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『11月5日(金)』 第一〇五話 『海岸地帯東』(11.5.金) 「わぁ〜こっから本当に海岸なんだね〜!! 海だーー!!うみうみ!!」 浜辺を歩く『上原 勇二』は、そう 呟くと泳げないが波を見て大ハシャギしている... 「ん〜そうだね〜あははっ〜 ねぇねぇ勇二〜見てみて 砂のお城を創ってみました〜!!」 「ゎ!!凄いっ!!!」 それを見て『ハウリング』も 一緒にじゃれていると...不意に 近くに街を見付けたと『雹ノ 京香』と 『海驢 貴弘』が戻って来きた... 浜辺で戯れる二人を見て 頭を抱えるキョウを宥めながら 貴弘は、早速出発の準備をする... 「あれ?この街は、扉も なにもないんだねぇ〜。」 勇二は、いつもと違い街の中に直ぐに入って 行けたので、不思議に思いそう言った 「そうだね...たぶんだけど...。」 するとハウリングがそれについて 憶測で返事を返そうとした、その時... 4人を囲むように殺意が一斉に 送られ...案の定、建物の影等から 『幻魔』達が姿を現した!!! [ぐははっ...餌だぁ〜!!!] [やはり奴らには、任せておけんからなぁ...。] [我ら『鋭利なる雲丹』【ウィプス】... わざわざ西から来てやったのだ... ひさかたに人間を喰ろうてやろぉ!!] 人間のような姿をしているが 全身が黒い刺の付いた鎧に覆われ 同じように黒く刺の付着した盾と剣を 持つその幻魔達は、口ぐちにそう 叫びまくしたてると...一気に攻撃を 4人に対して仕掛ける!! 「ぁわわ〜!?どうしよ〜 あんなにいるんじゃ...あぅう〜!!」 ウィプスの数を見ると、慌てふためき額から 汗を流す勇二を見て、ハウリングは 「大丈夫だよ〜!!勇二... おいらがいるしねっ!!!行くよ!!」 [なめるなぁ!!!] そう勇二に向かい囁くと....次の瞬間!! 『ズババッババッッッ!!!』 [うぎゃぁっぁあ!!!] 勇二と自分に襲いかかって来た ウィプスに向かい素早く腰に仕込んでいる 短剣を二本抜き去り、絶技『木枯らし』を 放ち一気に数体のウィプスを 歪みに沈めた!!! 「ひゅ〜っやるぅ!!じゃあたしも!!」 『スパァーーン!!!』 それを見てキョウは、徐に背にしていた 剣を抜き、手にすると襲いかかるウィプスを 凪ぎ払った!! [こいつら強いぞ!?] [少々てこずった方が面白い!!] [くくっ...そうそう...まだ始まった バカリなんだからなぁ!!!] 仲間が倒されても一向に ひるみもせずに攻撃を仕掛けて来る ウィプス達に向かう 3人のそれぞれの闘いを初めて見て 流石だなぁ...と思いつつも貴弘も それに負けていられないとばかりに 少し形状の変化した真っ赤な槍を 右手に構え.... 「前より軽い?...ふっ...これならイケる!!」 『ずばしゅぉぉっっん!!!』 数体のウィプスに向かい一閃を放つ!! 『11月6日(土)』 第一〇六話 『桁違い!!』(11.6.土) 「...凄い...この槍...勝手に 伸びて攻撃範囲を広げている!!」 『貴弘』が最後に『智明』から 手渡された自分の血液を凝固させて 創り出されし槍の攻撃は、凄まじく 一閃しただけで周囲全ての 『鋭利なる雲丹』【ウィプス】を刺の 付いた鎧ごと中身を吹き飛ばし 歪みに沈めた!! [!?!?] [なんだあの槍わぁ!?!] [...こいつら...ただもんじゃねぇぞ!!] それを見て流石に驚愕し臆する ウィプス達だったが...が、 [...ひるむな...“能力者”の 3〜4人...我らの敵ではないであろうがぁ!!] 赤い同じような鎧を纏った 部隊長の様な『幻魔』が数体、突如現れ 不意にその内の一体が、貴弘に向かい 手にした剣で襲いかかった!!! 「ふ〜っ『勇二』おおかた終わった から〜もう安心していいよー!!」 『ハウリング』にそう言われたボクは、 恐る恐るハウリングの背中から 顔を出して辺りを覗いた... 「...う〜やっぱり初めてみる敵は、 どうしても...恐くて...ごめんね...。」 ボクが、そう呟くと 「...あはは...気にしちゃだめだよ〜! その方が可愛いんだからさぁ〜。」 ハウリングは、優しく抱き締めて くれた...わ〜戦闘中だけど...嬉しいかなぁ〜 「くっ!?...なにこの赤い奴!!」 って、やっぱしそんな場合じゃなかった みたい...意外に『キョウ』が赤い鎧... おんなじような姿の赤い敵に苦戦していた!! 「どうしよ〜ハウリング〜!!!」 ...ってあぅぅっ...ボクがキョウの心配を したとたんハウリングの目の前に 同じように赤い敵がぁ〜!!! だが、それにも怯まないハウリングは、 「...せっかくイイとこだったのを 邪魔するなぁッッ!!」 そうやって、その敵に言い放つと 再び勇二を自分の背中にし...攻撃を 仕掛けた...が、しかしその攻撃は 赤い奴の盾に防がれ反撃を喰らい [甘いな...我ら『赤き鬼ヒトデ』 【シャルワイト】をウィプス共と同じに 見て貰っては困るな...桁違いなんだよ!!] 『ズギャッッン!!』 近くの民家らしき壁に跳ね飛ばされる!! 「ハウリングぅッッ!!!」 [ふん...あとは、このデブだけか...。] だが、シャルワイトがさらに勇二にも攻撃を 加えようとした、その瞬間!! 『ズバシャッッン!!!』 [な”っ!?] その壁からまた反動をつけて 戻ってきたハウリングの短剣による 斬撃を喰らい歪みに沈む!! 「...桁違いってのは...こう言うんだよ ...解った?ヒトデさん!!!」 「やった〜!!凄い〜!!」 それを見てはしゃぐ勇二だったが 不意にシャルワイトに押されていた キョウの事を思い出しそっちに 目をやる...すると、そこには 「...あたしを倒したいなら... 本気できなよ...!!!」 剣から放たれた旋風に吹き飛ばされ 弱ったシャルワイトに止めを刺すキョウの 姿があった!! 『11月7日(日)』 第一〇七話『沈められた歪みの中で…』(11.7.日) 「さすがに...一筋縄では、いかないか... くっ!?格段に力が...強い!!」 [ふっ...そんな程度か?“能力者”ぁ!!!] 『赤き鬼ヒトデ』【シャルワイト】の剣を 槍で受け止め、押し返そうと 試みる『貴弘』だったが逆に そのまま押し切られ、手にしていた槍を 弾かれてしまう!! 貴弘の手を離れて地面に突き刺さった 真紅槍は、日差しに映え赤い影を 地表におろす.... [ここまでだな...死ね!!!] 「ふっ...やってみろや?」 [なにっーーーー....!?!] 『ズシャッ!!!』 歪みに沈んで行くシャルワイトの背中から 槍を引き抜いた貴弘は、 「...なぁ...この槍は僕の意志で 伸縮自在なんやぞ?... 解るよな?...勝ち目なんかお前達には 最初からなかったんや...。」 そう呟くと、ハウリング達の下へ 歩み寄って行った...。 「こっちもかたずいたわよ?」 『京香』は、静かに剣を肩に背負うと 同じく腰に武器をしまい込む 『ハウリング』と『勇二』の下に 笑いながら戻って来た... 「お疲れ様だったね〜、キョウ 赤い奴たいへんだった?」 ハウリングは、キョウに向かい そう言うといつの間にか自分の側から いなくなっていた勇二を探し 辺りをキョロキョロと見回す...が 「どうしたんだい?ハウリング?」 「ん〜ヒロ、勇二見なかった?」 一向にその姿が見えず困惑する 「....勇二...は、あっ!!!やばい!!」 だが、貴弘が辺りを見ると不意に 建物の陰に出来た暗闇の中で 勇二を見付け、唐突にそう叫んだ!! 「ひっ...ぅあぁぁ〜!!!」 [ふふっ...その躯ぁー頂いたぁ〜!!!] 勇二の足を、さっきの貴弘の攻撃で 生き残った上半身だけの『鋭利なる雲丹』 【ウィプス】が掴んで羽交い締めに している、それを見た貴弘はすぐに 「...この距離なら!!!いけーーーっ!!」 『ガズッンッン!!!』 槍を投げ、旨くウィプスの背部に槍を 突き立てると勇二に怪我がないか 確かめに走ろうとした...のだが... 「なっ!?あぁっ...あぁぁ変だよぉ〜 たっ助けて!!ボクのボクのカラダが きぇ...消えるうわぁっぁあ!!!」 『バシュルゥッッッン!!!!!』 自分の足を掴んだまま歪みに 沈むウィプスと共に勇二の身体も歪みの 中に消えて行ってしまった...。 まさに一瞬の出来事だった... 呆然とその場に立ち尽くす ハウリング達は、言葉を無くし ただただ、その勇二が消えた場所を 暫く眺めていた...。 一方その頃、勇二はーーー 「ぅ...うん?...あれ? ここは...えっと...学校!?」 いつの間にか、自分が異世界に 移行される前の場所...つまり 元の世界の学園内に居た!! 『11月8日(月)』 第一〇八話『残された者達…』(11.8.月) 「...?!!?」 色々な事が頭をよぎり『ハウリング』の 思考を困惑させる 『勇二』が『歪み』に消えてまだ 数分しか経っていない 「...ハウリング?...今は酷かも しれないけど...この街の“能力者”に 会ってしまわないと...。」 不意に『京香』は、そう呟き 失意に震えるハウリングを後ろから 抱き締め...先に進もうと呟く... 「...そうだね...。」 キョウにそう返事を返したハウリングは、 息を大きく吸い込んだ後、笑顔を戻す... そして『ディアナ』の屋敷に向かって 3人は、進んで行った...。 「地図には、ここに能力者が いると書かれている...けど...ずいぶん 今までと違って家の外見も派手だなぁ。」 『貴弘』は、そう呟くと徐に ドアノブに手を掛けようとした...その時 『ガチャッ!!!』 「うぁっ!?」 内側からタイミング良く扉が開き バランスを崩した貴弘は、目の前に 突如現れた人物に持たれるように 倒れ込んでしまった 「ヒロ!?大丈夫!?」 「敵かっ!?」 それを見てキョウとハウリングが声を掛けると 「ヒロやて!?!」 その人物は、貴弘の身体を抱き起こし ながら、顔をジーっと見つめた...そして 「あっーーーっ!!『智明』!!!」 「ふっ...ヒロ...久々やな...。」 貴弘だと確認し終えた智明は、そのまま 黙って、貴弘を抱き抱えたまま2人を 屋敷の中に案内した。 大広間に出るまでに智明は、自分の ことを2人に軽く話しながら歩く 「そっか〜じゃあヒロの親友みたいなもの?」 「そやね〜同時に召喚されたからな。」 だが、自分が貴弘の片割れで ある事は、口にしようとせずにいた... それを聞いていた貴弘もこの 『海岸地帯東』に来るまでの間、2人に 智明の話しをしていなかったので そこは、口を出さずに黙る事にした 暫くするとディアナ達の待つ 大広間へ出たので智明は、徐に 貴弘の身体を降ろし... 「ディアナ〜〜やっぱし俺様の 予感は当たってたんやな.... 連れて来たんや姿を見せろや。」 そう言うと、側にあるテーブルの上に 重い腰を乗せた...その後、すぐに 別のドアから青い瞳の女性が姿を 現し、3人の目の前で丁寧に挨拶を すると、テーブルにいつの間にか 運ばれて来ていた紅茶に手をかけた...。 まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |