『12月5日(木)』 第一二三〇話 『心理の行き着く果て-闇色の血族-』(12.5.木) 「これがーーーーー ボクの実証結果だ、キミら無知な人間達でも 理解出来るだろう? ...この女は自らの意識でカードの中で 悪意となり果てた。」 時折見せる目玉らしき物体が 恨めしそうに彼らを見つめながら モソモソっとその元は人間であった ソレは蠢き、やがてーーーー 「てめぇがカードの中に 封じ込めたからだろーがっっっ!!!」 「...何か嫌な...感じがするよ... ねぇ、駄目だよ...このヒト、なのか 解らないけど...このままにしてたら...あぁっ!!」 大きく身体をうねらせた ……その後!!…… 『ばしゅるあぁぁあぁぁぁっぁぁっぁ!!!』 [ふひゅるるるるっっっ!!!!] 漆黒の塊は何等かの蛹(さなぎ)の様な 姿となって、それと同時で破裂し何かが飛び出す 「ふっ....これが、キミらの忌み成す 現世の悪意の正体、さ? そう...『幻魔』とはこうして産まれる!!」 『ユング・フロイト』【精神の王】は 声高らかに講釈を開始する、これが 幻魔の製造課程である、っと!! 「っっ...逃げるんだ!! そいつは怨みだけで動いている!」 だが、青年の声はとある音で掻き消された 『どぶしゃぁぁぁぁぁっぁぁっっっ!!!!』 [ウッマギャァァァぁぁぁっっっ!!!!] 「安心しなさい、これは ...講釈、つまり実演ですよ? こんな雑魚、何時でも産み出せる...。 それよりも理解出来ましたか?? 人間は悪意の詰まった肉袋だと、言う事が???」 それは、産まれたばかりの幻魔が 彼によって首をネジ切られ 抹殺された時、発された叫び声だった...。 『裏月乃』【リバース・ツキノ】を守護する 5人の最強の『スキルマスター』【特殊能力者】 『マスター・オブ・ナンバー’ズ』【死真神】達とは別に 南極大陸、『永遠の氷河期』【エターナル・アイス・エイジ】中心部へ 存在する核たる建物の執事は最古の 『幻残』【シャドウ】であり 『絶対なる双コブラクダ』【マスター・キャメル】と 『安大 光助』『上原 勇二』を裏切った 『翌期の水狐』【スカィ・ビュ】が 融合した事より人間に近しい“力”を有した 「ひっ...酷いよ...自分で 憎しみを植え付けておいて...殺しちゃうなんて!!」 「下種が.....もう講釈なんぞ どうでも良い...! (早く...早く...身体よ、動け...!!)」 存在となって2人の前へと立ち塞がる 「落ち着け、それだから駄豚だと言うんだ。 ...言いか?例え、カード内部の環境が とても良かろうと人間は最後にカードを 黒く染める、それはキミらも同じだ...。 解るか??...少しでもヒトを憎しみ 疎み、妬む気持ちがアレば...そこに悪意は滞る!!」 ゆっくりとした口調、だが的確に 鋭利なまで彼らを追い詰める 「現世の悪意が異世界では幻魔となってたんだろ? そんな事は百も承知、だからなんだ!! てめぇの言いたい意味が不明なんだよ!」 「そうか...解らぬか...。 なら、何故...キミらがあっちへ飛ばされたのか それすら...理解出来んだろうな...。 人間の闇から作成されたこのカードで 戦う意味、も...ククッまぁ良い、もう動けるだろう?」 光助へ哀れむ様な眼を向けた彼は 動ける事をわざわざ教え 再びカードを引き出した 「そっか...解ったよ、ボク キミが何が言いたいのか!! でもね、それは間違えだよ! ボクはーーーー信じてるもの!!!」 すると、不意に勇二が声を上げて 制服の内ポケットから白金の鞭を取り出し構えた!!! 「え”!?何、なんなの?!! 勇二ってば、どう言う意味???」 困惑する光助へ勇二は伝えた 「あの子に裏切られた!って ボクらが思えば、キミはそれで 嬉しかったし、そこから新しいカードも 産み出せたんだよね? だから、そんなパフォーマンスまでして見せた!!」 スカイ・ビュの裏切りを知り 自分達が驚嘆し落胆するのを狙っていたんだ、っと 「愚かな....少しでも降りてきたのが 間違えだった...フッ...しかし 満更間違えでもないな、キミらを 試していた、っと言う点では、なっ!!」 だがしかし、笑みをこぼして彼は そう良い放つとカードを床下へ投げつける...。 『12月6日(金)』 第一二三一話 『心理の行き着く果て-どんな夢を……-』(12.6.金) 「『光助』、御免...ここは ボクにやらして!!」 『シュパァァァァアッッッッン!!!!』 少年は手で彼の行く手を塞ぎ 徐にそう言うと、『白金の鞭』【レイジング・ビュート】を構える 「勇二...どうして?! はっきり言うよ...勇二、勇二じゃぁ... こいつには勝てない!!」 身体能力の移行で彼は此処で 異界とは同じ様な“力”は使えない事を 最初に悟っていた、だからこそ 冷たいようだが、そう言い放った...しかし 「あはっ、うん...解ってるよ(脂汗) 少なくても、1度、ボクはこっちに 戻って来てたからね...けど、ボクは どうしても...このヒトの意見が否定したいんだ!! ボクは、だから...あの子を信じる!」 勇二の決意は固く、変わる事は無い 「『ナンバー・ウィップ』!! フッ...面白い、何を信じているか 知らんが...どうせそれは達成されず終わる!」 併せてナノか?『ユング・フロイト』【精神の王】も 絹の様な滑らかな鞭を具象化し構える!! 「解ったよ...けど、やばくなったら 直ぐに、オレっちも参加するかんな!! それまで、好きにするよ良いよ。」 「あはっ...有り難う...! それじゃぁ〜行くよっ!!」 『どぱぱぱぱぱぱぱぱぱっっっ!!!!』 お互いの鞭がぶつかり合い 空中でこの応襲が暫く続く 「やはり本家、鞭使いだっただけの それだけの資格はあった、っと 言うべきか、しかし...キミもまたボクと 同じ事をしている!」 「キミ、全然わかんないよ!! けど....多分、キミとボクとは違う!」 だが、これも長くは持たなかった 勿論、正確性を先に欠いたのはーーー 「くっ?!あぁっっ!! ...いたたた...はぁはぁはぁ....! (やっぱりだ...ボクがしっかりしていないと 前みたいに...攻撃がまったく効かない(脂汗))」 勇二の方である... 「おぃおぃ、この世界で元の運動能力へ 戻ったからだけじゃないぞ? ...キミらの弱点は、もっと表面化している。 それはーーーー安直な諦め、だ!」 既に少年の心を彼は掌握していた いや元来その力を持った為、彼...彼らは 思念を残していたのだから 「勇二!!...やばぃ...例え今まで “能力”があった事を経験してるとは言え...。 (勇二は本質を知らなすぎる...。)」 そして、勇二は結局敗北した 鞭を持つ手を打ちつけられて...。 「『翌期の水狐』【スカイ・ビュ】... それがキミの癖を教えてくれている...。 つまり、ボクに敗北は有り得ない!」 再び武器を投げ捨て新たなカードから 何かを呼び出す 「そうかよ、でも... 奴が、勇二が知らない事ならーーー てめぇは知り得ないんだろ?」 床下へ倒れ掛けた勇二を抱えながら 光助は叫ぶ、その眼は正に獣だった...。 『12月7日(土)』 第一二三二話 『心理の行き着く果て-孤独-』(12.7.土) 「あぁ、確かにそうかもね? けれどある??奥の手なんて???」 彼は『光助』を挑発するかの様に 振る舞い具象化した 両の刃を持つ武具を掴み上げた 「あぁ、あるぜ? ...とっておきって奴だな!!」 「光助....駄目!! ...待って...ボクに最後まで やらせて....!」 しかし、『勇二』は再び立ち上がり 鞭を手へ収めると笑みをこぼし 自分が戦うと言い残し攻撃を行う 『シュパパパパパパパパァァッッッ!!!!』 「くっ...予想していなかった... キミはもう反撃する意味はない...!! (そう、踏み切っていた...が!)」 すると、手にした武器では 鞭の攻撃を対処出来ず、それどころか 思わぬ反撃で直撃はしなかったものの 頬を掠めた!! 「勇二...下手したら...殺されちゃうよ!! それでも、あの『幻魔』を待つの?!」 光助には解っていた、勇二が 何を思って戦っているのか、を 「うん、大丈夫.... 光助なら、あのヒトを倒せると思うんだ...けどね ボクは、どうしてもあの子を ...取り戻したいんだッッ!!」 取り込まれた『翌期の水狐』【スカイ・ビュ】が どうしても取り返したい、いや それだけではなく信じているのだ、っと 「アレは元々、ボクの一部だと 何回言えば解るんだ? 無駄だ、それにさっきの1撃で解ったが ...キミはもう鞭を振るう“力”さえ残っていない!」 彼は激昂した様な口調で指摘し カードを1枚取り出す 「ねぇ、勇二? ...こいつの一部なら、こいつを倒したら 消滅する...勿論、助け出しても、だよ...解るよね???」 「うん、それでも...ボクは ボクが過ごした数日があの子を忘れさせないから!」 そして、最後の確認とほぼ同時期、カードは投げ放たれた...。 「『セント・シール』...。 この中で永遠に生きなさい、そして 悪意と成れ...醜きモノよ!!」 それは封印のカードだった、出現した靄(もや)が 勇二を取り囲む、するとーーー ……次の瞬間!!!…… 『12月8日(日)』 第一二三三話 『心理の行き着く果て-対話編-』(12.8.日) 「ゆっ『勇二』、っぅわぁっっ!?! 眩しくて何がなんだか解らない?!」 激しく白き閃光が場を包み込み 瞬時のホワイトアウトを創り出す!! 「フッ...抵抗は無意味だ このカード効果は、さっき見せた 『幻魔』を生産する実験で用いたモノだからね? ....今頃はカードの中の世界でさ迷っているさ。」 一瞬の瞬きが済んだ後、彼の目の前には 勇二の姿が掻き消えていた 「馬鹿な!?てめぇ!!! そのカードをよこせ!」 『どぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃっっっ!!!!』 「キミの動きは読んでいる!っと 教えたハズだぞ...無意味な!!」 視界を取り戻した『光助』の攻撃は やはり跳ね退けられ槍状の武器で 左手の手の平を突き刺される...。 「....此処は...ボクは.... そうだ、ボクは....カードの光で... 飛ばされたのかなぁ〜?」 真っ白な世界が瞼を開けた 勇二の前で広がっている 「おぃ、何故ココにいる?」 すると何処からともなく 声が場へ響き渡る 「え”っ?!って...キミは誰??? ここは何処の〜!?」 「....誰でも良い...。 教えてやろう、ココは白き空間... カードの中の世界だ。」 声の持ち主はそこがカード世界だと告げ やがてそこが色付くと勇二が 幻魔となる事を伝えた...。 「ねぇねぇ、キミは... どうしてボクに声を掛けてくれるの?」 不意に勇二は声をあげて質問する 「....さぁな、それより 何故...2人で攻撃せず、自分だけが 奴と対時したのだ?」 すると、その声は 「それは...それは、ボクの仲間を助けたかったから!! だから自分で...でも、もう駄目かなぁ...(泣)」 不可解な質問を始めた 「あの狐の何処が必要なのだ? 闘いには参加していなかったハズだが?」 「...一緒にご飯を食べたし、一緒に お風呂に入ったし、一緒に寝たし...! 闘いたいのはボクの理由だもの、あの子には 関係ない...だから!!ボクは!!!」 少しだけ笑った様な含み声が 響いた後、やがて質問の答えと 勇二の応えがカード世界へ変化をもたらす!!! まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |