『3月5日(火)』 第九五五話 『暗雲地帯東』(3.5.火) 『暗雲地帯西』の港町『バルディエ』へ辿り着いた一行を 待ち受けていた赤子は『絶陽地帯』に 7人が進むことを拒み『スキル』【特殊能力】で 行く手を阻むも『春化』の一閃が 非情なまでの強さでそれを打ち砕く!! 更に『勇二』が抜けていた間、関わりがあった 『京香』『光助』『智明』『知也』らが 押して知るべく巨船が港へ姿を現す、同じように かつて『洋子』と共に『雪原地帯』を渡り歩き 冒険した仲間、『竹丸』を含めた者共も!!! 「よわっちぃな、ぼくらの敵にもならないね。 なぁ〜んか良いとこ見せてない気がするのさ?」 「あははは、んなこたぁない!! っと誰かの真似しておくじゃん?」 最後の最後で合流を果たした総勢を乗せた船は 長橋の残骸へ潜むはぐれ『幻魔』を たったの数秒で歪みへ沈めると針路を固定し 数時間の後、『死海』を渡り切る 「まぁ、とっておきって奴は 最後まで取っておくものだな?」 「...君までこの幻魔のカードを持っていたのか?...。 呆れた...暇人、だな...。」 視界がハッキリした事で操舵室から離れた『芥藤』が 勇二とカードゲームを行っている所へ 「え〜キョウ、これ面白いんだよぉ〜(脂汗)」 キョウは大広間へ訪れそれを後悔しつつ 光助と地図に掛かれた東側の港町の事を 「あはははっ!!! まっ、マイペースが大事だかんな!!」 調べ、これからの闘いを予想せんとする...。 「...『幹』に会う...でもそれは確実に 戦うってこと...相対するって事なんだよね...。 『卓真』、『ラフェーラ』私に“力”を貸して!!」 この先にあるものが闘いだとしても それを乗り越えねば取り戻すことが出来ないのなら 「(...ハルカ此処にいたのか...。) 今、話し出来る?」 立ち向かうことを決意するハルカの瞳は もう迷いなど微塵も残されていなかった 「えぇ、トモ...きっとゆっくり出来るもの これが最後だもんね!」 自分の弱い部分が露呈された事が自信喪失にまで 連なった闘いの先で得たものが自分であった少年は 「あのさ、さっきは今更...迷ったりしてすまない..。 けど、今度はオレの正義を貫くよ...有り難う。」 礼を述べると静かに場を去った... 「タダで奴らが上陸させてくれれば良いけどね... 総力戦になるんだろうな...それに あっち側に付いた“能力者”だって半端じゃないだろうしね?」 光助は上陸すら簡単に出来るのか?っと危惧するが 「それなら俺が偵察して来てやろか? 実は俺は、あの地帯行き慣れてっからな。」 空を飛べる昇は既に何度か行き来している 地帯である為、余裕であった事を明らかとした 「...君って...そうか、じゃあ...。 (...思ったより...手薄なのかな...いやそれとも?...。)」 すると溜め息混じりに言葉を放つキョウは 取り敢えず様子だけでも今は情報を得んとしていた...。 港が見えた事で船の推進力を落とした昇は 敢えて町中を避け近場の浜辺へ寄せると 錨を下ろし停泊させた 「さぁ〜ってと、ん〜〜〜〜じゃぁ、いっちょ! みんな良いわね?!行くわよ!!」 ハルカを筆頭に飛び降りて砂地へ降り立ち そして、取り敢えずはそこから距離が 100mも無い町『ランバル』を目指し 一同は走って向かって行く!! 『3月6日(水)』 第九五六話 『開幕のノロシ挙げ』(3.6.水) 「やっぱり町は静まり返ってるな? ...つーか、ゴーストタウン(無人の町の意。)だよなー。」 『知也』は浜辺から見える景色と気配だけで そう呟く、すると横から『芥藤』が 「あぁ、あそこの町は多分、この異世界で 初めて壊滅させられた町だったぜ...。 同じ“能力者”達によってな...。」 『ランバル』が既に崩壊している事を語った 「終わりが無いように見えた戦いも もう直ぐで終わると思うと ちょっと拍子抜けするかな〜。」 少し緊張気味な『洋子』へ『竹丸』は こう冗談混じりに言うと 「ははっ...そう言うのは 最後のボス敵の部屋の前とかで 言うんじゃないの?」 即座で突っ込んで来た少女へ向け笑みをこぼす 「......。」 「どないしよったんや?」 不意に厳しい顔つきの『京香』へ『智明』が声を掛けた... 「...いや、何でもない...。 (...この闘い...何故だろうか?...。 ムショウに嫌な予感がする...相対する者達と戦い... ...勝利したところで...何も終わらない...いや それがきっかけにしか...始まりにしか過ぎない様な...。)」 すると漠然とした不安を抱えていた彼女は ぶっきらぼうに返答し今は彼らとの闘いへ向け 足を進めんとする...。 一同は町を無視し生い茂る葉が枯れ 枝木となってしまった木々の群れを抜け 『絶陽地帯』へと急ぐ、がーーー 「前方、後方....左右横...一気に展開したわ...。」 「おぃでなすったってネッ?」 「『光助』〜何か...ボクでも殺気って言うの??? 危ない視線を感じるよぉ〜(脂汗)」 境目となるその場へ足を踏み入れ暫く歩んだーーーー …その時!!!… 『がさっっがさささささっっっっ!!!!!』 唐突に物音と獣達の息遣いやら何からが 調音して波長を重ね聴こえ出し、明らかな殺意が 「あかんがな、待てや...こん数はーーーっっ!?! (比やない...強さも質も....俺様らが 脅威に匹敵する度量と量やんか!! あかん、あかんでぇ...。)」 「隠密行動主体の『幻魔』部隊って... 言ったところだね?」 一行へ向けられ、その数を増やして行く!! 「竹丸...いつから気付いてた??」 「上陸して...枯れ木の群れに入ってからだよ...。 多分、絶陽地帯浸食部が奴らの行動範囲なんだよ!」 次々に姿は見せねど数を増やし続ける幻魔達を 警戒する皆の前へ一人の少年が 向こう側の闇夜の中から身体を晒す... 「『隠密暗殺部隊』【アスク・リヴェンジャー】の頭(かしら)を 受け持つ『ヂット』っと己(おのれ)は 申す者...『選ばれし者』の方々とは以前 お会いしていますがね、話しは簡単です。 此処から先へは何人も通しはしねぇよ?死ね!!」 それはかつて『烈炎』にて統治者へ 遣え、そして殺した袴姿のヂットだった!!! 「あっ!?あんたは....何でここに!?? ってか...もしかして殺したのか?!」 「...魂を売ったわけだ...。」 ヂットの存在に驚く7人だったが、意外にも 「くすっ...この『アリア』を嘗めないでね? 『幻影の陰』【シャドウ・ブリンクス】の 使い手が中にいるのでしょう? まぁ、もっとも正解は貴方でしょうけどね?」 「ほぉ、お前は....。 『ディアナ』の知識を受け継ぐ者か...面白い。」 冷静な口調で切り出し前へ足を出した アリアを含めた仲間達が選ばれし者達を 守護するかのごとく囲み 「そう言うワケだから.... 僕達にここは任せてよ?」 「まっ、そう言う役目ってワケだ。 安心しろ、邪魔はさせねーよ、さぁ行け!!」 彼ら彼女達へ早く目的の地へと急ぐように声をあげる!!!! 『3月7日(木)』 第九五七話 『総力戦』(3.7.木) 『死海』を無事抜け切った一同へ 『絶陽地帯』へもう一歩の所で現れた敵 そして同じ『スキルマスター』である 『ヂット』と『幻魔』は自分達が相手にする!! 「僕らの役目は、『ヨー』を含めた皆を 先の地帯へ、最後の場所へ連れて行くこと! 大ジョブ、安心してよ...直ぐに道は開くから!!」 っと7人へ伝えると3人は彼らの道を塞ぐ それらを速攻力づくで排除せんとする、が 「『アリア=ハッテンバー』...だったか...。 お前が統治者の知識を持つように... 己は支配者と統治者の知識を持つ...どちらが 優れているのかも解らないとは...愚かな。」 その人数では完璧に少年らと相手が出来るとは 場の3人以外、誰もが思わなかった...しかし、 …その時!!… [ぐぎゃぁぁあああぁっっっっ!?!] 『ダキャァァッッッン!!!!』 「...決めつけんなよ?」 「心外だわさ。」 「...ってか、うざくない...。」 唐突に沸き上がる悲鳴と同時で一行背後の幻魔を 一瞬にして死滅させた者の出現によって これが本当であると確信させられる!!! 「『竹丸』...彼らは?!」 もっとな質問を代表して洋子が訪ねる 「...まさか生き残りがこれだけ 集まるとはな...負け犬共が!!」 すると彼が答えるその前にヂットが 後方の人物達へ向かい叫ぶ... 「なっ?とっておきは最後に!って感じだろ。」 「...ふっ...そうだな、任せよう...。 正直...これから先はあたし達の ...各々の闘いになるんだろうからな...。」 『昇』の言葉に『京香』が応え 6人へ前方を突っ切る事を合図する 「そう言うこと、じゃっ!! みんな...僕らの分まで...勝ち抜いてねっ!」 この後、竹丸から『スネイル・ピアザー』【飛び槍】が 物凄い勢いで放たれヂットを含めた暗部へ 突破口を求め仕掛ける!! 『どしゅぱぱぱぁぁっっぁあぁっっっっん!!!!』 「む、ほぉ....己の頬を掠めるとはな... しかし、さっきお前らの仲間が倒した 幻魔は実体ではない、気付いていたか? 歪みへ沈んではいないぞ。」 自分へ向かう真っ直ぐな一閃を直線では あるものの音速と同等である時速の中で 避け去った少年はニヤリと笑みを残す、が 「...今だよ!!!」 構わず竹丸は叫び一同を自分の後ろへ配置し 切り込み隊長として自らが先陣を切って突き進む!!!! 『3月8日(金)』 第九五八話 『暫し別れとキスの味』(3.8.金) 「『アリア』...死ぬなよ?」 「えぇ、解ってるわよ...貴方もね?『知也』。」 背中越しでの会話は終わり 彼女にとっての決戦が始まる!! 「...ぅざくねぇ?...なに?こいつら 実体は...数える程しかいねーじゃんよ! バブリシャス...ステアラィツ!!」 チューインガムを後方から支援する彼が 膨らました瞬間、それは飛び散り 『幻魔』達の身体へまとわり付き動きを封じる!!! 「『スネイル・ピアザー』【飛び槍】...進化! 『ホーミング・ラブ・チェーン』【貫く軌跡】!! さぁ、みんなっっ...この道筋を辿って!!!」 7人から敵を出来るだけ遠ざけながら 飛び槍で幻影を始末して逝く『竹丸』は、 少年らの追撃を振り切り遂に一同を 枯れ木群の向こうへ送り届ける事に成功した!! 「あはっ、良かったぁ〜...アレ?『光助』..どうしたのぉ...。」 抜けた先は月明かりが場へ照らされているだけで 辺りは闇夜の地帯だった、ふと足を止め 背後を振り返る青年は、ある種の覚悟を 「『勇二』...オレっち...ここから一緒に... 一緒には...行けない。」 この時、決めていた...。 まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |