『4月21日(日)』 第一〇〇二話 『残酷な堕天使』(4.21.日) その果てにあるモノが何であろうと、今は 目の前の敵を潰して先へ進むしかない 「ぐっをふぁあっっっっっをををっっ!?!! しょっ...正気なんかぁ!?! 俺様よりも...オマエがくたばるんは...目に見えて... あぐがっ!?!!(あかん...先手を受けとる俺様のが?!)」 お互い譲れない誇りを持ち闘う 男と女はそれぞれ求めるモノは違えども 同じく未来を切り開かんとして ぶつかり合って結果を残さんとする... 「ぐふぁっ...『G・F』【グラビティ・フィールド】...全開... 『天使の揺り篭』【グランド・グラビティション】!!!!!」 『ドギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャッッッッッッッッン!!!!!!』 もはやヒトが耐えられる重力では無かった 地盤までもが沈み始め彼女とて 『スキル』【特殊能力】のコントロールを失っていた... 「...コイツ...俺様がおる事...、このまま 俺様が体重を掛ければおしまい...や...。」 亀裂が生じ埋め困れて行く四肢、余計な重みを 比重すれば勝ちは目に見えていた...しかし、 「...何を...げふぉふぉ...している...? 私の懐へ...君が体重を掛ければ...そう、 ぐっあぁっっっ....終...よ...ふふっ...あはは 認めてあげるわ...。」 「ひっ...ぐあぁぁぁっっっっ!!!!! あふぉかぁっっ....それやったら...貴様を 屈服させた事にはならへんやろがぁぁっっ!!!」 彼は何故か四肢を地へつけながらも彼女へ 体重を浴びせないようにふんばると歯を食いしばり この地獄を乗り切らんとする!!! 『絶陽地帯』が大きな振動で揺れた、これは 彼女の“力”でもあり、別の事と重なったからでもあった 「相当派手にヤってる様ね...。」 『万絶の城』【オールメア・ホープレス】の内部 『運命の回廊』【フォーチュン・クロォイスター】は 虚数空間で出来ている、よって外壁へ仇成す事は ないはずなのだがあまりに大きすぎるスキルが 発動された為に『選ばれし者』VS『異界の闇覇者』へも 影響を及ぼす地鳴りを呼び起こしてしまう 「我慢比べは...私の勝ちよ...何故なら... ここまま地表に食い込んで...摩擦で... 潰れても...私は力を解除しないもの...ぐっあぁァッァツ!?!!」 自らも力に蝕まれているにも関わらず執念で 彼女も会話し『智明』を睨みつける 「ぐっふぁっ....あかんな....このままやったら ほんまに...俺様かてやばいんやろな...けどな...。 とっておきがあるんや...それに、女...お前を 殺さへんのにも...ワケがあるんやで?...ぐげふぁ 貴様には...『ヒロ』まで続く道をーーーー 示してもらわんとあかんからな!!!」 既に臓器の殆どが傷を受け潰れかけんとしていた …その時!!!!… 『ばじゅあぁぁぁっっっっっっっ!!!!』 自身の出血を命を削るように体周囲へ纏わせ 最後の奥の手を発揮せんとする...。 「オマエかて..死ぬんが嫌な眼をしとる...。 俺様と同じ...いや、背負った枷なんか...。」 呟くと智明は溢れ出る血液を凝固させ 全身へ纏い、全ての暗器の集合体の様な いかにも彼らしい鎧を生み出しーーーーー 『ドコッッッッッッッッッン!!!!!』 「...負け、か...。」 彼女の重力を打ち破ると、わざと外し 頭から数センチの幅へ拳を打ち込み負けを認めさせた...。 『4月22日(月)』 第一〇〇三話 『深淵の天使』(4.22.月) 「...枷だと...君は言ったな...。 犯して引き裂くんじゃなかった...のか...。」 自分の“力”によって立つことも、もう ままならない彼女だったが、上半身を気力で 起こすと無理をした事で粉砕した血液の鎧のカスを 身体より引き剥し新たな武器を生み出した彼へ 徐に声を掛ける、すると青年は 「...五月蝿いわ、ぼけ!! お前は、黙って俺様を『ヒロ』の下へ案内しとれば えぇねん!!...立ち上がへんとは言わせんぞ!? (かふぁっ...あぁ〜しんどっ...せやけどやけに軽いな... 『キョウ』辺りに後で治してもらわんとな...。)」 そう叫ぶが、同時にとある身体の変化へ気付く... 「私がこの世界で敗れたのは...初めてた...。 もぉ、存在する意味もない...良いだろう 君を貴弘の場へ...導いてあげるよ、ふふっ... はたして...今も君の知る彼であるだろうか...。」 けしてこの敗北によって行った笑みではなかった これから彼の向かう先の運命を嘲笑うかのような 全てを見越したソレであった、だが 「あふぉかっ!!...洗脳されとんのは もぉ知っとんねん...それより...俺様の 身体はこないに...?????」 青年はそれを跳ね飛ばすと彼女の手を引いた...。 「身体、か...私に打ち勝った事で 重力で内部から膨らまされていた呪縛が 取れた....解るでしょう?...戻るのよ元の姿に... さぁ、もう行きなさいな...道は用意する。」 『どきゅぱぁっっっっっっ!!!!』 地べたへ膝まずいた様な姿で倒れんとしていた彼女は このままでいれば確実に時間の問題で 死を迎えていた筈なのだが、自決(じけつ)を下さんと 「何をする....君と....私は敵だ...。 それがいなくなるだけだとーーーー」 していた、だがそれを『智明』は阻止し 「こんなにスリムやったんやなぁ〜思ぇば 長かった...けっ....お前は人質や! ...道は一緒に行くんや、下手な場所へ 飛ばされてまうかも知れんしな!? ぎゃははははは!!!」 外見はすっかり痩せて美形に戻ったものの 中身は相変わらず下品さ丸出しで 背へ女を背負うと虚数空間へ開かれた 光の道へと彼は足を踏み出した...。 「こーふー...コーフぅ.... ぅう...うう”ぅ”あ”っっっをををおおっっっ!!!!」 今から2人が向かう場所で待ち受ける 智明の親愛なるモノがいた...青白い顔に 死化粧を纏った姿の狂った様に叫び喚く男が...。 『4月23日(火)』 第一〇〇四話 『ボウソウニトラワレタタカヒロ』(4.23.火) 「根首をかかれないとで..も?」 自分を背負った事で黒ずくめの衣装を引きずり ズリズリっと音を出して歩く『智明』へ 「出来るんやったら、その身体で .....やってみろや?」 皮肉っぽく呟く彼女だったが、この 彼の言葉で反論を無くす、やがて光の道を 歩いた先に出口らしき空間が現れた... 「...境目だ....私達の空間を仕切っている...。 ふっ...少々予想外の事も起こっているようだけど 私の役目はここまでだな...さぁ、君が 求めていた...現実を...見るが良い...。」 『どしゅぱぁぁっっっっっっっん!!!!!』 境目と呼ばれる空間の扉へ智明が手を掛けたーーーーー …その瞬間!!!!… 「こーふっ...こーふふぁっ....ををおをっっっ!!!!」 荒れ狂う様な槍撃が突如、襲い 「くっ....あかん...避けきれんかった....。 (にしても....どないなっとんねん!?!!)」 紙一重で避けた筈が腹部の肉を少し切られ 多少の出血を場へ流す... 「...私を下ろせ!...そうすればいくらか 身軽にーーーーー」 「俺様に命令すんなや!?!」 連続で繰り出される異形なる槍での攻撃を 1度目は受けてしまったものの、それ以上は格段に 上がった身体能力を発揮し避け去り間合いを 取る事を彼は成功した...。 「こふーっ....ぶはーっ....をおっっっっ!!!! ...こーふーこーふ...。」 荒げた息を剥き出しの敵意と共に智明らへ 向ける『貴弘』の姿は、確実に 正気を失っている事を明らかとしていた 「どっ...どないなっとんねん!? ...まるで....まるでーーー」 「....まるで、狂人か?...ふっ... その表現は正しくないな...彼は既に“力”に 取り込まれ我を無くしている...そして、 この先の最後の...いや、この...回廊を守っているのさ...。」 現状を把握出来ぬまま突然襲いかかられたショックが 隠し切れず動揺する智明へ 彼女は至って冷静に語って聞かせた... 「なんやと!?...何があった...っちゅーねん!!! つまり...暴走しとんのか???」 「簡易表現だが....それが一番正しいわね...。」 今にも再び攻撃を仕掛けんとする貴弘の姿を 見据えながら青年は事の真相を知るべく 質問すると、そう彼女は返答し自分の忠告を 無視するからだ、っとでも言いたげな顔を浮かべていた...。 「ヤメ...やめるんだぁっっ...僕の悪意を あぁぁっ...引き起こしては...あぁぁっ!!!」 『じゅしゅをぉおおおおおおおおっっっっん!!!!』 「“御真の儀”も...もう少しで成就する...。」 こうしている間にも、世界の崩壊は始まっていた 次の段階へと進む為の周到な計画が...。 『4月24日(水)』 第一〇〇五話 『相対構図』(4.24.水) 「計画通り、『異界の闇覇者』達は 足止めしてるよ、『甲斐』さんの命令で 討伐は一応しておきました。」 顔が露となった人物はアノ液体に満たされた ケースの中で覚醒を待たれていた青年を媒介とした とある儀式へ間に合い警護へ当たる... 「あぁ...御苦労だったな、少しの イレギュラーはあるものの、アノ方の出現まで もう...一刻も必要ないだろう。」 「あ”〜あのよぉ〜、もし...あの 使い捨て共が倒されちまったら〜 どぉすんだぃ?」 同じく儀式の警護へ来ていた頭にバンダナを 巻き付けた人物はやぼったい口調で こう言うとクワエ煙草を投げ捨てた 「...ほら、駄目ですよ...。 健康にも良くないですし、もぉ...困ったな(笑) それにしても...一応、それも考えて おく必要があるかも?」 不敵な笑みを浮かべ青年は応える.... 「...それは、自分が良く知っているろう?... ここは『夢也』だけで十分だ... ...覚醒までには戻れよ?」 そんなに行きたいなら行けば、良い...っと...。 「私は...加勢出来ないぞ? ...あの傷は尋常じゃない...今の...暴走した 『ヒロ』に勝ち目はない...。」 「あふぉかぁっ!!...ぼげっっ!!! ...俺様に不可能はないんや...っちち...。 (流石に...身体がもたへんか?...せやけど ...ここまで来て諦めるワケにはいかんのや...。 お前をそないなるまで追い込んだんは...俺様やからな!)」 動く度に内臓を痛めてしまう現状、手加減無しの 暴徒と化した貴弘を止める事は不可能に近く 少しでも気を抜けば瞬殺されてしまいそうな 勢いへ押され怯みそうになる心を奮い立たせ 『智明』は彼女を取り敢えず安全そうな場へ降ろし 「こーふっっっこーふぉっっっ...ォヲオヲッッッッ!!!」 これまでのケジメを付けんとする!! 「わりぃな...ちと、ここで休んでろや? ...それから...俺様になんかあったら...。 ヒロだけでも頼むわ...助けたってくれ...。」 「君は...どうしてそこまで命を懸けてまで....彼と君に 何があるって...言うんだ???」 驚異的な身体能力を持ったとはいえ、この傷では そう長くは持たない!っと感じた彼は いちかばちかの賭けにでる、死を引き替えとして...。 『どしゅぅっっっっっっっっっっっ!!!!!!』 「こーふぁっ.こほぉー死ねシネシネ死ね!!!!! ...ーーーーっっ!?!!」 向かって来たヒロを受け入れる様に 大手を広げて直撃を心臓部へ喰らった智明はーーー …その瞬間!!!… 「...つっ...捕まえおった....で...ヒロぉお!!!」 自分の今までの想い全てを込めて『スキル』を発動する!!! まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |