『8月9日(月)』 第十九話 『冷静』(8.9.月) 『勇二』と『ハウリング』は、『キャラバン』 から旅立ち森林地帯の入り口付近に 存在する街『メルティ』に 向かい、ここ砂漠地帯の支配者 『冥界の蟻地獄』【ユグラジルド】が 消滅し、安全になった砂漠を じゃれあいながら歩き続けていた…。 その頃、メルティの街付近の 森の中で勇二達と同じく 異世界に放り込まれた少女が 剣と盾を装備した『幻魔』 『森の蜥蜴』【ラジエター】二体に 襲われていた!! [ひゃはは〜おねぇちゃ〜〜ん!! 死ね死ね死ね〜ッテ感じぃ〜!!] [にゅらら〜〜おねぇちゃ〜〜ん!! 喰う喰う喰う〜ッテ感じ〜!!] その少女をケラケラ笑いながら 剣を向けて取り囲む 「……。」 [恐くて声も出にないかぃ〜!] [ぅひゃひゃ〜ぅ人間ッテ かぁ〜いいのぉ〜!!] すると、そう言って馬鹿して 油断し、その少女から 剣を外したその瞬間!! 『メキャっ!?』 鈍い音と共にラジエターの剣を 握っていた右手ごと腕がヘシ折れていた 『ドスッ!』 痛みで剣を落とし、 [なっ!?] [うぎゃぎゃぎゃぎゃおれおれおれの うでうでうでうでーー] そして、また次の瞬間、訳が解らず 泣き叫ぶラジエターの声を遮るように 「うっといよ。」 そう言うと少女は、ラジエターが 痛みに耐え切れず思わず下に落とした 剣を素早く拾い挙げ 『ジュパパン!!』 右腕の折れたラジエターのカラダを 上半身と下半身に断暫した!! [ひぃぎぃぃぃーーー『能力』も 目覚めてイナイ奴がぁ〜〜!!! なめるなぁ〜〜!!!] 仲間の死を見て逆上して襲い来る ラジエターに対し少女は 冷静に敵の質筋を見極めると 「遅い。」 『ズッパァァーーン!!』 剣をひと振りし、ラジエターの 首を飛ばした!! 「ったく...何であたしがこんな ワケわかんないとこにいるのよ〜。」 そう、苛立ちながら 叫ぶと少女は、ラジエター達の姿が 歪みに消えてゆくのを見て 「...まっこれは、これでイイ経験 なのかも?」 怒っていたかと思ったらイキナリ ご機嫌になっていた...平然と幻魔を 薙ぎ倒し、異世界に送られても 前向きなこの少女は、いったい...。 『8月10日(火)』 第二十話 『砦』(8.10.火) 少女は、『森の蜥蜴』【ラジエター】の 装備していた剣と盾を手に、そこから 森の深くに向かい歩み出した。 「…。」 さっきから幾ら先に進んでも何も 見えてこない事に苛立ちを感じ だしたその少女は、徐々に足早に なっていていた、そしてそれを森が感じ とったかのように、暫くすると 少女の前には、大きな木で出来た 『砦』が現れた。 少女は、それをいぶかしそうに見上げると 誰かが出て来るまで慎重に 待つことにし、近くの林の陰に隠れた。 少しすると、やはり少女の思惑どうり その砦の入り口からは、 人間ではなく、先ほど少女が倒したのと 同じ様な『幻魔』が、見張りらしく 槍を片手に持ちながらノコノコ現れた。 「...此処は奴らのアジト...。」 少女は、そう呟くと息を殺しながら 門兵の様子を伺った。 「…どうする...このまま、あたしが 出て行った所で...しかし...。」 少女がそう悩んでいると、不意に 砦の門に誰かが幻魔に乱暴に 連れてられて来た、それを 注意しながら良く見ると 自分位の歳の女の子と、ちょっと若い男の子 の二人...人間らしき者達だった。 「....。」 両手を縄で、しばられたまま 無理やり門兵に砦の中に連行されて行った。 少女は、二人が砦の中に連れて 行かれるのを見て 「ここを潰す!!!」 そう決意し、日が落ちるのを ジッと待った。 『8月11日(水)』 第二十一話 『迅速』(8.11.水) 元の世界と同じ様に太陽が沈み 月が登ると闇の時が訪れた。 「...月明かり...。」 少女は、月を見上げると行動に 移るべくゆっくりと迅速に 眠りこけている門兵の『幻魔』に 近付き、先ほど奪った剣を 素早く振り下ろし『森の蜥蜴』 【ラジエター】を歪みに沈めた。 「...あの子達は、この中に...。」 少女は、ゆっくりと門を開き さっさと忍び込むと、辺りの草むらに 身を隠し中の様子を伺った。 「...前方に...2匹....『砦』 内部に入るには...まっ寝ているから 簡単ね!!」 軽く入り口を守っていたラジエター2匹 をも撃破し、少女は更に中へと進んだ。 「...木造の割には結構広いわね... あの子達は、何処へ...!!」 少女は、前方の通路から2匹で 喋りながら突然現れたラジエター達から すぐに、旨く姿を隠した。 [ゲゲゲッ『背徳の蛇』【イズム】 の頭もたいそうな趣味を持っていやがる よなぁ〜〜げげっ。] [ひゃひゃっ聞こえたらヤバイって〜〜 ってしっかしよぉ〜生飲みだもんな〜 恐えぇよぉ〜えっと確かさっきの 取れてたての捕まえて来たガキ共は、明日の 朝ご飯だったっけかぁ〜?] [ゲゲゲッそうだぜぇ〜地下の 『養品場』に繋いで来たってよぉ〜げげっ。] 2匹の会話を元に側の階段から地下 に急いだ少女は、そこで 丸裸にされて首に首輪を繋けられ 首輪から垂れた 鎖を杭に打ち込まれている為に、 身動き一つ出来ずに 苦しむ、さっきの少女達を見付けた。 「もう、大丈夫よあたしが来たから!!」 少女は、そう言うと首の鎖を 断ち切り、その首輪も取り去り 側に落ちていた服を 手渡したし、二人を地下から救出した。 「ありがとぅ...!!」 「おねぇちゃん、ありがとう!!」 泣きじゃくりながらそう自分に お礼する二人に少女は、 あくまで冷静に 「待ってお礼は、此処を出てからしてね。」 そう言うと二人が服を着終えるのを 待ち、それが済むと静かにそこから上に あがって行った。 少女は足早に二人と共に 階段を駆け上がり、入って来た入り口 を目指した...が、そこには 「…嘘!?...入り口が消えてる...!!」 さっき入って来た時にあった 出入口が忽然と姿を消し、そこには 壁が出来ていた...。 『8月12日(木)』 第二十一話 『罠わなワナ』(8.12.木) 「おねぇちゃん!!どぅしよう!!」 慌てふためく二人をよそに 少女は、黙って暫く考えていた ...何故、さっきまであった入り口が 消えているのか... 「あっ!!向こうから奴らが来る!!」 助けた少女は、後ろを指差し そう叫んだ 「……こっち!!」 少女達は、真横にあった扉に逃げ込んだ。 『ギィギギっっ!!』 駆け込んだ先の部屋の 中は、普通のなんて事のない部屋だった 「何にもない...まさか!?」 少女は、辺りを見回し 部屋に何も置かれていない事に ここは、危険だ!!っと察知し 「二人とも!!此処はーーー」 二人に伝えようとしたのだが しかし、その少女の言葉を遮る様に 左右の壁が地響きを立てて 三人に迫って来た!! 『グゴッガガガガガガッッッ!!』 「ちっ!!」 少女は騒ぐ二人を背に冷静に 入って来た扉に手をかける 「開かない...どうする!!」 すると、扉から手を離し 少女は、右手の剣を徐に構えると 刻々と押し迫って来る壁に向かい 一閃を放った!! 『シュパパパン!!』 「だっだっめだよぉ〜!!そんな 剣でどうにかなる問題じゃあ!!」 右側の壁に傷は付いたが その壁を斬り裂く事は出来なかった。 「ならッ!!」 少女は、二人に前を駆け抜ける様に 言うと突き飛ばし自分も 走り出した、そして目の前の壁を 勢い良く斬り付け体当りをかますと 『ばきょきょきょ!!!』 その壁をブチ破り転がるようにして 少女達は、間一髪で罠の仕掛けられていた 部屋を脱出した!! まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |