『10月13日(日)』 第一一七七話 『愛と愛の果て-さよならの時-』(10.13.日) 「だっ...駄目だぁぁっっっ!!!!! 避けて...死んじゃうよ〜!!避けて!」 『真』の言葉を聞きながら 彼女は頷いた、勿論ーーーー 「...私は...死なないさ? そして、キミも死なない!!」 彼女とて死ぬ気は毛頭ないだろう 『どぶしゃぁぁぁぁぁっっっっっっっ!!!』 「結べぬ世界を結界と言うのだ...。 お前の、これは...力無くした 哀れな鳥篭にもならない...さらばだ 我が、過ぎ去りし日々よ!!」 しかし、無情にも男の大剣は 『礼奈』の身体を貫き穿った 「そっ....そんな.....。 (くっそぉ....身体が...動かない... なんだよ...ボクこれじゃあ....!)」 『裏月乃』【リバース・ツキノ】を筆頭に それを守護する5人の最強能力者達 『マスター・オブ・ナンバー’ズ』【死真神】が根城とする 南極大陸、別名『永遠の氷河期』【エターナル・アイス・エイジ】へ 先行し乗り込んで行った『スキルマスター』【特殊能力者】達は 熾烈を極めた闘いを繰り返し 心身共に正常ではいられない程の 損害を受けていた...そして、この 「なんとも哀れだな...。 しかし、最後に人は華を咲かせる 血と言う....鮮血を振りまいて。」 マントを羽織る男の前で 1人の少女がその命を費やさんとしていた 「くっ...そぉお...動けェッ!!!」 だが、どうにか動こうとする 少年へと狂った刃を 引き抜きコレが向けられんとしたーーーー …その瞬間!!!!… 『ブッッビュルルルッッッッッッッッ!!!!!』 とある変化に男は気付く 「フハハハハハッッっ!!! お前も...生かすつもりはない、死ね。 .........っっ...何? これは....馬鹿な....お前は?!」 引き抜けないのだ、少女の身体に 深々と突き刺さった自らの 武器が、どんな力を込めようともーーーーー 「私の言葉を忘れたのか? ....私は、死なない...そして キミを倒し...真を...救う...。 『G・F』【グラビティ・フィールド】 ...私の体内へと止めるため、わざと 結界を攻撃軌道へ乗るように、張り詰めた 私に、キミは一杯喰わされたんだよ? ...つまり、防備だろ?」 『びきっっっっびきいききききっっっっ!!!!!』 「礼奈!!...ちぇっ...心配して 損したよ、早く倒して...くれる〜?」 そして、断罪の一撃が零距離から放たれんとする!!! 「くっ.....馬鹿な.... 何故...そうまでして、立っていられる? 貫通した瞬間、絶命していても おかしくは無い程の痛みだと言う筈!!」 男の顔色が少しだけ変化した これは焦っているのか?只、それは 「...私の思いを具現化し 組み合わせた『カルマ・ディマンデ』【業の錠鍵】!! .....そして、重力のオーバーコート! ....ーーーーッ『断破斬』!!!!」 彼女にとっては最後の勝機だと思えた 『どぎゃぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁっっっっっっ!!!!!!』 動きを完全なまで封じられた男が これを避ける術はない、少年も ソレを必ず決め、勝利を手とすると 想像で思い描いていた!!...だが、しかしーーーー …この時!!!!!… 『パシュァァァァァッァァッッッッッッン!!!』 「この重力の中で...動けるモノ等 ....確かに存在しないな...。 ならば、その特性をお前の身体へ 刺さる剣を媒介とし解除すれば良いだけだ。」 男の言葉の後、少女が刃先を突き付ける 動作よりも早く、体の内部より 漆黒の針が皮膚を破り出現する!! 「え?....ちょっ...なに.... それ...その雲丹(うに)みたいな!?トゲトゲ...?!」 内部より唐突に現れたそれが 彼女を貫いて攻撃と“力”を解除させてしまう 『ずっっちゃっっっにゅるるっっ...。』 結果、引き抜かれた刃が 「....内部を少しだけ変質させた ...お前が目覚めることは、もう 二度とない、そして...お前もだ。」 崩れ行く少女を投げ捨て、次の標的を定めんとしていた...。 『10月14日(月)』 第一一七八話 『愛と愛の果て-たった一つの-』(10.14.月) 「こふっ....えっ..............。 (死ぬのか?....なんだ?これは?? 私の身体から....。 痛みすら....鈍い....。)」 刺が内側より生えた、そう 表現するしかない現状... 『どささささささっっっっっっっっ!!!!!』 「なっ....何をどうすれば...あんな?! はっ!?....まさか...これが... “力”(のうりょく)???」 投げ出された『礼奈』の身体は 灯篭を破壊しながら 壁へ血のアートを残す... 「お前がこれから何を 知って意味がある? ...手向けに言葉はいらない、死ね。」 『たしゅぁぁぁぁっぁぁっっっっん!!!!』 とっさの判断で出した両腕が 宙を舞い、喉元をぱっくり『真』は 斬り裂かれ致命傷を追う 「...ふゅ〜っっこふゅぅう〜...!!! (ぎゃぁぁぁぁぁぁぁああああああああぁぁぁっっっ!!! 腕が....喉がぁぁっ....熱い.... 何か...身体中がラッシュ吸った時みたいに...熱い..。)」 声帯を斬られ声にならない悲鳴も出せず ただ苦しみもがくしか術を 残していなかった... 「...余計な事をするから苦しむ それは防御しようとしたお前の責任だ。」 大量の出血は血の海を産み出し その退廃の場で男は一枚絵のごとく立ち尽くす...。 「..........違う.... がっ....はぁはぁはぁ...。」 『ずるっっっずるっっっ!!!!』 「....?.....動くな...もうお前は終わっている。」 打ちつけられた箇所は骨折し 肋骨ごと殆どの臓器が破損している中で 彼女は立ち上がる.... 「真は...ガードの為に... ...出したのではない...。 ........キミの“能力”が未知数だろうと 私は鱗片を垣間見ていた...。 そして....私の一撃で、キミは ....死ぬ!!」 到底、無理な話しであった この状況をひっくり返す様な手立ては もう残されてはいないのだから 「世迷い事も聞き飽きた。 ....お前の力はもう使えまい? 集中力を欠いた能力は精度が落ちる。」 当然のごとく男はそう言い放つ 再び刃を愛した者へと向けながら 「重力を反発させ、全てを断罪する ミナモとなれ...。 (....真...付き合わせて悪かったな...。 けど、これで....私は終われる!!!!)」 そして、瀕死の少女は重力の刃を 出現させ切り込み掛かる彼の猛攻を迎え撃つ!! 「....無駄だ、あの豚に何を 吹き込まれていたのか知れないがーーーー 俺は完璧で正しい。」 『ドギャギャギャギャギャギャギャギャッッッッ!!!!!』 「だから、キミは.... 『断破斬』....刃に命は残されていない。」 …次の瞬間!!!!… 大剣が彼女のソレと重なりあった時、 弾け飛ぶ様にこれが砕け散る.... 「.....こふゅぅ〜こふゅ...!! (......最後まで...諦めないさ!!)」 そして、交差するそれは男を貫いた!!! 『10月15日(火)』 第一一七九話 『愛と愛の果て-心の傷-』(10.15.火) 「俺の....刃が.... まさか.....この為の布石だったと 言うのか....?」 『ばきゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっん!!!!!』 硝子が壊れたかの様な 鋭い轟音が響くと同時で弾け飛ぶ 鉄塊のカケラが場へ降り注ぎ、そしてーーーー …その瞬間!!!… 「愛と...愛の果てが.... こんな結末は、少し寂しいけど... 私は満足だったよ? ....『甲斐』....さようなら。」 『どぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃっっっ!!!』 「...はぁ...はぁはぁはぁ....。 うぉおおおおっっっっっっぉおぉぉおおおぉっっ!! くっ....誉めてやるよ...。 俺の肩を射抜くとはな....しかし、悪かったな? ....この剣の本質は、ソレではないのだ。」 少女の刃が心臓を穿たんとする、この直前 攻撃軌道が何故が逸れて彼の 左肩を貫いてしまう...それは、 「....。(光の....剣???)」 崩れ落ちた刃先から出現した ビーム光線状の新たな刀身のせいだった...。 「....そう...そうやって.... 何時までも...逃げて...隠れているがいいわ... 誰にも...理解されない...そう思って ...逃げていればいい...いずれ、そうやって 刀身を見せなければいけない時が来るわ...。 ....私は....でも、最後に...貴方を 理解出来たわ....悲しくて...とても、寂しい人...。」 『ぶしゃぁぁあぁぁあぁぁっぁぁっぁっっっっ....。』 「うっっっ....うぉおおおおおおっっぁぁっっ!!! お前に....お前に....お前に....俺のーーーーー 何が解るんだぁぁっっっっ!!!!!」 ビームソードとでも呼べるのか? 『春化』や『幹』のそれと 酷似した形のそれは手放され 重力の剣が消えた後、ホウコウを上げて 立ち上がった男はか細い彼女の首を 両手で掴み物凄い力で締めて行く 「....こふゅっ....。 (..勝負に負けて、試合に勝った そんな感じかな...ボクも...最後に... 大事なモノ...を手に出来た気がするよ...。)」 鮮やかな夕焼けがこの姿を写し 最後の言葉で少女は生気をなくした...。 「うっ...ぁぁぁぁああああぁぁっぁっ!!!!! ....なんだ......これは..... この俺が....はっ!??! ....どう言う事だ....うっ...うぐっっ!?! .....................涙......?」 『ぽたっぽたたたっっっ....!!!』 締め上げていた指に何かが滴る それは、自身の涙だった...。 『10月16日(水)』 第一一八〇話 『愛と愛の果て-身体の傷-』(10.16.水) 「実に...4〜5年ぶりか? ...彼の“力”を見たのは...。」 画像を見ながら彼奴は 呟く、すると 「けふは、初めて見ましたよ...。 あんなに取り乱した姿も。」 パジャマ姿の青年は 応える様に声を上げた 「...問題無い...。 あの男は、そう言う男だからな。」 ニヤリっと邪悪な笑みをこぼし 彼奴は彼を呼び戻す事を指示した...。 「............何故だ? 何故....俺は......こんなものを?? ....感傷だとでも言うのか??? この俺が?!...いや、こんな.... あっぐっ.....くっ...何だ.... 痛む....これは.....傷?」 思わず、両手を離し 痛みで我を戻した男は 力無く崩れ落ちた彼女を目線で 追いながらも 動けず、ただ、立ち尽くしていた...。 「.......なんて、事はない...。 傷も直ぐに良くなるだろう ...ふふっ、久しぶりに攻撃を受けたから ショックを受けただけだ...。」 自分にそう言い聞かせて場を後にした 男は、癒えぬ痛みと葛藤しながら あるべき主が下へ歩んでいった....。 まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |