『11月1日(月)』 第一〇一話 『雷雲』(11.1.月) 「....じゃあオレがもし『レビン』を 倒したとしても...あいつは、甦るのか? ...なんで!?...じゃあ結局...!!!」 衝撃的な事実を聞いた『知也』は、 『ディアナ』の屋敷中に響き渡る ほどの声を上げて、ディアナに向かい叫ぶ!! 「落ち着いてトモ!! レビンなら...この世界に来た人間達は、 その存在を消されて死ぬでしょう... それに、なにも彼らを倒す術が ないわけでもないの...。」 「...どうやって?...」 だが、それを見て少しも慌てずに ディアナは、知也にそう言うと 落ち着かせてさらに話しを進めた... 「いい?トモ.... ...『幻魔』と呼ばれる彼らが いつから存在していたのか...それは、 私にも解らない...けれど...あれらは、 突然、天を割ってこの地と...同じく 分裂した星に光臨したとされているわ... つまり一方の星で身体が破壊された 奴らは、もう一方の星で再生される... 即ち...『再び倒す』ことで 完全にその存在を消滅させる事が出来るの!!」 ディアナは、努めて冷静に 完全に幻魔を消滅させる方法を 知也に伝えると...不意に頭を抑えて テーブルにうなだれる....そして、 「ディアナ!?!」 能力を多用した為に精神力をだいぶ 削っていたディアナは、死んだように その場で意識を失い深い眠りについた...。 「...ちぃぃ...やな夢や...。」 『黒ずくめの人物』との遭遇から 一日が過ぎた、その朝... 『海驢 智明』は、気だるそうに その横に大きくなってしまった 身体を起こすと、夢にまで現れた人物の 姿を思い出し頭を抱える... 「それにしても....どうすれば えぇんや...あいつの言っておった 事が本当なんなら...『八つ首の龍』 【トライゼ・ラスター】も...あのクソ 『死骸の王』【ナイトメア】まで...!!!」 だが、考えていても何も意味をなさいと 真っ赤な斬首刀を携え 次に自分のすべき道を見付けた 智明は、徐に歩きだし海岸地帯に 入って行った...。 …これから先に待つ 自分の過酷な運命をまだ 彼は、知るよしもない...だが、そう遠くない 未来に知る事になるだろう その時...彼は…。 『11月2日(火)』 第一〇二話 『時は、刻む…』(11.2.火) [くくっ...我らの刻が来た... 『幻魔人』の最大の力が引き出せる 夜の闇....!!] [我ら『熊獣人』【ワイルド・バーン】 ...あの小僧の指揮のせいで あんな子娘とガキ1匹に負けたが... 今度は、そうはいかねぇ!!] [そろそろ行こうぜぃ!!] 『レビン』の負けによって 敗走した大男達は、夜になり 魂を捧げた代償としてある者から頂いた “能力”を使い大熊の姿に変化すると 床に伏せる『ディアナ』と『アリア』の 居る屋敷に向かい足を進めて 復讐しようと酒場で酒を飲みながら計画を 練っていたの...だが 「やっぱりな...。」 それを既に読んでいた『知也』は、 ワイルド・バーン達が集まる酒場に いつの間にか忍び込み様子を伺っていた... そして、酒場から出ようとした 数匹の前に立ちはだかると... [なんだ?ガキ!!!喰い殺されたくーー] 『ドギョォッッ!!!』 「『龍墜撃』【りゅうついげき】…。」 [うげげげっ!?!] 素早く捻って反動をつけた 拳と蹴りを同時に脂肪でブヨついた 腹に叩き込んだ!! 白目を向き嘔吐しながら真後ろに 倒れ床に頭をうつ仲間を見て驚きたじろぐ ワイルド・バーン達だったが [この人数に一人で勝てるもんかよぉ!!] 一人がそう口走り知也に襲いかかると それで勢い付いた者達も一斉に 知也に向かい襲いかかって行った!! 「...こりゃマズイかな?」 そう呟きながら知也は、酒場から 飛び出し追撃してくる ワイルド・バーンを一体一体 拳と蹴りで薙ぎ倒してゆく!! [ウォォォッッッ!!!] 「なっ!?しまっ...!?!」 『ザグシャッ!!!』 だが、油断して不意をつかれた 知也の背中にいつの間にか回り込んでいた 一匹のワイルド・バーンの鋭い 爪による攻撃が背後から 襲いかかった、その瞬間!! 真っ赤な斬首刀がワイルド・バーンを 上下に真二つ斬り裂いた!!! 「....ちぃっ...くだんねぇもんを 斬っちまったやないか...。」 そして突如、現れたその不気味な刀を 無造作に構える太った青年は、さらに 「あっ...どうも。」 そうやって、お礼をする知也に向かい 「手伝うからメシを腹いっぱい 喰わしたってくれや、えぇやろ?」 そう唐突に提案すると.... 「もちろん!!」 知也の承認の返事を聞き加勢に加わった!! [ばっ?!化けモンか!?こいつら!!] [...ひぃ!?もしかして能力者!?] [うひゃひゃひゃ〜...好都合だ!! 二人とも殺す殺す!!!] 2人の攻撃に徐々に数を減らして ゆくワイルド・バーン達は、逃げ場を 失い自棄になって攻撃を仕掛けて来る!! 「....ん?」 知也は、協力者の斬首刀で殺された ワイルド・バーンを見て何かに 気付き、見入った... 「なんで?...歪みって奴に沈まない?!」 殺されてすぐに熊から人間の姿に戻り そのまま死骸として、その場に 留まっている大男達がディアナが 言っていた様に消えない...そして、 そんな疑問を抱えて闘い続けた知也が 最後のワイルド・バーンを打ち倒すと 「全てかたずいたんやな...はぁ〜 はよぉ〜メシを〜〜〜。」 『ぐ〜〜〜〜!!!』 そう騒ぎ、お腹を鳴らす何者かと 一緒にディアナ達の待つ屋敷に 戻って行った....。 『11月3日(水)』 第一〇三話『分岐』(11.3.水) 「...あっ!お帰りなさい!『トモ』!!」 ベットに寝ていた筈の『アリア』は 玄関の物音を聞いて二人を出迎えた 「だっ...もう大丈夫なのか?」 「えぇ!もちろんよ...それよりそこの 彼は、誰?」 自分の元気な姿を見てホッとする 知也にアリアは、隣にいる 無愛想な顔をした太った 青年の事を訪ねた... 「俺様か?俺様はーーー『海驢 智明』や! まっこの世界の住民じゃないこと くらいは、わかるやろ?」 『ぐ〜〜〜!!』 すると、知也が紹介する前にその 青年は、関西弁で自己紹介をして お腹を鳴らした... 「あははっ!そっか〜おなか空いて いるんだね、いま用意するから 先にトモと大広間に行っていてネッ! 智明さんっ!」 「智明でえぇよ。」 トモの案内で大広間に連れられた 智明は、テーブルから無数に ある椅子の内の多き目な物に 座ると、次々にアリアによって出される 料理をそれを上回る勢いで 喰らっていった.... 「....胸焼けを起こしそうな 食べ方だなぁ...まぁ関係ないけど。」 その食いっぷりに唖然とする 知也は、それに併せて料理を 創るアリアも...どーかなぁ?っと思った。 「ぁう〜喰ったくった!!」 『ぽんっぽんっ!!』 粗方、料理を食べ尽くした智明は そのハチ切れんばかりと パンパンに膨らんだ腹を 手で叩き、腹を圧迫するズボンの ボタン外し、チャックを下げてから テーブルに足を乗せた 「おそまつさまでした...デザートに なにかお持ちしましょうか?」 それを見てニッコリと笑うアリアは 徐にそう呟くと智明の返事を待った 「ぅ〜ん、そやな!持ってきて もらぉか?」 案の定そう答えた智明の言葉を 聞くとさっさと料理を作りに掛かる アリアを見て紅茶を飲む知也は、 ため息を漏らす... 「...トモは、私から見ても かなりの小食なのよ?」 だが、不意にそんな知也に 声を掛けた 「あっ!...大丈夫なのか!? 『ディアナ』!!!」 ディアナは、微笑みながら テーブルに歩み寄り... 「ふふっ、私なら平気よ..... “能力”の使い過ぎで倒れただけ だから直ぐに直るのよ...。」 そう答え、席に着いた...。 「彼女、誰や?」 「ディアナ...この屋敷の持ち主であり 彼女も能力者なんだ...。」 知也は、智明にディアナを紹介して また紅茶に手をつけた... 「宜しくね...『選ばれし者』... 智明君....。」 「....俺様が?なんやて!?」 唐突な言葉に動揺する智明に向かい さらにディアナは、 「貴方もこの世界とは異なる場所から 姿を現した者...“能力者”...そして 選ばれし者の一人だと私は、言った のよ...智明君。」 そう言うと静かに出された 紅茶を口に含んだ...。 『11月4日(木)』 第一〇四話『再会』(11.4.木) 「...俺様が『選ばれし者』やて?... 冗談にも程があるわ....。」 静かに紅茶をすする『ディアナ』に 食ってかかる『智明』は『アリア』に 渡されたアイスを口にする... 「その姿...多分だけど...誰かの “能力”でそうなったんでしょ?」 すると、それを見て自分もアリアに 同じものを持ってくるように頼むと ディアナは、そう智明に向かい呟く... 「ーーーっ!?...なんでそうやと解る!?」 「当て感かな。」 さらに、自分の言葉をそう返事を 返したディアナに 「あははっ...なるほど....当たりや... もしかして知っているんやないか? 俺様をこの姿にした奴を!!」 智明は、そう言い放ちデザートを 一気に食べ尽くした。 「へぇ、君の身体って呪いみたいな ものをかけられてたんだ...でも それは、それでイイんじゃないの?」 不意に『知也』は、呆れ顔でそう智明に言うと 「そうなんやけどな...貸しは返さな 気持ちがなぁ....。」 「まぁそう言うのも解るよ。」 「やろ?」 智明は、それを聞いて笑う... 「今日は、ゆっくり二人とも休んで 下さいね...。」 徐にディアナは、そう言うと アリアに命じて智明を部屋に 案内させた.... 「どもな...。」 「ふふっ、智明って結構イケてるのね それじゃ、お休みなさい。」 アリアに部屋に案内された智明は、 初めてこの世界で意識を持ったときの ことをベットの上で寝ころびながら 思い浮かべていた.... 「...なんや...もう一度...あいつに 会いたい...変な感情やなぁ...。」 そして『貴弘』の事を考えながら 疲れていた智明は、すぐに眠りに 就いてしまう.... 「同じ人間で...敵同士なんて... どうしてだろ...それに、オレには “能力”なんてないじゃないか...。」 知也は、ベットに潜り込むと ディアナの話しを思い出し悩む... だが、そのうち静かに寝息を 立てて眠ってしまった...。 …やがて朝が訪れる...決別の 再会を果たす者、元の世界に戻る術を 知る者、この闘いに苦悩する者.... まだ見果てぬ未来の中に…。 まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |