『2月25日(月)』 第九四七話 『不幸"G"慢』(2.25.月) 『暗雲地帯』にて『妖しの樹海』を 無事抜けた『スキルマスター』【特殊能力者】 『春化』『勇二』『京香』『知也』 『光助』『智明』『洋子』の7人は 統治者や支配者すら失ったこの地の港町 『バルディエ』へと辿り着く、だが 『幻魔』らが守護しているのか? っと疑問視してしまう程、町での状況は凄惨で 何と死人が幾人も溢れ返り場を這い廻していたのだった... 「...まっ...まさか!?...おぃおい... マジなのか?!...この赤ん坊が... オレらと同じく...“力”を使って?!?」 もう認めざる終えない、この力を持つ者は 揺り篭で揺られ泣き叫ぶ生後数ヶ月のーーーー 「おぎゃぁぁっっ!!!おぎゃぁぁっっっっ!!」 赤ん坊だった、その事を完璧に目の前で 攻撃を放たれ理解したトモは 鋭い視線を向け握り拳を作る...が、しかし 「...ぁぁっ...ワタシは....あなたタチと 争う気ハ...ない。」 先のハルカの言葉で観念したのか 少年が行動へ移さんとする直前に 町人を1体出現させこれを依り代として 2人へ語り掛けて来た 「貴方は私達の世界で生きていた 赤ちゃんなんでしょう? なら何故私達の邪魔するの、答えて!!」 『絶陽地帯』へ進む道を塞がれた事で かなりご立腹の少女は相手が誰であれ 今はお構い無しに口撃する...すると、 「...ワカッテいないのは...そっち...。 ワタシハ...現実の...ワタシ達の...セかいを 守ル為に...タマシイをトドメテいたのだ...。」 思念を伝える赤子は彼女を指挿し 自分の役割と理由を伝える...。 『どしゅばぁぁっっっっっっっん!!!!!』 「血の金槌でーーーっっ砕けてろやぁ!?! ...おろぉ....また復活しおった、こいつら まさかゾンビちゃうやろな!?」 智明の攻撃で死滅することは無く 町人達は寄り固まって奇妙な風体で襲いかかる 「オレっちの光でも...これは無理っぽぃな 勇二の魔法もダメそうだし、キョウ 一気に突っ切った方が早めじゃん?」 案外適当に流す光助は勇二の魔法すらも 完璧な威力を示さない事を確認した後、 彼女へ声を掛けるとアトは任せる 「...一気に風で突っ込む...。 後は拡散して各自...ハルカの跡を追う...。」 「あはっ、まるで蜘蛛の子を散らす作戦だネッ??? (ってか...無視されてない!?...最近のボク!!(泣))」 すると少女は剣の力と自身の源素を操る力を解放し 混合して死人の群れへ膨大な真空刃を投げ放つ!! 『バヒュヲヲヲヲヲヲヲッッッッッッッォッッッッ!!!!!』 「...RPGで言うところの...。 逃走だよね、これってさ..。」 洋子のぼやきが捨て去れ場へは皆が姿を消した... 「あかんやん...俺様にもちゃんと伝えてくれな!? 置いてきぼり喰らわせられるトコやったやんか!!」 その頃、2人は赤ん坊の下へ辿り着いていた...。 「なに、どう言う事だよ...。 それオレらが幻魔送ってる事を言ってんの?!」 責める様な言葉でカチンときた少年は 何を今更言うのだ!っと遺憾を露とする..しかし 「...違う...オクル事も...危険だが...。 もっと危険なのは...ワタシを含め...能力者が オクラレテしまうことで...より亀裂がショウジル事だ..。」 それを落ち着いた、赤子とは思えぬ口調で 2人へゆっくりと伝えて理解させんとする... 「亀裂...もしかして、バランスが ...霊界と現界の様な...そう言う事なのね?」 そして、これに素早く彼女は反応を示した...。 『2月26日(火)』 第九四八話 『如何〜曇空〜』(2.26.火) 「このセカイの均衡ハ...統治者とシハイ者で 成り立ってイタ..シカシ...それが ...崩れダシタ...送られたニンゲンが... 次々アラソイを引き起こしツイニハ... ...支配者ヲ...抹消出来ヌと知っていて... ワタシ達のセカイへ『幻魔』を...歪み自体を 送り込んだのだ...。」 赤ん坊は町人の口を借りて 『春化』らが起こした無知な行動が どれだけの影響を現実世界へ与えていたのかを 知らしめるかの様に語る... 「なんだと!?!...いい加減にしろよ?!! ...こっちは命懸けで戦ってんだよ! オマエらにとやかく言われる筋あいなんかねぇ!! ...それに、オレ達は望んでこんな世界に 居るんじゃねぇんだよ!!!!」 依り代たる町人の胸倉を掴み上げ切れた『知也』は 鋭い眼光で赤子を睨み付け叫ぶ、だが 「...デハ...シネばよかっただろう?... このセカイでは...死が回忌なのだから。 それとも...コレを知らなかったト?」 至って冷静に少年へ言葉を投げかける 揺り篭の“能力者”はもっともな意見を持ち 同じく眼差しを向けた 「解ったわ...これが...“能力者狩”や統治者を 襲っていた理由なのね...。 (...『ミキ』貴方達は...この世界を ...この強弱の連鎖を現実世界へも...与える気なのね?)」 珍しく熱くなるトモの横で彼女は敵の目的を 完璧程では無くても近くまで把握していた、だからこそ 「出来レバ...これ以上...進まないで ...そして、セカイの行方は...ウンメイに 任せて...欲しい。」 敢えて少女は自分は進むと言い放つ!! 「なに...イマなんと???」 そこまで知っていながら、何故? っとでも良いたげな瞳で見つめる赤子へ 「私は行くわ、何もせずに...。 貴方の様に待っているなんて出来ないもの... 約束もあるしね?..貴方が行っているのは 恐怖心に負けて屈服しているのと 変わらない...幻魔の統治よ...さよなら、 世界の殻の中で一生...隠れて生きていなさい。」 冷酷とも取れる助言を与え、これによって トモは熱を冷まし少女の跡を苦虫を 「あ...おぃ、待てよーっ!」 潰すような表情を浮かべる赤子の顔を 振り切り追って行った... 「...あれ...何か急に静かになったね?」 「あぁ、『勇二』...こう言う時だけ 足早くない...???」 襲いかかる町人達の動きは止まり 5人は再び合流して途中、2人と出会う 「あかんがな...俺様を無視するんやないって!! せやからな...ぜひぃぜひぃ...息が...。」 「...『智明』、もとは勝手に暴れた...。 君が悪いのだろう?...。」 『京香』の厳しい突っ込みが入る中 浮かない顔のトモへ『洋子』が声を掛けた 「どうしたの? ...早いよね、もう幻魔倒して来ちゃったんでしょ?!」 「あはっ、じゃあ赤ちゃんの能力が ネクロマンシー(呪蘇死人使いの意。)だったんだねぇ〜。」 全然ケロッとしている勇二は重い雰囲気に 耐えられず思っている事を口にする 「...つーか、オレは...自分が あまり...してた事の重さっつーのが...。 (『レビン』は...本当は ...この理由なのか?...なぁ...。)」 するといたたまれ無かった少年は抱え込む 自分の思いをぶつけてしまう...。 『2月23日(水)』 第九四九話 『如何〜お別れの町〜』(2.27.水) 「...なるほどね、確かに自分達の世界へ ...敵を送り込んでいるのは間違えない、しかし... ...あたしは信じているのさ、同じように 歪みへ沈んでしまった人達の事をね...。」 『京香』はあっさりとそれだけ残し 手にしていた剣を背中の鞘へしまい込む 「そっ!オレっちらは特にそうなんだよな!! まぁ、みんな知ってると思うけどさ オレっちと『勇二』は現界に一度戻って 状況も知ってるからな!!!」 「ぅん、だからボクもその子が言う事は 間違っていると思うよぉ〜。 だって、それはその子の意見でしかないもん!」 『光助』へ同意した少年は悩む『知也』に 笑い掛けると空を見上げた... 「なぁ、それでも...あいつらの思い通りに オレらは動かされているとしたら...。 オレは自分が許せねぇんだよ!」 トモは自分があまりに無知であった事が いたたまれず苦しむが、それは 「いい加減にしなさい? ...トモ、貴方は何かを背負って戦っていないの?! 少なくとも、私は親友を取り戻す為に... 『智明』だって大事な者を取り戻す為に 戦っているのよ!!? 託された想いがあってもそれを感じず 感じても重荷であるなら、捨ててそこで 憤っていなさい!!」 皆同じである!っと『春化』は叱咤した...。 物凄い剣幕で激昂するハルカが放つ言葉に 場の一同は想いを巡らす 「...けっ、俺様かてどないな理由にせよ 自分の為に行っとる所行や!! せやけどな、トモ、お前は只の根性無しっちゅーわけや!! 後から誰かに自分の失敗を咎められおるんが 辛いんやろ?...なら、お前は此処で降りた方がええ。 時間の無駄や、行くで?!!」 町の反対側出入り口付近に存在する 港へ向かい足を踏み出した少女へ次いで 智明も動きやがて視界から姿を消した... 「けどさ...オレのせいで...もし 誰かが傷ついていたら?! ...オレにはそんな勇気...ない..から。」 トモの言葉で3人は2人の跡を辿って行く... 「あはっ、どんな事でも 悩んでたら始まらないんだと思うよぉ〜 だから、ボクは行くから。」 「じゃあ、そう言うわけだ、先は 急ぐ必要あっからな?」 「...だだをこねる者を構っている程...暇じゃない...。」 そう言い残して...。 「ぼくらだけになっちゃったね?」 2人を残し5人は先へ進む為、船を探す 「...『洋子』は行かないのか? オレに構っている必要もないだろう。」 徐にトモの横へ座る少女は彼の言葉で笑うと 「あはは...ぼくも拘っている事はないんだよ。 けどね、ぼくはぼくの信念の中で 正義だと感じる事のまま進むから...。 あんたも...自分を信じてあげなよ...!!」 真剣な顔でこう助言し同じく席を立った...。 『2月28日(木)』 第九五〇話 『従軍慰安婦』(2.28.木) 「仲良しごっこで此処まで 来てるわけじゃないってのを、みんな 知ってるんだよな〜。」 ふと『光助』は呟くと『勇二』の肩へ 手を掛けて一息付いた... 「...イチイチ進む事で傷ついていたら... きっとこの先は...到達出来ないだろうからね...。」 『京香』の服の袖へ手を掛ける少年は 2人の言葉で漸く安心したらしく 「あはっ、でも2人がどう考えてるか〜 ボクでも今は解るよ...。」 足取りも軽く先行した2人が見える場所へ手を振る... 「せやけど、お前は...『トモ』ん事...。」 「その先はいらないわよ? だって、私は危機で芽生えた恋のはかなさを スピードで理解してるから。」 「...。(映画でかぃ!!)」 思いきり突っ込みたい衝動を抑え『智明』は 心の中で叫び3人と顔を合わせる...。 「(自分を信じる、か...オレが最初に “マサ兄”に言われた言葉だったな...。) 待ってくれるか...オレも、行くよ...。」 『洋子』が立ち去らんとした後ろ姿を追って 知也は走り出し呼び止める... 「...早く?...おいてっちゃうぞ?!」 やれやれっと思いながらも少女の顔は綻び 彼を待ち迎えた... 「...何故ダ...ワタシの言うコトヲ 一番にリカイしていた...人間ガ???」 不定調和を示した少年にいぶかしい視線を向ける 赤子は港へ向かって行った者達を 見送るように言葉を落とす...。 「ガーディアン(守護神の意。)として “能力者”が成り立つなんてぇ不手際 あっちゃなんねぇんだよ?」 袴姿の少年は何時の間にか 赤子が揺られる篭の真後ろへ気配も感じさせず 静かに姿を現す... 「おぎゃぁっっおぎゃぁぁっっっ!!!」 「ナニモーーーーーっっっぎゃぁぁぁっ!?!!」 そして、手にした奇妙な刀を腹部へ突き立てた!!! まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |