『12月21日(火)』 第一五一話 『霧の都ー幹の覚醒ー』(12.21.火) 『春化』に抱き抱えられている 『幹』は、静かにその手から 降り立つ... 「...大丈夫だから...私は、そんな こと...気にしてないもん!!」 幹の悲しそうな瞳を見てそう必死に叫ぶ ハルカは、彼女の手をギュッと握り締める... 「...解ってる!!....でも、ハルカの優しさに いつまでも甘えているワケには、 いかないの....これは私の問題だから...。」 しかし、それを振り切ると幹は... 『貴弘』の居る方に『帝劍坤』を 持ち、向かう.... 「ミキ!!!!」 「じょぶだよ...春化!!.... 私は、あいつと決着を付けるだけだから!!」 自分に向かって来る幹に向かい 笑みをこぼす貴弘は、弾け飛んだ 筈の両腕を使い『神の聖槍』 【ヴァイガルス】を床下から拾い上げ 構えた...。 「...僕のこと不思議におもわへんの? 幹ちゃん?」 ヴァイガルスの刃を幹に向ける 貴弘は、そう呟くと....彼女は、 「...ヒロ...あんたの両腕は、あの 時点で幻影にすぎなかった.... つまり本気を出していないって事 でしょう?嘗められたものね....。」 静かに彼に言い放ち、更に 「では、幹ちゃん...どうすると?」 「...ふっ、嘗めるなって事よ... 私だって『異界の闇覇者』だって事... 忘れたワケじゃ...ないでしょ?」 ふざけた口調でわざと声を出す、貴弘に 向かい右手を素早く前にかかげ、人指し指で 空間に円を描く...すると!! 『ぶぎぃっぶぎぎっっ!!!』 「うぎゃっ!?...ぃぃぃぃいいいっっっ!!!」 幹が円を描いた貴弘の左肩部分が 突然!!引きちぎれ別の場所に その肉片が瞬時に移動する!!! 「凄い...幹...。」 それを見て驚きの声を思わず上げた ハルカを後ろに彼女は 「忘れた?....これで思い出した かしら?....みきちゃんの“能力”... …『S・W』… 『円移動』【サークル・ワーキュリー】が 持つ...絶対な力を?」 唐突な攻撃からの全身を襲う苦痛に 呻き苦しむ貴弘にそう言い放つ!!! 『12月22日(水)』 第一五二話 『霧の都ー決別ー』(12.22.水) 右手で傷を庇う『貴弘』は、その 痛みに耐えつつ襲い来る『幹』の猛攻を 『神の聖槍』【ヴァイガルス】で 受け流す....が 「へっ....その程度....蚊に刺された ほどもあらへん!!!」 「...『S・W』との同時攻撃なら どうかしら?!!!」 『ブゥギギッッィ!!!』 幹の持つ“能力”サークル・ワーキュリーとの 同時攻撃によって流石の貴弘も 幾つかの攻撃をその身に受け始め かなり追い詰められてしまう!! 「...ヒロ...あんたを倒し... この城からハルカと共に私は 脱出する!!...そして、元の 世界に返るんだ!!!」 「ふっ...イイ気になるんやない... 僕がそんな事はさせへん...。 いや、僕が止めへんでも...幹ちゃん... 君は自分の欲望を止める事は出来へん... もう一度...その心を染めるんや.... 自分を解放しろ...!!!」 しかし、止めの一撃が貴弘の喉元を 狙った、その瞬間!!彼の“能力”が 呼び出した魔王が天井から舞い降りる!! 「何...あの羽の生えたの女わっ!?」 突如、出現した魔王に驚く ハルカは、それよりも幹の身に 何かが起きているのではないか? と、心配する... 「...くっ!!またあいつ!!!」 幹は、止めを『帝劍坤』で付けようと 喉を貫こうとする...が、突如現れた その魔王の姿を見て驚愕し、その手を止めた... 「...『S・C』【サモン・カオス】 幹ちゃん...君こそ僕の能力を 忘れてたんやなかったん? ...『リリス』を目の前に したモノは、全てその魅力に より魅了される...さぁ思い出すんや... あの欲望を吐き出して自由に生きる ことを....僕の様に誰でも..何でも 欲するモノを手にし、全てを 犯そうが何しようとも罪に捕らわれない... アノ狂気を...今はただ眠り... 次に醒めた時は...二度と目覚めない 永遠を....与えたる...。」 そして、不意に虚ろな眼をした 幹は、瞼を閉じてその場に倒れて しまう....またそんな、彼女を抱き抱えた 貴弘は、徐に左手で落とした帝劍坤を 床から拾うと、それを見て叫び 走ち寄るハルカにーーーーー 「ミキを返せェッッッッ!!!!」 「...あとの始末は全て『シープ』に 任ておいとるんや...残念やけど、ここで 死んでくれへんやろか? この子を返すワケにはいかへんからなぁ〜。 それじゃあ、また会えたら えぇなぁ〜〜春化君!!」 静かにそう言い放つと、闇の中にとろける ようにその姿を消してしまった....。 一人その場に取り残された ハルカは、喪失感に苛立ち 床を殴りつけ...青い絨毯の敷かれた 部屋の出入り口を見付けると そこを後にした....。 『12月23日(木)』 第一五三話『霧の都ー盲目の羊ー』(12.23.木) 「私は....くっ!!!」 『ドガスッ!!!!』 先に進んだ『ハルカ』の目の前には 下に降る階段等が幾つも連なる 大広間といった城の中心部であろう 部屋が姿を現した...『幹』をまたしても 自分の見ている前で連れ去られ 心身共にショックを受ける彼女は、石で出来た 壁に拳を叩きつけ、自分を痛みで 抑え付けていた.... 「...まってて...今度は.... もう....失わない...幹....貴方を 絶対!!取り戻すから!!!」 そして、必ず親友を取り戻す事を 決意したハルカは、階段を降りて 妙な気配の渦巻く中央の大きな扉の 前に立ちはだかり...それを押し開けた!! 『ギィィィィッッッ!!!』 すると、そこには....。 「ようこそ...我が城へ...春化さん。」 その赤と黄色の絨毯の敷かれた部屋の 奥に位置する玉座に座る小学生くらいの 女の子は、無邪気に彼女に声を掛ける... 「...“我が城”...って事は...貴方が 貴方みたな子供が....!?!?」 そうハルカが質問すると...女の子は、 「あははっ、そうだよ、春化さん。 あたしが、この『濃霧地帯』支配者... “幻魔人”『盲目の羊』【シープ・ゴート】 だよ〜、ふふっ驚いたかしら?」 あっさりと、そう答えまた笑みをこぼす... 「嘘?!...なっ....どうなってるの!?」 少女の言葉に驚愕するハルカは、 思わず叫ぶ!!...が 「ふふっ、ミッキーが騒いで 春化さんをココに呼び出した時は、 凄く困ったんだけど....まぁいいや って思ったりもしたの....そっか〜 私がそうだってまだ信じ られないんだね...じゃあ少し...。」 それを聞いた女の子は、静かにそう囁いた。 「...明らかに...人間じゃない... これって...本当どういう事なのよ... ねぇ...貴方本当にーーーークッッ!?」 『ヴァシュルルルッッッ!!!』 困惑するハルカを余所に少女は、 「...春化さん?...その霧は 私の意志で動かせるんです...。 これで解って貰えましたか?」 静かにそう言った...そして、突然の 実体と化した、辺りに漂うに霧に襲われた 彼女は、その攻撃を旨く避けると 少女をシープ・ゴートだとやっと 確信し、直ぐに立ち向かう!! 『12月24日(金)』 第一五四話『霧の都ー霧を打ち破れ!!ー』(12.24.金) 「逃げ回ってばかりでは、私を 倒せませんよ?『春化』さん?」 ひたすら実体化しては、攻撃を 仕掛けは、その後すぐに消えてしまう 『盲目の羊』【シープ・ゴート】の操る 霧に邪魔され直接、手も足も出ないハルカは、 それに苛立ちながらも考えを巡らせる... 『ヴァシュァッァァッッ!!!』 「ちぃっっっ!!!....全然 近寄れない...それどころかーーー あの子から引き離されているじゃない!! どうしたハルカ!!....この程度なの!!!」 『ガヒュュッッン!!!』 「春化さん旨い!!」 次第に霧の攻撃で弱る彼女だったが 自分に気合いを入れる為に激を飛ばし そして、次の霧によって放たれた 直接攻撃を『霊聖坤』で受け止めると... 「私はーーーーーッッ!!! プリンセス × ハンターだっ〜〜〜〜 っぅ〜〜〜のぉ!!!」 叫びながら実体化した霧を 初めて斬り裂いた!!! 「......一気に行く!!!」 漸く突破口を見付けたハルカは、 霧による攻撃は全て受け止めて反撃し そのまま漂う霧を突き抜け少女の待つ 玉座の下へ走る!! 「そうか、単純な攻撃では倒せない...か。」 「...本当に貴方がシープなんとか だったのね...解ったわ....じゃあ 遠慮なしに行くわよ!!!」 そして、シープ・ゴートの前まで 来ると、そう叫び一気に畳み掛けようと 霊聖坤を構えハルカは、飛びかかった...が …その瞬間!!… 『どぶしゅあっっ!!!!』 「え”っ!?」 「これならどうでしょう?春化さん? 手数を増やしてみたんですけど?」 少女の周囲...八方全てから 実体化した霧の拳が現れ、隙を 突かれたハルカを 殴り飛ばし、入って来た扉にその身体を 叩きつけた!!! 『ドギャギャギャッッッン!!!』 「う...そ.....ぉ。」 ずるずると、下へ落ちてゆく ハルカは、意識がもうろうとしながらも 立ち上がろうとするが...背面を 打ちつけたショックで暫く 呼吸が出来ず、そのままそこに たたずむ.... 「....このまま殺すのは簡単です...が、 私はもう少し楽しみたい....。」 必死の思いで呼吸を整える彼女は 静かに床に落ちた霊聖坤を拾い上げ その手にし、構える.... 「...ははっ....後悔しないでよ? いま止めを刺さなかったこと....。 それにお楽しみはこれからよ!!!」 そして、笑いながら少女にそう言い放つと... 再び霧に立ち向かう!!! まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |