『12月29日(水)』 第一五九話 『霧の都ー桁違いー』(12.29.水) 『春化』と闘っていた『啓子』は 自らその身を『幻魔』に捧げ... 遂に濃霧地帯の支配者“幻魔人”『盲目の羊』 【シープ・ゴート】と化した!! 「....どっ...どうなってるの...。」 幻魔人となった少女の肉体は完全に 消滅し、通常の人間のような姿をし 大きさを持ったシープ・ゴートの額に その少女の顔が浮かび上がる!! 「...ちじんだ...失敗したのか?!」 さっきまでの巨体が消えて自分達と 同じような大きさになったシープ・ゴートを 見て、ボソッと呟く『タクマ』に 『ラフェーラ』は、静かに 「いや、...これが真の姿だ.... さっきまでとは...比べようない 強さを持っていやがるぜ!!!」 そう言うと、注意を促す....。 『霊聖坤』を構えるハルカは、 シープ・ゴートから発せられる 異様な重圧を肌でビンビン感じ 嫌な汗を額から流す...突然!! 「....えっ....なっ!!??!」 彼女が目をそこから一瞬離すと 辺りを漂っていた霧が物凄い 勢いで風に押され、その衝撃波を 起こしたシープ・ゴートが目の前に!! [続き...しましょうか.... 春化さん...!!!!!] 『ドコッ!!!!』 「げふぁっ!?!」 それに反応しきれなかったハルカは、 左肩から何か...見えない鈍器の様な もので殴り飛ばされた衝撃を喰らい つつタクマ達の下へ勢い良く 吹っ飛ばされる!!! 「ハルカ!!!」 しっかりとその身体を受け止めた タクマは、明らかにへし折れている 左肩にかけた部分を庇う様に ハルカを床に寝かせ、立ち上がり... 怒りに震えながら 『スレイヴ・ブレイカー』を構えた!! 「俺が相手だ.....いくぞっヒツジ野郎!!!」 武具を一つの形に戻し連続で 攻撃を仕掛けるタクマだった...が [お兄ちゃん...その程度なの? 春化さんの方がこれならまだ... 面白かったよ...がっかりだ...!!!] その攻撃は、全てそれ以上の速さで 動きかわすシープ・ゴートには、無駄に終わる... 「嘗めるなよ....俺がただ... 動き回って攻撃していたと思うのか!!? いまだっ!!発動『禁光線』!!!」 『シュパパパパッッッン!!!』 だが、既にそれを読み足元に “能力”で罠を仕掛けていたタクマは、 黄金に輝く網でシープ・ゴートの動きを 封じ攻撃に掛かる...しかし!! [無駄だよ。お兄ちゃん!!!] 『ぶちぃぶちぶち!!!』 自分を包み込む網を 軽く霧の刃で斬り裂き、その場から 脱出したシープ・ゴートに反撃を喰らい逆に 石の壁にその身を叩き付けられてしまう...。 『12月30日(木)』 第一六十話 『霧の都ー本当の狙いー』(12.30.木) 「う...っう...『卓真』...!!!」 口から血を流しながらもどうにか意識を 取り戻した『春化』は、半身に力が 入らずに動けないでいた... 「おっ...めぇ醒めたか...大丈夫か? ...ってここは俺達に任せておけ...!!」 そんなハルカに『ラフェーラ』は、そう 言うと、敗れてしまったタクマに代わり 『盲目の羊』【シープ・ゴート】に 果敢にも立ち向かってゆく!!! [赤瞳のお兄ちゃん...か.... そのマスク...ダサィけど...あれが ないと大変だもね....ふふっお兄ちゃん よりは楽しめそう!!!] 「ほざいてろっ!化け物が!!!!」 ラフェーラは、自分の瞳からさっきの 光線を放射し攻撃を仕掛ける!!! 『バヒョォォォッッ!!!』 だが、その攻撃はーーーーー [『絶対なる霧』【ラピット・シャウド】 ...無駄な努力だったね...。] シープ・ゴートが生み出した全ての 魔法(含め)に近い攻撃を吸収する 濃霧によって掻き消された!!! 「ちぃっ!!なら拡散!! 『アルティ・バースト』【隻眼の朱閃光】!!」 [あはは...隙をついてって...。 ...無理だよ赤瞳のお兄ちゃん!! そんな隙間ないもん!ラピット・シャウド!!] 『ボシュォォォッッッ!!!』 濃霧の隙間をかい潜らせて 光線を直撃させようとしたラフェーラの 再度の攻撃もシープ・ゴートの操る 濃霧が吸収してしまう...なす術を無くした 彼は反撃に自分に向かい放たれた 実体化しては、消える幾重の霧の拳に 捕らえられタクマと同じように石の壁に 叩き付けられ意識を失う.... [...愉しい時間は直ぐに過ぎてしまうの... 悲しいなぁ....さて...最後は やっぱり...窒息死...じゃない... おなかが空いたし...食べちゃおっかな〜!!] 戦闘不能となった3人を目の前にした シープ・ゴートは、その口からよだれを ダラリと垂らしながら...静かに今、歩み寄る...。 どうしたんだろ...なんでこんなに 冷静になれるのかしら...私達 このままじゃあ...殺されるのがオチ なのに...負ける気がしない.... みんな...あのラフェーラまで ボロボロにされて動けないのに... 「逃げろ...は...るかぁ...!!」 私は、最初に自分から殺されると 直感で感じていた...あの少女と羊が 言っていた選ばれしなんとかって...きっと 私の事だと思うし...!?あぁ、タクマ!! 起き上がっている?!...あの傷じゃあ激痛が 襲っていてけして動ける筈がないのに... [...お兄ちゃんは、春化さんの後ナノ... 大人しくそこで待っていてね。] 死が迫って来る...『幹』... でも...こんなところで....『P × H』が 負けて...負けてたまるかぁぁ!!! 「.......。」 気付いたら私は立ち上がり動かなくなった 左腕を庇いもせずに右手で『霊聖坤』を 構えて...シープ・ゴートと対時していた... [へぇ...春化さん...やっぱり... 最高!!...まだ...おもちゃとして 頑張ってくれるんだ〜!!!] 少女の声がもうろうとする私の意識を 掻き立てる...死に近しい興奮は...そうだ おばあちゃんがいつも言っていたっけ... 『死に近しい興奮は眠れるーーーー “力”を目覚めさせる糧となる』って!! 私は、武器を持つ手に意識を集中させ 全ての霊力を静かに注ぐ....。 『12月31日(金)』 第一六一話『霧の都ー遥かなる旅路へ…!!ー』(12.31.金) (『濃霧地帯編』終わるまで長かったなぁ。) [...でも...壊してあげる... 痛いらしいんだよぉ...生きながら 喰い殺されるのって...くすすっ... それじゃぁ〜〜〜〜ねぇ!!!] 『バグンッッッ!!!』 『ぶぎぃぃぎゅぎゃぁぁっっっ!!!』 『盲目の羊』【シープ・ゴート】の 腹が異様な音を上げて開き...そこから 飛び出したピンク色の触手がよろめきながらも その場から『霊聖坤』を手に立ち上がる 『雪ノ城 春化』に勢い良く襲いかかる!!! 「はるかぁぁ!!!!」 『ばしゅっっっ!!!』 [なっ!?うぎゃぎゃあぁぁぁ!!! 私のわたしぃぃのぉぉ....なぜぇぇ!?!] が、...その触手が彼女に届く前に 突然!!蒸発したように消え失せる... 「...子守はもう終わり.... 私にはやるべき事が色々あるんだ.... だから『プリンセス × ハンター』の名に 懸けて...貴方を浄化する!!!」 ハルカの身体から発する霊気が 結界の役目を担い...それを恐れる シープ・ゴートは、即座に間合いを置き 離れた場所から彼女に対し攻撃を 仕掛けようと試みる...!! [くくっ春化さん...その纏うモノって 私と同じようなモノなのかしら? ...立っているのがやっとって感じの くせに....!!! 室内すべての霧よ!!我が命にしたがい 何者をも貫く無数の槍となり降り注げ!!] 内部にダメージを受けた事により 少し動揺するシープ・ゴートは 慎重に霧を操り攻撃を仕掛けようと するの....だが、 「さ...させねぇ!!!..... 『スレイヴ・ブレイカー』には.... こを言う使い方も...あるんだぜぇ!!!」 『ドギャッス!!!!!』 [うっ...ぎゃぁぃぃぃぃ!!!! おぉぉぉお!!!!..... そんな攻撃なのどぉぉ喰らえ!!!!ーーーっ!?] 真後ろから『禁光線』を纏い回転する ブーメラン状の『光の刃』が 放たれ、それが背中に命中し攻撃の手が 一瞬、止まってしまう!!! 「有り難う『卓真』....!!!」 そして、その一瞬を見逃さなかった ハルカは、全ての霊力を注いだ坤からーーーー 「....ばいばい...お嬢ちゃん!!! 霊術式滅ノ型『珠羅閃光斬』ーーーッ!!!」 青白く輝く巨大な刃の波動を シープ・ゴートに向かい、今放つ!!!! 刃が左右逆に取り付けられている 特性を利用したブーメランをまともに受けた シープ・ゴートは、こうなれば攻撃よりも 防御に!!っと霧の防壁を創り出すがーーー [ばっ!?...そんなばかなぁぁぁっぁ!!!! 『絶対なる霧』【ラピット・シャウド】が 私のーーーーーーぉぉ!!!] それも全霊力を含んだハルカの必殺技を 防ぐ事は出来なかった!!! その身体は、上半身と下半身に 両断され少女ごと徐々に歪みに 消えてゆく....が、そんな中で額に 浮かぶ『啓子』の顔は何故か笑っていた... 「...あの子...どうして?」 それを見逃さなかったハルカだが、 立つのもままならず武具を杖代わりに どうにかその場にたたずむ....。 「おぃ!しっかりしろって!! 『ラフェーラ』ラフェーラっ!!!」 「...うっ...うん!?...!!!マスクが!!」 「あははっ!!もう大丈夫だっての!! ハルカがあいつがやったんだよ!! ほら見てみろよヒツジの最後だぜ!!」 殴られた時にマスクが外れていたのに 気付き慌てるラフェーラにタクマは、 笑いながらそう言うと、歪みに消えてゆく シープ・ゴートの側で立ち尽くすハルカに 声を掛けようとする....が、その瞬間!! 「あっ....はるかぁぁぁ!!!!」 突如、彼女の姿は『五重の門』の時に現れた 穴に真下から引き込まれ...消えてしまう...。 [けけっ...良かったデス...全て 作戦どおりですね....『幹』様...。] 「ふっ...あの羊さん...いやあの子は 最初から元の世界に戻って やりたい事があった ってだけの事...彼女の思惑どおりって奴よ。 ただ、ミキちゃんはそれに サービスしてあげただけ。 (春化...貴方には、貴方の私には私の 進むべき道がある....また何処かで...。)」 当初自分を連れ去った羽の生えた 『幻魔』を従えた幹は、静かにその場を 去った....こうして、歪みに消えた シープ・ゴートは元の世界にて再生を果たし 日本を霧で覆い尽くす元凶となる....。 穴に落ちた春化は?日本...いや元の世界は? また、その霧の立ち込める日本に 戻った『勇二』の運命は? …すべては、そう遠くない未来の中へ… まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |