『5月29日(水)』 第一〇四〇話 『絶対不可侵領域結界』(5.29.水) 「『勇二』...なんなの、あいつ...。 あれが本当にそんなに強力な 敵なんだってば?」 『選ばれし者』と『異界の闇覇者』が激突している中で 一際異色(ひときわいしょく)な組み合わせで 「っとと、そうだよ...。 あの子には...って言うか良く解らないんだけど あらゆる攻撃とか魔法とかを 中和しちゃうらしいんだよねぇ〜 何かの“能力”で...。」 始まった、この『光助』の闘いは 『絶大なる双コブラクダ』【マスター・キャメル】も 予想だにしない展開を迎え、最終的には 勇二 VS マスター・キャメルの形を取っていた... [ひょひょ〜、わすの最強の僕に 手も足も出せずに...滅びるがえぇ、しかしな 今回はわすも出陣しようかのぉ!] 『スキル』【特殊能力】をマスターする 『幻魔』は『絶陽地帯』『万絶の城』【オールメア・ホープレス】の 執事を勤め、先刻では虚数空間と成っていた 『運命の回廊』【フォーチュン・クロォイスター】へ 光助を抜かした一行を案内していた、しかし [ふぅわぁあぁ〜ん、むにゃむにゃ〜 眠いぃ...あふぁぁっっん...。] 現状、手にしたカードを扱い、正にこれを 刃として勇二へ襲いかかる!!! 「っ、『白金の鞭』【レイジング・ビュート】!!」 『シュパァッッッッッッッッン!!!!』 飛びかかり襲い掛かる幻魔をいなし 反撃を喰らわせんとする少年だが、この一撃目はーーーー 「やべぇ、これがーーーー!? (あの豚狐の能力か!?!)」 『ズカカカカカカカッッッッッッ!!!!!』 何故か空間へ水のごとき仕切があるかの様に 波紋をマスター・キャメルの目前で 空中へ浮かべただけで留まり、直撃を受けんとするのだが 「あっ!?...光助!!...ひどぃ怪我...。 ボクを庇って...くぅうっっ! (ボクがもっとしっかりしていれば...。 解ってたのに、でも防ぎようがないんだ!!!)」 そこは光助のとっとさの判断で身を呈して 少年を護り、『情感の羽衣』で ダメージを軽減したものの傷を負って地へ伏せた... [寝るよぉ〜ん...あふぅうぅ...。] [わすに全ての攻撃は効かん!! 解っとるのじゃろぅーーーーッッ!? (じゃが...。)] ぐったりして肩で息をどうにかする 光助はか細く震えた声で彼に 「...くっ...ゆうじ...気にしちゃだめ...だ..よ...。 オレっちは...勇二を...守る 為に...側にいるんだから、信じてる...負けんな!!」 そう応援の言葉を伝えると、力無く 地盤へ顔を擦り付け倒れてしまう [はぁはぁはぁ...これで終まいじゃて!! ...統治者すら、このカードに描かれて あれば具現化可能じゃがな...それ程のモノを 数匹も呼び寄せられんのでな、シメは簡易じゃ...。] しかし容赦無く直接攻撃でしとめ来る 幻魔は身を震わせて怒りを露とする勇二へと向かい 「...速さの機械のモンスター...。 そんなんで、そんなんで.... ボクを倒せると思う?光助をこれ以上 傷つけさせると思う???」 カードから具現化したクナイ型の僕を複数放ち 狙い撃ちを直撃させんとする!!! 「えっ...何だ...この生温い 暖かい...何かの...中にいる感じは...。 (これは...勇二の中と...同じ?)」 敵に攻撃が通じないなら〜じゃあどうするか? [...へぇ、ぼくちん...ほんまに... 久々やで...ぅわ〜ふぅううん..。 (おっきせなあかんな---...。)] 答えは簡単、誰でも解るとおもうよぉ〜(爆) 「攻撃は効かないよ、まったく 同じ台詞返して良い?? 攻撃を空間中和で弾いちゃった〜、そこの子と 同じく、ね?」 そう、同じ土俵にボクが上がれば良いんだよネッ!! 『5月26日(木)』 第一〇四一話 『同じ土俵』(5.30.木) [小僧...お主...『翌期の水狐』【スカイ・ビュ】と... こ奴と同じ...“力”まで体現させたと言うのか!? 有りえん...ありえんぞ!!] クナイのモンスターのレベルは 最弱のW(WORST)だもんね 解ってるんだから! もう『光助』が教えてくれてるんだからネッ? それに、スカイ・ビュ自体を呼び出す 必要はまったくないんだったよ、早く 「ん?ん??...そっか、これが あいつの“能力”か、自分とその周囲に 虚数空間みたいな隔たりを創る!」 気付くべきだったんだ〜 「そっ!これで、ボクらは同じ舞台に 立てたよ...土俵が同じなら、あとは 実力勝負だもんネッ!!!」 ボクが魔法とか罠とかを魔法として 使える事に自信がなかったけど.... 今なら自分を信じられる気がするよ...みんなとの ここまで来た旅...ぅんうん、冒険のお蔭で(笑) [ジジィすっこんどれや〜? コイツはぼくちんの、世界への介入者だもんな。 そう簡単には通させ、へんでぇ〜。] な〜んて、思い出に浸っていたらさっきまで 寝ていた激レア『幻魔』が急に行動を始めたんだ...。 [なっ!?...わすの事を爺だと?! 嘗めた口、ききおるわぃ....しかしのぉ...。 (わすの意志を離れておるんか?!? 既に...まさか、わすの力が暴走している??!)] 寝ぼけ眼の太った狐は顔立ちに似合わぬ 下品な言葉使いで、本来ご主人様たる 『絶大なる双コブラクダ』【マスター・キャメル】を 引っ込め自分が前へ歩み出す... 「...何だ?...さっきまでと...。 (様子がまるで違う...つーか、本当に 同じ幻魔なのかな?...ってほど...。)」 その豹変ぶりに誰もが言葉を失う、が唐突に [あかんなぁ、許可もなしに...われ? ぼくちんの空間に入門してくるなんてぇヤリおるな〜。 ふゎぁぁっ、直にぼくちんが相手したるよん!!] スカイ・ビュが自ら『勇二』へ声を掛けた... 『ダシュシュシュシュシュシュシュッッッッッ!!!!』 「え”っ!?あっぅああぁっっっ!?!! そっそんな〜いきなしなんて、ずるぃ〜(脂汗)」 っと、同時に鋭く生えた4本爪による 四肢剥き出しで回転し柔軟なゴムマリとなって 少年へ素早く襲い掛かる!!! 「勇二っ!くっ...オレっち、今回は 役立たずっぽぃよなー。」 光助がしょげている間に回転しつつ軌道を尻尾で変え スカイ・ビュは襲いかかるのだがーーーー [ちぃっっ....爺、もたなかったな。] 突如、これが直撃せんとしたーーーー …その瞬間!!!… 『ぽたっぽたたたたっっっっ....!!!』 「はぁはぁはぁ...はぁはぁ....??? (あれ...当たらなかったの?)」 [がふぁっ....き...気にするでなぃ....。 続けるんじゃ...解るのじゃろう?!!] 急激に速度を落とし幻魔は勇二の手前で 地へと落ち、横目でマスター・キャメルへ言葉を放つ すると、そこには完璧に戦闘開始時とは 似ても似つかない程ゲッソリとした表情で 吐血を繰り返すラクダ型の幻魔の姿があった...。 『5月31日(金)』 第一〇四二話 『情感の羽衣In…』(5.31.金) 不意の慟哭、結末は意外な形で訪れんとしていた.... 「こいつ...なんだ?? ...さっきまでとは...疲労こんぱいじゃんか! てか、明らかに“能力”の酷使だな...。」 『光助』の言葉は的を得ていた、上級『幻魔』たる 『絶大なる双コブラクダ』【マスター・キャメル】とは いえ最上級のレアモンスターを召喚するだけで かなりの精神力を消費し自らが攻撃へ 参加した事でソレはより顕著となっていた [これ以上、ぼくちんを維持し続ければ...。 歪みに沈むんやでぇ〜。 それでも良いん?] [構わん!...眼前の勝利を逃して、何が 執事か...げふぁっ...ごふっ...早く、殺れ!!! 殺るんじゃ!!] 意気込むものの、『翌期の水狐』【スカイ・ビュ】の姿すら 揺らぎ、既に形の維持も限界を迎える.... 「キミの負けだね、素直に認めてくれるのなら ボク達を通してくれるなら、それ以上 ...攻撃はしないよ...。」 勝利を確信、と言うよりも目で見て 解るそれに『勇二』は同情の余地を与え 崩れ落ちたマスター・キャメルへ声を掛ける、すると [情けなど、無用じゃ...じゃがなーーーー わすの敗北にはかわりない...。 アンティルールに乗っ取り、そ奴を お前さんにプレゼントしよう...。] 『ぱひゅぅぅぅぅぅうううぅっっっっん!!!!!』 「正にゲームだった、な....。 どうすんの?勇二、そいつ??? (にしても...あいつ、歪みに沈む瞬間...。)」 幻魔は自分で敗北を認め、自分の手にしていたカードを 少年へ投げつけると召喚した僕を 場へ残し、歪みへ静かに沈んで行く...。 [ふぅゎっっっぁ〜ん...。 そんで、ぼくちんは、どうするんだ?] 場へ残された2人は残された 僕の扱いを悩んでいたのだが... 「あっ!?この子身体が消え掛かってるよぉ〜(脂汗) マスターがいなくなったから、もぉ維持出来ないんだ!! どっ...どうしようっっ!!?」 託されたスカイ・ビュの姿がうっすら 透け始めた事で漸く慌てだし対策を考える、が …その時!!!… [おっ...良いものもってんじゃん? ぼくちんがこれに宿れば...産まれ変わるやん!] 『ドヒュォオオオォォォッッッッッッッッッン!!!!』 まるで冷静な判断を下した幻魔は、起き上がると 光助をトドメの一撃より救いボロボロとなってしまった 『情感の羽衣』に目を付けーーーーー 「ーーーッッぅわっっっ!! なにする....だっ...って、嫌に背中がもこもこ するんですけどー。」 その羽衣と自分を一体化し融合変化させーーーーー 「ぅわーっカッコイイ!!! 光助、凄いよ〜(喜) それね、ファイファン8のスコ〜ルみたいな服に なっちゃってるよ、でも白衣の上は...まずいかな〜?」 まったく新しい衣服へ産まれ変わらせてしまった!!! [おぅ、ぼくちんが宿ったからな! こいつの材質を別のモノへ仕上げたぞ!!] 突然!!白衣の上から纏っていたそれが 声を出し顔を除かせ光助を驚かす... 「のぉわっっぁっ?!(きもっ!!!)」 「へ〜っ可愛いねぇ〜、良いなぁ〜。」 「........欲しい?......。 オレっちには、ちょっと....つーか暑苦しいし 勇二も学ランの上からは暑くない?!!」 モノ欲しそうな瞳で見つめる少年へ 期待に応える様にこれを脱ぎ去り手渡すと [バーッカっですか? ぼくちんは、水狐って名前だぞ〜。 通気性バッツグンやん!] 怒声混じにスカイ・ビュの悪態が流れる中で、 「ぅん、涼しいよ!! ボク、これ凄く良いと思う! だってウォーターベット着てるみたいなんだもん(爆)」 勇二はそれを着こなし程良い感覚を得ていた... 「まっ...マジッスか? (そういやぁ....着ごこちも悪くなかったよーなぁ...。 まっ良いか、もともと、勇二のものだし...ね?)」 光助はちょっとだけあげた事を後悔しながら 学生服の上から新種の服を纏う勇二と共に 扉を開き、内部とへ足を進めて行った.... [...さて、演出はこれで良いかのぉ...。 ひょひょひょ...わすが辿り着く頃にはーーーー 『マスター・オブ・ナンバー’ズ』【死真神】の方々が “御真の儀”を通し、完璧な形で体現されとるじゃろうて...。 あのカードは冥途(めいど)の土産じゃて、そして わすは完全な“力”を持って...舞い戻るのじゃ!!] 只、一抹(いちまつ)の不安を残して...。 …『絶陽地帯』の最終決戦が全ての幕を下ろし 最後の場へと向かう事で... これで物語は終演を迎えんとした矢先、 彼ら彼女達は眼にする、それがまだ ほんの始まりの序曲にしか 過ぎなかった、っと言う事態を… まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |