『3月9日(木)』 第二二九話 『臨界都市〜激動〜』(3.9.木) 『空』の奇襲は、防がれてしまった!! だが混乱に乗じて一人の青年が観客席から 舞台へと駆け登る、またその間に『マボ』と 『勇二』も上から舞台へ降り立ち 槍から手を離し、『盲目の羊』 【シープ・ゴート】の影に潜む『幻魔』から 間合いを取り後ろに下がった空の下へと 素早く走り寄って行った... 「あはははっっ!!!面白い!!! これは面白いわよ、シープ・ゴートちゃん!! 反抗もみんなしてくんなくてヒマしてたから 丁度イイ余興じゃない!!!? 生放送だし...見せしめにもなるし、ネッ?」 [ゥウウオォォォッッ!!!!『啓子』嬢が 考えているこって、必ず、無駄がなくて 好きだぜ?...んじゃ喰っちまうかぁぁ!!!] 思いもよらぬ状況下にもかかわず 笑みを見せる少女は、演説台から降り その場にいる反逆者達を自らの手で 始末し、支配力を更に高めようとする!!! 「あっ!?アレは...あの姿は!!!!」 叫びながら舞台に上がった青年の姿が みるみるうちに姿を変化させて行く...それは、 「一気に本体を狙うっっっ!!! うぉおおおぉぉぉっっ『獣化』!!」 まるで、獣と化す様に!!! 「おぃ、空、アレってよ〜。」 少女に青年は飛びかかると、同時に 姿を完全に変えた... 「だね!!アレはーーーー」 「ふふふっ、生きのイイ肥えた オオカミ君だこと、シープちゃん任せたわ!!」 [承知!!!!] 『ガギャッッッンッ!!!』 完全に啓子の影から抜け出したシープ・ゴートは かなりの強度を誇る自慢の角で 獣となった青年の牙を弾いた!!! 「...けっ!!オレっちのファングを 弾くたぁ、やるじゃん!!!」 直ぐに体制を立て直した青年は、 辺りの様子を伺いながら再度攻撃を 仕掛けようと試みる!!! 「...『ハウリング』だ!!鎧とか 着てないけど...あれは間違えなく ハウリングだぁ〜〜〜っっ!!!」 思わずあの懐かしい狼の姿を見て ボクは叫んでいた...同時に何かが こみ上げてきて、ボクを前へと押し出す... 「...その声...勇二、勇二なのか!?!!」 やっぱりだ!!ボクは、考えるよりも 先に走り出し、ハウリングの下へ向かった... 「...ふふっ、そう言う事,,,か。」 「なに?何が解ったんっスか?」 久々にあのふわふわとした毛に 触れる事が出来たぁ...ハウリングは、 ボクを抱き締めると、優しくその手を 放し、自分の背にボクを引いた... 「...ここからは、オレっちに 任せておきな、勇二!!!」 「ぅん!!!」 ハウリングはボクに微笑みかけると 凄い速さであの羊に向かって行った!!! 『3月10日(金)』 第二三〇話 『臨界都市〜研ぎ澄ませ!!〜』(3.10.金) “幻魔兵士”達の動揺は混乱を巻き起こし その講堂の映像は日本全国に流された 「おぃ!!...誰かが戦っているらしいぜ?!」 「どうせムダに終わんだろ?...。」 「ほら!!この生放送見てみろって!!」 それは『お台場』の“集落”にも 伝わってゆくーーーー 「...まぁ、イベントですもの... そろそろメインが誰なのか 知らしめないと、ねっ?」 『盲目の羊』【シープ・ゴート】は、呟くと “能力”を使用して『ハウリング』以外に 襲いかかる!!! 「...ねぇ、もしかして〜『マボ』ぉ ...『三月』にメールしたでしょ?」 「...おっ!?『空』にしちゃ〜鋭いなぁ なんで、悪かったか?」 不満そうな目つきでマボを見る空は、 「べっつにぃ〜〜でもこれで全部 解ったっスねぇ〜。」 「あぁ...『光助』が消えた ワケとか、な?....ふっ、もう奴さん やるキらしいぜ?」 不意に何故か笑い、少女と対時する...。 「....一気に決めるっっ!!!!」 ハウリングは、身体を捻り反動を 付け回転しながら『幻魔』に突っ込んで行く!! 『しゅぎゃぎゃぎゃっっん!!!』 ...が、しかし... 「はうりんぐーーーーっっ!!!」 [あめぇよ、あいつん時で 懲りてるんでねぇ...!!!] シープ・ゴートを貫くも、それはまるで 霧の中を通り抜けた様だった... 「な...にぃ!!?!!」 『どぎゃっっ!!!』 ハウリングが異変に気付いた時は、 既に真後ろに幻魔の姿が!!! 「中身...ぶちまけろ!!!」 物凄い力で彼の身体は、壁に押し込まれて 行く...身動きを封じられたハウリングは、 瞬間、意識を失いそうになるが... 「うぎぎぎっっ!?!!」 必死に押し込みを堪える...!!! 「...ボクは、ボクはっっ!!! お願い、魔法を!!...あの時の“力”を!!」 だが、『勇二』の願いも空しく... 異世界の能力を発揮できずに終わる...。 「『安大 光助』!!!お前は、そんな モンかよ!?!」 突如!!マボが叫び、空の肩から 降り立った... 「うっがぁぁっ!?!!」 『ぱきゅぅぅぅんっっ!!!』 骨のきしみが響き渡る、それを 聞いて笑う幻魔... [早く、割れろ...肉風船!!!] 「ゎぁぁっっやめて..止めてよぉ!! はうりんぐが死んじゃうぅうぅ!!!」 「...あいつの言葉を思い出せ!!!! 心を研ぎ澄ませ...心の力こそが、 全てを護るモノとなる...それがーーー」 『バギュルルルルッッッッ!!!』 [うぎぃぃ!?!] 「全てを斬り裂く刃となるっっ!!!!」 押し付けていた幻魔の左手が一瞬にして 肩の付け根まで閃光に包まれ破裂する!!! 『3月11日(土)』 第二三一話『臨界都市〜少女、空を見る〜』(3.11.土) 自分の左腕が肩まで吹っ飛び、それに おの退いた『幻魔』は、我を忘れて喚く [ウォォォオオオォォォッッッ!!!!] 「急くな、バーカっっっ!!!」 「『ハウリング』!!!」 無事だった事に喜ぶ『勇二』の肩に 『マボ』は、飛び乗ると... 「あいつは、そんな名前じゃない、ぜ? ちゃんと呼んでやんな『安大 光助』って、な?」 「光助...それが本当の名前なの!!? なっなんでマボは、それを???」 「なんで、ってそりゃ〜仲間だから、さっ!!」 彼の耳元で呟き、更にライトニングモードに 入っている光助にも声を掛ける!!! 「光助!!...俺様達の技をぱくってん だからそん雑魚一撃で倒せよ!!!」 「!?!!...キミは...そうか、また 少しづつ思い出して来た...ぞ!!! 解ってる、オレっちのマボ直伝の技!!!」 一瞬にして、異常な回転をその場で始めた 光助は、光を身に纏ながら敵に突っ込む!!! 「自己紹介をしますね、お兄さん...。 あたしは『盲目の羊』【シープ・ゴート】と 異世界では呼ばれていた“能力者”ーーー 『末田 啓子』【まつだ けいこ】...そして、 今では日本を支配する女王となりました...。 本来なら貴方ぐらいなら部下の幻魔程度で 十分なのですがーーー特別に余興の為に 直接、私が貴方に裁きを下しましょう.... 死と言う罰を与えん!!!!」 『ぱしゅふゅううぉぉぉぉっっ!!!』 彼女は笑みを『空』に向けると霧を 自身の回りに集め、それを纏う... 「なるほど〜...そうだったんっスかぁ〜 キミがこの霧を創り出した原因だったんだ〜 じゃあ、悪いけど、始末しなきゃっスね〜。」 それを見てもなんの驚きも見せない 空に少しムカッとしながらも少女は、 「お兄さん、少し口の鬼気方に 注意なさった方がイイですよ.... 霧よ....潰しなさい!!!」 そう言いながら攻撃を放った!!! ーその頃ー 「おぃ...あれっ...あのテレビに 映ってるのって!!!」 「ま...いや、空だ!!!」 生放送されている彼らの戦いを見ていた 各地の者達は、人物を知り驚愕する... 「...ふっ、光助...間に合ったのね...。」 大学では『三月』がその様子を見て 他の仲間達に、伝えていた.... 「いくら、ザコを倒しても元をたたなきゃ ダメって事を実行してるのか...。」 「やっぱり、元が違うから出来る事ーーー だろうな...。」 “集落”に集っていたアル人間が 呟き、これで良いのかと考える... [おぃおおぉ早くしやがれぇぇっ!!] 『どぎゃっっ!!!』 「...『アース・ブラック』っっ!!!」 「....はなっから、そうすりゃ〜〜〜 良かったんだよなぁ...!!!」 立ち上がり再び戦をうとする意志を手に!!! 『3月12日(日)』 第二三二話『臨界都市〜光の狼〜』(3.12.日) 「アレって!!あの塔での闘いの時に なった光る狼だぁ〜!!!」 「ふっ、あれはな〜『光助』の戦闘モード 『光のオオカミ』通称ーーー 【ライトニング・ウォルフ】っつーんだよ。」 先の『マボ』達の闘いの様に彼は、 光の弾丸とその身を化して羊の『幻魔』に 向かい突っ込みーーーー [ぎゃははははっっ!!!何度やってもぉぉ 霧の身体を撃破する事は不可ぁぁぁ...ぼげょ!?] 『ザキュキュッッンンンッッ!!!』 「『キール・ロ・ワイヤル』...死ぬまで 一人でやってな!!!」 そして、今...霧の身体をも貫き通した!!! 「!?!!」 [うぎゃぁぁぁっっ!?!助けて くでぇぇぇぇ『啓子』嬢ぉぉぉ!!! 身体がとけるぅぅぅ!!!!] 攻撃を喰らい気化して行く幻魔は、 本体である彼女に助けを求めるーーー 「うにゃ?」 あの時と同じように.... 「『シープ・ゴート』ちゃん?.... 貴方の代わりならごまんといるからーーー 消えなさいな?」 『どこっっん!!!』 [うぎょへっ!?!!] だが、今度は少女の態度が違った!! 助けを求めた幻魔を自らが創り出した霧で 打ち砕き、止めを刺したのだ!!! 「あたしは今ーーーー愉しく遊んでんのよ〜〜 邪魔するな?ね?....ん、それじゃぁ 代わりの子...おぃで...私のシャドウ...!!」 そして、それをジーッと見つめる 興味津々の『空』の目の前で啓子の影から 彼女の指示により新たな羊が誕生した!!! 「ふふっ、じゃあこっちも本当に はじめましょう...『春化』さんと 違い、お兄さんは太っているし...残虐な 最後を迎えても何の支障もなさそうですもの。」 「(がーん!!!やっぱそれっスか〜。)」 啓子は再び生み出した幻魔を 光助達に向かわせ、空に向かい呟くと 「...『絶対なる霧』【ラピット・シャウド】 一撃で,,,八つ裂きにしてさしあげましょう!!」 徐に両手を向け、霧による迎撃を行う!!! 『ガギャッッッン!!!!』 「〜〜〜〜っス〜。」 しかし、その攻撃はーーーー 「なっなに!?!....まさか!?完璧に 捕らえていたのに....あはははっっ!!! 面白い!!もしかしたら...春化さん 肥ぇちゃうかも?」 空には、触れる事すら出来なかった... 「ん〜〜〜“能力”のムダっスねぇ〜。」 そして、臨界都市の決戦が幕を開ける!!! まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |