『8月5日(木)』 第十五話 『月夜の語りベ』(8.5.木) 「はっ『ハウリング』!?もぉ 具合は、イイの?」 ただ、立ち尽くしていたハウリングに 向かいボクは、そう言うと ベットから起き上がった、すると ニコッと笑いながら 「おいらは、もう大丈夫っ!! 『勇二』は?」 そう言ってハウリングは、 ボクの下に歩み寄って来た。 「ボクも、大丈夫だよぉ〜!! ...それよりボクまたハウリングに 会えて良かった...。」 ボクは、そう言って無意識にハウリング に抱きついていた…、 「おいらもだよ...ねっ折角だから 外に出ない?月が綺麗なんだよ。」 「月?!この世界って....。」 「そっ何でか知らないケド...元の 世界に酷似しているみたい...。 さぁ行こう!!」 ボクは、ハウリングに手を引かれて 外に連れ出された…さっきハウリング 『元の世界』って...どぅ言う事だろ〜? ボクは、疑問を胸に残したまま ハウリングと共に深夜の 『キャラバン』の街を歩いた。 「勇二〜っ、こっちに来て〜。」 ハウリングは、そう言って勇二に 手招きをすると、街中にある 小さな湖がある場所まで案内した。 「凄いねぇ〜砂漠にあったよりは 小さいけどねっ。」 勇二は、湖の横に設置されていた 石で出来たベンチの様な物に ハウリングと共に座り、そう呟く。 「…勇二、見てみなよ月が綺麗だよね... 今夜は満月だよ...。」 ハウリングが、そう言うと勇二も 静かに月見をしていた...。 ボクは、不意にさっきから気に なっていた事を月を見ながら 悲しそうな顔をしている ハウリングに聞いてみる事にした... 「ねぇ...ハウリングさっき話そうと してくれた事ってーー」 すると、突然ハウリングは、横からボクに 抱きつきその言葉を遮った、 「...勇二...おいらは...この世界に 来てから記憶が無いんだ...だから...。」 記憶が無い?...そうか...だから あの湖でも『最初の言葉』とか 『元の世界』とか...言っていたんだ... でも...人間の姿をしていなし... って事は... 「ハウリングは...ボクの住む 世界のヒトなの?」 「...解らないけど...そうだと思う... でも...。」 ハウリングは、そう言うと ボクから離れてしまった...そして また月を見上げていた...ボクは、徐に ハウリングの肩に手を置くと そっと頬を寄せて、じゃれついた。 『8月6日(金)』 第十六話 『気持ち』(8.6.金) 「なっ…!?『勇二』....。」 ボクは、何度も『ハウリング』の フサフサな頬に自分の頬を擦りつけた 「あはは...くすぐったいよぉ〜。」 ハウリングに笑顔が戻った... ボクは、それを見てホッとした。 「ねぇ、ハウリング...ハウリングが 何処の世界のヒトなのか...それは 知らないけど...ボクは、...ボクは 君が好きだよ...。」 ボクは、思わずそうハウリングに 言ってしまった...どうしよう... 嫌われたかなぁ...。 すると、ハウリングは、優しく 両手でボクの頬に手をやると... 「...女の子じゃないんだよ、おいら... 間違っているとも思うケド... ...でも、おいらも...『勇二』の事 好きだよ..。」 そう言って唇に軽くキスをしてくれた...。 それから暫く月見をしてボク達は、 部屋に戻って行った。 「もぉ、遅いから早く眠るといいよ じゃぁ...また明日ねぇ〜勇二っ!」 ハウリングは、ボクを部屋まで 送ってくれると、小声でそう言って 足早に別の建物に入って行って しまった...もっと側にいてくれれば いいのに...でも、また明日 すぐに会えるか...ボクの口元には さっきのキスされた時、ハウリングの 唇の感覚がまだ残っていた... 最初のキスは、甘すっぱいって 本当なんだなぁ〜って思いながら ベットに入り込み眠りに就いた...。 異世界での長かった一日が過ぎた… まだまだ『幻魔』との 戦いは、始まったばかり... 果たしてこの世界から元の 世界に無事生還する事が出来るのか… 後に、元の世界とこの異世界を 又にかけて戦う事になろうとは まだ、誰一人として知るよしも無い...。 『8月7日(土)』 第十七話 『武装』(8.7.土) 「ふぁ〜〜っ...朝?」 外の日差しでボクは、起きると 最初、ここが何処だか解らずに 躊躇しながら起き上がり辺りを見回し 昨日からの事を思い出していた 「あはよぉ〜っ『勇二』っ!」 不意に後ろから、ボクに向かい そう元気な声が聞こえると ボクは振り返った、すると 「『ハウリング』〜っ!!おはよぉ〜!」 元気そうに笑うハウリングが いて、こっちに向かって歩み寄って来た 「良く眠れた〜?」 ハウリングは、そう言うと徐に ボクに抱きつき、にゅるにゅるした舌で ボクの顔を嘗め回した 「あははっくすぐったいよぉ〜あははっ!」 嫌がりながらも喜ぶボクを見て ハウリングは、また笑った。 ボクは、朝のいちゃつきを終えると ハウリングに案内されて 昨日ハウリングが連れられて行った 建物に入って行った。 「勇二ここで待っててね。」 ボクは、広い円卓の間に連れて こられると、ハウリングにそう言われ そこにあった赤い椅子に座って 静かに待った、暫くして... ボクの目の前にハウリングと女のヒトが …あっ!?あのヒトは、昨日の!! 「良かった、君も調子は良好の様ね。」 赤いマントをまとったその女のヒトは そうボクに向かって言うと 中央にある豪華な椅子に座った。 「勇二は、これで会うの二度めだよねっ 紹介するね、おいらが勇二と同じように 砂漠で倒れていた所を助けてくれた この街を統治しているヒト... 『キャラバン』だよぉ〜。」 ハウリングは、そうやって彼女について ボクに教えてくれた。 「勇二君、君の持っている 『能力』とても凄かったわ... 私の持つ『手かざし回復』【ヒールハンダー】 なんかよりも遥かに強い... いえ、私よりも強い心を持っているのね。」 キャラバンは、そう言うと徐に 立ち上がりボクの目の前に来た ...能力って確か異世界のーー ボクがそう思った瞬間に それを察知したのかハウリングは、 「キャラバンわねっ、この世界の住人 なのに能力を持っているから この街を治めるほど偉いんだよ〜っ。」 ボクにそう教えてくれた。 「へぇ〜そうなんだ〜んでこの世界から 脱出する方法とかしらないんですか〜!?」 ボクは、そう言うと向かって来る キャラバンにそう質問した 「...ごめんさい...それは私には、 解らないの...ただ知っているヒトも この広い世界なら何処かに いるかも知れない...どうするの? 君達は、このままこの街にいるつもり ナノかしら?『ユグラジルド』を倒した から先に旅立つならもう、砂漠は 解放されているハズだから 安全だけど...。」 すると、そう言ってボク達に 逆に質問を浴びせてきた...ボクは... 帰りたい...だから!!ボクは、 横にいるハウリングの目を見て 「ボクは、この世界から元の世界に 帰るんだ!!旅に出てみる!!」 そう叫ぶと同じく横から 「キャランバン...今までお世話になった 有り難う..本当はこの街でキミを 守ってあげたい... ケド...おいらは、記憶が欲しいんだ! それに旅には連れが必要だよ...あはっ だから行くよ...おいら、勇二と共に!!」 ハウリングは、そう言って 立ち上がった、そしてそれを見た キャラバンは、後ろの戸棚から ゴソゴソとナニかを取り出すと ボクに手渡してくれた、良く見ると ーーーこれはっ!! 『8月8日(日)』 第十八話 『旅立ち』(8.8.日) 「ムチ!?」 しなやかで柔軟性のある、白く 光り輝きピアノ線みたいな感じで 長いそれは、紛れも無くムチだった!! 「それは、『白金の鞭』... 【レイジング・ビュート】よっ あらゆる攻撃にも耐久性がある 攻守ともに使用出来る武器よ... 持っていくと良いわ、きっと 『勇二』君の力になってくれるでしょう。」 ボクは、手にしたムチをマジマジと 見ながら『キャラバン』に 「でもぉ〜ボク、ムチなんて使った事 ないんですけど...。」 そう言うとキャラバンは 「この世界は『意思の強さ』や 『想いの強さ』で全て決められているの だから私の言葉も理解出来ているし 能力も使える...ネッ、自分次第で その武器もきっと扱える様になるわ。」 そう言ってボクに真剣な眼差しを 送ってきた...ボクは、確かに そうだった...あの魔法みたいのを 使った時も...『ハウリング』を 助けたい、会いたい!!そぅ思ったからだ... ボクは、ムチを学生服のポケットに 丁寧に治めると、キャラバンに 「あっ...ありがとう御座いますぅ。」 そうお礼を言って立ち上がろうとした すると、キャラバンは、 「待って腹が減ってちゃ戦は、 出来なくない?最後にたっぷり ご馳走を食べて行って...それが私に 出来る最後の力だから。」 ボク達は、キャラバンの厚意に甘えて 十分に食べて食事を満喫してから 街の外に向かった。 「開けて〜〜!!!」 ハウリングがそう門の前で叫ぶと ギシギシ音を立てながら門が開いた 「さっ出発しよぉ〜!!」 「うんっ!!」 ボク達は、元の世界に帰る為の 冒険を今、始めるために外へと 足を一歩踏み出した!! 目指すは、森林地帯の街 『メルティ』だっ!!! まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |