらもハルカら一行も 問題の場所へ足を向けた...。 「いちちいぃ..ったく、お前は... 女の心があらへんのや!! もっと丁寧に出来んのかぃ!」 「黙って治療受けなさいよ? じゃないとわざと点滴に空気入れて即死させるヨ!?」 マジ切れをこれを上回る切れ方で返した 洋子は不意に感じた周囲からの視線へ 注意し木の葉が擦れる音にも反応していた、が 「おぉ、いたいた!!」 「誰、...って、何だトモじゃん。」 足音の方向へ振り向いた彼女は攻撃体制のまま 拳銃を構え叫ぶとそこにはトモの姿があった...。 『2月20日(水)』 第九四二話 『獣 VS 獣〜樹海脱出〜』(2.20.水) 「おぃおぃ、オレだって!? そんな物騒なもの向けないでくれよな!!」 『洋子』の握り締める拳銃に恐怖を覚えながら 少年は木陰から姿を現し一息ついた 「ごめん、ゴメン、どうも ピリピリさせられちゃうんだよね、ココ。」 「アホか、せやから樹海なんやろが!?」 無言で点滴の細長いチューブを押し止め 空気を含ませんとする彼女へ本気で 畏怖する『智明』だったが、その慌てる様を見て 満足したのか、したり顔で抑えんとした指を少女は離す...。 「おっ!?なんだ〜みんないたんだな!!」 『知也』に続き『光助』も居場所を探って 3人に合流しお互い襲って来た敵の話題を早速持ち出す 「そっか、オレが迷ってる間に ...じゃあ残りの3人も!?」 『ガササササッッッッ!!!』 「その心配はないわよ?」 不意に少年が叫び立ち上がらんとする、と 「『春化』達!無事だったのね!!」 丁度良く霊気で感知し彼らの居場所を突き止めた 残されていた仲間達も登場して魅せた...。 その後、暫しのハルカからの説教が続き 「これに懲りて此処では別行動は けしてしないようにね?解った!!?」 彼女の“力”を借りて安全に『妖しの樹海』を 潜り抜ける事が漸く成功した!! まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |