『8月17日(土)』 第一一二〇話 『鬼の居ぬ間の束の間の-其の壱拾参-(遥かなる生還)』(8.17.土) 「アンタは『雪ノ城 春化』をナメ過ぎた ...いいぇ、『P×H』...通称 【プリセンス・ハンター】を侮りすぎたのよ!!」 『どきゃきゃきゃきゃきゃぁぁぁっっ!!!!!』 [きゃぁぃんっがふぁっっぅううっっ!?! (馬鹿な!?この『幻残』【シャドウ】の中でも 抜きい出るこの....この名だたる『幻魔』を 従えし....この『バラキ』【犬鬼】が!! ...いや、それよりも何故?!脱出出来たのだ!)] 『ホール・アヌス』【大黍団子】の効果によって 彼女の胸へと小形のブラックホールが出現し 内部から引きずり込む様にそれは浸食を始め やがて飲み込んだ...筈だったの、だが 「...そう言うこと!! まったく、困ったわよ...あの空間は本当に ...でも、そこまで貴方が私を追い詰めてくれたから どうやら...やっと、自分の持つ“能力(ちから)”に 気付けたみたいなの。」 目の前には武器を構え自分を見下ろす彼女の姿がある!! [馬鹿な...あり得ん...いや、あっては ならない...そんな事は!!] 流石のバラキでも驚きを隠せず 頭部へ攻撃を受けた事もあってか 中々起き上がれず這いずりながら少女と距離を取った 「はぁはぁはぁ...どうやら、『ミキ』ちゃんの 出番は終わりみたいね...。 正直助かったわよ...ハルカ!」 [...それに四肢の腱は斬り裂いた... 何故...立っていられるのだ?!] そう、“残魔”は確実に彼女の動きを 封じる対策を取っていた...が、ハルカは動いている そして自らへ打撃を加えたのだ これも理解出来ずとにかく、戸惑う...。 「『トモ』は...『気具装』【ウェアー・ディスポティション】 っと言う気を纏う術を持っていたわ...。 それである程度の傷もカバーしていたの だから...ふと、考えたのよ...そう 私も霊気を具現化出来るじゃないか?ってね。」 ゆっくりと目線を攻撃を受けた箇所へ ずらし同じくバラキもそれを追った [...何だ...それは...その光のワッカの 様な....不愉快だ...とても不愉快な光だ!! ....それに、主が何故ここへ 舞い戻れたかの答えになってもいないぞ!!!] 珍しく声を荒げるそれを見て 幹がニヤリと笑みをこぼす横で、彼女は 「フフッ知りたい? 知ったとしても、貴方には覚えられる 時間も無いでしょうけどね。 ...絶望的だったわ、正にお先真っ暗って感じ、でもね この想いの力が、私をホワイトホールへと 導いてくれた!!」 [理論上は....確かに...可能だ、しかし?! (...不可能だ...ホワイトホールとは 次元の紡ぎ穴...行く先がここである確証は...はっ!? まさか...まさか、この女ァァッ!!!)] 漸く立ち上がらんとするバラキを前に 出来事の説明を始めた...。 「そう、確かに...あの時...私の攻撃は まったく当たっていなかったわ...けどね、 霊気を糸状へと変えた事で...少し前まで 触れていた、貴方の位置を感知する事が出来たの。 ...まぁ、無我夢中でもう二度と出来ない 芸当でしょうけど、そして...。 借りは返すわ....頭部に打ち込んだ銀術は 貴方を内部から浄化する...敢えて喋っていたのは 時間が欲しかったから..最深部まで 私の霊気が到達する、その時間が!!」 既に反撃の構えを取っていたバラキへ ハルカは叫ぶと、指差しーーーー …次の瞬間!!!!… 『プシュウァァァァァッァァァァッッッ!!!!』 [ばっ...このっ...このぉおっっ 『マスター・オブ・ナンバー’ズ』【死真神】から 漸く認めて戴いた『スキル』【特殊能力】がぁぁぁつ!?!!] なんとも気の抜ける様な音を発しながら シャドウは灰と化しやがて跡形もなく消滅した!!!! 『8月18日(日)』 第一一二一話 『エピソードファイナル』(8.18.日) 「誰かに認められようとして 戦っていたわけナノ? だとしたら、お前...相当中身の無い ガキだわ。」 『バラキ』【犬鬼】の消失により これで『ユイガ』【猿鬼】『ダイス』【雉鬼】を入れて 参鬼は全滅、同じく『クレイジー・グループ』も 倒され残党は『勇二』らある程度 動ける者の“力”で次々と姿を消して行った!! 「『ホーリー・サークル』【聖なる輪】... これが、私の傷を保護して 治してくれているのよ? 因みに『トモ』の様な纏う力には なかなかならないわ...はぁ、これにて 浄化、完了!!」 白色の光り輝く輪を四肢へ装備しながら 少女は親友へ声を掛け肩を借りて 皆の下へと向かって行った... 「はぁはぁはぁ....曇ってて助かったよぉ〜(脂汗) 汗が止まらなくて...この制服... それでなくても...汗の臭いとか 凄いんだよねぇ〜(泣)」 走り回って『幻魔』を対処していた 少年は股に少し痛みを感じながら やがって一掃した後、『光助』の居る 場所へトボトボと向かう 「...よぉ〜オツカレー!! オレっちがちょっと休んでいる間に 全ての決着は付いたみたいだね?」 自分を見るなり笑みをこぼす 光助だったが、まだぐったりして 起き上がれそうにない様子なのだがこれを 吹き飛ばし青年の胸へ飛び込んで行った...。 「いたイタ....。 ほら、『洋子』!しっかりしなさいな? そんなんじゃ徹夜出来ないわよ?」 『ばひゅっぃいっっっっぃううっっん!!!』 「ん...むにゃ.....あっ...あぁっ 『幹』...ってか、ミッキー... あはは、ぼくなら...3日は寝なくても... ペンは走るのだーっ! って、うわぁっっ?!!」 唐突にスプリング(螺旋状の針金の(跳ねる)意。)が 飛び出し、結果ベットの上の眠れる 洋子を叩き起こした形となった 「あははははっっ!! まぁ、それだけ元気なら、生きてるって 証拠ね...? さぁ、一緒にみんなのトコに行きましょう。」 幹は素で笑うと彼女を連れて歩き 一旦、緊急救命病棟の建物へ集まる事を伝えた 「あーっっぁっ、右腕が粉砕骨折してる... どんな、無茶したのよ? ...それに、内部の骨もスカスカだし、これじゃあ 骨欠損症候群じゃない!」 「あーっ...解った、解ったから 耳元でShoutするなよ! 生きて、あそこから戻れただけでもMiracleなんだぜ? 上空2500m程度、you know!?」 先に病室を訪れていた『レビン』は 手当を受けながらハルカから 説教じみた絶叫を聞かされ呆れ気味でいた 「だな、こりゃ〜生きてただけでも めっけもんなんじゃないの? それにしても、トモはまだ目ぇ覚まさないな〜。」 横では死んだ様に眠る知也の姿があった 必死の看護を行う少女は少年へ 指示を出して的確な処置を施して行く、やがて 「おーっっす!ぼくが来たからにはーーー って、うははは!!皆、ボロッボロじゃーーん!!」 洋子が来た事で治療にも幅が出来て どうにかオーストラリアの地で残留した 「....僕の...事...忘れてないやろな?」 8人は無事、これを切り抜けた事となる!!! 「「...あたしは世界...世界はあたし...。 全てを手にするのは...この、あたし...。」」 …この勝算の無い死闘が全て終える その少し前まで時は遡り、やがて ソレは運命を紡ぎ出す…。 『8月19日(月)』 第一一二二話 『if than』(8.19.月) -戦いが終結する、1時間程も前に 場から姿を消していた者達の過酷な物語- 「...私は、もう一度...どうしても 貴方に会わなければならない...。 いや、こうなってしまったから...!!」 『クレイジー・グループ』の一匹との 対戦中、突如知った『裏月乃』【リバース・ツキノ】が 存在する点、そこには彼の者達も確実に 存在している筈...黒き法衣を 風になびかせながら彼女は空を切って オーストラリアより南東の場へ向かって行く 「はぁはぁはぁ....!! 駄目だ...ボクの足で追い付くハズが 良く考えたらないじゃないか...!」 汗だくになりながらも眼鏡を掛けて その下を太った少年は砂地を走り続けていた...。 「はぁ〜ぃ、お客さん? My carにでも乗って行くぅ〜ん?」 流石の『真』でも 体力と気力を失い掛けたーーーー …その時!!… 『バシュアァァァァッァァッッ!!!!』 「『ノエル』!?!...それに キミは...『月乃』まで!」 背後から疾風と共に金髪の少女が 颯爽と姿を現し手を振った 「情けない話しだけど...僕も 誘われたんだ...シンくん... 彼女が気になるんだろう...行こう!! ....奴らがいる...南極へ!」 『風の核色』を用いて空中で待機する ルクレツァの片手は月乃の手と結ばれていた そして、彼が真へと手を差し伸べる!! 「うん、解った!! でも...何でキミが風の力を? それって『キョウ』の物でしょ?」 「Sorry,返そうと何度も したのだけど、彼女に拒まれたのよぉ〜ん 自分には土の力があるから、いらない!って...。」 真の手は汗で湿りぬるぬるしていたので 月乃は飛びながら少しだけヒヤヒヤ していたのだが、逆にこれが吸い付く かのごとく機能し風を受けて乾いて行く事も あってか、無事海岸線を超える事が出来た...。 『8月20日(火)』 第一一二三話 『四肢陣』(8.20.火) 「どうなさるおつもりなのですかしらぁ〜ん? 御方は動くな...っと、申されていたけども...。」 占い師風貌の人物は水晶を置き去り 立ち上がると誰もいない室内で声を上げた...。 「心配しなくても良いですよ。 その為の結界“残魔”がいるんですから ...少なくとも、彼らが潜り抜けるのは 不可能だと思いますよ。」 何時の間にか携帯電話を取り出した 口元まで衣服で覆い隠す人物は 返答し、他の者達の指示を待つ...。 「...案ずるな...『フォース・プラネット』【四肢陣】が 存在する限り...“能力者”は嫌でも ...この地より弾かれるのだからな。」 マントを背負う男は一同へそう 伝えると、電源をオフにして 自らの守護する場へ設置された椅子に腰掛け 追って情報を送信する様、付け加えた...。 まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |